2019年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        

ネヴュラ・プライベートライン

無料ブログはココログ

« 山頂はまだ遠く | トップページ | 予告と云えば云うも良し »

2009年1月11日 (日)

上正は諦めない

前回のお話『山頂はまだ遠く』に、けっこうなアクセスが集まりまして。
人気ブロガー諸氏には鼻で笑われるでしょうが、「ネヴュラ」のような場末のブログにしてみれば、まあビックリの数で
この場をお借りしてお礼申し上げます。ありがとうございました


このアクセス集中の理由は、とりも直さず例の『宇宙船映像倶楽部』の動向に加え、「オタクイーンの奴、今度こそボツだな」なんてご興味を持たれた方によるものと推測します。
実際、前述の記事と同時に、カテゴリー「宇宙船映像倶楽部」全体へのアクセスも増えました。いかに皆さんが、この読者参加企画に注目されているかが分かります。

まあご存知の通り、プロット部門は掲載作なしという結果になっちゃって。
私もボツ組の一人として、頭を掻きながら皆さんの前で苦笑いを浮かべているわけですが(皆さんの失笑が目に浮かぶようで

で、今回のアクセス集中について、もう一つ考えた事がありました。
このアクセス、検索の偏り方から見て、そこまで「宇宙船映像倶楽部」にご興味がおありという事は、検索された方の中には以前、プロットもしくはデザイン部門に応募され、残念ながら敗退した方、または今後、応募を考えられている方がいらっしゃるんじゃないかと。
これは大変嬉しい事ですね。えてしてこういう応募形式は、回を重ねるごとに応募者が固定され、常連と新人さんのキャリア差が開いてしまうという難点があります。
そうなる事によって部が「閉じた世界」になってしまい、新しい才能の発掘が難しくなってくる訳です。
部長もおそらくそこを懸念され、引き続き募集を続けているという訳ですね。


よく思うんですが、例えば一度敗退された方だって、まだまだ新発想を生み出す力はあると思うんですよ。
何より、最初に「応募しよう」「現状のヒーローに不満がある」「こんなヒーローを見てみたい」というモチベーションがあったわけですよね。
その勢いがあっただけでも素晴らしいと。


世の中には今も、他人の作品を批判するばかりで、それなら貴方の理想の作品はあるの?と問いかけてみれば平気で「それは作り手のお仕事」と勝手に線引きをする人が多いです。
でも考えてみれば、今、ヒーロー作品を作っているクリエイター達の年齢は、すでに「批判する側」である自称評論家と同じ世代、またははるか下なんですね。
現在のヒーロー作品を楽しんでいらっしゃる方、不満があっても心の内に留める方はともかく、批判ばかり口にされる方は、作品を貶める割には「ヒーロー愛好者として、作品を作る同世代や後輩に、現状を打破する発想の指南も出来ない」という事になる訳です。
これって、ずいぶん恥ずかしい事じゃありませんか?

作品を批判するからにはそれなりの責任が、つまり代案なり、新作の腹案なりがなければフェアじゃないような気がするのですが、それは考えすぎでしょうか?


実は私もその事は常に頭の中にあって、それが企画発案へのモチベーションにも繋がっているんですが、前述の「敗退されたかもしれない方」や「ちょっと募集に興味がある方」は、そこを何とかしたいという気概があるだけ、同世代や後輩に胸を張ることができるんじゃないかと思うわけです。

で、惜しくも掲載、入部に至らなかった方々は、ひょっとして「自分の作品が雨宮部長に受け入れられなかった」「自分と部の方向性が違う」などの思い、または敗北感に包まれ、それでも部の動向を知りたくて、検索をされているかもしれないと。
実はですね。その思いって、ちょっと考え方を変えれば、ものすごく高いモチベーションになるんですよ。
今回は私もボツ組の一人ですから、それは自分にも言い聞かせていますが。



