特撮文化遺産
先日の入手後、「ネヴュラ」でも小出しにご紹介している、「円谷倉庫」。
あちこちのブログでも、ちらほら拝見するようになりました。
発売前から注目はしていたんですが、こうやって実物を見ると、改めてフィギュアブームもここまできたかと、ある種の感慨を覚えますね
だってこれ、特撮プロップのフィギュアですよ。言わばミニチュアのミニチュア。
こうなってくるともう、次はギニョールのフィギュアとか特撮スタジオのジオラマなんて世界に進まざるをえないぢゃないのなんて、あらぬ心配までしてしまいますが
ともあれ、こういう品が大人のコレクションとして認められる事は歓迎したいと思います。今日は文化の日でもありますし。
今回は日本特撮の文化遺産とも言えるこのフィギュアを、もうちょっとご覧頂きましょう。
まずはこれ、先日もチラリとお見せした「ウルトラマン変身パースモデル」。
上からみれば、おなじみのあのポーズですね。
パースモデルなので、当然、他の角度から見るとおかしなバランスとなります。拳が顔よりも大きいんですよ
ウルトラマンのフィギュアはそれこそ星の数ほどありますが、さすがにこのプロップの立体化は珍しいです。
オリジナルプロップの特徴、直線風な両目の上辺に加え、カラータイマーが無いところもしっかり再現されています。
解説書には、ラフな表面の質感まで意図的に再現なんて書いてある。すごいですねー。
実はこのモデル、ダブリが一番多いアイテムだそうで。ショップでも破格の安さでした。それならと私は今、変身パース軍団の編成を画策中。
部屋にこれがズラリと並ぶ日も近いでしょう
次はこれ。レッドキング、アボラスコンパチモデル。
レッドキングカラー、アボラスカラーの二種がラインナップされています。
レッドキングは二代目が好きなので、この二代目カラーは嬉しい限り。
まー頭部は両方付いているし、アボラスにも変身させられるのでお得ですね。
(怪獣にお得と言うのもなんですが )
このフィギュアのすごい所は、「金色のアボラス、青いレッドキング」が作れちゃう事で。
しかもさらにビックリなのは、金色頭、蒼い体のツートンレッドキング・・・
(誰か止めて下さい)
それだけ遊び甲斐があるフィギュアなんですねー。
本来の製作意図からはまったく外れてますが
お仲間の自由人大佐様をして「デットンの腐乱死体」と言わしめた
「テレスドン保管バージョンモデル」。別角度から全身を撮ってみました。
円谷プロ本社の旧社屋時代、一度だけ個人的に怪獣倉庫を見学した事がありまして。このフィギュアは、まさにその時の印象そのまま。
件の倉庫、テレビの取材VTRなどでは明るく見えますが、それは照明スタッフのご苦労の賜物で
実際はかなり暗いんですよ。倉庫ですから。
なので、このフィギュアで再現されている柱文字なんか全然判別できませんでした。
お邪魔したのは’80年代だったので、怪獣もアトラク用のものばかり。
確か倉庫前の駐車場に、謎の青い怪獣がうつ伏せに倒れていましたねー。
あれはきっとアトラク後、タップリ吸い込んだスーツアクターの汗を乾かしていたんでしょーねー。真夏だったし。
海岸に打ち上げられた鮫の亡骸みたいで、ちょっと不気味でした
ウルトラセブンの「宇宙ステーションV3」と「ペガッサシティ」のセット。
セブンビギナーの私も、「V3から来た男」「ダーク・ゾーン」は好きなエピソードです。
クラタ隊長とキリヤマ隊長の「モグラ」「悪党」ってかけあいが、大人の男性同士の絆を描いていてなかなかの味わい
ペガッサ星人、と言うより、「ダーク・ゾーン」というお話の作りそのものも秀逸でしたね。
「地球は自分で動けないのか!?」というペガッサ星人の驚き、地球人とのアイデンティティーの差に、SFマインドを刺激された事を覚えています。
この頃はまだ予算もあったのでしょうか。プロップに灰皿は使われなかったようですね
(なーんて。どーもセブンについては読みが浅い為、おざなりの事しか言えず申し訳ありません)
セブンと来れば。次は「謎を解け!怪奇を暴け!レッツゴー!」のこちら。
怪奇大作戦のS.R.I.専用車、トータス号です。
この車、当時の番組出演者の評判はあまりよくなかったようですね。
走りが遅かったとかよく壊れたとか
でも番組中で活躍するこの車は、本当に科学捜査チームの専用車としての魅力に溢れていました。「氷の死刑台」のサンビーム500使用時とか。
と同時にこの車、可愛さがあるんですよね。
非常に卓越したデザインセンスを感じます。
ベース車とされるスバルサンバー360とは似ても似つかないフォルムですが、使われたのはシャーシだけだったのでしょうか?
