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2009年5月31日 (日)

魔界都市新宿⑤

・・・それほど広くない店内に所狭しと飾られているのは
常連のお客さんたちの、あでやかなお姿の写真。

風の強い曇り空、日曜日の昼下がりというのに
片手にグラスを揺らし、気持ちよく出来上がった男性客が
カウンターに立つママと、楽しそうに軽口を交わしていました・・・


さてさて。また間が開いてしまってごめんなさい
この所、期せずしてお仲間とも、ブログ外でのやりとりが増えてしまって
「ネヴュラ」同様、簡単なメールもつい長文になってしまう私は
そっちに全力を投入する事で、記事を書く時間を取られてしまうのでした。

というわけで今日は、前回・5月17日(日)の続きです。
この日は例の「部活」に続く上京の大きな理由であった
ある方々とお会いした日の、待ち合わせ前からの出来事。

今日も日曜ですから、すでに当日から二週間も過ぎた事になりますが
まー備忘録も兼ねていますから、なにとぞお付き合い頂ければと。


東京在住の方々ならずとも、全国の読者の皆さんが
新宿という街の特定の地名に、ある種のイメージをお持ちと思います。
怪しい響きがありながらも、なぜかそこに生きる者たちの可笑しさ、物悲しさが
つきまとう街。
そう。「二丁目」です。
もはや全国区となった街の特徴は、あえてご説明する必要もないでしょう。
私のような者をはじめ、体の性と心の性のギャップに悩む人たちや
趣味や週末のストレス解消で女装、男装を楽しむ方々が跋扈する
一大歓楽街にして、独特の悲哀が溢れる地域です。

事実、この「魔界都市新宿」シリーズ一回目、今月18日の記事ラストで
私ごときをナンパしてくる輩さえ居る通り
ここは多種多様な嗜好を持つ人々が集まる街なのです。


実は私、今回の部活が新宿で行われる事を知った時、宿泊地を
新宿の中心に構えることに決めていました。

もちろん、移動の利便性も大きな理由ですが、それ以上に
まだ見ぬお仲間が生活を営む、二丁目の空気を感じてみたかったからでした。


ここでちょっと、難しいお話をしなければなりませんが。
実際には私は、二丁目で働かれる方々とはやや別の道を歩んでいます。
いわゆる「ニューハーフ」と呼ばれる彼女たちは、その美貌と社交性を
磨き上げ、ショービジネスの世界に生きる職業人だからです。
言わば「選ばれた人々」なんですよね。

彼女らほどの美貌を持ち合わせない私などは、ただ一つの武器である
ハッタリだけで、生き馬の目を抜く映像業界を木の葉のごとく流されるのみ
「女性として生きる」覚悟は、プロである彼女たちの足元にも及びません。

一度はお会いし、日々のご苦労や人生観などをお聞きしてみたいものです。

ただ貧乏ゆえ、料金が高い彼女らのお店の敷居を跨ぐ度胸はとてもなく。
また
彼女たちを目の当たりにすれば、そのプロ意識、上昇志向に圧倒され
自己嫌悪に陥る事も間違いなかったりして。
それほどまでに彼女たちの生き様は凄まじく、また清々しくもあるのです。


これ以上お話するとドロドロしちゃうので、今日はこれくらいにして
まーそれでも、せっかく二丁目が目の前にあるのに、どこへも行かないのは
もったいない、という気持ちは、この日の朝からくすぶり続けていました。
そんな時、おバカで貧民の私などが思いつく事と言えば
地元名古屋でも通いつめた「女装スナック」を訪れる事くらい。

やはり新宿。料金もリーズナブルで、趣味で女装する一般客の
気軽な遊び場として便利な、その手の酒場も集中しているのです。

日本で最も女装者が多い街。新宿にはそんな印象さえあります

ただ個人的には、この「女装者」という言い回しはあまりしっくりきません。
他に適切な呼び名が無いからそう呼ぶだけですが、私自身は別に
「女性を装っている」感覚が無いからです。

「心に合わせた装いをしてるだけ」で。女性の姿をする事は
自分らしく生きる証なんですね。うまく言えませんが

「週末の変身タイム」として女装を楽しむ方々とは、気持ちの上で一線が
引かれていると思います。
現に今は、スカートにもお化粧にも「変身感覚」は無いですもんね。
むしろ「日常着替え感覚」100%。
鏡を見た時の「あ、太ったかな」とか「また吹き出物だよ」なんて悩みの方が
はるかに重大だったりするんですよ


