2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

ネヴュラ・プライベートライン

無料ブログはココログ

« ネヴュラ空軍出撃せよ | トップページ | 梅雨間近のラゴン »

2011年5月21日 (土)

2020年の謎

そういえば。
4月17日、古谷敏さんの講演会にお邪魔した際
ぜひご本人にお尋ねしようと考えていたものの
会場がそういう空気じゃなかったので、つい聞き逃してしまった質問がありました。
古谷さんがウルトラマンを演じるきっかけとなった
ウルトラQ第19話『2020年の挑戦』に登場する
ケムール人についてです。


今、ちょっと資料を見ているんですが
このエピソードの本放送は、1966年の5月8日。

45年前のゴールデンウィーク(当時、そう呼ばれていたかは不明ながら)直後
ちょうど今のような、気持ち良い季節に放送されていたんですねえhappy01
まー別に、今日がケムール関係の記念日というわけでもありませんがcoldsweats01
古谷さんとの再会も近いことだし
ちょっと、’66年初夏の夜を震撼させた怪奇譚に
思いを馳せてみましょうか。

画面をネガポジ反転させてお読み下さいhappy01

ファンならずとも世代人なら、同窓会の三次会あたりで話題になりそうな
子ども時代の「怖かったウルトラQエピソード」で
『悪魔ッ子』と一、二を争うであろう、『2020年の挑戦』。
ご存知、全国の幼児に水たまり恐怖症を植え付けた罪な一篇として
今も私のトラウマ作品部門に、燦然と輝いていますhappy01


Photo

ま、百戦錬磨の「ネヴュラ」読者の皆さんに
今さらストーリーをお話しても仕方が無いので
今回は、番組開始14分34秒後に満を持してご登場される
2020年のアベベことrun ケムール氏について、つらつらとお話してみようかと。


上の一枚は昨日、いつもの公園に
タイムスリップグリコのおまけを持ち出して撮った、お手軽写真ですがcamera
書き添えた数々のキーワード通り
シリーズ屈指の怪しさとSFイメージに溢れている割には
「誘拐怪人」なんて、人さらいの変質者みたいな肩書きがついちゃって
ちょっとかわいそうなケムール先生。

Qを代表する名キャラクターですから、ここはもうちょっとカッコ良く
呼んであげたいところですがhappy01

さる研究書に於ける、飯島敏宏監督へのインタビューによれば
このエピソードは傑作海外SFドラマ、トワイライトゾーンの雰囲気を
意識されていたそうです。
また氏は、かの円谷英二監督にも
「液体人間」みたいなのを作れないかと言われたそうで
なるほどそのイメージも、本編各部のビジュアルに表れていますね。

でもその液体ビジュアルの設定は、イメージソースになったであろう
望まぬ核の犠牲者という「美女と液体人間」のリアルな悲しさより
はるかに空想的で、
ケムール人の意志力で運動できる消去エネルギー源という
実にハイブリッドなものhappy02

件の「美女と液体人間」で確立された液体演出のノウハウが
円谷監督の自信となって、新たな可能性・バリエーションを探っていたんでしょう。


事実、可燃性という新設定が追加されたその液体は
「美女と~」ではついに成しえなかった
タバコの火で実際に素材が発火するというワンカット演出
まで
可能としていますし。
見過ごされそうなこういう小さな所にも、常に特撮の先駆者たらんとする
円谷魂が見受けられて、誠に嬉しい限りです。
つくづく、幼児期にこういう作品と出会えた幸運に感謝するばかりでhappy02


Photo_2

飯島監督によると、ケムール人の頭は
当初「頭蓋骨ごと鼓動する設定だった」そうですね。
どろどろしたものが地球に来たことで皮膚が固くなって
ああいう形になったそうなんですよeye
つまりケムール人の存在自体が、例の液体電送システムに準じた形態と
考えられていたわけですhappy02


地球人のボディへ、自らの生命を移植できる科学力を持った
500歳のゲル状宇宙人!

