五線譜はメスより鋭い
昨日に引き続き、病院で仕入れたお話で申し訳ありませんが。
あまりに面白かったもので![]()
前回のお話どおり、今日も傷の治療に通院。
巨大な湖と化した傷口を洗う為、お湯を張ったバケツに足を浸す「薬湯」という治療を行っていた時の事です。
薬湯は10分以上、お湯に足を浸す為、その間は手持ち無沙汰。
といって動く事も出来ず。じっとしているだけ。
そんな私の隣に、明日、外科手術を行う女性患者さんが座りまして。
40代前半とおぼしき患者さん、見た目はまったく悪い所が見られないんですが、元気がない所を見るとどこかに疾患がある様子。
手術を明日に控え、ちょっと不安そうな面持ちです。
やがて彼女の前に、明日の執刀医である院長先生が現れました。漏れ聞こえる会話によると、どうやら院長先生、患者さんに挨拶をしています。
「明日は、私が麻酔をかけます。どうかご安心を。」
この病院では、患者さんの心の負担を軽くする為に、手術前日に執刀医の先生が患者さんに顔見せするシステムのようです。
命を預けるお医者さんですから、確かに手術当日が初対面というよりは事前に顔を見ておきたいのが患者の人情。きめ細かい配慮というわけですね。
ところがここで私は、珍しい光景を目にすることに。
手術前の確認事項を話し、顔合わせも終わりに近づいた間際の事です。
不意に院長先生は、患者さんにこんな質問をされました。
「手術中に、何か聴きたい音楽はありますか?」
「えっ?」あまりに意表をつく質問に、患者さんも即答できない様子。
「いや。手術中は患者さんにリラックスしてもらう為に、手術室に音楽を流す事が出来るんですよ。
何でも流せますから、どうぞリクエストして下さい。」
失礼ながら見たところ、患者さんはご出産でもない様子。
第一、この病院に産婦人科はありません。
やっぱりどこかの手術なのかもしれませんが、音楽を聴ける状態という事は局部麻酔なんでしょうね。全身麻酔では意識もないですから![]()
「う~ん・・・」
しばらく考えていた女性患者さん、やがて苦笑交じりにつぶやきました。
「歌謡曲・・・?」
「あはは。わかりました。用意しておきます。」
笑顔で立ち去る院長先生。残った患者さんは看護師さんと顔を見合わせ、照れ笑いを交わしていました。
手術中に歌謡曲。何が流れるんでしょうか。
選曲はかなり難しいような気がするんですが。暗い内容や悲恋の曲は患者さんの士気にも影響するし。患者さんの年齢からして、たのきんや松田聖子あたりが奏でられるのでしょうか。余計なお世話ですが![]()
いやー聴いてみたい。手術室に流れる「青い珊瑚礁」![]()
考えてみれば、私を含め一般患者にとって、手術室ってけっこうな不安をあおられる場所ですよね。なにしろ、体にメスを入れる行為を目的とする部屋ですから。
そりゃー患者の立場からすれば、リラックスしたいに決まっています。
出産の場合は音楽を流す事もありますが、外科手術などの場合もそういう配慮がなされる事は、今回初めて知りました。
今まで、手術もそこそこ経験がある私ですが、これまでの経験では、手術中に音楽が流された事はありません。
手術なんてなるべく願い下げにしたいものですが、手術中に何を聴きたいかなんて話題には、ちょっと興味が湧きますね。不謹慎ながら、考えるくらいならいいかと![]()
この場合、状況から局部麻酔と限定するとすれば、命に関わるような大手術である可能性は低いような気もします。
音楽を聴く余裕があるのですから、意識もはっきりしている訳ですし。
となれば好きな曲、患者的にモチベーションが上がる曲が望ましいと![]()
まー私の場合、順当に行けばリラックスできるアーティスト、小野リサやアリシア・キーズあたりがまず浮かびます。
あのゆったりした世界観、緊張を緩和してくれるような曲調は、執刀医にすべてを委ねるような姿勢を心に与えてくれそうですし。
インストではやっぱり昔からのマイブーム、ジャー・パンファンやシャオ・ロンあたりの中国楽器がいいかな。
アジアンな調べとジャスミンのお香があれば、耳と鼻から麻酔が効きそうで![]()
ポップスだと、これがなかなか難しいんですよね。
まず筆頭に浮かぶのは何と言っても竹内まりやなんですが、何しろ彼女はヒット曲が多い。
選曲によって、手術に立ち向かう気力が変わってしまうという![]()
「もう一度」「毎日がスペシャル」「幸せのものさし」あたりは元気が出るし
「Let It Be Me」「マンハッタン・キス」「人生の扉」はまったりしますね。
