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カテゴリー「少年活劇のすばらしき世界」の記事

2013年3月 3日 (日)

月を見るな!

Photo

思わせぶりなサブタイとショボい内容のギャップに呆れられた方、失礼しました
オスマン・ユセフ氏のお話ではありませんのであしからず

今日は正午から午後5時まで、CSファミリー劇場『手塚治虫特集』にロックオン。
『W3』『悟空の大冒険』『バンパイヤ』『どろろ』『火の鳥 宇宙編』までイッキ観。
実に5時間にわたるマラソン鑑賞となりました

絶好のウォーキング日和だったのに、ああもったいない

さすが漫画の神様と呼ばれた手塚原作、甲乙付けがたい名作ばかりでしたが
私としてはやっぱり、リアルタイム鑑賞した『W3』『バンパイヤ』あたりがツボで
(『どろろ』『悟空』も大好きですが、思い入れの優先順位という意味では
さらに実写派の私が絞りこめば、リアルタイム購入のソノシートも眩しいこの一作。

実写とアニメーションのコラボが当時話題を呼び、仲間内でも大人気でした。
製作は’68年ですから、杉下右京さんと世代人諸氏のおつきあいも
もう数十年来ですねえと

今日放送されたのは第1話、第2話ですが
初期設定編だけに、既に第1話冒頭にしてバンパイヤの概念が簡潔に説明され
子どもにも非常に分かりやすい作りになっています。
しかも、ストーリーと無関係なキャラクターアピールやギャグが皆無なので
必要最低限の描写でお話がスピーディに進み、展開が速い速い。

脚本担当・山浦弘靖、辻真先氏の両ベテランによる、ツボを押さえた作劇です。

いやー一話通して見たのは40年ぶりくらいですが、よく出来てますねーコレ。
内容がパンパンに詰まっていて無駄なカット、セリフが一つもない。
こういうのがホントのドラマだよねえと、ハアムと一緒に唸ってました
だから最近のドラマが、尺ばっかり長くて内容が薄く見えちゃうのかなー。
私にしてみれば、無駄な時間に思えちゃうんですよね。
ストーリーを停滞させるコメディ演出や、じれったさ満載の萌え描写などは

テレビドラマとしてはまだまだ実験段階だった、実写とアニメの合成もお見事。
山田健、菊池靖氏の両本編監督による実写パートと
杉井ギサブロー監督による動画パートとのコンセンサスが
上手く機能した証明でしょう。

現代の目で見たらさすがに辛いかなと、若干の心配もあったのですが
本編の自在なカメラワークにキメ細かく対応した、実に見事な職人技で
実写・アニメ各パートのタイミングミス・リアクションのズレが
ワンカットもありません。

このあたりも、鉄腕アトムで本邦テレビアニメの夜明けを告げた
当時の虫プロの意地と言うかノウハウの蓄積が、随所に窺えますねえ

まーその片鱗は、懐かしTVの番組などで必ず採り上げられる
水谷トッペイさんのオオカミ変身カットなどにも、充分に表れていますが

実写・アニメのコラボなら
『ちびっこ怪獣ヤダモン』チャンネル0の世界(1968年1月1日放送)や
劇場版『火の鳥』(1978年東宝 市川崑監督)あたりで勉強済みとお考えの
お若いファン諸氏には
この『バンパイヤ』をぜひご覧頂き
黎明期の日本子ども番組が、いかに高いレベルにあったかに
驚いて頂きたいものです。

劇中では虫プロ社屋やスタジオ、お元気な手塚先生のお姿も拝見できますし

もう一つ印象的なのが、福田善之氏作詞・林 光氏作曲のOP主題歌
『♪バンパイヤの歌』。

シューマンの『♪流浪の民』テイストの物悲しいメロディーラインが
一度聴いたら忘れられず、なぜか当時から口ずさんでいました。
特に一番歌詞♪しの~びよるくろい~か~げ~の直後にやってくる
待ってましたの雄叫びタイム「だれダッ!?」
かの怪奇大作戦主題歌『♪恐怖の町』前奏ラストの「ガッ!!」と並ぶ
’68年特撮主題歌・カラオケで全力投球したい二大雄叫びと言えましょう
今日もオンエア録画を見ながら、ハアムに向かって「だれダッ!?」を連発
いいかげん愛想をつかされる私でした