そういう意味でその手のスナックのお客さんは、言わば他山の石的印象。
女性の服を着てテンションが上がる方々には、不思議な感覚さえ覚えますが
そんな中、私のような生き方に目覚める方もいらっしゃるから侮れない
女装スナックを訪れるのも、そんな未来のお仲間に出会う為かもしれません。

で、今回も出発前に、自宅でホテル近くのお店の目星はつけていたんですが
昨夜は部活の打ち上げ、今夜は人と会う予定がありと、お店の賑わう夜は
スケジュールがいっぱい。ある種、嬉しい悲鳴とも言えますが
そんなわけで、昼間オープンのお店もラインナップに入れてありました。
さすが新宿ですね。飲食系のお店で昼間の需要があるというのも凄いです。
名古屋ではとても考えられません。うーむ羨ましい


場所を確かめてみれば、何と滞在中のホテルから歩いて5分の近距離。
位置は正確には新宿三丁目ですが、まさに願ったり叶ったりで。

今日の待ち合わせ、夕方5時の約束を前に、さっそく訪れてみたのでした。


「どうも~」「いらっしゃ~い」
初めて訪れたのに、この手のお店は地元で馴染みがあるせいか
なぜか昔から知っているような感覚。
壁に飾られた常連さんの艶姿も、こうしたお店に定番の風景です。
カウンターだけの小さなお店ですが、どこから見ても女性としか思えない
妙齢のママと、常連さん風の男性客二人がまったりと言葉を交わし
和やかな空気が流れています。

さすがに日曜日の午後3時。私みたいな方はいらっしゃいませんね。
ちょっと残念ですが、ママさんの美しさがそれを補って余りあります


「どちらからいらっしゃったの?」
「名古屋からです。ちょっとした集まりで」
「何の集まりで?」
「私、ヒーローオタクなものですから、そんな感じの集まりです。」
通称”謎のロシア人”のママさんに話の糸口を捕まれ、思わず白状する私。
まーオタクである事に後ろめたさは無いし。むしろ誇り高く行かないと

胸の流星マークを指差す私に
「それ、ウルトラ警備隊か何かのマークだよね」
と、いきなりマニアックな声をかけてきたのは、隣で飲んでいた50代の男性。
来た来た こんなお店にもお好きな方が


「惜しい!もう一声」なんてやりとりを繰り返すうち
「アイアンキング」の話題を経て、彼が文学系のSFファンである事が判明。
まさかこういうお店で、ハインラインの名前が出るとは思いませんでした
「スターログ」「アメージング・ストーリーズ」など、懐かしい雑誌の話題で
盛り上がっていると、もう一人の男性客も参戦。
「時々、有名アニメーションスタジオのプロデューサーも来るんだよ。」
やっぱりクリエイター関連の方々は、こういうお店もお好きなんでしょうか。
女装スナックでアニメの現場トーク。ある意味、ふさわしいとも言えますが


でも、こういうお店に集まる方々は、仲間意識的感覚があるのでしょうか。
ふらりと入った一見客の私に、何の抵抗もなく相手下さる皆さんには
非常に親近感を覚えました。

まーいらっしゃった男性客はすでに結構お酒が回っていましたから
他人とのハードルが低くなっていたのかもしれませんが
それでも私は本当に楽しかったのです。
「名古屋から来たの?俺は名古屋は嫌いだな。
反りの合わない上司が名古屋出身でさー。」

なーんて言いながらも、それが私を和ませる為だって分かるんですよ。

「ゴメンゴメン。でも名古屋の街は好きだよ」と、フォローもすかさず入ったり

「この近辺は女装スナックも多いんですか?」
「そうねえ。10軒以上はありますねえ。」
「でも、お昼から開いているお店は珍しいですね。」
「まあこれだけたくさんあるとね。お店ごとの特徴を出していかないと
なかなか生き残れないのよ。」

そんなママとのトークの中にも、この不況による痛手が深く感じられます。
「女装者って自分に合うお店を決めて、そのお店の常連になるじゃない。
だからなかなか、他のお店に流れないのよね。
だからその固定客が、お店の財産なのよ。」

