2021年12月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

ネヴュラ・プライベートライン

無料ブログはココログ

カテゴリー「書籍・雑誌」の記事

2018年9月14日 (金)

ナリタ ササキ タカヤマ 誌上最大の決戦

1

発売時買い逃して以来、刊行後22年を経てようやくわが手に
『空想特撮美術体系 大ウルトラマン図鑑('96年(株)ホビージャパン刊)』。
Q・マン怪獣造形研究書の最高峰として、今もファン愛蔵の一冊となっています。
迫力のA4サイズとハードカバーの豪華装丁。
珍しい図版がふんだんに使われた充実の内容

いやー長かった
このHJ社の図鑑シリーズは当時『大ゴジラ図鑑』の二冊で予算が尽きちゃって
これまで手が回らず泣く泣くスルーした記憶が。
しかしながら、情報の限界が最新作に止まざるをえないゴジラ資料の悲しさ。
時代と共に色褪せ徐々に値崩れ、今や中古市場で半額程度となったゴジラ図鑑に比べ
このウルトラマン図鑑は逆にプレミアが付き、ますます手の届かない高額アイテムに。
オタクの殿堂ま●だらけでも、目の眩む高値で売り場の主と化してるし
それが先日覗いたメルカリで(以下お察しの通り)。
待てば海路の日和あり。ウルトラの神は私のような貧乏人にも
ささやかなアルカイック・スマイルをおすそ分けしてくれました
唯一のネックだった帯欠けも、中身健在でこの安値なら微塵も気になりません

2

並々ならぬ情熱と綿密な取材で、読者を唸らせた大ゴジラ図鑑と同じく
今に至るも、全ての怪獣のオリジンとなる第一次ブーム時のウルトラ怪獣を
ジャーナリスティックな視点で紐解く、著者ヤマダ・マサミ氏執念の労作。
著作物ゆえ内容公開は控えますが、刊行後20年以上を経てなお貴重な資料の数々や
怪獣の造形面に特化したヤマダ氏の、的を得たキャプション群は極めて新鮮。
怪獣というモチーフを得て、現代美術家たちが創造の翼を自在に広げた
第一次怪獣ブームの挑戦姿勢や現場の熱気、各々の試行錯誤を追体験する感覚。
成田亨、佐々木明、高山良策らウルトラ造形クリエイター諸氏の瑞々しい姿も窺え
当時新たなメディアだったテレビ時代の息吹を思わせます。

★ガラモンの全身のトゲはウレタン削り出しのままの色で
 くっつき防止用にラテ塗りや彩色はされていなかった事。
★ペギラの尻尾取付位置や初代レッドキングの前傾ポージングは
 マルサン電動プラモがかなり忠実に再現していた事。
★Aタイプウルトラマンが本編では遂に見せなかった鉄人バンガオーポーズや
 "右手を握っていない"変身ポーズなど、オフショット満載。
 (スーツアクター古谷敏氏の意向か、握り拳の写真は特に露出が少ないようで)
★拙ブログでも以前話題に挙げたウルトラマン第14話「真珠貝防衛指令」の間延び感は
 Aタイプ→Bタイプへのスーツ移行による撮影スケジュール圧迫に原因があった事。
★造形が恐すぎると変更された、迫力あるウーNGスーツの貴重写真。

・・・などなど、パラパラ見ただけでも
'96年当時の読者が狂喜した造形秘話がてんこ盛り。
さすがヤマダ氏。ファンのツボを知り尽くした心憎い編集です

刊行は'96年ですから、今では広く知られたこれら情報も
露出機会の少ない現場写真と絡めて語られると、なかなかの説得力があります。
ペギラの頭部は左右非対称なんて常識も、検証写真は本編焼き抜きよりクリアですし。

この図鑑が結果的に高騰、コレクターズアイテム化した勝因は
テーマを'66年のQ・マンのみに絞り込んだ事で
時代に流されない普遍性が与えられた事でしょうね。
その上で、怪獣を造形美術の切り口でここまで掘り下げた研究書は
今に至るも今作が唯一無二。
プロの造形師やモデラー諸氏が、GK制作の参考書に使う理由も頷けます。
スーツの素材やギミック仕込みのヒントを、制作途中の写真と共に
体系的にまとめた書籍って、意外に少ないんですよ

3

史実を丹念に追い、膨大な資料を独自の視点で編み込む
ヤマダ氏の第一次ウルトラブーム研究本と言えば
制作背景面では『ウルトラQ伝説('98アスキー刊)』が印象深いですが
こと造形面に於いては、本書が決定版という気がしますね。
さらに、ブーム俯瞰の視点で編んだ
『大怪獣グラフィティ ウルトラ時代('99年ソフトガレージ刊)』
の三冊が揃えば、ウルトラ黎明期の雰囲気はほぼ鳥瞰できちゃう。
後続の研究書執筆者にとって、これら諸作が貴重な文献と共に高いハードルとなった事は
想像にかたくありません。

第一次ウルトラの造型を紐解く上で、今も怪獣ファンのマストアイテムですね。
名著は時の重みに耐えうることが再認識できました

2017年8月31日 (木)

ジ・アート・オブ・スペクトルマン

Photo

46年と21日ほど待たされたけど
ようやく私の元にやってきてくれた
ピープロファン必携の大怪獣資料本!

Photo_2

昭和46年発行・秋田書店刊
円谷東映がぜったい採り上げないピープロ怪獣のみで構成された
宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン 怪獣カラー図鑑
当時価格490円。ハードカバーの超豪華本で
私にとっては、いかなる特撮関連本より心に響く一冊です
昨年話題を呼んだ超豪華本「ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ」より個人的には上物扱い

ヤフオクでも出品される度に挑戦するものの
扱うキャラクターの性格上、再版の可能性が低い希少本だけに毎回高騰
必ず敗退していましたが
貧乏人の救世主・メルカリの出品瞬間に運良く出くわし
出品者のご厚意もあって、見事入手できました
コンディションによって相場価格も五千円~一万円以上と幅が大きい中
今回は外函無しながら、乱丁落丁無しの美本で超オトク

