銀翼の謎
昭和43年4月6日。
東京某所の市街地上空を、国籍不明の巨大飛翔体が高速移動するという
真偽不明の怪事件が勃発した。
目撃証言によれば全長200m超。船舶と航空機の特徴を併せ持つ外観で
その大サイズにも関わらず飛行音は極めて静寂な上
当時としては驚くべき運動性能を見せたという。
この事件について政府発表は皆無。やがて雲や旅客機の誤認と歴史の闇に紛れたが
奇しくも事件半世紀後の今年、現場を捉えたと思われるこの写真が流出。
戦後稀に見る航空ミステリーとして、再び物議を呼んでいる・・・
というわけで、ベタな導入で今回お迎えしたのは
矢吹コンツェルンが誇る巨大航空兵器・万能戦艦マイティ号
2013年発売の海洋堂製・特撮リボルテックNO.46です。
同シリーズ中でも破格の大きさ、全長約23cm。
デザインは第一期ウルトラブームで多大な功績を残した故・成田亨先生
主題歌のごとく、青い海と陽光に映える優美なフォルムは
生誕後半世紀という歳月を、全く感じさせません。
個人的には、同氏によるウルトラホーク1号より好きなフォルムで
成田メカニックデザインの最高傑作と思っています
スター・ウォーズEP4が国内初公開された'78年。
超広角レンズを使った冒頭の仰角撮影で観客のド肝を抜いた
スター・デストロイヤーとよく比較され
飛行カットの広角撮影、巨大感演出ではわが国が十年先取りしていたと
和製特撮ファンの溜飲を下げた一隻でもありました
海底ドックの発進待機カットでは船舶にしか見えないのに
デルタ状の主翼が航空機である事を強烈に主張するそのフォルムは
まさに天才の発想としか言いようがありません
まあこの一隻に関しては、何万語を尽くしても語り足りないので
今回は素直に、写真をご覧頂く事にしましょう
現時点で最新の立体化という事もあり、この特撮リボルテックは実に良く出来ていて
いつもながらの見事な再現度に、唸らされること必至です。
(ギミックが付属ミニチュアが程度の好みレベルな苦言流言なんて
リリースされた感謝に比べれば微々たるものですよ)
イマイのプラモデルを大中小と経験し
電動走行ギミックが詰まった艦底のプラ板加工を挫折した身にとっては
ここまでの逸品が完成品で手に入る時代が来るなんて、想像だにしませんでした。
(入手に四年ちょっとかかったのはひとえに予算の事情)
そんな作り手贔屓の私にも、疑問に感じる点が一つ。
この水平尾翼の翼端から逆噴射エンジンの間に
黄色い彩色の翼延長部分が有る無しの謎。
写真通り、特撮リボルテックには造型されていませんね
というわけで、手持ちのマイティ号勢揃いで検証スタート。
左からアートストームEX合金Ver.1・コナミSFムービーセレクション・特撮リボルテック。
EX合金と特リボのサイズが意外に近い事が分かります。
ボディ素材の違いはあるにせよ、定価は5倍近くの差があるので
特リボのコスパがいかに高いかがお分かり頂けるかと
おっといけない。疑問の件ですが
ご覧の通りEX合金とコナミ版には、水平尾翼先端に黄色い延長部分がありますよね。
当然その分翼長が伸びてます。でも特リボにはありません
伸縮機構等の設定があるのか調べても、そんな気配はないようだし。
検索下手なのか、ユーザーレビューでもこの点はまったく検証されていません。
うーむ謎が謎を呼ぶこの展開(敵がQだからとはぜったい言いませんが)
一つヒントらしいのは、アートストームHP上のEX合金Ver.2、フォルム改修点です。
検索すれば分かりますがこのEX合金、現在の流通は写真のVer.1ではなく
改修後のVer.2が主流で
なぜか特リボ同様、黄色い延長部分が無いんです
本体の改修点はパネルラインやサークルレーザー形状、ディテール等の変更との事。
で、そのリニューアル理由は「初期設定のMJ号を再現」という事らしいんですね。
うーむ分からない。いったいなぜこんな事を?
この尾翼延長問題、二つの可能性が考えられます。
❶もともと本編には翼長が異なる二種類のミニチュアが使われており
どちらのタイプも正しい。
❷2012年開催の特撮博物館でマイティ号の3mミニチュアが復元された際
短尾翼タイプが公式設定化され、EX合金・特リボともそれが商品化された。
うーん❶→❷の経緯で当たってる気がするな~
DVDで確認すると、第一話の発進シーンだけでもカット毎で翼長が違う。
なんで気づかなかったんでしょう
割合的には水上・水中モデルが短尾翼、飛行モデルが長尾翼といったところでしょうか。
だから❷の復元ミニチュアも短尾翼だったんですねー。
でもそうすると「EX合金Ver.2の解説ではなぜ"初期設定を再現"なんて表記をしたのか」
なんて、別の疑問が湧いてきちゃうし。
初期設定=短尾翼 後期設定=長尾翼なんて分ける所が誤解を生むんですよね
それじゃー今後は勝手に、飛行時に尾翼が伸びるってマイ設定にしちゃおっと。
そういう事も全てファン周知の事実、暗黙の了解なのかな?
これだけ広いネットの海で誰一人話題にしてないんだもん。
どなたか詳しい方にご教示頂きたいものです
まーカッコ良いからどっちでもいいんですけど(身も蓋もない)
やっぱりマイティ号と言えば、陽光バックに大空を駆ける雄姿がサマになりますね
艦首に陽射しをひっかける為に、今回も苦労しました
我々世代の憧れですね。この巨大戦艦が大活躍する新作を
いつか、MJ好きの庵野監督演出で観てみたいものです
シン・ゴジラの眼球シールドUPをわざわざモノにするほど
ディテールに拘る庵野氏ですから
ぜったい差し込みますよね。グイーンと尾翼が伸びるカット