うーんある意味、特殊な業種と思われていた女装飲食業も
一般のスナックと同じ競争を強いられているんですね。
やっぱり、楽なお仕事はありません。


「うちなんかはお昼からやってるでしょ。普通にランチメニューもあるし。
だから夜に女装するお客さんなんかも、昼間お仕事中に来ますよ。
今は女装できないけど、お店の雰囲気は味わいたいって。」

無線LANも完備。ワイシャツ姿でお店を訪れ、ランチを食べながら
パソコンでバリバリお仕事をこなす「変身前」のお客さんも居るとか。
もうこのお店は、昼夜問わず女装者の生活に溶け込んでいるんですね。
「パソコンならどこでやったって同じだものね。
会社もまさか、女装スナックで仕事してるとは思わないでしょうけど」

なんて笑うママの姿に、常連客への愛情を感じたりして


でもそうは言っても、やっぱり内なる「男」が出ることもあるようで
時々お客さんを集めて、旅行など大きなイベントも行うとの事ですが
そういう時の引率役は、本当に大変だそうです。

「結局参加者はみんな、ストレス解消に飲みたい人ばっかりじゃない。
もう出発からいきなり飲んでるのよ。
そんな百人以上の団体を、たった6人のスタッフで仕切るんだから。
酔いつぶれたお客を引っ張っていく時は
首根っこつかんで水ぶっかけてやるわよ。そん時は男だよね。
でもお客本人はベロベロに酔ってるから、そこまでやっても覚えてないのよ。
それだけが唯一の救い。」

うーむさすが。ママの妖艶な笑顔の裏には、そんな男気が潜んでいたのね


なーんて話題が展開しながら、日曜日の昼下がりは過ぎていくのでした。
この時私は、お昼のランチとウーロン茶一杯だけでしたが
実に一時間半近くも、こんなトークを楽しんでいたのです。

ファミレスに入っていたら、これほど充実した時間は過ごせなかったでしょう。
元来、野次馬気質の私ですが、こんな予期せぬ情報を得られるから
お店巡りはやめられないんですね


女性として生きる男性としての決意や生きざまを
そんな会話から感じる事もあります。
ママをはじめ、彼女ら歓楽街を懸命に生きる人々にとっては
そうした泣き笑いの一場面もすべてリアルな人生なんですね。
私もちょっと勇気付けられました。
「いざという時は、男を出してもいいんだな」なんて



「お相手頂いて、ありがとうございました。」
ママやお客さんらに挨拶して、お店を出たのが待ち合わせ時間の30分前、
夕方4時半。
昼間からの風はますます強くなり、ビル風となって道行く人を襲います。
お相手との待ち合わせ場所、アルタへと向かう私の後で
なにやら、人々のどよめきが起りました。

見れば、歩道に立っていたお店の看板が、ビル風で吹き飛ばされた様子。


この時、田舎者の私は思いました。
「東京の「何が起るかわからない感」は、人の数で増幅されているんだな。」
例えば、名古屋で同じ事態になっても、私は振り向かなかったと思います。
たとえ街の中心地と言えど、どよめきが起るほど人が歩いていないからです。
だからそもそも、看板が飛ばされた事に気がつかない。
つまり道幅に対する、歩行者の密度が低いという事なんですね。
ですから東京と名古屋で同じ事が起っても、人の反応の大きさが違う。
ちょっとした事でも「感情の衝撃波の大きさが段違い」という事なんでしょう。

都会と地方都市の差というのは、こういう所にも表れるものなんですね。


そんな事に妙に納得しながら、風に乱れるヘアスタイルを直しつつたどり着いたアルタ前。時刻は、午後4時50分。
今回の上京のもう一つの大目的、感動の対面シーンです。
しかもお互い初対面ですから、お相手は私の顔を知りません。
私の方と言えば・・・ お相手のお一人は、テレビでは存じ上げております
なんて盛り上がるシチュエーション。生き別れの兄妹の再会みたいな


そして待つこと10分。待ち合わせの時間となりました。
手にした携帯が鳴ります。
「今、どちらに?」
「アルタ横、丸の内線・新宿駅の入口に立ってます。」
「分かりました。ええ~と・・・」
受話器越しに聞こえるお相手の声は、やがてリアルな響きとなって
ついに目の前に。
そこに現れた二つの人影は・・・


つづく

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コメント

MIYUKIさま、こんにちは!