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2010年5月18日 (火)

マライの朝

Photo_2

さあ今日もまず太陽から
いよいよついて行けなくなった方もいらっしゃるかもしれませんが

写真は今朝7時の朝日をバックに、涼しい笑顔でキメるマライの虎・快傑ハリマオ。
逆光の漏れと、ピストルを構えた粋なポーズがカッコイイ

ちょっとピントが甘いのは、ご愛嬌とお許し下さい
これでも光の漏れ位置を探して、10枚以上撮ったんですが
まーヘタですねやっぱり

今日の名古屋は、午後からお天気が下り坂だそうなので
太陽バックのこの写真は、けっこう貴重な一枚です。
青空に浮かび上がるシルエットがいいですねえ

この作品、本放送は昭和35年ですから
私もさすがに間に合いませんでしたが、後に映像ソフトを探して
当時貴重だったカラー放送を敢行した先人の意気込みに
改めて感服、そのご苦労を偲んだものです。

真あ~っ赤なたいよ~ 燃~えている~

今朝ハリマオを選んだのはもちろん、この主題歌歌詞から。
三橋美智也大先生の名調子をお聞き下さい。

映像を見直したら、テロップの歌手欄が空欄になっていてビックリでしたが
こんなヒーロー、もう二度と現れないでしょうねー(遠い目)
今日も仁丹食べて、がんばりましょう

2009年8月17日 (月)

昼間は怒りの顔

朝晩は少し涼しくなりましたが、昼間はまだまだ残暑厳しいですね
今年のお盆・先週後半は、暑さで部屋にヘタっているキナを尻目に
気温が上がる午前中から正午にかけて、怒涛のウォーキングに励みました

歩きはじめから、サウナスーツの中はすでに滝のような汗。
新兵器・首に巻くアイスノンも、あっという間に役に立たなくなっちゃいます

こうなるといつも以上に熱中症との戦い、お気楽な散歩どころではありません。
毎度代わり映えしない話題で申し訳ありませんが
お盆休み中のメインメニューがコレだから仕方ない。
一歩一歩、命を削るがごとく踏みしめていました。

きっとその時の私の顔は、こんな風になっていたでしょう。
もちろん、怒りの顔の方ですが



いやーよく見たわあこの番組 両方の顔もマネしたし
もちろんこのテーマ曲、ウォーキング中のBGMにも使っているんですよ。

MP3プレーヤーにはこの曲に加え
「豹の眼」「快傑ハリマオ」「遊星王子」「まぼろし探偵」「アラーの使者」・・・
もちろん「月光仮面」も。こうなるとむしろ「バンダー」は新しい方ですね。

こんな曲をバックに歩けば、いつものウォーキンクルートも
陽炎と共に、セピアに染まっていきます。
(うーむまるで読者のリアクションを拒否するかのようなラインナップ
わざとぢゃないので、誤解なさらぬよう

まーそうは言っても季節は秋へ。日に日に涼しくなりそうな気配。
曲のラインナップも、練り直そうと思っています。
秋のウォーキングに最適な一曲などあれば、どうぞお教え下さい

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2007年8月10日 (金)

「Q」以前を求める理由

いやー本当に暑いですね。
今朝8時半に出かけたウォーキングでも「今回ばかりは本当に熱中症」と観念するくらいの強烈な目まいに襲われました。

部屋に帰り着き、倒れ伏している間に報じられた「この夏一番の暑さ」なんてニュースに、余計目まいも悪化、思わず氷アイスを二個もたいらげた私。意味無いじゃん(笑)。

先日から、ちょっとお仕事のスケジュールがバタバタしていまして。
いわゆる「お盆進行」という物
です。明日辺りから世間はお盆休み。私のスポンサーもお休みに入る為、その前に台本チェックなどお仕事が重なっちゃうという訳です。
それもようやく昨日でメドが立ちました。後は私もお盆休み。ただフリーにはお休みという概念はありません。「お仕事があるかないか」だけですので、「お盆明けまでヒマ」というのが正しいですね。
ともあれこれは毎年の事なので、私も世間並みに羽根を伸ばさせて頂こうと。
(いつも遊んでるんだろうって?私だって色々あるんですよ(笑)。