なんとハードなSF設定!聞いてみないと分からないものですねーcoldsweats01

頭蓋骨ごと鼓動するってことは、そのビジュアルは
たとえば第7話『SOS富士山』に登場した、岩石怪獣ゴルゴスの
岩に囲まれ発光しながら鼓動する心臓部、みたいな感じになるんでしょうか。

まーグロテスクなイメージshock もしそのイメージ通り作られていたら
そりゃもう幽体リリーを抜いて、トラウマ一位の座獲得は間違いないでしょう。
作中のケムールヘッドだって充分不気味なのに
頭が心臓みたいに脈動するなんてshock


その「鼓動する頭蓋骨」という設定には、飯島監督なりの理由があって。
監督は子どもの頃、ある本で
「脳というのは頭蓋骨が抑えてなければ無限に大きくなる」なんて記述を読まれ
それなら宇宙人の脳は・・・という風に、発想が広がっていったそうなんですね。
常にSF設定の考案に積極的だった、飯島監督らしいエピソードです。
私も昔、何かの本でそんな記述を読んだことがあります。
要は「頭蓋骨は脳みその拘束具」なんですよね。
うーむエヴァの原点もここにあったのか。まーそれは置いといてhappy01


Photo_3

で、出来上がった脚本に於けるケムール人は
「表情のない人工皮膚の顔」とあったそうです。
それを受けたデザイナー・成田亨氏の卓越したイマジネーションによって
考えられたそのヘッドデザインは、氏も会心の出来と語っていたそうで
逆に一切の虚飾を廃したボディデザインと見事な対比を生み
後年まで語り継がれる、名宇宙人像となったわけですね。

ところでケムール人の頭って「どこから見ても正面」に見えるように
デザインされたそうですね。
目が三方向を同時に向いてるでしょ?アレは三つの顔が一つになっているという
意味だそうで、あの目が光って動くんですからソリャ怖いshock

地の底から響くような例の嗤い声も、人智を超えた宇宙生物の感情を思わせて
不気味の一言coldsweats01

余談ながらバルタン星人然り、宇宙人ってなんで笑うんでしょうねhappy01
サタンの爪やブラックデビルの昔から、確かに不敵に笑うのが敵役の定番ですが
なにも宇宙人まで、宣広社や大映テレビ部のマネをしなくてもいいのにとhappy01
でも東映の甲賀幻妖斉やピープロのゴアの高笑いは見事にハマってましたから
やっぱり敵はヒーローを前に笑うのが、礼儀というものなんでしょうねhappy01
「快傑ズバット」あたりになると、もはや敵味方とも
大声で笑った者勝ち勝負みたいになってますがhappy01


いつもの脱線から、お話を立て直してcoldsweats01
ケムール人の人間離れした(宇宙人ですから当たり前ですがhappy01
極限までスリムなボディラインという、成田デザインの要求を実現させる為に
不可欠だったのが、これも極限まで細身の役者さん。
そこで白羽の矢が立ったのが古谷さんだったことは、皆さんももうご存知でしょう。
あのケムール人の好演が、その後のラゴンや
稀代のヒーロー・ウルトラマンへの大抜擢へと繋がっていったのですから
ケムール人はまさに、古谷スーツアクトの原点とも言えるわけです。



ここでお話は冒頭の「出来なかった古谷さんへの質問」へと戻るんですが。
実は私が古谷さんご本人にお尋ねしたかったのは
このケムール人の『演技プラン』についてなんですhappy01


たとえば有名な、パトカーの前を走り抜けるケムール人のカット。
そしてその直前、三段跳びさながらの走行フォーム。



この「ケムール走り」は、本放送翌日から
近所の子どもの間で大流行runrunrun もちろん私もマネしまくりでcoldsweats01
ちなみに一番上手かったのは、
今京都で頑張っている幼馴染のO君
彼の走りは絶品でしたhappy01