Photo_3

この図鑑は発売当時、入手どころか存在も知りませんでした。
ですから再会と言うより今回が初見なんですが
当時物が今も人気を呼ぶ理由が、手にした瞬間分かりました。

この秋田書店刊「写真で見る世界シリーズ」は、昨今復刻されていますが
A5サイズの復刻版に対し、この当時物は二回りほども大きいB5サイズで迫力が段違い。
当時物全てがB5サイズだったかどうかは、勉強不足で不明ですが
もしそうなら、復刻版が縮小されていた(かもしれない)事を今の今まで知らなかったという
超・超おバカでしたね事の真偽はともかく。
いやーこういう所で過去の貧乏が分かるな~
そりゃーこの大サイズ(それが正規サイズでしょうが)で高級感溢れるハードカバーなら
子どもは手放しませんよね。
このサイズですから飾り映えも良く、高騰するのも無理はありません。
46年の時を越えたそんな驚きと発見に、しばし悶絶する晩夏の午後でした。
この歳にして恥かきっぱなし。こまめにまん●らけとか覗いて勉強しなきゃ

中身については、大人の事情&DVD特典で公開済みなので割愛しますが
未公開ページもけっこうあって楽しい限り。
46年8月発行ならではの、数々の未定事項も文面から窺え
後年ひも解く身しては、実に面白い内容です。

強豪・三つ首竜が新怪獣扱いで、ミドルネームも「ミツワニドン」だったなんて
長年ピープロファンやってますが、初めて知りましたよ
「スピンコブラは語尾を伸ばさない」「マグラーは円谷さんのアレと区別して伸ばす」とか
頑固に守ってきた拘りも、この当時物が正解と証明してくれました。
当時の表記=公式設定。子どもってそういうモノですよね

”すべての動きを瞬間停止させることができる”『スペクトルZ光線』なんて
本編では使用されなかったなー。ウルトラマンのシルバーヨードみたいなものかな?
成川哲夫ボイスで聴きたかったなあ「スペクトル!ゼット!」
(ぜったい語尾を伸ばさない

Photo_4

スペクトルマンの活躍を描くのは、南村喬之氏はじめ豪華アーティスト陣
大迫力のイラストで、異色ヒーローの名場面を盛り上げてくれています。
本編と異なり、巨大化して戦う対ミドロンみたいなファンサービス(?)もてんこもりで
大伴昌司氏の名は無くても、怪獣図解は当時の定番記事として
子どもの心をわし掴みにしてくれました。
サタンキングの肺の名前なんて『悪肺』ですよ。なんて体に悪そうな
「生物を殺し破壊している限り動き続ける肺」怖いわー
円谷怪獣では考えられないストロング設定。コレぞピープロテイストです。
高山良策先生の『怪獣のつくり方』も載っているんですよ。
昭和46年の夏休み工作はコレで完璧だ!作例はダストマンだけど

Photo_5

期せずして夏の終わりにやってきた、世紀のビッグプレゼント。
今晩から枕元行き決定です。
今月はもう一つ、レア度満点のスペクトルグッズを入手できたので
いずれ公開しましょう。
偏りすぎですねーわが家のラインナップって

2012年11月 1日 (木)

ガオーな画報

Photo

世代人には涙もの、46年前からの訪問者!
1966年秋田書店刊行、その名も直球勝負の『怪獣画報』!
復刊ドットコムによる復刻版。今日ついに届きました。


中岡俊哉著『世界の怪獣』シリーズを入手以来
チラホラ届く復刊ニュースをチェックすること数年。
同社のご尽力により、ついに甦った伝説の名著。
発売予定は10月末でしたから、まさに湯気が出るほどの刷って出し状態。
ごたいそうなシュリンクパックがもったいなくて、まだ開封してませんっ


カバーに輝く「写真で見る世界シリーズ」の大風呂敷と
円谷英二監修、大伴昌司・小山内宏共著の金看板がまぶしいっ!
さらには怪獣画報を謳いながら、表紙で激闘を繰り広げる二大恐竜!?
コレぞ1966年、第一次怪獣ブームの空気っ!
その力技のただならぬ雰囲気に、ツッこむハアムもどこか及び腰

そりゃーこんなスーパー名著をバイブルに育っちゃえば
制作会社発表の公式データなんて鼻で笑う大人にもなるわけです。
もちろん私もその一人。
あーよかった。情報がつまらなく統制される前の時代に、こういう一冊と出会えて
そりゃ面白いですよコッチの方が。だから今も、私の創造の翼は健在なんです


読書の秋もあとわずか。これで今年の課題図書は決まりだな。
これぞ購入者だけに与えられた、タイムスリップの特権。
お仕事のキリがつき次第、儀式のごとく駄菓子を傍らに置いて
宮内國郎氏のウルトラBGMをバックにページを開き、’66年へ行ってきます。

帰ってきたら若干、怪獣のデータ等で会話が食い違うかもしれませんが
なにとぞお許し下さいね

にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ

2011年7月 7日 (木)

催涙雨に届いた二冊

今日の名古屋は、本当に梅雨らしい一日で
すでに朝5時半からず~っと雨

今も勢いはおさまらず、久々の大降りとなっています。

七夕なのにあいにくのお天気でなんて、毎年言ってるような気がしますね
それもそのはず。夕方のローカルニュースで見ましたが
過去50年間で、7月7日の名古屋が雨もしくは曇りだった日は
50日中、実に40日もあったそうです。
天の川鑑賞不可能率・なんと80%!

残念ながら今日は、天候不順の「特異日」というわけですね

七夕のぐずつきは昔からだったのか
この日の雨には『催涙雨』なんて呼び名が付いていて
なんでも、織姫と彦星が流す涙が雨となったなんていわれがあるそうで。

まー昔の人はロマンチックだったんですねえ
一年ぶりの再会に、二人とも思わず号泣なんて図を
想像したのでしょうか。
ファーのケージに迷い込んだハエを追い出すのに必死の私には
甘い妄想とは無縁ですが


そんな私が楽しみにしているのが
昨年12月28日、86歳で亡くなった名女優・高峰秀子さんを偲んで
今月から、日本映画専門チャンネルで始まった
『総力特集 映画女優・高峰秀子』。

彼女の初期作品『綴方教室』(1938年東宝 山本嘉次郎 監督)から
時代ごとの代表作品を放送する、追悼企画です。


映画黄金期・1950年代~60年代の邦画を通じて
成瀬巳喜男監督作品から高峰さんの名前を知った
にわかファンの私ですから
鑑賞作品も『浮雲』『女が階段を上る時』『乱れる』そして『放浪記』などなど
わずか数本に過ぎませんが
なぜ彼女が、今も多くの人々から「心に残る国民的スター」と呼ばれ続ける
のか
その魅力の片鱗が、なんとなく分かってきました。