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コメント
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ご無沙汰しております。
復活されていて、なによりです。
昨年の10月/末頃再開に気が付き、それ以降拝見しておりました。
マイティー号の翼端についての考察とか、安定のMIYUKIワールドですね。
翼端の件に関してですが、当時リアルタイムで大/小の模型を作りました。
モーターライズの大の方は、翼端が伸縮出来るギミック(手動)がありました。
子供心にMIYUKIさん同様、マイティー号は状況に合わせ、翼端を伸縮させる機構を装備して
いる機体(艦体)と勝手に思っておりました。
当時の、源田隊員が活躍するソノシートを思い出しました。
花粉症の自分としては、そろそろ辛い季節となります。
MIYUKIさんはいかがでしょうか。
ご自愛ください。
投稿: 第二β号 | 2018年3月 1日 (木) 21時36分
第二β号様 お久しぶりです

2014年の活動停止時は病み上がりの上、かなり意気消沈しており
頂いたコメントにお返しもできず、大変失礼しました
体調快復と共に、恥ずかし気もなく戻ってきましたが
以前ほどのペースは望めなくとも、気負わずつらつらと
続けていきたいと思っております。
記事アップ後、DVD再見&ネット検索でいろいろ調べてみましたが
このマイティ号の翼端伸縮問題、第二β号さんにもご解析頂いた通り
状況に応じた伸縮機構辺りに落ち着かせるのが
順当のようですね
本編中では、離水時に波が被る尾翼サイドアップでは長翼端で
直後、飛び立つ瞬間の艦体正面カットでは短翼端なので
伸縮機構は飛翔時に限らないのかもしれません。
記事に書いた通り、翼端がグイーンと伸びるカットがあれば
そういう解釈の混乱も起きないのかもしれませんが
そこは当時の撮影技術の限界と納得。
今は円谷スタッフへの敬意しかありません。
科学の実験映像のような、あの超高速度撮影の美しさだけでも
大変な目の保養でしたから、つくづく贅沢をさせてもらったと
イマイのキットは大中小と作りましたが
モーターライズ・伸縮機構付きの「ビック(特大)」だけはスルーしたんですよね。
そんなギミックがあったなら、ぜひ作るべきだったなと。
いずれ押入れをひっくり返して、買い置きを発掘する覚悟です
ソノシートは当時私も持ってました。

おそらく朝日ソノラマの第一集と思いますが
ドラマ中で源田隊員がちょっと大人っぽいセリフを口にするたびに
あれあれイデ隊員、違う人みたいになっちゃったなと困惑を隠せず
役柄の違いなんて、子どもには分かりませんからね
花粉症は私も数年前にデビュー、たぶん軽い方だと思いますが

クシュンズルズルと毛穴全開のみっともない日々を迎えています
お互い無理せず、辛い季節を乗り切りましょう
投稿: MIYUKI | 2018年3月 2日 (金) 12時30分