アレンジ&クリエイト
今日は3月14日。もう春の声も聞かれるようになりました。
年を重ねるごとに、時の流れの体感速度は速まる一方です。
もー毎日があっという間で。早い早い
ついこの間、公園の桜を写真に撮ったばっかりと思っていたのに。
あれからもう一年近く経ったなんて、とても信じられません。
ボーっとしてると、時間なんてすぐに過ぎちゃいますねー
昨年から今年にかけては特に、それは速かったような気がします。
先日来お話している、例の『リトラを護れ!』の依頼が市川大河さんからあったのは
昨年の4月末ですから、今回の作品発表には、ほぼ一年越しの企画が
実を結んだという感慨もあるのです。
それと並んで、昨年から個人的に大きかったのが、これも何度もお話している
『宇宙船映像倶楽部』でした。
奇しくも雑誌『宇宙船』の復刊が昨年4月。そこで募集された新ヒーロー企画への
チャレンジ期間は、ほぼ『リトラ』の考案作業期間と重なっていたわけです。
両企画とも魅力的な上、めったにないチャンスだったので、これを逃す手は
あるまいと受けたのは良いのですが、それからは苦難の日々でした。
まー苦難と言っても好きな事ですから、嬉しい悲鳴だったんですが
私は一つに集中すると、他の事が見えなくなる不器用な性格なので
同時期に手掛けたその二つを並行してこなす事が出来なくて。
一つを終えたら次の一つという、非常に効率の悪い進め方でした。
正直に言えば、その軋轢は『リトラ』の方に大きくのしかかったと思います。
4月、7月、10月、1月の各発売日に開始される募集から締め切りまでの
ほぼ一ヶ月、合計四回の課題に対して集中しなければならない
『宇宙船』企画の合間を縫って『リトラ』を考え、手配するというスタンス
だったわけです。
勢い、時間配分は『宇宙船』企画に傾いてしまいますから、『リトラ』プロット考案、
台本考案はどうしても後回しになってしまい、市川さんには本当にご迷惑を
かけたと思います。
実際のところ、作品の提出時期は他の参加メンバーに比べ
私が一番遅かったんではないでしょうか。
それを初回作品に選んで下さった市川さんのご努力は、想像にかたくありません。
私は、クラスメートや先生を待たせる「光の国」学級の落ちこぼれだったんですね
それだけ迷惑をかけてあの内容ですから、もう立ち直れないほどのヘコみようで
いやーまだまだ勉強ですね。自分の身の程がよくわかりました
それでも『リトラ』発表は私の中で思い出に残る節目となったわけですが
今度は4月にまた新しい節目が待っています。
前述の『宇宙船』新ヒーロー企画の結果発表が、4月1日に迫っているのです。
これまで三回行われた発表の内、結果的に拙企画が掲載されたのは二回。
三回目は提出された企画全てが未掲載ですから、なかなか厳しい選考基準では
あります。
で、今回は前回の雪辱戦たる四回目。その結果が一つの節目なんですね。
確かに企画の採用、不採用に関わらず、倶楽部全体の活動を考えるのが部員たる
私のスタンスですが、『宇宙船』内で何度も告知されている「部活」の案内が
いっこうに届かない現状では、ただ応募企画の結果を待ち望む事くらいしか
出来ないのです。
正直、部活の告知だけで具体的な活動連絡がない状態がこれだけ続くと
部員間のモチベーションも下がる一方、決して良い方向ではないと思うのですが・・・
ひょっとして、連絡が来ていないのは私だけかな?
すでに私抜きで、部活は順調に進んでいるのかしらん。
そんな、あらぬ事まで考えてしまって
まーこんな事をここで言っても、仕方がありませんね。
雨宮部長、編集部の英断、今後の動向に期待したいものです。
さて。今回お話したいのはそういう事ではなく。
『リトラ』と『宇宙船』企画のチャレンジ姿勢の違いについてです。
両企画についてご存知の方はなんとなくお分かりと思いますが
この二つの企画、考えるスタンスとしては全く異なるものなんですよね。
その苦労は「ネヴュラ」でも何度もお話していますから、お察し頂けるかも
しれません。そういう意味で、この二つの企画を同時期に考える作業は
私にとって非常に刺激的なものでした。
『リトラを護れ!』の場合、これは完全に「設定遊び」なんですよね。
新しいヒーローの世界観を創造する『宇宙船』企画とは逆で
これはウルトラマンという作品の世界観を『守る』技術が必要です。。
ですからある意味、「ウルトラマン」という作品をどこまで深く咀嚼しているかが
鍵になります。
その作品だけが持つテーマ性や空気、メッセージ性なども
再現しなければならない。
「ウルトラマン」というパズルのピースを組みなおして
別の形を作るようなものです。
そこに作り手の「咀嚼力」が表れるわけで、そこをおろそかにしてしまうと
「これ、どのウルトラマンでも成立するストーリーぢゃん」
なんて印象が残ってしまいます。
実は『リトラ』に関しては、この印象を持たれることが一番怖かったんです。
だったらわざわざ、初代ウルトラマンの世界を選んだ意味がないですもんね。
ですから今回「これは初代ウルトラマンにありそうなエピソードだよねえ」
という感想を引き出すことが、私の一番の目標でした。
しかもそれに、ほんの小さじ一杯分の新解釈を隠し味に加えて。
そのさじ加減は非常に難しく、オリジナリティーと独りよがりの微妙な境目を
狙わなければならない。
新解釈をあまりに主張しすぎると、受け手は拒絶反応を起こしてしまいます。
まーそれであの出来ですから、私の力なんてたかが知れてますが