「ネヴュラ」常連のネタとしておなじみのウルトラ関係アイテムに、「ウルトラマン誕生40年の軌跡 ウルトラマン伝説展」というDVDがあります。
以前にもご紹介したこのDVD、2006年に川崎市の岡本太郎美術館で開催された「ウルトラマン伝説展」に寄せて、当時のキャスト・スタッフが制作当時を振り返るという内容なのですが、その中で脚本家の上原正三さんが、こんな逸話を語っています。


上原氏は当時、自らが書いた台本を円谷一監督に見せたそうですが、監督はそれをチラリと見ただけで「これはもう一稿ですね」と言われたそうです。
つまり書き直しですね。で、書き直して持っていくと「もう一稿」。

それを繰り返すこと三~四回。さすがに手詰まりになった上原氏、最初に見せた原稿をほんのちょっと直しただけで持っていくと、一氏は「これ、いいじゃない。」と。
拍子抜けした上原氏でしたが、その時持たれた印象は
「(自分は円谷一氏に)コイツはどこまで食いついて来るんだろうと、試されたのかな、という気もしないでもない」という事だったそうです。


ウルトラならではの伝説と持ち上げられ、勝手に神格化されがちなこの手のエピソードですが、実はこれ、テレビ制作の現場ではよくある事なんですよ。
正直言って、企画書や台本が、提出された最初の形のまま作品化されるなんて事は、ほぼ100%ありません。これは断言していいです。
企画書や企画案なんてものは、あくまで作品の叩き台なんです。


「こんなヒーローを考えてみたんですけど」程度の発想が相手に伝われば充分。
そこから予算や営業上の戦略、現場の事情などが様々に加味され、企画は形になっていくわけです。
その素案は、絵画に例えればデッサンのようなものと言えましょう。


私も番組の企画会議は何度も経験しましたが、そこで出る議題は「この企画を実情に即したものにするにはどうすれば良いか」というものが多い。
つまり、企画案は最初から不完全なもの。変えられ、ブラッシュアップされる事が前提となっているんですよ。
もちろん発案者は、会議の動向によっては書き直しの嵐です。

だから最初は、不完全で充分なんです。大事なのは企画書の体裁や理論武装ではなく、原石のようなアイデアが盛り込まれていること、そして、それが相手にわかりやすく伝わっているかという事。
で、これが最も大事かもしれないんですが。
「言い続ける事」「食い下がる事」です。


例えば貴方が「こんなヒーロー作品を作りたい」と思ったとしましょう。でも残念ながら、「宇宙船映像倶楽部」最初の応募では、惜しくも掲載には至らなかったと。
しかしながらどうしても、このアイデアは捨てるに忍びない。
貴方としては一生に一度のアイデア。ずっと温めていた企画だった。
だったら。手を変え品を変え、その企画を応募し続ければいいんですよ。
しつこくしぶとく、粘り強く。雨宮部長が呆れるくらい。


前述の上原氏のお話に限らず、企画者にとってこの姿勢は不変と思います。
ウルトラシリーズに限らず、プロダクションが局に提出する企画書などは、研究本などで随分露出されていますから、初期の企画書と出来上がった作品に顕著な差がある事が多いのは、ファンの方ならよくご存知でしょう。
でも、企画の変遷を細かく追っていけば、骨子となる要素がすでに最初の企画書の中に盛り込まれている事はよくお分かりと思います。


「ウルトラマン」を例にとれば、その企画の最大のエポックである「巨大怪獣と正義のベムが戦う」というアイデアの原石は、すでに初期企画書「科学特捜隊ベムラー」の中で語られているわけです。
後年それを目にして「ウルトラマンは最初、怪獣だった」と喜んでいる内は、まだクイズバラエティーでその程度の知識に驚く一般視聴者レベルなんです。
そのビジュアルの特異性に惑わされてはいけません。

すでに最初の時点で、「ウルトラマン」の軸はずれていない。
企画者たるもの、そこに注目しなければいけないと思います。

「仮面ライダー」だって同じですよね。初期企画書「マスクマンK」の段階で、すでに主人公は仮面を着用、敵に立ち向かうという骨子が出来上がっている。
後々、設定やビジュアルはどう変わっても、軸はずれていないんです。


