太陽を盗んだオタク
「いやーずいぶん久しぶり。小学校以来かなあ。」
いつの世も少年少女の心をわし掴みにする銀色のドームを眺めながら
一人、懐かしさに頬をほころばせる私。
そうです。6月30日。私は市内随一の電子の要塞・名古屋市科学館の前に
立っていました。
というわけで![]()
一回遅れになっちゃいましたが、前回の予告通り、今回は例の「太陽めがね」入手の顛末についてお話しましょう。
まーお察しの方がほとんどでしょうが、件のめがねはこの夏最大の天体ショー、
今月22日の日食を見るための便利グッズなんです。
日本近郊で皆既日食が見られるのは実に46年ぶりという事で、天体ファンの関心も最高潮ですね。
とはいえ皆さんもご存知の通り、国内のほとんどの地域で見られるのは
部分日食のみ。何処に居ても、太陽の何パーセントかは残っちゃう
「三日太陽」状態になっちゃうんだそうです。まーそれはそれで面白いですが![]()
ちなみに名古屋ではこんな状態。11時8分に太陽の約8割が欠けるんですね。
完全に皆既となるのは日本ではトカラ列島近辺の一部地域ですが、そちらへの観望ツアーはすでに完売、意外に観望の穴場となっている上海に今、人気が集まっているとか。
何事も、お金と時間のある人しか恩恵は受けられないようです![]()
でもこのネット時代、あらゆるサイトで日食の映像が公開される事でしょう。
スーパーのダイエーでも、国内各地の店舗に設置された大型モニターで、皆既の瞬間をリアルタイム中継するそうですから、地元に居ながらにして世紀の一瞬が見られるわけです。
ところがですね。この見逃せない天体ショー、ここ数日の情報を見ていると
どうも当日、7月22日の雲行きが怪しいらしいんですよ。
これはモノのたとえじゃなくて、本当にお天気の状態。
日食の時刻はもうはっきりしていて、名古屋でも朝の9時49分が
ショータイムだそうですが、現時点で予想される当日のお天気はどうやら曇り。
一部の地域では、雨も降るらしいとか![]()
確かにまだ先のお話ですし、予報なんてどんどん変わりますから、今から心配したって仕方ないんですが、こればっかりはもう人智の及ばぬ事ですからねー。
「今日は日食だから、低気圧にはちょっとご遠慮いただいて」なんて
事前にお願いするわけにはいきません。
旅費をはたいて皆既地点へ行っても、当日が曇りでは全てが水の泡に![]()
で、こういう宇宙規模のイベントには目がないくせに
悲しいかな赤貧で心配性の私は、考えたわけです。
「本番当日、雲りや雨だった時に備えて、先に見ておけばいいじゃん。」
つまり、日食を疑似体験できる所は無いかなと。
要はダブルスタンバイですね。本番が見られれば越した事はないけど
お天気の都合でNGでも、精神的な満足感は得ておきたいと。
まーセコイと言われればそれまでですが![]()
こういう場合、思いつく所と言えば一ヶ所しかありません。
子供の頃足しげく通った、科学館のプラネタリウム。
名古屋で育った私にとってこの銀色のドームは
いつも身近で夜空の神秘を教えてくれた、先生でした。
城達也風のスマートな解説者が奏でる名調子に乗って、人工の夜空に描かれる星座の伝説や宇宙の驚異は、子どもだった私をいつも未知の世界に誘ってくれました。
あの頃のピュアな気持ちにはもう戻れませんが、月替わりでテーマが変わるこのプラネタリウムなら、46年ぶりの天体ショーを逃すわけがないと踏んだのです。
そう思った矢先。タイムリーな事に、地元の情報番組でもこのプラネタリウムが
取材され、今回の日食をテーマに上演プログラムが組まれている事を知った私。
そのタイトルも「欠ける太陽」なんて、まーそそるそそる![]()
ところが!