「真夜中のナイチンゲール」なんてまさに手術の為にある曲ですし![]()
でも「駅」「シングル・アゲイン」「告白」あたりはまずいですよ。
心にドーンと重くのしかかる人生の悲哀。ああこのまま意識を失って、二度と目覚めたくないなんて思いにさえなったりして![]()
そういう意味では、中島みゆきなんて絶対選曲できませんね![]()
「地上の星」「ヘッドライト・テールライト」あたりまでは”なにくそ感”があるからともかく、「世情」はさすがに![]()
ユーミンやハイ・ファイ・セット、大橋純子あたりは、意外にはまりそうです。
ただ「DESTINY」「真夏の夜の夢」「DANG DANG」「卒業写真」なんて、麻酔がかかってる事を忘れて歌いだしそうですが![]()
でも「燃える秋」「火の鳥」「たそがれマイ・ラブ」「シルエット・ロマンス」は場違いかな。歌い上げすぎちゃって。手術台はステージじゃないんですから。
ミラーボールもないし
看護師さんのスタンディング・オベーションを期待するというのもなんだか![]()
クレージー・キャッツやトニー谷なんかは明るくていいですが、執刀医はじめスタッフが踊りだしそうで怖い。
「スーダラ節」「ウンジャラゲ」「だまって俺について来い」「さいざんすマンボ」あたりは頼もしくて好きですが、「無責任一代男」はタイトルからして不安をあおるし![]()
ましてやドリフの曲は絶対避けたいところですね。
病院コントのノリになりそうで。
手術が失敗しても「ダメだコリャ」で済まされそうだし![]()
手術中に流すなら、映画音楽もいいですね。
やっぱり私の筆頭は「ロッキーのテーマ(GONNA FLY NOW)」かな![]()
なんとなく「手術と戦う」という雰囲気がいいじゃないですか。で、術後はお約束の「エイドリアーン!」で締めるという。こんな迷惑な患者も居ませんが![]()
でも「エイリアン・タイトル」はいけませんね。
手術中、不意に苦しみ出す患者。大きく盛り上がるお腹を破って、奇声とともに飛び出すナントカ・・・みたいな場面を想像しちゃって![]()
「エイリアン2」のリプリーみたいに、術後も悪夢にうなされそうです![]()
海外テレビ番組でも、使いたい曲はたくさんありますね。
私は何と言っても、「スパイ大作戦」の劇中曲「ザ・プロット」がお気に入り。
作戦遂行中に頻繁に流れる、第二の主題曲のような位置づけです。
冷静沈着に手術を進める医療チームの雰囲気に、あの曲はピッタリ。
でも。スパイ大作戦って、必ず途中で作戦が暗礁に乗り上げるんですよね。
その時のメンバーの焦り、緊迫する現場、みたいな場面は、私の手術では再現して欲しくないなー。
マーチン・ランドーの蒼白の表情が眼に浮かぶようで![]()
で、これは使いたい「謎の円盤UFO」のテーマ曲![]()
これをパックに手術を受ければ、SHADOの最高科学にケアされているような錯覚を覚えます。で、執刀医がエド・ストレイカー指令でもあろうものなら、もう気分は夢ごこち![]()
でもそうなると、私の役回りは患者じゃなくて、解剖される宇宙人か![]()
看護師がキャットスーツのエリス中尉だったら、ちょっとビックリしますが![]()
ITC作品なら「サンダーバードのテーマ」も外せませんね。
曲あたまのカウントダウンと共に響く「オペ・GO!」の号令。
絶対に私を救ってくれそうですね。国際救助隊ですし![]()
国内作品は、挙げていけばキリがありませんね。
伊福部サウンドから始まって、勇壮な大島ミチル、菊池俊輔・渡辺宙明などの東映ヒーローサウンド、ウルトラシリーズの各種BGM、マジンガーZからガンダム、ボトムズ、心踊るアニメサウンドなんか、どれを取っても執刀医のテンション上げまくりの名曲ばかりです。
「ウルトラQのテーマ」は危なそうですが。体から目がくり抜かれそうで![]()
このあたりは、「ネヴュラ」読者のご意見をお聞きしたいところですね。
手術中に聴きたい特撮・アニメサウンドは?かなり異色のネタですが![]()
で、最後は「こんな手術BGMはいやだ」ですね。
なんとなくお分かりと思いますが。
それはもう、なんといっても「必殺シリーズ」の殺しのテーマ群でしょう![]()
絶対怖いですよ。
執刀医の手元でメスがギラリと光った瞬間
高らかに流れる「荒野の果てに」のトランペット。
さらに「夜空の慕情」なんて流れたら、もう私は観念します。
麻酔の注射も気を抜けません。「哀愁」が流れないか耳を澄ませないと。
看護師に後頭部を見せる事さえ命取り。
お見舞いの千羽鶴が近くにあったら要注意。絶対に飛んできますよ!