でもこの車、今見てもいい形ですよね。もし市販されていたら、私は迷わず買っていたでしょう。こんな車でコロコロ走ったら、ドライブも楽しそうですし。
人食い蛾や燐光人間に襲われるのは困りますが。(それもいいかな)
最後は「朝焼けの光の中に立つ影」ミラーマンのジャンボ・フェニックス。
劇中同様の三機分離を実現したプロップなので、フィギュアも二商品にまたがり、1号単体と2号・3号セットに分かれてリリースされました。
1号にはミラーマンのペンダントも付いています。このペンダント、私は結構好きなんですよ。ちょっとしたアクセサリーに使えそうで。
さりげなくオタクをアピールできるし 劇中での使われ方も良かったですよね。
それに対してジャンボ・フェニックスの方は、正直あまり馴染みがなくて
第1話からリアルタイムで見ていた私ですが、この機が登場した第26話以降、ミラーマンの体内に爆弾が埋め込まれてからは、ちょっと興味を失っちゃったんです。カラータイマーという設定も、ウルトラのあからさまなコピーに見えちゃって好きじゃなかったし。(子どもがそんなこだわりを持つのも不思議ですが、まーそういう子どもだったんです)
ですがこの戦闘機、今見るとなかなかいい形してますよね。
三機を合体させればこの通り。
うーん。ひょっとして私、ホーク1号よりこっちの方が好みかも
たぶん、曲面主体のフォルムがジェットビートル派の私の嗜好に合っているんでしょう。いやーカッコいい。
後のガッツウイング2号EX-Jに通じる機体コンセプトを感じます。あっちは二機分離ですが
(EX-Jの前機分離は「謎の円盤UFO」のスカイダイバーの影響も否定できない気がするし)
オリジナルプロップには、磨きぬかれた表面に大変な美しさを感じました。
この頃になると、造形素材としてはFRPが既にポピュラーになりつつあったのでしょうか?まさかあれが木の削り出し?
以上がノーマルの8種ラインナップです。
シークレットはあのお方のNGバージョンスーツだそうですが、驚きますよね。NGスーツまで発売されちゃうんですから。
スペクトルマンのパイロット版スーツがユージンから出た時もビックリしましたが、今や特撮フィギュアのアイテム選定は完全に無法地帯。
バンダイのイワクラ化も歯止めがきかない様子。心意気とかそういう言葉では表現できない「情念」さえ感じます。
きっと商品企画部には、一筋縄ではいかない強力な識者がいらっしゃるのでしょうね。一度お話したいものです
こうやってディスプレイすると、本当に円谷倉庫の展示イベントみたいですね。こんな体験が自宅でできちゃうなんて。時代はどんどんマニアック方面に向かっていますねー。
ただCGIの普及により、現在の特撮作品は、徐々に実物プロップの必要性が無くなりつつあります。
そういう意味で、プロップが存在するという事自体が、既に前時代的と言えるのかも。
「ミニチュアに触れる事」に幸せを覚えるという感覚は、世代の変化と共に、徐々に理解されなくなっていくのかもしれませんね。
ともあれ、文化の日にふさわしいアイテムが出た事を、素直に喜びましょう。。
あれ?ひょっとしてバンダイ、この時期に発売を合わせたのかな?
こんな策略にはまって早や数十年。
まーいーか。こういうアイテムを文化遺産と感じ、その良さを味わえるのは、プロップ世代の誇りですから
そんな私はひょっとして、過去の遺物だったりして
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コメント
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今日、真面目な買い物のために秋葉原へ行き、ついでに「変身パースモデル」を単品買いしてまいりました。600円だと高い方なのでしょうか?
いや~、これを上から眺めると楽しいですネ。息子たちも面白がっていました(^o^)/ 美術の遠近法の勉強にもなるかな?