Photo先日のお話でもちらりと触れましたが、最近私はこの手のDVDに凝っています。これは言わずと知れた「月光仮面」。まあ知らない方はいらっしゃらないでしょう。
日本で最初のスーパーヒーローとして今も人々の話題に上る番組です。

でも、「ネヴュラ」読者の皆さんの中で、この「月光仮面」についてお詳しい方って、意外に少ないんじゃないでしょうか。
かくいう私も、この頃の番組についてはまったくと言っていい程不勉強です。

なにしろこの「月光仮面」、本放送は1958年。もちろん私もまだこの世に居ません。随分昔に再放送で見たことはありますが、その頃の記憶さえ不確かなほど過去の事です。
おそらくこの頃の番組は、私たち第一次怪獣ブーム世代以前に子供時代を過ごされた方々にとっての「思い出の番組」なのだと思います。「月光仮面」から「ウルトラQ」まで8年。子供にとってこの8年の差は非常に大きなものなのです。

時は移り1990年代。レーザーディスクによる過去作品のソフト化に伴って、これら1950年代のテレビ冒険活劇は続々と商品化されました。しかしながらこの頃の作品は話数が非常に多く、全話コンプリートで商品化すれば恐ろしく高額になってしまう為どこのメーカーも手を出しづらく、勢い「傑作選」と称する数話リリースとされてしまいました。放送当時の大人気がここへ来て仇となってしまった訳ですね。

さらに時は過ぎ21世紀。現在の映像ソフトの主流、DVDは、生産コストも安く手軽にリリースできるとあって、この手の商品に再び脚光をもたらしました。
版権の事情などは窺い知れませんが(まだ50年経っていませんしね)一枚500円という低価格でこういう貴重な作品を手軽に所有できる事は本当に嬉しいものです。
現在、この「月光仮面」の他にも「快傑ハリマオ」他の作品がほぼ全話コンプリートの勢いでソフト化され、LD時代には想像も付かなかった低価格で揃えられる訳ですから、これに感動するなと言う方が無理というものです(笑)。

ここで読者の皆さんは大きな疑問を持たれるのではないかと思います。
「なんでそこまでして自分が生まれる前の作品を見たいの?
それは子供時代に見た「思い出の作品」でもなければ、歴史に残るほどの超名作でもないんじゃないの?」


えー、実はその通りです(笑)。確かに今のヒーロードラマを見慣れた目でこれらを見れば、それはもう時代劇にも等しいくらいの超レトロテイスト。ドラマの進行も遅ければ、目を見張るような特撮も使われていない。カット割りも平板で、ストーリーを成立させる最低限の演出手法しか駆使されていません。
そんな退屈な作品をなぜ追いかけるのか。
これはひょっとすると、私達のようなマニアが辿った道が関係しているのかもしれません。


1980年。実写マニアが渇望していた雑誌「宇宙船」創刊時、私たちは古今東西のSF・ヒーロー作品について、体系だった資料を何一つ持っていませんでした。今のように各家庭にネット環境が整備されている訳でもありません。古本屋を漁り、マニア同士の記憶を辿って、不完全ながら資料らしきものを作り上げていったのです。当時「宇宙船」に寄稿するマニアの多くは、独力でそれらの資料収集や作品解析に臨んだファンジン経験者だった事が、その事実を証明しています。

当時はまだ今のように「ジャンルの細分化」などがされていませんでした。
H.Gウェルズの「宇宙戦争」について語る人が、次の瞬間「ナショナル・キッド」について一家言述べるなんて事は当たり前だったのです(ついてきてますよね(笑)。