これはどういう事なのか。つまりこれは、企画者が「こういう事をやりたいんだ」という情熱を貫き通した結果ではないでしょうか。
そこが変わってしまっては、企画そのものが変わってしまう。
それは企画者の本意ではないという強い意思。
その意思、情熱こそが大事なんです。


自分が応募した企画が通らなかったなら、自分の言いたい事を変えずに、どうリニューアルすれば受け入れられるかを考える。
応募してしばらく経ってみると、意外に設定の無理や、舌足らずなところが見えてくるものです。部員の皆さんがコメントなどでおっしゃる「送った後に企画の穴が」「見れば見るほど欠点が」という感覚は、応募後の冷静な視点から来る物なのです。
書いている時は余裕がないので、その欠点が見つからないんですよ。
それは私も同じです。今でも、送った企画案を書き直したくて仕方がありません


ですから、敗退された方々がこの記事をご覧になっていたら、ひょっとすると今、かつて送った自作を冷静な観点で読み返す事で、あるいは新しい発想が湧いてくるかも知れないんですよ。
確かに、自分の企画は可愛いものです。受け入れられないのが不思議で仕方が無い。そんなお気持ちもよく分かります。もう痛いほど
でも、書いていた時はノッていたわけでしょ?
新しいヒーローを生み出そうと、理想に燃えていたわけですよね。
貴方のその情熱は、一回のボツぐらいで消えるものだったのでしょうか?
一回程度のボツで折れるほど、その発想は弱いものだったのでしょうか?
もし、そうじゃないんだったら、もっと食い下がればいいんじゃないかと。


「この企画はこれで完結しているから」なんて言葉は、書いていた当時の自分を超えられない事への言いわけですよ。第一、その企画に対して失礼です。
本当に企画が可愛いなら、何とかしてそれを活かす方法を考える。

ただ決して、そのまま同じ物を送るという事じゃないですよ。
要らない要素を洗い出し新しい要素を加え、思考の足し算引き算、掛け算から因数分解、果ては化学変化まで考慮して、アイデアを変革させる努力が必要です。
ちょうど「ベムラー」が、「レッドマン」を経て「ウルトラマン」になったように。
そこが何より難しい事、それが出来れば苦労はしないという事だって、よく分かっています。私もかつてそれに悩み、眠れぬ夜を何度過ごしたことか
でもそれが企画者の姿勢であり、雨宮部長だって円谷一監督のように「どこまで食いついてくるんだろう」と、その根性を試しているに違いないのですから。
今号の総評にある『懲りずに送ってきてください』という言葉に、その姿勢が何よりも表れていると思うのですが。


確かに、今回ボツの私が言う事ですから、説得力も何もあったものじゃありませんが。でもあの上原正三氏だって、最初は四回も書き直したんですよ。
たかが一回程度のボツなんて、蚊に刺されたようなもの。
上原氏はこうも語っています。
「(円谷一監督は原稿に対して)どこをどうしろってのは一切言わないんですよね。」

これもよく分かります。そこを言ってしまっては終わりなんです。
もう提出者の企画じゃなくなってしまう。
第一、そこが簡単に見つかるようなら、すでに募集側が実践しています。
その「どこをどうする」を、募集側も期待しているわけです。


だから、敗退された方の企画は決して「全部ダメ」じゃないんですよ。
「どこをどうしろってのは分からないけど、どこかを変えれば光るかも」というレベルなんです。それはきっと、モンスターデザインだって同じと思います。
「宇宙船映像倶楽部」という言葉に少しでも未練があるなら、その動向に興味があって検索される方なら、まだ諦めないで欲しいんです。
その思いは、今回ボツだった私への自戒も含めています。
いささかおせっかいで申し訳ありませんが、倶楽部が「閉じた世界」になる前に、もう一度チャレンジへのモチベーションをと。
もちろん今回初参戦の方、また新企画で挑戦という方も応援しますよ。
正直、スタートラインという意味では、私も皆さんと同じですからね。
また締め切りに向かって疾走するだけです