と同時に、未見の作品が続々と放送されるこの機会は
願ったり叶ったりです

また、この特集に合わせ制作された特別番組
『~映画手帖~高峰秀子』も楽しみにしています。

日本映画
史と共に生きた高峰さんの作品を
数回に分けて解説するミニ番組で、作品ガイドとしても楽しめる上に
彼女の人間的な側面も知る事ができ、興味深い内容です。

この番組内で多く引用されているのが
高峰さんご本人執筆による自叙伝『わたしの渡世日記』(文春文庫)の一節。
1979年の女優引退後、エッセイストなどの活動をされただけあって
映画黄金期を駆け抜けた激動の人生の活写や
決して望んでいなかった女優という仕事についての思いなど
胸中を吐露する一つ一つの言葉には、並々ならぬ迫力があります。

どうやらこの著書、数ある女優の自叙伝の中でも名著だったらしく
ファン必読の書でもあったみたいですね。
そんな事なーんにも知らなかった私は、ただ恥ずかしいばかりで

邦画ファンとして、こんな名著を未読だったのは
何となく忘れ物をしたような気分になって
あわててネットで注文、さっき届きました。


Photo_2

上下巻とはいえ文庫本なので、入手は容易だったのですが
一人の女優の人生が綴られた二冊は、心なしかズッシリ重く
ページを開くにも、ちょっとした気構えが必要。

届いたばかりでまだ読み出してもいないのですが、一筋縄ではいかないようです。
出演作品とオーバーラップするような、彼女の壮絶な日々を紐解くには
こんな催涙雨の夜が、ふさわしいかもしれませんね。
読み飛ばすのが勿体無く思える本に出会える機会は、多くはありません。
あせらず少しずつ、読んでいこうと思います。


『女が階段を上る時』のラスト近く、相手役の仲代達矢に別れを告げ
夜の世界に生き続ける決心を固めた彼女の
胸の内に流れる、決して他人に見せない涙が
窓の外にそぼ降る今夜の雨と、ちょっと重なります。
そんな名古屋も明日から気温が上がり、夏日の再来との事。
日本初のフルカラー映画『カルメン故郷に帰る』で彼女が見せた
明るい笑顔を見習って、猛暑に挑むとしましょう

2010年7月12日 (月)

極彩色の侵略者

さて今回は予告通り、前回の記事の続きです。最近はコレが多いですね
オタクイズ『笑うステンドグラス』の正解、オークションで手に入れたバグンですが。
コレは正直、万年貧乏の私にとってかなりの高額落札商品で
ほぼ同時にゲットしたお宝を含め、今回のお買い物で今月のオタクグッズ予算は
すべて飛んで行ってしまいました
これでしばらくは細々と、お茶と粗食の生活を余儀なくされそうです
まーそこまでして手に入れるだけの魅力に、溢れていたということですね。

さいうわけで、さっそくその素晴らしいお宝をご覧いただきましょう。
まー前回の記事でお見せしていますが


Photo_11
出ました!「ネヴュラ」でも何度かご紹介している
昭和の怪獣少年少女のバイブル・中岡俊哉著『新・世界の怪獣』に登場

悪のバスカ星人の尖兵として、わずか三頭で地球を壊滅に追い込んだ
恐怖の宇宙怪獣「バグン」です。

バグンの詳細設定については以前の記事でもご紹介しましたので
よろしければコチラをご覧下さい


このバグンはソフビメーカー数社が商品化していますが、今回私が入手したのは
件の『新・世界の怪獣』を復刻したシカルナ・工房製の逸品。
シカルナ怪獣はすでにダギゴンザゴラ山中の怪獣を入手していますが
私がこのメーカーのリピーターとなる理由は、原作本の登場怪獣イラストを
独自のセンスでおもちゃっぽくデフォルメした造形センスに加え
もはやアートの域に達していると言っても過言ではない美しいカラーリングの
虜になったところにあります。

カラーバリエーションも他社の比ではなく、各種ホビーイベントごとの限定カラーは
もとより、毎月スペシャルカラーがリリースされる力の入れよう。
一体一体がカスタムカラー、彩色でアイテムを差別化しているので
造形が同じでも色が違えば別怪獣と言えるほど、カラーリングに特化しています。


Photo_4

そもそも劇中のバグンの色は「全身が夜光虫のように青光り」しているそうで
(サバみたいな色ですかね
この色は似ても似つかないんですが、まーコレはコレでいいかと

先日7月4日のワンフェス53にて発売された、福袋用の一点物だそうですが
他にも無数のカラーバリエーションがあって、全貌はとてもつかみきれません。
普段は造形重視でソフビを選ぶ私ですが、このシカルナ怪獣に関しては
造形に加え、彩色に大きな比重を置いています。

同じ怪獣だったら、たとえ安くても色が気に入らなければ見送ると。
逆に多少お高くても、好みの色ならお買い上げという。
今回の高額入手も、そんな私の悪いクセが出ちゃったわけですね


Photo_5
まーそれにしても、すさまじい存在感ですねーこの怪獣。
意外と原作版イラスト↓には忠実な造形なんですが

Photo_6 
何とも可愛いアレンジが効いていて、嫌味がないのに怖いという。
非常にマッシブな造形も、その迫力に貢献していると思います。
まーそもそも原作デザインが「コワカワイイ」とも言えますが


Photo_7

で、そんな造形に一見不釣合いとも感じる
目に痛いほどのトロピカルカラーが、実にマッチしています。

造形色のイエローに吹かれたレッド、グリーン、パープルの
絶妙なコラボレーション。
怪獣に季節色を取り入れる実験でしょうか。それともハワイ輸出仕様とか
単色も迫力があって大好きですが、バグンに関してはこの色もアリかなと。
なんたって宇宙怪獣だし

まさにシカルナセンス炸裂。ありそうでないんですよこういうカラーリング。
こんな実験はパチ怪獣ならでは。実に素晴らしいアイテム選択ですねー。
だってこんな色のパゴスやギャオスやダストマンなんて、ちょっと考えられないし
あ、ダストマンは見たいかな


Photo_8

で、またこの顔つきが実に不思議で。
アップした上半身写真は上からそれぞれ俯瞰、仰角、サイドショットなんですが
見る角度で、顔の印象がまったく違うんですよ。

俯瞰は単純な見下ろし顔なのに、仰角は不気味な笑みに見えるし。
サイドショットも表情が微妙に違う。

一つ目と口角の角度によるマジックなんでしょうが、なかなか奥深い表情です。
コレが派手なトロピカルなカラーと相まって、絶妙な迫力を生み出すわけですね。
たぶん照明の変化でも、別の表情を見せるのでしょう。
うーん手を抜いてませんね造形も。コレもシカルナ怪獣の大きな魅力です