私達マニアは、とにかくその手のジャンルについて語れる場がある事が嬉しくってしょうがなかった訳です。しかも上の世代との交流があった。
そりゃそうですよね。今のように資料など整備されていませんから、昔の事は年長者に聞くしかない。自然と「ジャンル作品を歴史的観点で紐解く」という癖がついてしまっているんです。


こういう試みは、映画では既に確立されていますよね。
私が拝見する幾多の名ブロガーさん達のブログでも、映画の起源まで遡ったプロデュース・ディレクションの研究が盛んになされ、私も勉強させていただく事が多いです。

実は最近は、こういった研究はテレビ作品でもされるようになってきました。ただ本当に残念な事なんですが、テレビについては作品数があまりに膨大な為(作っていて分かります)研究対象になる作品はちょっと偏っているような気がするんですよ。
それは仕方がない事ですよね。つまり「作品そのものを見ることが出来なければ研究も何もあったものじゃない」という事です。


1980年代、ファンジンや「宇宙船」を読み漁っていた私が当たった壁がこれでした。年長のマニアが評論文中「あれは云々」「これはどうの」と語る作品を見る事が出来ない。なにしろこの手の冒険活劇は生まれる前の作品である上、モノクロ作品ゆえ再放送もままならない。さらに悪い事には「見る事が出来ない作品って余計見たくなる」訳です。
「作品は体系立てて見なければならない」と教えられるゆえ「マニアとしては見ておかなければいけない作品」が山ほどあった訳ですね。当時の私には。


全ての方ではないでしょうが、最近のファンの方々は、こういう体系だった考え方をあまりされないと言われます。
たとえゴジラシリーズでも昭和のゴジラは関係なくて、平成ゴジラやミレニアム以降を愛好されている方も多いと聞きますし。「自分達の世代の作品ではないから」という理由で鑑賞作品から外されるようですね。

私などにはこれが出来ない。例えば「ウルトラQ」について語るのなら、「WOO」の顛末は勿論、最低限「アゴン」は見ておかなければとか。「大海獣ゲボラ」を調べないと、とか。「S.Fモンスター作戦」「STOP・シリーズ」は・・・そういう風に考えてしまうんですよ。作品単体で語る事が出来ないと言うか。
これは一種の弊害と言えるかもしれませんね。別にこんな事をする必要は無いですし。


ただそうする事で、作品という物が企画され、作られていく過程を鳥瞰することはできるのかもしれません。
「月光仮面」を見てなんとなく思ったのですが、日本のスーパーヒーローの歴史はまずおそらく探偵小説と時代劇から始まっているなー、とか、そういう事が分かってくるんですよ。そういう事が分かると、歴史を追っていく事が楽しくなってくるんですよね。

「ウルトラマン」が新しかったのは、探偵物や刑事物の香りを残した科特隊の設定にスーパーマン的存在が加わったからだとか、「仮面ライダー」はそのまんま東映時代劇のフォーマットだなーとか。「ルパン三世」第一シリーズは「スパイ大作戦」の影響下にあるなーとか。これは作品内だけを楽しむ方にはご興味ない事かもしれませんが、私などはそんな背景を思いついては喜んでいるおバカなので(笑)。

Photo_2ですから過去の作品は、見る度に新たな発見があるんですよ。決して古い作品ではない。先人が教えたかった「作品を体系立てて見る」というのはこういう事なんだなーと、今になって思います。
実はこうした過去の作品の中にだって、最近の作品には表れない「新しいアイデア」が山ほど盛り込まれているんです。
そのアイデアが埋もれているのは、それを最近の作品にうまく取り込む事が出来なかったからと思うのです。

Photo_3実際、凄いですよ。この「まぼろし探偵」(1959年)なんて。
この番組、原作が桑田次郎であるとか、主人公が乗るメカが成田亨デザインとか、吉永小百合が出演しているとかそういう事ばかりが話題に上りますが、私はそんな事には目もくれず(笑)。


Photo_8 このドラマの主人公「まぼろし探偵」は、敵を短時間痺れさせるだけの「電波ピストル」という武器を使います。決して敵に傷をつけない。彼はその事を誇りにしているんです。