なぜそこまで、私が元作品の世界観にこだわるのかと言いますと。
それだけ、その世界観へのリスペクト度が高いという事でしょう。
大好きな作品の良い所を、私などの独りよがりで汚したくないという思いが強い。
そういう意味では『リトラ』に関しては、私はあくまで「アレンジャー」なんですよ。
以前、二次創作はガレージキットを作るようなものなんてお話もしましたが
どんなに優れた二次創作も、それが元作品の設定を借りたものである以上
その賛美は元設定の秀逸さを証明したに過ぎないんです。
もしありがたい事に『リトラ』に面白さを感じて下さったとしたら
もちろん市川大河さんの名特撮も確かな魅力なんですが
やはり大きいのは「ウルトラマン」という元作品の面白さなんですよ。
やっぱり、全ての原形を作った円谷スタッフへの賛美に落ち着くわけです。
逆に言えば、借り物の設定で物語を作る限り、どんな優れた二次創作も
元作品の面白さを超える事は出来ないような気がします。
やっぱり自分だけのオリジナリティー、自分が本当に主張したいテーマを
打ち出すには、借り物の世界観や設定ではダメなんですよね。
コピーはオリジナルを超えられない。これも一つの事実じゃないでしょうか。
私が『宇宙船映像倶楽部』に情熱を燃やす理由は、そんな所にもあるのかも。
どこかに後ろめたさが残る借り物設定よりも、自分を100%出せる
オリジナルにこだわりたいと。
ただ一つ、面白い発見もありました。
現在の全てのヒーロー像を否定する所から始まる新ヒーローの発想は
逆に今まで連綿と作り続けられてきたヒーローの世界観
設定を調べ直す所から始まるんですね。
単純に言えば「それらとカブっちゃいけない」わけですから
そういう「カブらない」という意味で、いかに新ヒーローと言えど
過去作品の影響を受けているわけですが、それは新設定を作り上げる上でのプラスの影響、コピーではありません。
石にかじりついても、真似しようとは思いませんし
ですから『宇宙船』企画に関する限り、私は完全に『クリエイター』の姿勢です。
『リトラ』の時とは真逆のエネルギーが、頭の中で渦巻いているわけです。
(渦巻くだけじゃダメですよね。外に出さないと)
以前もお話しましたが、今回提出したヒーロー企画、キャラクター設定は
これまで提出したどの案よりも、オリジナリティーが強いものです。
ぶっちゃけて言いますと。以前提出した企画は、提出から結果発表までの
どこかで「似た案」が見つかっちゃって、アタフタした経験が多くて
部員の皆さんならお分かりかもしれません。
ネットで、テレビで、レンタルDVD店で、提出作に酷似したタイトルやストーリーを目撃した時など、例えようのない焦りが襲ってきませんでしたか?
私なんて過去、そればっかりでした
ところがですね。今回だけは、その心配がないんですよ
これは決して自信じゃなくて、こんなおバカな事、誰も発想しないだろうという
開き直りから来るものなんですよね。
万が一カブる案が見つかったら、その発案者は常軌を逸しているとしか
思えません。それほどまでにおバカな企画なんです。
まさに飛び道具。好みもハッキリ分かれると思いますから
採用されるかどうかは、また次元の違うお話ですが。
でも何を見ようと、アタフタすることがなくなりました。
正直、すがすがしいほどの孤高ぶりです
不思議なんですよね。なぜここまで自分のオリジナリティーが出せたのか。
で、『リトラ』発表後の今、ちょっと考えたんですが。
これ、ひょっとしたら、『リトラ』の反動だったのかもしれないなーと
楽しい意味で「ウルトラマン」の作品世界に縛られ
アレンジャーとしての時間が続いたせいで
脳内のオリジナリティーに、ある種の圧縮作用が働いたんじゃないかと。
それが新企画へのモチベーションに繋がり
『リトラ』が自分の手を離れたと同時に、一気に爆発したのかもしれません。
才能の無い私の事ですから、ただの勢い企画みたいになっちゃいましたが
それでも今読み返しても、「なんだこりゃ」と笑うほどの個性派企画が
ものにできたのは、あの時期『リトラ』があったからこそかもしれないなー
なんて感慨も。
どんな企画もストーリーも人間が作るものですから、
そういうメンタル面って影響しますよね。面白いものです
「アレンジ」と「クリエイト」。この相反する発想の働きは
脳内で絶妙に影響しあっているのかもしれません。
その影響が良い結果を招いた例が、今回の『リトラ』と『宇宙船』企画だとしたら
そんなに嬉しい事もないのですが。
いずれにせよ、宇宙船企画の結果発表は4月1日。
先日の『リトラ』発表といい、この春はいつになく楽しい事が続きます。
作品内容がショボいところが、唯一にして最大のネックですが
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コメント
この記事へのコメントは終了しました。
突然ですが、はじめまして。hell-riderといいます。
『光の国の物語』を拝見しました。
「どこがどう」って具体的なことは他の方がコメントされているので置いといて…。
「こりゃイイもの観させてもらったなぁ。」というのが率直な感想です。
「あの『リトラを護れ!』を作った人はいったいどんな人なんだ?」
とりあえず一言「面白かったです。」と伝えたいと思いコメントさせていただきました。
投稿: hell-rider | 2009年3月15日 (日) 04時17分
hell-rider様 はじめまして