Photo_9

そんな魅力に満ちた、我が家のシカルナ三兄弟に集まってもらいました。
いやーなんでしょうかこのカラフルさは。さながらリオの怪獣カーニバルの様相
まともな二つ目が一頭も居ないところも素晴らしい

コレですよコレ。こういうピープロ怪獣に通じる怪しさと愛らしさが
私の脳内怪獣ワールドなのです


Photo_10
巻頭グラビアを飾るとは侮れねーなーバグンのアニキ。
ワイキキビーチのチョイワルオヤジみたいな、今日の衣装もキマってるぜ

いやいやおめえも知名度じゃ一番じゃねえかザゴラ
あれっじゃあ俺の立場は?
ダギゴンおめえはちょっと影が薄いなークリアソフビだけに。
出身地も謎だし。(以前と同じオチですみません


いやーいいですねーシカルナ怪獣 私だけかな盛り上がってるのは
今月はお財布がカラッポですが、来月はまたネットショップをウロウロしそうです。
さてそんなおもちゃまみれの今日。以前にゲットしたお宝がまた届きました。
コレもウチの近所じゃお目にかかれない、珍しい逸品。

私も初めて見ました。あったのねーこんなアイテムが
それはいずれ「ネヴュラ」でお披露目しましょう。
気が向いたらいきなりまた、クイズにするかも。
その時はまたいつもの病気と思って、お許し下さいね

2009年4月23日 (木)

知られざる侵略’71

前回に続いて、またまた昭和の香り漂うアイテムの登場です
とはいえ「ネヴュラ」では、それしかやってないんですが


Photo
出たっ!昭和40年代の怪獣少年少女のバイブル「世界の怪獣」シリーズ!
今年1月、シカルナ・工房から復刊された新品ですっ

復刊当時、目ざとい怪獣ファンの間で話題になった本書ですが、初版発行部数はかなり少なかったようで。
そんな事とはつゆ知らず。私がこの復刊を知った頃には、あわれ初版は見事品切れになっていたのでした

で、待つ事三ヶ月。
最刷の告知に小躍りした私はすかさず発注、無事入手を果たしたのでした
とはいえ奥付を見ると初版になってるけど、まーいーか
というわけでずいぶん遅い紹介ですが、なにとぞお許し下さい


このシリーズ、オリジナルの発売当時は私、持ってなかったんですよ。
後年、色々な文献で名著、名作の誉れを聞く度に、もう読みたくて読みたくて仕方がなかったんです。
「写真で見る」世界の怪獣って?秘蔵写真のオンパレード?
見たこともない大怪獣の勇姿が目白押し?
でもこの頃の大図解シリーズだから、そんな予想は良い意味で裏切ってもらえるし


発行年代ははっきりしませんが、続刊「新・世界の怪獣」の著者前書きに
1971年7月とあります。という事は、初刊の発売はもう少し前という事で。
「宇宙猿人ゴリ」の放送が’71年1月からですから、これは怪獣ブーム第一期から第二期への橋渡し的役割を果たした、貴重なシリーズだったのでしょう。

なるほどー。私を含む当時の子ども達はブラウン管以外にも
こういう図解書籍で、日々の怪獣飢餓を満たしていたんですねー。
まさに寝ても醒めても怪獣漬け。リッパなオタクになるわけです

で、この二冊ですが、実は今日の夕方届いたばっかりなので
まだちょっとしか読んでいないんですよ。

でももう、ページをほんの少しめくるだけで、もうそれはスゴイスゴイ
これはいけません。ちょっとやそっとのレビュー記事では
とても満足できない内容。記事一回ではもったいない。
こういうのをネタの宝庫って言うんですね

で、レビューはまた改めてなんて終わっちゃったら
いつも以上に、読者の皆さんも怒り出しちゃうでしょうから
今日はちょっとだけ、中身をお見せしましょう。

まずはコレ!「新・世界の怪獣」冒頭のカラー口絵から。

Photo_2
都市を蹂躙する宇宙からの大怪獣、バグンの勇姿!
なんとこの一枚、南村喬之画伯によるものなんですよ

それにしても、このパチテイスト
羽根の生えた、一つ目の青いゴモラかギララか?

「逃げまどう人たちをかたっぱしからふみつぶし焼き殺した。
いったい地球はどうなるのだろうか!?」
と投げ出されたストーリーに心は凍りつきます。ああ東京SOS

いいわあこのデザイン
著者・中岡俊哉さんのセンスは尋常じゃありませんね。
私たち昭和の子供の脳内では、こういうヤツらが毎日のように
都市破壊を繰り返していました。

そりゃーリッパなオタクに以下同文

で、こういうのを見ちゃうと、当然ながら「宇宙怪獣バグン」の内部図解も
見たくなるというもの。
当時のこの手の本が、そんなおいしいネタを見逃すはずがありません。
さあご覧下さい。コレが「バグン」の内部図解ですっ

Img 
いやーやっぱり宇宙怪獣。強そうですねー
後頭部に伸びる突起は蛮刀だったのかー。
目は「バグン・アイー」ってカッコいいネーミングなのに、歯は「バグン・バイト」とか言わないのね
「光線貯蔵器」「エネルギーぶくろ」あたりのセンスは、大伴昌司先生の影響でしょうか
で、なんと言ってもラブリーな六本指!
一つ目に羽根がつくと、なんとなくバクラーのテイストも感じたりして。
あ、だからピープロ大好きな私の琴線に触れるのかな



実はこの「バグン」、この二冊に登場する怪獣の中では、まだ比較的普通の方なんです。
両書を読み進めばそこは、興奮と感動と脱力が万華鏡のように広がる
めくるめく中岡ワールド。

「路地裏の香山滋」とでも命名したいほどの魔境が広がっているのです


というわけで、ちょっと読みかじった程度の私には、まだこれくらいのご紹介しかできません。
日を置いて、この驚異の魔著の中身を徐々に紐解いていく事としましょう。
さて次は「ミイラ怪獣イガール」かな。「ヤドロ対サボラ」も惹かれるし。
「宇宙獣人「アプタ」対「ベグ」「怪獣星ダッパ」とかも・・・

タイトルだけで、あの時代に思いを馳せられる幸せ

これでしばらくは、退屈しませんね
あまりのインパクトに「宇宙船」応募プロットの内容に影響しないかと
それだけが心配ですが

2009年4月22日 (水)