「相手を叩きのめして勝っても、それは相手にとってプラスにはならない。」殺傷力の強い武器を持つ事も出来るのに、あえてそれをしない。

これは先輩格の「月光仮面」でも、「憎むな。殺すな。許しましょう。」というキャッチフレーズとして表れていますね。
「ウルトラマンが格闘戦ですぐにスペシウム光線を発射しないのは、怪獣を殺したくないから」という、私の願いにも似た解析は、「まぼろし探偵」で既に実践されているのです。


Photo_2「少年ジェット」(1959年)に於ける「シリーズを通しての好敵手」の設定は、最近の作品ではあまり活かされていないのではないでしょうか。
なにしろそれらの好敵手達は主人公、少年ジェット以上にキャラクター性が強い。「ウルトラマン」の主役は怪獣であるように、「少年ジェット」の主役は敵役(悪役ではなく)なのです。

Photo_7こういう作品群が手軽に見られるのは私にとって本当に有難い事です。最近一番ハマっているのは前述の「まぼろし探偵」ですが、これはおそらく全58話がソフト化されているもよう。DVDは全12巻ですから、ゆっくり見ていけば結構楽しめると思います。
また冒頭の「月光仮面」など、現在新たに「マンモスコング篇」がリリース。これは日本のテレビ特撮番組史上、初の怪獣登場篇です。ぜひ見ておかなければ(笑)。


現在では、私のようなオタクは少なくなったような気がします。ネットで検索しても「まぼろし探偵」や「少年ジェット」の設定、作劇について語る記事はほぼ皆無ですから。
寂しい限りです(涙)。

でもこういうおバカが一人ぐらい居てもいいんじゃないかと思うんですよ。ウルトラやライダー、70年代の作品群に比べて、この50年代作品は語る人が少なすぎる。
今回のDVDリリースはそんな私の強い味方です。

いずれ、「まぼろし」や「ジェット」について熱く語る日もあるでしょう。
そんな時は皆さん、時代遅れのオタクの独り言とでも思って、大目に見てやって下さいね(笑)。

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2006年10月 7日 (土)

ブラックデビルは高笑いと共に

頬を撫でる風が気持ちいい季節になりましたね。
世間では今日から三連休。私の地方では今日は秋晴れで、ミニバイクで外を走ればつい鼻歌も出てしまいます。
そんな時、私はつい口ずさんでしまう歌があるのです。

「勇気だちかーらだー 誰にも負けないこの意気だ ヤー!」

Photo_234 という訳で(どういう訳なんだか)今日のお話は「少年ジェット」。
「赤胴鈴之助」で有名な漫画家、武内つなよし先生が原作の少年活劇テレビドラマです。

テレビ放映は1959年。この年、私はまだこの世に居ませんでした。昔の番組が大好きな私は、後年ビデオ、DVDで「初見」した訳です。その感想は。

この番組、面白いです。私の好みにピッタリ。

Photo_236 こういうテレビシリーズは映画と違ってソフト化になかなか恵まれず、ようやくリリースされたDVDも個数が少なかった為、視聴できたのは一部の好事家のみ。その内容をレビューできる機会もさほど多くないと思います。
事あるごとにこの作品を思い出してニコニコしている私は、少しでも皆さんに「少年ジェット」の楽しさを分かっていただきたくて。
未見の方も多いでしょうから、今日はストーリーの一部を簡単に紹介しながら作品のテイストを語ってみたいと思います。
今時「少年ジェット」なのが「ネヴュラ」ですねー(笑)。

「ジェット」と言えば、私の一押しエピソードは何と言っても第四部の三「怪人対魔人」篇。
この番組は一話30分で、一つのお話は四話で完結する方式を採っていました。「マグマ大使方式」でしょうか。なのでストーリーもかなり入りくんでいます。これがまた二転三転ですごくスリリング。おまけに展開が速いので内容てんこ盛りです。

その第一話を簡単に。
少年探偵・北村健くん(中島裕史)は「少年ジェット探偵事務所」を構える少年探偵。(表札にも大きく書いてあります。「少年」を売りにしているんでしょうか)ちょっと原田知世似(笑)。数々の難事件をその超人的な活躍で解決してきました。
そのジェットの事務所に、懇意にしている警視庁の荒川課長から電話が。「殺人事件発生!」この知らせに、愛犬シェーン(シェーン・D・グランプリ号)とともに飛び出すジェット。