『リトラを護れ!』をご覧頂いて、ありがとうございました。
私の中のウルトラマン観が形になったものが、あの作品です。
その魅力のほとんどは、私のつたないシナリオ、カットワークを
見事に映像化して下さった市川大河氏の功績ですが
そんな中ほんの少しでも、ストーリーやメッセージ性に面白さを感じて頂ければ
これに勝る喜びはありません
まー私のおバカな内面は、このブログでよくお分かりと思います

創作への才能より作品への愛が先行する毎日ですが
よろしければいつでもお越し下さい。
『リトラ』は今のヒーロー作品への、私からのネタ振りでもあるのです。
どうぞこれからも、よろしくお願い致します
投稿: オタクイーン | 2009年3月15日 (日) 22時58分
はじめまして!福岡のきよプーと申します。
たまたま冬鬼さんのブログを見つけて、そのまま飛んで来ました。
実は私も122で仮初めにも部員の一人に入れて頂いたしょうもない者です。
これも何かの御縁。今後も仲良くして頂けたら嬉しく思います。
MIYUKIさんは相当こちら(笑)の方、造詣が深いようですね!『Q』とかも一応観てますが、語れるほど深くはないのでこの機会に今一度観直してみようかと思います。
それから(こっちが本題?)、『宇宙船映像倶楽部』採用2回は流石だと思います(お世辞とかじゃないですよ)。部長のコメントからもそれはよく分かります。私も毎回応募していて部長の意図がいまいち掴めなかったので、細かく細かく企画「書」を書いてしまっていて、求められているモノは「案」であったのだとやっと気付いたのですが…123では採用0という事で…
そういう意味からも、それをそう言われる前から気付いておられたのはやはり凄いなぁと本当に思います。
一応(じゃない!毎回全力で!)今回も応募しております。1日(こちらは2日ほど遅くなりますが)には結果も出るかと思います。楽しみでもあり、不安でもあり…
そして近々MIYUKIさんともお会いできるかと思うとそれも楽しみでもあり、不安(?)でもあり…少しでもこちら方面をご教授願えればと思います。
ではでは、「部活」でお会いしましょう!(いつなんだ?!連絡来てないですよね)
馴れ馴れしい挨拶ですみませんでした…
投稿: きよプー | 2009年3月30日 (月) 12時31分
きよプー様 はじめまして。ようこそいらっしゃいました

『宇宙船映像倶楽部』絡みでは、拙ブログにも多くの部員さんが
お越しになっています。
きよプーさんも部員仲間のお一人ですね。
場末のヘタレブログですが、どうぞこれからもよろしくお願い致します
年のせいか、私は『Q』と『初代ウルトラマン』への思い入れが強く、

記事もついそちらの方面に偏ってしまいます。
造詣が深いというよりも、愛と思い入れが先走ってしまうんですね。
ですから時々思いが暴走し、お仲間からも呆れられております
まー気ままに話しているだけですから、どうぞお気になさらず
『宇宙船』vol.122にてきよプーさんの『映像倶楽部』掲載作も拝見しました。


文字が小さい上、部長の講評のみの判断ですが、なかなか面白そうな企画ですね。
拙作なんてまぐれで掲載されたようなものですから、
皆さんのオリジナリティーと較べればお恥ずかしい限りで
でもおっしゃる通り、企画「書」と企画「案」の違いって難しいですよね。
ここ数回の部長の説明により、「案」とは「書」の素案、
プレゼン用のセールストークを除いた物という解釈に至りました。
ですから徹底的に言葉を選び、ただ分かりやすい事だけを目指したような気もします。
その戦略が吉と出るか凶と出るかは、明後日発売のvol.124で
明らかになるわけですが。あー怖い
でも、そういうワクワク感こそが、部員だけに与えられた素晴らしい特権なんですよね。
お互い、提出作の評価ほど気になるものは無いですもんね
期待と不安をないまぜにしながら、発表を待ちたいと思います。
確かに「部活」の連絡は、私の元にも届いていません

これが非常にやきもきする所ですが、それもvol.124で何らかの動きがあるでしょう。
部活でお会いできるといいですね
拙ブログへも、いつでもお越し下さい。
楽しい意見交換が出来れば、これに勝る喜びはありません
投稿: オタクイーン | 2009年3月30日 (月) 19時52分