未来兵器の逆襲

ここ数日、記事の更新ペースが落ちているのは
過激なウォーキングに時間を取られているのと
その為に体力のコントロールが難しくなっている為です。

昨日は午後から雨だったので、ウォーキングもお休みしたんですが
暗い雨空にすっかり眠くなっちゃって、オフを幸いに寝ていました

まーそれでも、歩くモチベーションアップの為
デジタルプレーヤーに、アップテンポの曲を大量転送。
二時間を超えるマイライブラリーが出来上がりました。
一曲目が『死亡遊戯のテーマ』と言えば、ラインナップのテイストも
お分かり頂けるでしょうね


さて。そんなお遊びの合間に読んでいた本がこちら。


Photo_14















ちょっと前にGakkenから出たこのムック。
古のキャラクタープラモなどを精力的に取り上げ、世代人のツボを突きまくりの『キャラクター・エイジ』第2号です。
この本、第1号はスルーしたんですが、この第2号を書店で発見した時は
さすがに目がハートに
なんていっても、あの今井科学の名キット、『連結戦車クローラー』が
表紙を飾っていては、心を鷲掴みにされないわけがありません。

編集部は分かってますねー。こんな雑誌を待ってたんですよ
しかも特集タイトルが『無敵★空想科学戦車の逆襲』と来れば
欲しかったワンピースを諦めても、こっちを買わざるをえないぢゃないですか


残念ながら、最初にこれを発見した書店では
立ち読み済みのボロボロだったので
美本を探して東奔西走、結局、ビニール袋入りの新品を手に入れる為
市内を三時間も捜索しちゃいました

世の中から「可動プラモデル」「メーカーオリジナルSF戦車」が消えてから
かなりの年月が経ちます。
「ネヴュラ」でも以前から、その寂しさは時折語ってきました。
そうしたアイテムそのものが市場から消えてしまってますから
よもやこんな特集本が出るなんて予想もできませんでしたねー。

とりあえず大型書店では平積みでしたが、果たしてこんな本が
一般客に受け入れられるのか、他人事ながら心配してしまいます


Photo_4はやる心を抑えてページを開けば、そこには懐かしいSF戦車の勇姿が
写真は近年、童友社から再版された緑商会の『モグラス』シリーズですが
他にも数ページに渡って、’60~’70年代の子どもの心を躍らせたメーカーオリジナルキットが目白押しなんですよ。

アオシマの『キャプテン』シリーズなんて、当時でもとても手の出ない高嶺の花でしたねー。あー懐かしい


Photo_6
資料ページを抜けると、今度はそれらの旧キットを現代風に改造した制作レビュー記事のつるべ打ちです。
あの『宇宙戦車アトラス』も、現代風アレンジが施されるとこんなにカッコよくなっちゃうんですねー
しかもディスプレイ版、動力版の2タイプを作り分けてしまう力の入れよう!
これぞ大人の遊びと言うかなんと言うか。
こんなのが売ってたら即買いなんですが


Photo_8

前述のモグラスシリーズも、改造されればこの通り。
いやー今の目で見ても、ドリル戦車って充分説得力がありますねー。

ジェットモグラやマグマライザーなどの正統派ドリル戦車には無い破天荒な迫力が、見る者を圧倒します。
『文句言うヤツはかかって来な』的な有無を言わせぬインパクトが
眩しい銀色の螺旋から放たれてくるようです


でも惜しい事に、ここまでお見せしたキットって
童友社からの再版時には動力パーツがオミットされているんですよねー

ですから作例の可動モデルでは、田宮など他社のギヤボックスを流用して
動力を再現しているんですが、私みたいな不器用者には
とてもそんな真似はできません。
やっぱり回転してこそドリル、走ってこそ戦車。
なにしろこれらのプラモにとって、最大の売りが可動ですから
動かないという一点のみで製作モチベーションが落ちちゃうのも
やむなしといった所で


そんな私にとって救いの神とも言えた『可動SF戦車』こそ
表紙を飾った今井科学の『連結戦車クローラー』でした。

表紙に採り上げられた通りこの号のキモとして、製作記事もこの通り
しっかり載っていたのでした。


Photo_9
何しろこのクローラー、今井科学倒産直前の2000年再版時にもしっかり可動パーツが同梱されていた優れもので。
私のようなおバカでも、あの驚異の登坂力を目の当たりにする事が出来たのです
いやー惜しくも時代の波に消えたとはいえ、今に至るも今井の気概には驚嘆を禁じ得ません。


Photo_10
このクローラー、「ネヴュラ」でも以前から時々お見せしてきた通り、私も一個完成させています。
何しろ初版が1968年ですから、再版版もさすがにパーツの合い等厳しいものがありましたが、まー昔のキットにはよくある事 そこも楽しまなければ、オールドファンとは言えません。
独特の前後連結フォルム、東宝メカに通じるパラボラやミサイルの配置、ボディーの詳細なディテールなど、今見ても充分に魅力的なアイテムですねー。

これが動力オミットなしで本当に『強力電動走行』しちゃうんですから、もうたまりません 

今号のフラッグシップとして採り上げられるのも当たり前というわけで。
41年も前のプラモが、雑誌の表紙を飾るとは夢にも思いませんでしたが
それだけこのアイテムが、レトロフューチャー感覚に溢れているという事でしょうか。個人的には、今でも充分に通用するデザインと思うんですが


Photo_13
どーですこの可動範囲!
写真撮影用に可動させてはいませんが、
キャタピラの優れた接地性により
これくらいの高低差は楽に乗り越えられます。

こんな動きが、本当に実現できちゃうという。
これがクローラー本来の実力なんですよねー。
車体角度が変えられる連結方式なのは、
ちゃんとこうした走破性を考えての事なんです。
うーむ素晴らしい!


