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2009年1月 3日 (土)

哀愁のあかね雲

ついにと言うかやっとと言うか。ファンには微妙な再開ですが。
必殺シリーズ最新作『必殺仕事人2009』が、明日から始まりますね。
明日のスペシャルドラマに続き、9日からはレギュラー放送も。


詳しくはこちらまで。

必殺仕事人2009公式HP

http://hissatsu2009.asahi.co.jp/spdrama.html

一昨年の7月に放送されたスペシャルドラマ『必殺仕事人2007』の好評を受け、朝日放送が満を持して放つ21世紀の必殺に、期待と不安がない交ぜになっていますcoldsweats01

「仕事人2007」については放送直後、「ネヴュラ」でも感想などお話しておりますので、そちらをご覧頂ければ、私のスタンスがお分かり頂けるかもしれません。

2007年7月8日(日)『右手の刃が鈍る訳』
http://spectre-nebura.cocolog-nifty.com/cultnight/2007/07/post_eeb5.html

で、まあ、私はコテコテの旧必殺ファンなのですがhappy01 
前述の『2007』がそれなりに楽しめた理由は、ストーリーやキャラクターの配置よりも、旧作へのリスペクトや一枚絵のクォリティーが大きかったりする訳です。
現代劇・時代劇を含め、現在制作されているテレビドラマの中で、あれほど「闇の表現」にこだわった映像は、そうそう見られるものじゃありません。
さすがシリーズ初作『仕掛人』から、テレビではある種ご法度だった陰影の現出に重きを置いたカメラ・石原興氏の意地。今回の新作でもメガホンを取った石原氏の事ですから、またまた深みある映像で酔わせてくれるでしょう。

当然ながらまだ未見ですので、映像のクォリティーへの期待のみに終始してしまうところが歯がゆかったりするのですがcoldsweats01 他の部分への期待が億劫になってしまう理由はやっぱり、かつて必殺シリーズが持っていたピカレスクロマン、ハードボイルド的テイストが現代に於いて受け入れられない事情も分かっているからです。
言い切ってしまいますが、テレビ(特に地上波)はもはや、視聴層・視聴姿勢が昔と大きく変わっている。これは作り手として肌で感じる事です。


確かに今、初期必殺を再放送などすれば、それなりに視聴率も伸びるとは思うんですよ。ところがその「視聴率の理由」が違う。
以前ならそのドラマ性やキャラクターの深み、世界観に対し、視聴者は反応したんですが、今はもっと即物的な理由、「一時間のストーリーを追いながらドラマを味わう」と言うよりは、その瞬間に画面に映っているタレントのカッコ良さ、仕草やセリフに反応する訳です。
ドラマの流れではなく、一枚絵としての美しさ、クォリティーが人気に繋がる。連続ドラマ一本あたりの話数、芸人さんのギャグの所要秒数が年々短くなっている現象と似ていますね。
この視聴者の嗜好はやっぱり、現代人のライフスタイルと切り離せないと思います。要は今の人は、結末が分かっているドラマの為に、ブラウン管の前に一時間も座っているほど暇じゃない、という事なんでしょうね。


それならいっそ割り切って、必殺だって殺しのシーンだけを流す「必殺ファイト」的発想もあるんでしょうが、さすがにそこまで思い切った事は製作陣も二の足を踏むのでしょう。一応ラストの殺しに着地させる為の理由付けという意味で、それまでの40分が作られるという事ですね。
そこまで言ってしまっては身もフタもありませんがcoldsweats01 こと1980年代以降の「仕事人」シリーズは、現代人の嗜好を先取りしたかのようなこの作劇法が顕著になった事は否めません。

研究本などで見かける『「仕事人」からはバラエティー的作劇』『それは時代の要請』といった記述も個人的には非常に納得できます。
ファン大方の見解である『新・仕置人』までの旧必殺シリーズを「ドラマ」とするなら、80年代にブームを巻き起こした『仕事人』シリーズは「キャラクターショー」なのです。
制作側の思惑が変わっているのですから、ファンの好みが二分されるのも当然ですよね。