2丁目。様々な想いを持たれた方、
お酒、お食事や会話を楽しむ為に訪れる一般の方も、
普通に来る事が出来る不思議な街ですね。
いろいろな業界の方もくつろぐ為に
いらっしゃるのかもしれませんね。

少し離れた歌舞伎町ですが、
「ニューハーフショー」がコースに含まれた、
一般のお客様向け観光バスツアー(はとバス)もあるようです。
ひとつの文化として、とらえられていると思うと嬉しいです。
ショービジネス、おもてなしのプロのお姉様方には
私も心から敬意を感じます。


hikari様 新宿に宿を構え、初めて東京の女装街へ繰り出しましたが
昼間とはいえ、やはり噂にたがわぬ奥深さがありました

このジャンルの話題は、読者の皆さんにも抵抗がおありとは思いましたが
構えて記事にしました。
これもまぎれもなく、私の一部だからです。
ですからhikariさんにはコメント頂けて、本当に嬉しいです。

たとえ誤解を誘う身なりはしていても、皆さん自分のアイデンティティーを守る為
必死なんですよね。
そんな方々に、私も勇気付けられました。
一般の皆さんに不快感や誤解を与える事だけは避けなければなりませんが
そんな中、少しでも理解者が増えるよう、主張していきたいと思っています。
2丁目の皆さんはみんな、優しい方ばかりでしたよ。
お店スタッフ、お客さん共々、あまりに普通の対応だったので
ちょっと拍子抜けしてしまったくらいです。
でもそれが彼らの日常なんですよね。見習う点も多く感じました。

歌舞伎町の「ニューハーフショー」コースは、テレビなどでよく取材されていますね。
裏舞台などを知るにつれ、私も彼女たちに敬意を禁じ得ません。
その生き様を感じる為、一度は訪ねてみたいですが、観客のおばさま達の迫力に圧倒されそうで・・・
ちょっと覚悟が必要かも

>女装者

最近の若い男性諸君の中には、女装子(じょそこ)さんという分野があるそうで、なかなか綺麗な人が居ますねえ。まあ、中身は完全に男子な人が多いようですが。知り合いにも趣味でやってる友人が居ます。彼の場合はコスプレの延長のようなもんですが。

新宿勤務時代には二丁目には時々行きました。下手なキャバクラなんかより楽しませてくれますからね。大金叩いて、人の足元ばかり見ていてろくに接客も出来ないような女子の居るキャバクラよりも、お客を楽しませる術を知り尽くしているゲイバーで遊んだほうが余程有意義だと思いますよ。

私は何故かその方面の方々にモテたんですよねえ(笑)
そちらの方面の趣味は残念ながら全く持ち合わせていないので、言い寄ってくるヤツは片っ端から蹴飛ばしてましたが(笑)

雀坊。様 「女装子」という呼び名も、昔に比べかなり一般化してきたんですね
私がお仲間を求め、地元の女装スナックの扉を叩いた13年前から
その呼び名はすでにありました。
言わば言葉としての「女装子」は、そうしたマニアックな符丁が
表に出たものでしょう。
その呼び名はもはや定着し、やや生き方を異にする私も、お店では
「女装子」の一員と見られています。
まー明確な線引きはありませんので、私もそう呼ばれて楽しんでいますが

>大金叩いて、人の足元ばかり見ていてろくに接客も出来ないような女子の居る
キャバクラよりも、お客を楽しませる術を知り尽くしているゲイバーで遊んだほうが
余程有意義

これも、その手のお店に通う男性客が口を揃えておっしゃるご意見ですね
私も昔、お店勤めをしていた頃は、お客さんを退屈させない話題作りに必死になった
ものですが、キャバクラなどはちょっとコンセプトが違うんでしょうね。
どちらかと言えばビジュアル中心、会話を楽しむようなお店ではないのでしょう。
訪れた事がない私にはよくわかりませんが

>私は何故かその方面の方々にモテたんですよねえ(笑)

そうそう 「その方面好き」の男性タイプって、なぜかいらっしゃるんですよ。
雀坊。さんもそのお一人なんですね。いやー一度お会いしてみたいものです
まー「蹴飛ばされる」立場の私としては、やや複雑な心境でもありますが

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