ガンプラがプラモデルの代名詞となっている今
こうした可動プラモを知らない若い方々は
これを見てどんな感覚を持たれるのでしょうか。
ちょっと知りたい気もしますね。
それにしても、こういう可動プラモの世界を特集してくれたこのムックには
改めて感謝したいです。
30年来愛読していたホビージャパン誌でも、この手のアイテムは
まったく見かけなくなってしまいましたからねー


Photo_12
でも、それも仕方がない事なのかもしれませんね。
ここに並んでいる可動プラモは、現在すべて絶版品。
この手のSF戦車がプラモデルとして発売される機会は
きっと今後も無いでしょう。
この『キャラクター・エイジ』のスタッフは、きっと私たちのような「旧キット貯め込みモデラー」に対して、この号を特集してくれたんでしょうね。
でなければ、入手困難なキットの作例記事なんて載せるわけがないですし


懐かしのオリジナルSF戦車の世界に、しばし遊ぶ事ができました。
自慢じゃないですが私、このクローラーのフォルムが本当に大好きで。
写真の通り、未組立のキットが8個あるんです。
また久しぶりに、一個作ってみたくなっちゃいました。
前作がミリタリーテイストだったから、今度はウルトラテイストなんてどうかな。
シルバーとレッドのツートンで、科特隊仕様なんてカッコイイかも。
流星マークをフロントに輝かせながら、未知の惑星を進む科特隊クローラー。
「時間がない。急いでくれハヤタ君」なんてムラマツキャップの指示が
聞こえてきそうです。
こういうお遊びができる所が、オリジナルキャラクターの利点なんですよねー


「ウルトラマン」で、このクローラーを活躍させられそうな敵役は・・・
アレかな?いや、アレも良いな
脳内の
「未来兵器配備計画」は、とどまるところを知らないようです

2009年2月20日 (金)

分かりやすさは武器

時々、この手の本を読みたくなります
書店で見かけるとつい手にとって、レジに向かってしまいます。


Photo

まー一冊500円程度だし、二、三時間あれば読めちゃうので、結構重宝しています。

皆さんもご存知の通り、私は貧乏・おバカ・ヘタレの三拍子が揃っているので 
こういう本を読むことで、なんとなく分かったような気になる事が快感なんでしょうね。
「おおー頭が良くなったみたいだ」なんてスッキリ感の為に、500円あまりを投資しているわけです。
その実、なーんにも身についていないところが致命的だったりするんですが

この二冊、購入時期には大きな開きがありまして。
「書く力」はずいぶん前に、『考える力』は昨日入手したもの。
でも「書く力」については正直な所、観念論に終始しているような読後感が
ちょっとはがゆかったんです。著者の齋藤氏は東大法学部の出身ですから、
かなり頭の良い方なんでしょう。ちょっと私にはチンプンカンプンで
もうちょっと実践に即した方法が載っていれば、良い参考書になったのになあ
なんて感想でした。


そんなイマイチ感がありながら、齋藤氏の新刊『考える力』を、なぜ入手したのか。
実は書店でこれを立ち読みした時、内容にけっこう共感した所がありまして。

「そう。そうだよねー。」みたいな連帯意識が満載。
つまりこの本、参考書としてじゃなくて、私の日頃の発想法、頭のヒネり方の
確認用に買ったんですね。

私の発想法にどんな利点があるのか。著者はどう解析しているのか。
自分の頭の中を覗きこむような興味があったんです。


ですから読み始めれば、思い当たるフシも出てくる出てくる。
「この人、もう私ぢゃないの?」なんて不思議な既視感さえ覚えてしまいます。

確かに言い回しは難しいんですが、自分が無意識に行っている発想法について
書かれている訳ですから、意味が理解しやすいんですね。
その満足感だけでお腹いっぱい、コレで552円は安いかなと


どの内容も非常に共感できたのですが、中でもとっつきやすかったのが、
”『具体と抽象を往復する力』を養う”という項目でした。


まー言ってみればそれは、『言い換え力』とでも表現できるもので、抽象的で難しい表現を具体的で分かりやすい例に言い換え、説明する事ができれば、その人は元の抽象表現を理解しているという事ではないか、という趣旨でした。

皆さんもお分かりですよね。
観念的な言葉や専門用語をたくさん使って、難解な表現で物事を説明するより、
誰にでも分かる簡単な表現の方が、むしろ高度な技術を必要とする事。
つまり、物事を分かりやすく表現できる人の方が、頭が良いという事です。


「そうだよねえ。難しくて、何を言ってるのかわかんない人って居るもんねえ。」
コレは私もよく感じる事で、やっぱり聡明な人は物事を噛み砕き、分かりやすい表現で話す技術に長けている。
それは、元となる抽象表現を理解しているからこそできる事なんですね。

そういう方のお話は、難しそうな用語が使われていない分、非常にストレートに伝わってきます。理解しやすいという事は心に響きやすく、残りやすいんですね。


常々私も、やさしい表現を心がける事で、自分が抽象表現をどこまで理解できているかを計るようにしているんですが、もともと頭がカラッポの私は、そこがなかなかうまくいきません。
「そのコンテンツのコンセプトを具現化するスキルを学ぶ為のノウハウは」なんて
平気で言っちゃいます。なんだこりゃ
コレなんかまだ分かる方ですが、もっともっと横文字が続くと、「をいをいここは日本国ですが」なんて事になっちゃう。


理論武装に自信の無い時って、ついこういう抽象表現に逃げてしまいませんか?
この場合は「横文字逃げ」ですが、「熟語逃げ」「専門用語逃げ」もありますね。

確かに耳障りはカッコいいですが、度をこせば意味がわかんないんですよね。
抽象表現が理解の邪魔になっちゃうんです。
「難しい言葉でケムにまかない事」って、思った以上に大変なんですよ


「抽象化」→「具体化」の場合と同様に、「別の言い方をすれば」という切り口で、
主張をより分かりやすく説明できる場合もありますね。

日常生活ではむしろ、そういう局面の方が多いです。

ここで一つ、「言い換え」の例が浮かびました。こういう事です。
昨日の「必殺」の話題でお話した、「二次創作」への私の感覚なんですが。
二次創作、つまり元作品の設定を利用して作るオリジナルストーリーって、
私の中では「ガレージキットを作る事」と同じような気がするんですよ。
海洋堂やボークスの怪獣で有名な、あのガレージキットです。


作られた方はなんとなくお分かりと思いますが、ガレージキットって、入手した人がいくら上手に組み立て、彩色にこだわっても、完成品の賞賛は結局、キットの原型を作ったモデラーさんの所に行くわけですよね。
「いやー見事な再現度」「同じ怪獣でも、○○さん原型だとこうなるか」「やっぱり個性あるよね。あの人の原型」みたいな目で見られるような気がします。
二次創作も同じで、いくらうまく出来ていても、それは元作品の設定が秀逸だった証明にしかならないわけです。
つまり全ての二次創作は、元作品以上に評価される事は無いような感覚があります。発想のトレーニング・思考実験としては非常に有益ですが、ことオリジナリティーに関しては元作品に軍配が上がるのです。

私が新ヒーローの考案に情熱を燃やす理由は、そんな所にもあります。
先人の土俵で相撲をとっていては、先人を超える事など永遠に出来ないのです。


まーその私見にはいろいろご意見もおありと思いますが、この場合、私の二次創作への感覚は、「ガレージキット」と言い換える事で、より明確化されたわけです。
適当な例かどうかはわかりませんが