確かに旧必殺ファンにとって、80年代の仕事人ブームから受けた余波は計り知れないものがありました。受難の日々と言ってもいいでしょうcoldsweats01
「簪を回す、三味線の糸を口で引っ張る」というアクションが必殺のトレードマークになってしまったことで、あの念仏の鉄の「指鳴らし」や石屋の大吉の「クルミ割り」、知らぬ顔の半兵衛の「首手ぬぐい当て」などが、時代遅れの歌謡曲のように忘却の彼方へ追いやられてしまったのですから。
鉄サマに心酔して映像業界を目指した私など、この状況は非常に辛いものがありましたね。まるで隠れキリシタンのごとく、人目を忍んで背骨折りアクションの「素振り」に明け暮れたものです(ウソですがcoldsweats01


まあ今考えれば、あの頃のブームによって仕事人というブランドが確立され、今もこうして新作が作られるわけですから、耐え忍んだ旧必殺ファンの苦労も無駄ではなかったという事で。(うーん上から目線ですみませんcoldsweats01

でも個人的に、一昨年の『仕事人2007』に不満があったり今回の新作に不安を覚えるのは、その頃の心のしこりが残っているからなんでしょうね。
心の中でどんなに「必殺はそんなに軽くない!ルールとモラルの狭間でもがく人間のドラマなんだ!」と叫んでも、眼前に展開する映像は「カタルシスのみの時代劇ヒーローアクション」。
若くない私には、そのギャップを埋める心の弾力はもうありませんhappy01
新作を及び腰で見てしまうのは、あまりにも変容した必殺を受け止める気持ちの余裕が無いから。
これは必殺ではないと自分に予防線を張っておきたいからなのかも。


ともあれ、見てみなければ何も語れませんね。明日のスペシャルドラマ、9日からのレギュラー放送共に、現代の必殺を刮目して見ようと思います。

とはいえ、往年の仕事師の勇姿もご覧頂きたいのが、旧作ファンの願い。
ちょっと長めですが、二作ほど載せてみました。
お時間ある方はご覧下さい。


『新・仕置人』はもちろん鉄サマlovely



意外にも八丁掘の旦那は、『仕置屋稼業』が好きだったりしますhappy01

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「必殺シリーズ」カテゴリの記事

コメント

こんばんわ。
実は昨晩、2009のCMを見た時に
何を思いたったのか、
「仕業人」の1話を観返してました。
もう何度も視聴してるのに
全く飽きないのです、このエピソード。

「お尋ね者と万引き女じゃ、
この江戸も住みにくいぜ。」
この回の主水は何でこんなにカッコイイんだ。

投稿: ジャリゴン | 2009年1月 4日 (日) 02時57分

遂に新作の登場ですね!

私は、必殺は前後期とも好きなんですが、
見るポイント・スタンスが違いますね~~。

前期は、ドラマ(の為のキャラクター)を楽しみ、
後期は、キャラクター(の為のドラマ)を楽しむと言った感じです。

今日は大晦日出勤の代休なので、
昼の吉本コメディー「湯煙パラダイス」に、三田村氏が秀そのまんま(簪で悪党を仕置き!)で登場したり……今やってる番宣番組では、メイキングシーンをいろいろやってます。

過度な期待はしない。
でも、必要以上に貶す事もしない。
ポジティブな姿勢で楽しもうと思ってます。

投稿: 都の商売人 | 2009年1月 4日 (日) 16時53分

こんにちわ!
オタクイーンさんのおっしゃる通りで、僕みたいに深くは知らない者にとっては必殺=仕事人のイメージが強いです。
村上弘明さんや京本正樹さんが出てるシリーズが1番身近です。
でも何十年もの間愛され続け、今なお続編が作られるのって本当にすごいですよね。
後、これは全く関係のない質問なのですが、オタクイーンさんのように映像業界に入られた後からCGなどの専門的な映像技術について学ぶことはできますか?
そろそろ本格的に進路を決める時期なのですが、まだ何も決まっていなくて・・・
アドバイスよろしくお願いします。

投稿: アラ | 2009年1月 4日 (日) 19時01分

ジャリゴン様 「仕業人」は私も大好きなシリーズです。
”堕ちる所まで堕ちた”中村主水が見せる壮絶なまでの意地。
「俺たちゃおめえ、人様の命頂戴して金稼いでる悪党だ」のセリフに見られる
末路を見極めた男の迫力が、見る者を魅了しますね。
あの明日のない、したたかな男の生き様が
新シリーズにどこまで活かされているのか。
そう考えてしまうのが、旧作ファンの悲しい性でもありますがhappy01