Photo_235 ジェットが乗るスクーターは、富士重工業製の「ラビット」をデコレートしたもので、これがまたカッコイイ。私はこのスクーターに憧れて、今乗っているミニバイクを探したのです。
でも考えてみると、この番組のタイトル「少年ジェット」って事務所の名前なんですね。別に通称とかヒーローの名前じゃない。会社名なんですよ(笑)。

道路が舗装されていないこの時代の澄んだ空気もすばらしい。ジェットの事務所の隣の家では、ゴミでも焼いているのか煙が出てるし(笑)。のどかな風景が昭和の郷愁を誘います。

道端で「この近くで人殺しがあったそうですが?」と聞き込みを始めるジェットですが、あまりにストレートなセリフに通行人もドン引き。まったく手がかりが得られません。
現場には荒川課長は居ません。連絡をとっても不在の返事。
「誰か荒川課長の名を語って、僕をここにおびき出したのでは・・・」
そこに現れたのは見るからに怪しい浮浪者。すばらしい第六感で尾行を開始するジェットですが、相手との間隔が「近すぎる」(笑)。

その頃荒川課長は、部下を誘ってのどかにランチタイム。おいしそうな「ライスカレー」です。この番組、提供がカレーのS&B食品だったのでした。あからさまなタイアップが今見ると楽しい。

浮浪者を追うジェットはある廃墟の一室へ。
あっ!ドアが開かない!
閉じ込められたジェット。部屋の天井裏から高笑いとともに顔を覗かせたのは、ジェットの宿敵ブラックデビル!

怪盗ブラックデビル(高田宗彦)。世界的に有名な宝石、美術品などの盗みをジェットに何度も邪魔され、ジェットに深い対抗意識を燃やす男。怪盗ルパンを思わせるいでたちも怪しさ爆発。片目に色を入れた眼鏡とおヒゲが独特の雰囲気をかもし出します。
デビルは天井裏から眠りガスをまき、ジェットを眠らせながら自分の悪巧みを語るのです。高笑いとともに。

荒川課長からの電話はデビルの罠。ジェットをおびき寄せたその訳は・・・
「今日2月18日は、ガトラン王国から大使が来日する。その時、王から日本の皇太子に献上する大勲章を持ってくる。大勲章には世界に二つと無い宝石、オパーロンがはめ込まれているのだ。」盗みの品までを事細かに説明してくれるデビル。

しかし眠りガスは上に昇っていくため、ガスはジェットよりもデビルに当たりまくりで(笑)。もっと作戦を考えればいいのに。よく眠らなかったものです。デビル。
とはいえ(無事)ジェットは眠りこけます。視聴者はなぜかホッと胸を撫で下ろしたりして。

その頃部下から連絡を聞き、不穏な空気を察知した荒川課長はまたしても恐るべき推理力で(笑)、ジェットがブラックデビルの罠にはまった事、デビルが狙うオパーロンの事までも看破し、大使がやってくる羽田空港に向かいます。さすが大人。ジェット以上の切れ(笑)。

午後2時。空港に到着したガトラン大使。ご丁寧に奥さん、息子まで連れての訪日です。ここで(やっぱり)デビルの部下が警備員を引き付ける為、派手に銃撃戦を展開。対応に追われる警備員の目の前を通り(!)別の部下が、ノーガードの大使の息子にビストルを突きつけます。この部下がまたチャイナ服に覆面、という物凄く目立つ格好で(笑)。
「息子の命が惜しかったら、さっさと俺の車に乗るんでい!」
チャイナ服なのに江戸っ子か!