間の悪い事にこの「欠ける太陽」、上演は6月末までだったんですよ。
どうせなら本番の月、7月まで引っ張ってくれればいいのに![]()
慌てた私は急いでスケジュールを調整、「欠ける太陽」最終日
6月30日に駆け込み鑑賞する機会を得たわけです![]()
ちなみにこちらが、名古屋市科学館のHP。
プラネタリウムのスケジュールも記載されていますから
興味がおありの方はご覧下さい![]()
http://www.ncsm.city.nagoya.jp/index.htm
で、いよいよ当日。
まさに日食先取り感覚で、私は科学館へと向かったのでした。
開演時刻の13時に先駆ける事45分。意気込みが強すぎて
ちょっと前に着いちゃいましたが、それならそれと向かう所はありまして。
お目当てのアイテムは、予想通り売店に並んでいました。
それがコレ!太陽を直接見た時、紫外線から目を守ってくれる超兵器
「ダイワ しゃ光ばんB型」。もちろん日食観測用です。
このご時勢にお財布に優しい、210円という低価格![]()
「文部科学省学習指導要領準拠・理科観測材料」という、ものすごく長い肩書きが
箔を付けるこの逸品。
これさえ持っていれば日食も怖くない。太陽の欠け始めと同時に、これをニヒルに胸元から取り出せば、あなたも私も注目の的に![]()
平成ギャオスには無用の代物ですが![]()
目に当てて「デュワ!」と叫んで変身できれば、もっといいんですが![]()
(この場合「太陽めがね」だから、やっぱりスペクトルマンに出てきた太陽マスクに
変身しちゃうんでしょうか
)
いやー東急ハンズなんかで、もっと高級な類似品が売り切れ続出なんて
ニュースも聞いてましたから、買えるかどうか心配だったんですが
あってよかったよかった。
ウルトラアイ色と教材然としたたたずまいが、なんとも私好みなんですねー![]()
名古屋の街角で、これを目に当て空を見上げる怪しいオタクを見かけたら
間違いなく私です![]()
やっと手にした戦利品をバッグにしまいこみ、遠足で館内を訪れた
幼稚園児の群れをかき分けて、展示室を散策する事30分。
でも名古屋市科学館って、子供の頃から展示物が変わってないですねー。
「水がなくならない水差しの不思議」や「テレビスタジオの仕組み」なんて
子どもの時に見たまんまだもんなー。まるで時が止まったようです![]()
こんな頭ほどもある大きなインカム、もうどこも使ってないのに![]()
開演時刻が迫ってきました。プラネタリウム入口前に向かうと、すでに多くのお客さんが列を作っています。平日にも関わらず100人を越えてました。
うーむやっぱり同じ事を考える人は多いなー。日食テーマも今日までだし。
で、開演15分前。やっと入れたドームの中。
ちょっと失礼して写真を一枚。中央に鎮座するプラネタリウムマシンです。
いやー久しぶりのご対面。
昔、「プラネタリウムで一番良い席は、このマシンの位置です」なんて解説に
笑った記憶がありますが![]()
見回せば、客席の様子も昔のまま。
さっきの展示室のレトロぶりもあいまって、星の世界に旅立つというよりは
昭和の時代に迷い込んだような不思議な感覚に![]()
しかも!私が大好きだった、あの温かいお声のナレーター氏もご健在!