飯島監督によればこの一連は

「高速道路をケムール人が逃げていく」というト書きに基づいて
演出されたそうですが
高速道路が一般道に変わるなど、現場の事情で改変された部分はともかく

肝心の「一歩の歩幅が異常に広い」あのジャンプするような走り方は
いったい誰の考案、アクション指導によるものだったのかと。


「ゆっくり動くんだけど、ビュンビュン走んなきゃいけない」というイメージが
飯島監督の脳内にはあったようなので
たぶん監督の演技指導も一要因とは思いますが
それを撮影現場でただちに形にするには、演技者にもそれ相応のセンスが必要で
その為には、ただはいはいと演技指導に従うだけではなく、役に対する演技プラン

言わば古谷氏なりの「ケムール人観」があったと思いたいわけです。

撮影というものを実際に体験された方はお分かりと思いますが

演技者自身が脳内で考える「普通の動き」と
視聴者が納得できる「見栄えの良い動き」って、別物なんですよ。

人間って本人が考える以上に、癖のある地味な動きをしているものなんです。
だからアクション映画には見栄えを知り尽くした「擬闘師」が不可欠なわけで。


かつての日活アクション映画などを見ていて
画面内で役者が普通に動いていてもカッコ良さを感じるのは
役者全員が「見栄えを意識した動き」を心がけていたからです。
たとえば宍戸錠氏の「太陽を見上げ、眩しさに手をかざす」ポーズのキレなどは
絶品なんですが、ああいう演技は監督らの指導に加え
動きに対する本人のセンス・演技プランを意識できる事が必要な訳です。
「自分の動きを客観視できる能力」と言ってもいいでしょう。

不勉強なので確証は無いのですが、発表されている文献などを読む限り
古谷さんは、ケムール人がスーツアクト初体験だったとお見受けしています。
その前に他作品で、顔出しの演技経験があったとはいえ
「500歳の宇宙人」という前例の無いキャラクターを
どうやってあれほど、個性的に作り上げていったのか。
そこに古谷氏なりの思い入れ、演技プランはあったのかどうか?

その点を、ご本人にお尋ねしたかったわけですねhappy01

そりゃ後に、その40倍の年齢のキャラクターを演じることになるわけですからhappy01
古谷氏としては、最適のウォーミングアップだったと思いますがhappy01happy01
今月29日の講演会で、もし機会があったら
今度はぜひ物怖じせず、その『2020年の謎』をお尋ねしたいと思います。note


でもそんなこと、すでに古谷さんの自著『ウルトラマンになった男』に
書かれているのかな?それとも他文献やネット発表で衆知の事実?

ひょっとして私、ものすごくズレてます?
もしそうなら、質問するのは失礼だから
先に勉強しておかなきゃcoldsweats01
あい変らず、恥ばっかりかいてますね私はcoldsweats01coldsweats01

4月17日の講演会で
今夏発売の「ウルトラQ」カラー版DVD発売についてのファンの質問に

「ケムール人の本当の体色は、僕と監督ぐらいしか知らないんだよ」
なんて笑っていた古谷さんですから

ケムール演技についてなら、おバカな私の疑問にも
きっとお答え頂けるでしょうhappy01happy01
happy01

にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ

« ネヴュラ空軍出撃せよ | トップページ | 梅雨間近のラゴン »

「ウルトラマンクラシック」カテゴリの記事

コメント

ケムール人と言えば、2代目(笑)が、ウルトラマンの「禁じられた言葉」に出てきますが……たとえ、「同じ」着ぐるみであったとしても「あれは違う!ケムール人じゃない!!」と言う気持ちにさせられます。

陽光の元に現われ、容貌も体色もバッチリ明らかになってしまった「あれ」からは、どこにも「怪奇」と「幻想」の要素は感じられませんでした……。

あれじゃ、「ただの宇宙人」です(笑)。

 何かで読みましたが、当初はローラースケートを履いて滑ることになっていたそうですヨ。しかし、古谷さんがスケートができなかったとかで、その案がボツになり、あの「ケムール走り」になったと。