全部を並べると、まさに昨年のウルトラ博覧会のような様相を呈していますネ。これは圧巻です。
CGが導入され、最近のウルトラシリーズをはじめ、『レスキューフォース』という番組でも、飛行メカばかりでなく地上走行メカもCGで表現されるようになってきました。土煙を上げて爆走したり、敵の攻撃で爆発する炎なども全てCGで、極めて安全に、思い描いた通りの表現が可能なのでしょう。プロップが不要になってきたわけですが、逆に1/1サイズのセットは充実してきましたネ。お金のかけ方が変わってきたのでしょうか。
たしかに、単に怪獣をフィギュア化するのは飽和状態で、可動ギミックを仕込んだりするアイディアも尽きてきた感があります。(『マグマ大使』や『赤影』『キャプテンウルトラ』の怪獣が食玩やカプセル・フィギュアで省みられないのは残念ですが‥‥。)
私はプロップの次はセットやジオラマ・ベースがくると思います。時間ができれば、市街地や山間部、港湾地区などのミニチュアをつくって、集めたガシャをそこに立ててディスプレイしたいと私は考えています。だから、私はこういうフィギュアでの、「科特隊本部」「ショッカー・アジト」「ウルトラ警備隊作戦司令室」などのセットの実現を楽しみにしています。
劇中プロップには「木の削り出し」もありますが、火薬を仕込む関係で金属製のものも多いハズですヨ。
私は『アイアンキング』を見ていたので、『ミラーマン』の後半は見ていませんでした。だから「ジャンボフェニックス」は全然わかりませんが‥‥。
「EX-J」と「スカイダイバー」の相似性には全く気がついていませんでした。そうか! 何であんな唐突な感じで「ガッツウィング2号」の先端に別の戦闘機をくっ付けたんだろうと、ずーっと不思議に思っていました。ひょっとすると、実際にそうかもしれませんネ。いやぁ~、納得納得(^o^)/
投稿: 自由人大佐 | 2008年11月 4日 (火) 00時48分
自由人大佐様 「変身パースモデル」買われましたか


変身パースのフィギュア化は非常にレアかつ新鮮なので、私も毎日眺めています。
息子さんたちも楽しまれているでしょうね
このパースモデル、地元のショップでは315円でした。
まー首都圏と地方の価格差ということで・・・
なるほど。ミニチュアやプロップのCG化が進む一方で、セットの充実が図られているというのは意外でした。

確かに、予算のかけどころが変わってきているんでしょうね。
それはそれで喜ばしい事とは思います。そもそもミニチュアの発想だって、実物大プロップが作れない予算上の要求から生まれたものですもんね
でも、本編画面上でCGによって表現される怪獣やメカキャラクターも、おもちゃでは実物として立体化されるわけですから、メーカーは苦労も多いでしょうね
私も「マグマ大使」「赤影」「キャプテンウルトラ」などの怪獣、キャラクターは好きです。需要と供給による市場原理で、商品化されるキャラが偏るのも仕方がありませんが。新作が出る度にクォリティーが上がるウルトラ怪獣が、いかにおいしい商売であるかがよく分かりますよね。
私はアイテムのコンプリートには興味が無いので、この状況を少し醒めた目で見ていますが
セットやジオラマベース、欲しいですね


フィギュアを単品で飾るのとバックやベースにジオラマがあるのとでは、アイテムの魅力がまったく違ってくると思います。
でもフィギュアの造形技術がここまで上がってくると、ベースやジオラマのクォリティーもかなり高いハードルが要求されますね。
それによって生産コストも、また価格も上がり・・・
うーんアイテムリリースにお財布が追いつかない危惧も
贅沢な悩みなんでしょうけど
なるほど。火薬を仕込む事情による金属モデルは、ウルトラセブンに登場した円盤などに多かったですね。
限られた時間の中、あれだけ多彩なモデルを金属で造形する技術には、本当に感服します。あれも職人技なんでしょうね。
前述のお話に戻りますが、ここでもCGの普及により、そうした職人技術が衰退していくのかもしれません。
テクノロジーの進歩により、映像表現に必要な技術もどんどん変わっていくのですね。
「EX-J」と「スカイダイバー」の相似性は、ティガ視聴中から気になっていました。
)
ただ私の場合、分離するEX-J機首のフォルムがスカイ1にソックリだなーなんておバカな理由で
国内外問わず、SFメカの発想はお互いが影響しあうものですから、それも無理はありませんね。
ジェットモグラとベルシダーとか(あえてマグマライザーとは言いません
投稿: オタクイーン | 2008年11月 4日 (火) 20時39分