車に乗った大使一行を待っていたデビル。しかし彼は実に紳士的。大使には敬語です。
「大勲章をよこしなさい。さもないと貴方の命は勿論、奥さんも子供も皆殺しの目に合いますよ。」
こっちの方が怖いですね(笑)。「皆殺し」って・・・

空港からの連絡を受けた荒川課長はパトカーでデビルを追跡。デビルの車を見つけ、いきなり発砲する荒川課長。うーん、熱い!
その様子を見たデビルのセリフがまたカッコいいんですよ。
「このステッキの味が、まだ忘れられないと見える。」
ステッキ!凄い武器なの?渦巻く期待の中、デビルが放った「デビルファイヤー」!(勝手に付けた名前です)
ステッキからの煙と光で相手をかく乱する、デビルの必殺武器です。

「ジェットさえ居なければ、日本の警察など赤ん坊の手をひねるようなもんだ。」

突然、車の異常に気づいたデビルの部下。なんと車のタイヤには、何者かによって投げられたナイフが。車を止め、周りを見回すデビルの耳に響くのは、またしても異常な高笑い!
そこに現れた男は、西洋甲冑に身を包んだどう見ても日本人(笑)レッドベア(大川修)その人!

このレッドベア、以前にもフランスでデビルと一戦交えた過去を持つライバル。彼もガトラン大使の勲章を狙って日本にやってきたのです。

「ここで会ったが百年目。(古いね)今こそフランスでのかたきを討ってやる!」
「お前のその剣が勝つか。それともこのわたくしのステッキが勝つか。さあ来い!」

路上で切り結ぶ二人。それにしてもこの二人のテンションは普通じゃありません。
「気合い・高笑い合戦」みたいになっちゃって。豪快に笑った方が勝ち、という暗黙の了解が二人の間にはあるようで(爆笑)。

いよいよ劣勢のデビル。隙を見て(大使の勲章を奪えばいいのに)「大使をおしのけ」息子エルモンドを人質に姿を消すのでした。
追いついた荒川課長たちの前で、さも大使を守ったかのようにふるまうレッドベア。
この時のレッドベアの名乗りは、あまりのカッコよさに腰が抜けそうになっちゃいました(笑)。無理矢理にも見えるレッドベアの笑いで第一話は幕を下ろします。

この「キャラ炸裂」の敵役たちを相手に、囚われのジェットはどんな活躍を見せるのか?当時全盛だった連続活劇の「引き」が、いやがうえにも期待を高めます(笑)。

お気づきと思いますが、この第一話では主人公、少年ジェットはまったく活躍しません。
愛犬シェーンの活躍もなく、有名な武器「スーパーコルト」も火を吹かず、必殺技「ミラクルボイス」も見られないのです。ジェットの活躍は第二話以降のお楽しみ。

当時の活劇は、本当の必殺技は毎回見せる訳ではなかったんでしょうね。その分、いざ技が決まった時の爽快感は大変な物だったのでしょう。
そして、「主役なしでここまで面白い」という作品の力。
実際、第二話以降にジェットが絡んできても、これら敵役は輝きを失いません。
なんかもう「全員主役」状態。これはすばらしいドラマですよ。

他にもコメディーリリーフとして、チャップリン風のいでたちの名探偵・頓田紋太(中田勉。小林桂樹そっくり)や、日本一の金庫作り・横島鍵三(隅田一夫)など、個性いっぱいのメンバーが出演、先の読めない展開を見せます。
今見るとこの作品、思いっきり笑えますが、それだけではない作り手の真剣さを感じるのです。だからこそこんな風に語りたくなるんでしょうね。

余裕を見せる敵役に、健気に立ち向かう少年ヒーロー。
そんな健全な世界への憧れがあるのかも。

Photo_237 あと特筆したいのはブラックデビルやレッドベアなど、敵役が見せる「高笑い」。彼らシリーズ中ずーっと笑ってますから。
彼らが笑うと、こっちもつられて笑っちゃうんですよ。
いやー平和ですねー。

これがこの番組の最大の効能なのかもしれません。
「敵の高笑い」見たさにビデオに手を伸ばす。こういう作品もそんなに無いですから。

でもね。彼らちょっと笑いすぎ。
笑ってる間にもうちょっといい作戦を考えた方が。
そんな敵役をちょっと可愛く思うのも、「少年ジェット」の魅力なんでしょうね(笑)。