 「2020年の挑戦」は、21歳の時(それまで見たことがありませんでした‥‥。)に『ウルトラ倶楽部』で冒頭のプールのシーンに驚嘆し、それ以来何度も見ていますが、ケムール人の顔の全体像がよくわかりません。そんな顔を創造し得た成田氏のイマジネーションって、どこまでスゴイのか‥‥。あれは3方向を同時に見ている顔なんですネ。
 そして、金城氏とともに脚本を手がけられている飯島監督。飯島氏の脚本ではSFタームが多く登場し、ワクワクさせられました。意味はわからないけれどカッコいい! この「2020年~」でも「Kミニオード」「Xチャンネル光波」「消去エネルギー源」などの単語が飛び出します。加えて「2020年の時間を持つ星」「若い肉体への生命の移植」なんて、何がどうなってるのかわからないけれど、そこへは全く科学的な説明もなく、とにかくその設定で突き進む面白さ! 「ケムール『星人』」ではなく「ケムール人」という名前にも不思議な感覚を覚えます。

都の商売人様 確かに「禁じられた言葉」に登場した二代目三人組は
迫力やオーラなど、初登場回とは段違いに寂しくなっていましたねcoldsweats01
まーアレは私の中では、空飛ぶタンカーや巨大フジ隊員に近い物で
メフィラス星人が作り出した一種の幻影、ホログラム的コケおどしと捉えています。
姿を現しただけで、攻撃も何もしてこなかったですもんねhappy01

ケムール人に「ただの宇宙人」以上の何かを感じる理由は
個人的には劇中で語られた「2020年という時間を持つ星の生物」という
設定によるものではないかと。

「科学技術が、地球より54年進んだ星」じゃなくて
時間そのものが地球より進んでいるという理解しがたい設定が
ケムール人に「宇宙人」プラス「未来人」の要素を匂わせるんですよ。
そこが他の宇宙生物と一線を画す、ケムール人の底知れぬ不気味さに
繋がっているような気がするわけで。

まーケムール人にそんなことをいくら尋ねても
きっと彼はブフォフォフォフォと嗤うだけで
例のフォームで走り去るだけでしょうけどhappy01

自由人大佐様 えっ撮影はローラースケートで?eye
そそそんなムチャが考えられていたんですかcoldsweats01
うーむさすが、2020年の宇宙人なんて設定を考え出す飯島監督!
’66年にして既に、光GENJIを先取りしていたとはっhappy02
そりゃもう「ガラスの500代」ってところですね!ワルノリ失礼しましたcoldsweats01

>冒頭のプールのシーン

アレもすごいですよね。CGなど当然使えない’66年当時の撮影技術で
どうやって、あんなスムーズな人間消失カットが作れたのか。
映像業界に入ってからなおさら、あのカットの凄さを感じました。

>成田氏のイマジネーション

ケムール人ヘッドのデザインコンセプトは
人間の目が正面を向いているのに、鼻が横を向いて描かれるエジプト壁画だそうで
そのシンクロナイゼーションを、立体物に取り入れたものだそうです。
顔の突起部分を陥没させるなど、成田氏独自のデザインセンスの底流には
そうした世界中の芸術遺産が息づいているんですねhappy01

マルス133の数字部分の発案理由が「なんとなく」という飯島監督ですからhappy01
劇中のSFタームや設定も、氏一流のセンスの賜物なんでしょうね。
でもそのセンスって、クリエイターには非常に大事なことで
料理の「旨み」に通じる、数字では説明できない部分なんですよ。
「ウルトラQ」にはそれがあったからこそ、私たちは今も
「2020年という時間を持つ星」に戦慄できるわけで。

’66年当時でケムール星は2020年ですから
さながら今年ならあっちは、2065年ということですよね。
地球には永久に追いつけない時間軸を持つ星が、宇宙にはあるんだなとhappy01

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/104767/40067546

この記事へのトラックバック一覧です: 2020年の謎:

« ネヴュラ空軍出撃せよ | トップページ | 梅雨間近のラゴン »