皆さんも、私の文章作成力は「ネヴュラ」でよくご存知と思いますから、私の脳内レベルがどの程度かなんて事はよくお分かりと思います。
本当はもっともっと噛み砕いて、誰にでも分かる表現を心がけたいんですが、残念ながら頭がそこまで追いつかない。
それだけ、物事を具体的に把握できていないという事なんでしょうね。
うーむやっぱり勉強不足です。反省ばっかりの人生で
まーお仕事にも活かせる事ですから、そこはちょっと頑張って身につけたいと思っています。
「指示する」という意味を持つディレクションを生業とする私にとって、分かりやすさを磨く事は必須項目であると共に、大きな武器でもあるのですから


他にもこの『考える力』という本には、共感できる記述が数多くあります。
私の発想法を一冊にまとめれば、こんな本になるのでしょう。

とはいえ頭が悪い私のこと、決してここまでの文章化はできませんが。
ページを目で追いながら、「バーチャル脳内」を体験しているような、不思議な一時でした。


時々出会うこんな一冊が、日々に活気を与えてくれるものですね。
目的もなく書店を覗く時間も、決して無駄ではないようです。
先立つ予算が心元ないのが、唯一の不満ですが

2008年9月 1日 (月)

奇想の師

今日はちょっと、先人に思いを馳せながら勉強。
久しぶりに書棚から、こんな本を引き出しました。

Photo ご存知カルトの帝王、石井輝男監督。
かの「鋼鉄の巨人」<スーパージャイアンツ>で有名な方ですね
もっとも、私はこのシリーズ、一度しか観た事はありません。
私はむしろ「地帯」シリーズをはじめとしたアクション作品に大変惹かれます。
左の一冊「石井輝男映画魂」は、監督のフィルモグラフィーとともに、ご本人への貴重なロングインタビューが載せられた名著。
言葉の端々から、監督の映画への愛がにじみ出ています。
同時に語られる映画監督という立場の辛さ、姿勢、楽しさなども、いちいち私には身に染みる事ばかりで。
「あー、やっぱり映像製作の現場では、誰もがこういう思いに捉われるんだー」なんて共感しっぱなし。

「放っとくと、照明スタッフはいつまでも明かりをいじくってて」なんて、現場経験からしか出ないお言葉ですしねー。
もー私も、この手のお話には百回ぐらい頷いています。
ありがたいけどスケジュールが押すんですよね。ライト決めって

紐解くのはもう何回目でしょうか。
ヒッチコック「映画術」と並んで、気がつくと読んでいる教科書的一冊なんですよ。
邦画黄金期、プログラムピクチュアの世界でひときわ大きな輝きを放った石井監督。その発想の基に思いを馳せられる、貴重なインタビュー本。
今日から9月。読書の秋にふさわしい教科書です。
「無頼平野」などをBGVに、今夜はこの一冊で現場の空気に浸ることにしましょうか。(近作すぎるなんて言わないでね。DVDはそれしか持ってなくて
私などにはしかつめらしい「映画論」なんかより、こういう現場ベースのお話の方が、よっぽど役に立つんですよ

2008年8月31日 (日)

過ぎ去った未来

今日で8月も終わり。この夏もいろいろありました
貧乏性ゆえ、月初めはものすごく出費を控える為に、月末へ向かうにつれて生活費に余裕ができる私。
家計簿とにらめっこしながら、今月は倹約したからあとこれくらいオタクグッズに使えるなとほくそ笑む事も多く。
オタク系の散財がなければ、いい奥さんになれるんですが

そんな8月末。倹約の賜物、月末オタク豪遊の逸品はこちら。
先日、Amazonへ注文しておいた夢の一冊。

Photo 既に皆さんのブログなどでご紹介されているこちら、
「昭和の未来科学模型 ロボット篇」です。外箱付きの豪華仕様
1960年代から70年代にかけ、おもちゃ屋さんの店頭を賑わした子供の憧れ
ロボットプラモデルの箱絵、作例に加え、広告などの資料も網羅した写真集。


発売されて間もない一冊なんですが、私はこの本を書店で見かけたことがありません。怖ろしく発行部数が少なかったのか、私の行動範囲が狭いのか。
しかもこの手の高額本は立ち読みされてボロボロになる場合が多いですから、美本を捕獲する難しさったらありゃしません。その店頭在庫すら見かけない。
ことごとく徒労に終わり、焦りまくった私はやがてネット通販にたどり着いたのですが、在庫残数が一冊という表示を見てさらにビックリ。
悩む間もなく速攻で注文。いいんですよ残数表示がウソでも。
小心者の背中を押してくれたわけですから

さて。60~70年代に子供時代を過ごされた方々には懐かしい、可動ロボットプラモデル。
今はすっかりプロポーション重視のディスプレイモデルが主流、と言うより可動プラモそのものが絶滅状態ですが、当時はとにかく、プラモは動いてナンボの世界でした。
プロポーションよりもまず歩く事。目が光る事、手首がミサイルになる事などなど、どうギミックを仕込むかが模型メーカーの課題だったのです。

この一冊には、当時のメーカーの熱意が生み出した数々の名作ロボットプラモ(意地でもキットとは呼びません)が紹介されています。
今日はちょっと、その貴重なラインナップの一部をご覧頂きましょう。
多分に好みが入ってますが


Photo_2 有名どころではやっぱりこのあたり。
メジャー中のメジャー、鉄腕アトムやビッグXなどは一流メーカー、今井科学から発売されていましたねー。

いずれも当時の最新技術、モーターライズ。
この二つは1964年の発売のようで。
私も当時、この初版には縁がありませんでした。ですからまったく記憶もなく



Photo_3今井科学と言えば鉄人28号。1963年の発売です。
電動歩行ロボットプラモの元祖ですね。

この鉄人の翌年に、マルサン商店からも電動歩行ゴジラのプラモが発売されました。
両プラモの爆発的ヒットにより、日本のキャラクタープラモは可動主義一直線に突き進んでいったという
その黎明期に遅れた私などは、続く絶頂期に可動プラモの洗礼をモロに受けた訳ですね。


でも私の場合、同じ電動ロボットでも、あまりメジャーなものには食指が動かなかったんです。どちらかと言えばメーカーオリジナルのロボットばかりに目が向いてしまって。
たぶんそれは、私の妄想癖のせいでしょう。
どんなアイテムでも勝手に自分だけのストーリーを作ってしまう私は、既に設定やドラマの流れが出来上がっているキャラクターが苦手だったんですね。