暑苦しいお話で申し訳ありませんが、寒さ厳しい折ですからこういうのもいいかと
こんなお話が出来るのも、まさに今が企画・デザインの募集期間中だからです。
考えてみると、この募集期間というのは非常に貴重な時間ですよね。
毎回「宇宙船」発売日からほぼ一ヶ月間。
頭をヒネりながらも楽しんでいられるのは、この一ヶ月しかないのですから。

で、締め切り後、結果発表までの約二ヶ月間は、手も足も出ないわけです。
ですから今日のお話だって、今でなければ出来ないんですよ。
新人も応募経験者の再チャレンジも、現実的なチャンスは今だけ。

編集部の事情は窺い知れませんが、今回の募集が最後でない保証なんてどこにもないんですから。


「そりゃそうだ」なんて腰を上げた貴方、貴方はもう立派なチャレンジャーです。
私は拍手を贈って、共に頑張りたいと思います。
今回の応募締め切りは2月6日(金)。
決して編集部の回し者じゃありませんが 応募要項など詳しい事は「宇宙船vol.123」本誌内をご覧下さい。



下記は公式HPですが、「映像倶楽部」の案内はありませんのでご注意を
http://www.hobbyjapan.co.jp/uchusen/


最後に。ちょっと秘密ですが、実は今日、あるアイデアのヒントを掴みました。
これは今まで、見た事もないヒーロー企画。
かなりの飛び道具かもしれません。
さて。このアイデアが形に出来るかどうか。
私はしつこく食い下がりますよ。あの上原氏の、大きな目を想いながら

にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ

« 山頂はまだ遠く | トップページ | 予告と云えば云うも良し »

宇宙船映像倶楽部」カテゴリの記事

コメント

こんにちは!
今日のオタクイーンさんの日記を読まず、今回応募する企画案がボツになっていたら、僕は来季号には全く違う案を応募したと思います。 でも、今は『食い下がる』ことの大切さが理解出来たような気がします。
僕は正義にこだわったヒーローを作ろうと考えています。 今回はボツになったとしても、諦めず何度でも挑戦しようと思います!
『宇宙船映像倶楽部』の要項に『プロフィール』とあったのですが、僕のような高校生の場合、学校名くらいでいいのでしょうか。それとも、好きな特撮番組など書くべきでしょうか。全く関係のない質問で恐縮ですがよろしくお願いします。

アラ様 私など実力もありませんから、今回の記事もあまり自信はありませんが、何事もやる気、粘り強さは大事だと思います。
そこを分かっていただければ、きっとアラさんもくじけなくなると思いますよ

「正義」にこだわるのは非常に良い事ですね。
以前私も記事上で、正義の定義についてお仲間にご意見を募った事があります。
結論は出ませんでしたが、正義について自分なりに考える事、それが重要なんですよ。
その行程があるかないかで、企画の深みはまるで違ってくると思います

お尋ねの件ですが、プロフィールに学校名を書くかどうかは私にもちょっと分かりません。
何しろ身近に、そういうケースがなかったもので
それはアラさんがご判断下さい。
ただその後の「好きな特撮作品」。これは非常に重要です。
むしろ学校名より、そちらの方が重要。
アラさんのような若い応募者の場合、その世代がどんな作品を好むのか、何に影響を受けてきたかは、部長も最も知りたいところでしょうから、それは是非書くべきでしょうね

参考にならなくてすみません。ともあれ、締め切りまで実質三週間ちょっと。
おいおい、産みの苦しみなどは記事にも上げますから、悩んでいるのは一人じゃないと思って頑張って下さいね

ありがとうございます!
後三週間・・・めちゃくちゃ短く感じてきました。
頑張ります。よろしくお願いします!

アラ様 ホントですよねー
「後三週間」って書いて、書いた私も焦ってましたから
でも人間、締め切りがあるから頑張れるのかもしれません。
一緒に頑張りましょう。寒いですから風邪などに気をつけて下さいね

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 上正は諦めない:

« 山頂はまだ遠く | トップページ | 予告と云えば云うも良し »