投稿: オタクイーン | 2009年1月 4日 (日) 20時19分

都の商売人様 いよいよ始まりますねーhappy01
まあ色々な思いを抱えながらも、新作が作られるのは嬉しいものです。

「ドラマの為のキャラクター、キャラクターの為のドラマ」という表現はまさに言いえて妙ですね。確かにその通りで、そこに優劣は無いんですよね。どちらも正しい方法論と思います。
後は好みだけなんですが、その好みのハードルが高いのも事実でcoldsweats01

ともあれ現在、放送開始まであと15分。
いずれ感想などもアップしますので、また笑ってやって下さいhappy01

投稿: オタクイーン | 2009年1月 4日 (日) 20時46分

アラ様 やっぱり必殺も長いシリーズなので、見る作品によって受けるイメージは違いますね。
その人気の影には、絶えず変革、進化を続けるスタッフの意識があるのでしょう。
それが視聴者の好みと一致するかどうかは別、というところが難しいんですがcoldsweats01

さて。ご質問の件ですが、これは実は、映像業界を目指す方々から受ける質問の中で最も多いものなんです。

映像作品をオーケストラの演奏に例えると、私が手掛けるディレクターという職種は言わば指揮者のポジション。カメラマンや音声マン等のスタッフ、出演者などは言わば各楽器の演奏者に当たります。
指揮者は指揮棒を振りながら、演奏者の力量や楽器の特徴を見極め、自分の目指すテイストの曲を作り上げていくわけです。

楽器一つ一つの演奏に別々の才能が必要とされるように、映像業界の各職種も一つ一つが独立したエキスパートの集まりなんですね。
しかもその専門技術は、業界入りしてから習得できるものと、やはり専門学校などの勉強が必要なものなど千差万別です。
ですからまず、自分が映像業界の中でどんな職種を目指しているのかを見極める事、決めることが必要ですね。
そこが決まらないと、その後の指針が見えにくくなってきます。

ちなみにCG分野ですと、私の少ない経験から言えばまず、専門学校で知識を習得してから業界入りしたスタッフが周りには多いようです。
ただこれもあくまで一例にすぎません。私の無責任な意見で、アラさんの進路に影響を与える事などとても出来ませんからcoldsweats01
アドバイス以前、ほんの参考意見程度に留められた方が良いかと思います。
業界人の生き方、業界入りの方法は人それぞれ。
やはり最終的にはアラさんの情報収集能力、目指す職種へのモチベーションが決め手と思いますhappy01

何しろこの業界ほど、マニュアル通りの生き方を嫌う人種が集まる所もありませんから。
アラさんも業界の現状を目にしたら、まず間違いなく強烈なカルチャーショックを受けられると思いますよhappy01

ともあれ、若い方々が映像に興味を持たれるのは嬉しいものです。アラさんも頑張って下さい。
ロケ現場でお会いできれば、これほど嬉しい事はありませんhappy01

投稿: オタクイーン | 2009年1月 4日 (日) 21時25分

ありがとうございます!
大それた話ですが将来は映画監督になりたいと考えています。
オタクイーンさんが説明して下さった中では『ディレクター』が1番近いのでしょうか?
CGについては僕の好きな監督の方々は皆さん『CGを使えると大きな武器になる』というような事をおっしゃっていたので興味を持ったのですが、今、その監督の方々の経歴を調べるとやはり皆さん専門学校出身の方が多いようです。
オタクイーンさんに説明していただいて、映像関係の仕事に就きたいという気持ちがますます高まってきました。ありがとうございます!

投稿: アラ | 2009年1月 4日 (日) 22時23分

アラ様 そうですか。映画監督とは素晴らしい目標ですねhappy01
私もディレクターを目指した理由は、アラさんと同じく「自分の作品を作りたい」という思いでした。
やっぱりいいものですよ。テレビとスクリーンの差はあっても、自分の名前がクレジットされる瞬間は、お仕事を超えた至福の瞬間です。
(視聴者のクレームが来ないか、心配が始まる瞬間でもありますがcoldsweats01

毎回毎回、苦労しながらも自分の努力が「作品」という形に残る事。
それこそが、監督という職業の一番の利点、良いところだと思います。
頑張って下さいねhappy01

投稿: オタクイーン | 2009年1月 4日 (日) 23時54分

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