一から自分で考えたかったんですよ。遊びと言えど。
その為、設定やストーリーの呪縛から解き放たれたメーカーオリジナルが好みだったんでしょう。


Photo_4 1960年代の可動ロボットプラモ界で傑作の名を欲しいままにし、今もそのポテンシャルは瞠目に値する伝説の一作・コグレのサイボーグ。
後年、文献などでこのアイテムの存在を知った時、その洗練されたプロポーション、膝折り歩行のスムーズさなどに驚愕したものです。
鉄人にすこし遅れての発売だったようですから、もちろん私は初版を知らなかったクチ。第一、間に合ったって作れませんよ。年端もいかない子供に電動ロボットなんて。今見てもカッコいいデザインですよねー
しかも、今回初めて知ったメッキ版・コントラストサイボーグの美しさといったら。
左ページ下段のランナー状態で無塗装組みなんてできたら、シルバーボディーと抜群のフォルムにクラクラしそうです


このサイボーグ、後年バンダイに金型が買い取られ、別の名前で商品化されていますね。その時買っておけばよかったなーと。
だってこんなにカッコいいなんて思わなかったんだもん
現在に至るも、現物にお目にかかった事はなく。いつか拝見したいものです

Photo_5 で、なんと言っても私の思い出に残る「一機」はこれ。
今井科学が1963年に発売したオリジナルロボット・サンダーボーイ。

ところがこのロボット、私が入手したのは後年、1970年すぎ。

Photo_6
こちらのパッケージのものでした。
(この写真は、別の書籍より拝借)
コグレのサイボーグと同じく、これも金型がバンダイに買い取られ、サイボーグと同じシリーズのロボットとして売られていたんですね。
まさか、これがもともと今井のアイテムだったなんて。うーん一生勉強
いやー私なんて、最近までその事実を全く知りませんでした。近年、倒産を前にしたイマイから「ベビーサンダー」の名前でこのミニチュア版が発売された時も首をヒネっていましたから。


なぜ、この「アタックボーイ」を憶えているかと言うと。
私、これを入手していながら、ついに完成させることが出来なかったんです。
それはものすごく単純な理由で。


このプラモ、胴体パーツが左右割りなんですが、なんと左右のパーツにズレがあったんですよ。およそ1.5mmも。左右を合わせるとモールドに大きな段差が出来るんです。いわばキカイダー・ヘッド状態ですね
その為、どうしても組みあがらない。
このプラモはゼンマイ動力だったんですが、ゼンマイの固定基部も大きくズレていた為、まともに接着したらフロントホイールの可動に支障をきたしちゃう。
いたいけな子供は悩みましたよ。で、結局どうしようもなく。

泣く泣く諦め、パーツ状態で忘却の彼方に

でもこれ、デザインが私の好みにピッタリだったんですよ。ですからもし今、このプラモが入手できたら、是非あの時の雪辱戦にトライしたいですね。
皆さんにも、設計的・技術的アクシデントで一敗地にまみれたプラモの一つや二つはおありじゃないかと。私の場合、これがその代表格なのです


Photo_7これはご存知「マッシ」と叫ぶロボとは別人の
マルイ製・キングロボ。

これも作った記憶がありますねー。
こういうオリジナル(と言い張る)デザインのプラモは映像作品とのリンク展開がない為、比較的販売期間が長かったんですよ。
おもちゃ屋さんの棚の隅に 何年もひっそりと佇むレギュラーメンバー。
回転が速い正式版権の花形キャラプラモの影で、静かに自己を主張する姿がなんともいじらしい逸品なのでした。

でもいつお店を覗いても残っているプラモって、なんとなく愛着が湧きますよね。

でこれがまた、子供が喜びそうな成型色なんですよ。
子供って、なんでこういう濃い水色系に弱いんでしょう。私だけかな?


マルイのキングロボと来ればもう一つ、どうしても忘れられない逸品があります。
キングロボと同じシリーズなんですが、こっちは知る人ぞ知る一体で。

Photo_8これですよこれ!
このお方、スーパーロボと申します。

ジロン・アモスと見まごうばかりの丸顔。
昭和のロボットっぽいアンテナ。
一点の曇りもなさそうな眼差し。
フライデー風の手もたまりません

モノクロ写真ですみません。この本にはモノクロでしか載ってなくて
成型色は忘れもしません。目が覚めるようなメタリックグリーンでした。
これも前述のアタックボーイと同じく、痛恨の一作。

このスーパーロボ、イマイやコグレの高額ロボと違ってゼンマイ歩行なんです。
当時、やっと手に入れた喜びでアドレナリンが活性化、製作モチベーションも最高潮となった私は、購入後帰宅するが早いかすぐに組み立てに入りました。


ところが、今と同じくおバカな私。ゼンマイと動力シャフトを止める小さなゴムチューブをちゃんと固定せずに、パーツを接着してしまったのです。
接着も全て終わり充分に乾かした後で、おもむろに可動テストを行った私。
でも今ひとつ足の動きが悪い。シャフトが空回りしているみたいなんです。

「あっ!ボディーの中でゴムチューブが外れてるのかも!」振ってみれば、カラカラとゴムチューブの遊ぶ悲しい音が。


Photo_9この時は泣きました。あわてて胴体パーツをはがしチューブを固定、胴体を再接着。
(写真の組立図は当時の本物。自前なので書籍には載っていません)
おかげで胴体部分の接着線は、セメダインがはみ出した無残な姿に
でも自業自得ですからねー


もし機会があれば、この時のリベンジもやってみたいですね。
でも今、未組み立てのスーパーロボが手に入ったとしたら、もったいなくて作れないかもしれません。つくづく、失敗の代償は高くついたものだと。
当時の自分を笑い、パーツを愛でる程度が関の山かも

記憶は修正できませんからねー


Photo_1060年代、子供の夢を形にした未来模型。
私もその未来を堪能した一人ですが、それらプラモにまつわるエピソードは痛いものばかりで
とはいえ、こんな楽しい思い出を反芻できるのもこの一冊のおかげです。
この、どこか間の抜けた毎日を思い出せるところがいいんですよ。
間抜けは今も同じですが


他にもこの一冊には、私が知らなかったマイナーなロボットプラモがたくさん紹介されています。
ページをめくるたびに「過ぎ去った未来」が手を振ってくれるようです。
マジンガーやガンダム以前の、夢と希望に溢れたロボット世界。
それはあの時代を生きた子供たちだけに与えられた、すばらしい体験だったのかもしれませんね。

また一つ、お宝が増えました

より以前の記事一覧