ナレーションは録音ではなくライブなので、その事にも感動しました![]()
懐かしさに包まれながら始まった「欠ける太陽」。
夏の大三角形、七夕や星座の伝説に続いて、大空に展開する日食のシステム
太陽と月の悪戯が、分かりやすく説明されました。
太陽に月が重なった瞬間。地球に差す黒い影の範囲を宇宙側から見た
映像なんて、けっこう感動もので。影の形もやっぱり丸いんですね。
当たり前と言えば当たり前ですが![]()
過去、世界中で観測された日食の資料映像も圧巻でした。
黒い太陽の周りに翼のごとくはためく、フレアの神秘的な美しさ。
金環食によるダイアモントリングの輝きもため息もので。あー本物が見たい![]()
静かなBGMと抑えたナレーションで粛々と進行する
星空旅行の雰囲気は、昔ながらの良さがありました。
途中、客席から聞こえてきたお父さんのイビキ声も、そこはかとないわびしさと
昭和テイストを感じさせて素敵![]()
まー夜空を再現するのがプラネタリウムですから
眠くなるのも自然な感覚という![]()
いやー本番に先駆ける事23日。名古屋から見える日食を体感しちゃった![]()
もうすっかり満足。本番はもっともっと感動するでしょうが。
でも久しぶりにプラネタリウムを見て、思い出した事があります。
プラネタリウム定番の演出ですから、皆さんも覚えがあるかもしれませんが。
それは開巻直後。
ネオンなどの明かりが邪魔して都市部では見えなくなった、星空本来の姿。
人工の空の中にこれが映し出された時、客席からは「ほお~っ」と
ため息にも似た声が上がりました。
月並みな言い回しながらそれは、空から星がこぼれそうと表現したいほど
満天に散りばめられた、宇宙の宝石たち。
子どもの頃、キャンプで田舎を訪れた時に見た星空も、こんな感じでした。
こんな光景を見たのは何年、いや何十年ぶりでしょうか。
星ってこんなに多いんだ。そんな当たり前の事を忘れていたなんて。
その時、二つの思いが頭をよぎりました。
都会では今や、こんな人工ドームの中でしか、本当の星空が見えないという事。
まあ青い感傷ですね
でももう一つは、ちょっと年を感じちゃいました。
最近、夜空を見上げていないなあと。
要はアレですね。伏目がちに歩いてるという事なんでしょうね。
たとえ都会でも、ネオンに負けずに輝く数少ない星の美しさに
心を奪われるような、ピュアな気持ちを忘れていたような気がします。
かつて私の目にも、空には希望の星・ネヴュラが見えたものですが![]()
これはいけません。私の母星を見失うなんて![]()
いや、いつも空にはあるんですが、私の目が曇っているだけなんでしょうね。
それはまさに心の老い。気持ちだけは瑞々しくありたいものです![]()
さて。これで日食の予行演習もできたし。
安心して、22日の本番を迎えることができそうです。
木漏れ日が三日月形になったり、いろいろおもしろい事もありそうですし![]()
当日は、科学館でも観望会があるそうですから
都合が合えば、覗いてみたいと思います。
後は何とか、お天気になる事を祈るのみですね![]()
いやー楽しみ。「宇宙船」企画のヒントも掴めそうかな。
日食ヒーローって、なんか食いしん坊っぽいけど。
昔、焼肉屋さんで鬼のようにご飯を食べていた私を、スター・ウォーズ好きの友人が
「ライス・ベーダー」と名づけた事がありましたが![]()
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コメント
「星が多いなぁ‥‥。」はソガとダンの台詞ですが、ネオンで夜空が明るいと、ペロリンガ星人の地球侵攻計画にも支障が出そうです^^;
中学生の頃('79年?)に月食を見た時に、天体の雄大さに感動した記憶がありますが、生で日食を見たことは無いので、部分食だとしても期待しています。東京の食は名古屋よりも少ないようで‥‥。オタクイーンさんが羨ましい!
投稿: 自由人大佐 | 2009年7月 4日 (土) 22時57分
自由人大佐様 ネオン瞬く星空はペロリンガ星人も苦手でしょうが、フクシン君ならプラネタリウムの中からでも、灰皿の円盤を見つけられたかもしれませんね
私も子どもの頃、真冬の月食の夜に友人一同を集め、毛布持参の上屋外で徹夜、

実況放送風に肉声をラジカセに録音した恥ずかしい思い出があります
思えば当時から、私はジャーナリストの真似事が好きでした
今回ほどの日食体験は、私も初めてなんですよ。
もう楽しみで仕方がありません。
まー東京と名古屋の食分率の差は大したことありませんから、受ける感動はきっと同じでしょう。お天気が良くなるようてるてる坊主を用意、当日を待ち構えようと思っています
投稿: オタクイーン | 2009年7月 5日 (日) 20時53分