チルソノアの神
人跡未踏・謎の町と呼ばれた中近東の秘境、ガラージに分け入った科特隊は
森の聖地に佇む純白の石像に息を飲んだ!
「チルソノアの神・・・五千年の昔、ガラモンの先祖は地球上に現れ
侵略の魔の手を伸ばしていたのか!?」
(ロボット怪獣を先祖呼ばわりもアレですが、まー原典遵守という事で)
という訳で今回お迎えしたのは、海洋堂ソフビキット・1/200ガラモン
ガレージキット黎明期にスター原型師として名を馳せた、原詠人氏の手によるもので
白成型色が美しい1989年発売バージョンの、素組み無塗装版です。
そのクォリティの高さは、2016年に再販された事実からも証明できますね
このキットは当時、予想の斜め上を行く個性的造形の原氏が手がけたとあって
仲間内では話題騒然でした。
体中のトゲ再現がネックとなり、それまでメジャーメーカーが二の足を踏んでいたアイテムだけに
大人の鑑賞に耐えうるリアルガラモン、それもあの原アレンジが手に入るというだけで
ファンにはとてつもない朗報だったのです。
さらにキャストに比べ安価で手軽なソフビキットという事もあり、発売直後は争奪戦勃発
幸運にも入手できた者は200個近いパーツ接着にも果敢に挑み
仕上げただけで勇者扱い
思い込みタップリに塗装の腕を競ったものでした
かくいう私も当時は東奔西走、行きつけショップで有名な成田画パッケージを入手。
喜び勇んだものの、ガラモン命の先輩が既に一体をロールアウト直後で
その工作・整形・塗装テクの凄まじさに呆然自失、ため息交じりに仰ぎ見るのみで
わが腕のふがいなさに手を出せなくなった過去があります
いわゆるトラウマアイテムですね
自分の実力が十しかないのに百を見ちゃった敗北感と言うか
そんな過去がモチベーションに影を落とし、キットも手つかずのまま手放すハメに
ガレキに手を染めた者なら誰もが通る黒歴史まーそんな昔話はともかく。
今回の入手は素組無塗装版だったので、当時のリベンジ的意味合いもあったのですが
前オーナーさんの工作技術が予想以上に素晴らしく、接着剤漏れ一つ無いので
むしろこのままで全然OK、しばらくはオブジェ扱いで鑑賞したい気分になって来まして
ビリケンキット等でもありますよね。無塗装で成型色を楽しむ鑑賞スタイルが。
私には珍しいですが、白のボディカラーにデッサン像的魅力を感じたとでも思って下さい
白という色はディテールを浮き立たせ、明暗のコントラストがはっきり出るので
塗装でごまかせない分、造形の嘘がつけません。
その特性が、デッサンのモチーフとして使われる理由でもあるのでしょう
言ってみれば、原型師の腕がそのまま出てしまう恐ろしい色なんですね。
ですからこのガラモンも、期せずして原氏の造形技術を味わう
絶好の立体モデルというわけです
背面の量感からトゲのサイズ・フォルム・配置をはじめ・・・
ガラモンという怪獣が持つ個性、プロポーションはもとより表面の細かい凹凸などが
塗装済みモデル以上にはっきり確認できます。
おそらく造型姿勢は憑依型であろう、豪放にして緻密な原氏のディテールへの執着。
左右非対称な腕の位置などに見られる、ポージングの躍動感。
それでいてガラモンの基本ラインを崩していない、このさじ加減が絶妙なんですね
ガラモンの肌ってこんなにデコボコしてたっけ?まるで冷えて固まった溶岩のようですね。
皺の彫も尋常じゃない深さだし。
そこも微妙な原アレンジ。着ぐるみ再現より印象の追及と言う方向性でしょうか
その造型の魅力が、発表から30年近くを経た今も再販され続ける所以なのでしょう
ただ白いというだけで巨大感を演出する"スター・ウォーズの法則"で
この一体も、実物以上に巨大に見えます。
梅雨空を切り取るその威容は、全高100mを誇るかの仙台大観音を思わせますね。
怪獣を観音様と比べちゃバチ当たりですけど
で、今回、あえてサイズ表記を避けていましたが・・・
意外にもノスヒロやメディコムとほぼ同じ、25cmというビッグサイズなんですね
しかも昔見た時よりボリューミーな印象でした。逆はあるんですけどこういうのは珍しい。
三体並べてみればさながら、ガラモンフィギュア40年の歩み
電動歩行から固定モデルを経て、フレキシブルフィギュアにまでなっちゃうんですから
さすが人気怪獣、大したバリエーションと唸っています
ご覧の通り、海洋堂版はメディコム版よりハードディテールで顔も大きく
近くで見ればすごい迫力
しかも係累を持たない唯一無二のフォルムですから、存在感も抜群です
やっぱりガラモンは特別ですね。
いつかチャンスがあれば、ビリケン版とも比べてみたいところです

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