悲しいほどお天気
不幸な出来事ほど、予期せぬ時にやってくるもので。
お知らせしたくない事ほど、重い内容だったりします。
また愛する者を、見送らねばならなくなってしまいました。
16日朝。二代目妹分のハムスター・キナックマが永眠しました。
それは何の前ぶれもなく、あまりに突然でした。
朝目覚め、ケージを覗いた瞬間。
大きく仰向けになり、冷たくなっているキナを発見したのです。
かわいそうに、目は開いたままで。
最初は何があったのか分からず、おろおろするばかりでした。
本当に、前兆などまったくなかったのです。
昨日だっていつものように、ケージの前でひまわりの種を見せると
嬉しそうに駆け寄ってきたのに。
晩も何ひとつ変わらず、与えたチクワを元気にほおばっていたのに。
きっと。12日の日曜日あたりにぶり返した残暑と
その直後に涼しくなった気温の変化が、体に堪えたのでしょう。
私さえ体調を崩したほどです。
ハムスターの小さな体に与えた負担は、想像以上のものだったと思います。
いつもケージを目につく所に置いて、健康管理や暑さ対策には気をつけ
平凡ながら愛情溢れる日々を、共に送っていたのに。
それなのに。たった一晩で。
こんなにあっけなく逝ってしまうなんて。
でも、どんないいわけを並べても、責任は飼い主の私にあります。
ハムスターの平均寿命は二年程度。
生まれてまだ一年ちょっとだったキナに寿命が訪れたとは、とても思えません。
あるハムスターの飼育本に書かれていた一文が、胸に刺さります。
飼い主さんは、物言えぬペットのこんな思いを、常に心に置いて下さい。
「私には、あなたしかいないのです。」
そうです。キナには私しか居なかった。
どんな微妙な体調の変化も、私が気づいてあげなければならなかった。
そうすれば、キナを救えたかもしれないのに。
他人様から見れば、しょせんは小さなハムスターの死かもしれません。
でも物言わぬ動物は、こうして飼い主を責めもせず、恨みもせずに
静かに逝ってしまうから、余計に辛いのです。
もっと私を恨んでくれれば、手間をかけてくれれば、どんなに気が楽でしょう。
それなのに、こんな飼い主失格の私を一切責めることなく
真夜中に起こすことさえなく、キナは静かに旅立ってしまった。
以前に皆さんから可愛がって頂いたコタクイーンも、同じでした。
最期はまったく苦しまず、眠るような表情で私の元から去って行きました。
でも。二年の寿命を全うしたコタに比べ、キナはあまりにも若すぎる。
キナの最期が穏やかであればあるほど、小さな命を奪ってしまったという罪の意識は
私を責め続けるのです。
あまりに突然の出来事で、伸びきったゴムのように感情が動かず
おとといは機械的に、雑事をこなすのみでした。
悲しさがリミッターを超えてしまうと、人間は一時的に無感情になるのでしょう。
そんな雨がちの一日から一転、秋晴れに恵まれた昨日。
キナとのお別れと埋葬に、私はいつもの森へと出かけました。
そうです。以前、コタを埋めてあげた場所です。
きっとキナも、コタと一緒なら寂しくないだろうと。
ちょうど一年半前に掘った、コタが眠る木の根元に再びスコップを立て
埋めてあげたキナの亡骸は、生前の半分程にも小さくなっていました。
それを目にした途端、あまりにもかわいそうで
抑えていた感情が一気に溢れ、お恥ずかしい話、涙がこぼれ出てしまいました。
ごめんねごめんねと繰り返しながら、最後にあげた松ぼっくりを
一緒に埋めてあげました。
天国へ行ったらこの松ぼっくりで、コタと遊んでね。
コタと一緒に、しょうがないおねえちゃんだったねと笑って暮らしてね。
見上げる空はいつもと変わらず、抜けるような青。
お天気が良ければ良いほど、悲しく感じるのはなぜでしょうか。
無意識に、キナに似た雲を探す自分に気がつきました。
でもそんな私の感傷も、空に届く筈はないのでした。
虫や小鳥、小動物に関わらず、どんな動物でも構いません。
ペットと暮らす皆さん。
今あなたの膝で眠るペットを、心から愛してあげて下さい。
生きているから生命なのではありません。
死んでしまうから生命なのです。
ペットが元気でいることが、それだけで奇跡の瞬間であることを
どんな宝石よりも輝いていることを、忘れないで下さいね。
飼い主失格の私に、そんな事を言う資格はありませんが。
いつもながら、わがままなお願いです。
そんな事情により、今回の記事を書くだけでも気力が限界で
しばらくはとても、更新する心持ちになれません。
その為、数日間「ネヴュラ」をお休みさせて下さい。
なお、頂いたコメントへのお返事も遅れると思いますので
どうか心中お察し頂き、ご配慮頂ければ幸いです。
短い間ながら、「ネヴュラ」を通じ
キナックマを可愛がって下さった読者の皆さん、本当にありがとうございました。
改めて、心から感謝させて頂きます。
オタクイーン
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