「大丈夫ですよ」なんて笑顔をたたえる執刀医が振り返った瞬間、非情な殺し屋の顔になると同時に、スピーカーからは「さざなみ」が。
執刀医が「昼行灯」なんて呼ばれていたら、生きて退院できないでしょう。
珍しい坊主頭の先生が不気味な笑みを放ったら
きっとバックには「あかね雲」が流れていることでしょう。
親切にレントゲンまで見せてくれるし![]()
「旅愁」が流れたら、自分の心電図が止まる瞬間さえ見られますね。
心臓も縮まる思いとは、この事を言うのかも![]()
うーん。でもこんな手術なら、一度は体験してみたいような気もしますねー![]()
なかなか見られませんよ。必殺メンバーの手術風景なんて。
そういう事じゃないって?![]()
まーでも、BGMが手術のテンションに影響するのは確かなようです。
きっと私が通う病院でも、その効能が認めているのでしょう。
ところで、曲の持ち込みは許されるのかな?
それが可能なら、必要な時には、ぜひここで手術を受けてみたいけど。
でも。ラインナップには「ネヴュラの星」は入れないでおこうっと。
歌詞がまずいんですよ。歌詞が。
「レインボーマン」のあの曲並みに![]()
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コメント
私は今まで一度も手術はおろか入院の経験もありませんが、手術台の上で聞くなら、己を鼓舞する意味で、「炎のファイター」でしょうか。
そう。「イノキ!ボンバイエ!」ってヤツです(笑)
洋楽ならStonesの「悪魔を憐れむ歌」。コレはタイトルと歌詞はダークですが、曲そのものはアフリカンでダンサブルで躍動感があるのです(笑)
TVドラマなら「太陽にほえろ!」、アニソンなら「ガンバの冒険」、J-POPならアリスの「チャンピオン」が良いです(笑)
で、逆に嫌なのは、「帰ってきたヨッパライ」、「エクソシストのテーマ」、「精霊流し」あたりでしょうか(笑)
って言うか、次から次へと沸いてきますね、コレ(笑)
投稿: メルシー伯 | 2008年11月26日 (水) 23時43分
おはようございます。
お身体の方順調に回復中のようでなりよりです。
完全治癒しても寒くなってくると傷跡が痛みますからお大事にしてくださいね。
手術と言えば、私は過去4回ほど経験があります。
検査の為の外科的切開もあわせると数え切れないほどですが、大きいモノはだいたい全身麻酔なので気がついたときには終わってます。
なので、半身麻酔あるいは部分麻酔でのお話をしますね。
かつて19歳だった頃。
腰の大きな手術の為の処置・・・といいましょうかちょうど私の手術部位に大きな動脈が走ってるとかで大量出血をふせぐための処置をしたんです。
その時に「好きな歌とか音楽のCD持ってきていいよ~」と言われました。
その時はSMAPが大盛期の頃で当然私も大好きでかけてもらおうと思ったんですが問題が一つ。
「歌って踊っちゃうだろうな~」って思ったわけでして・・・
そこで「クラシックで」なんて柄にもないこと言ってしまい、結局苦痛な時間を過ごしてしまった私。
バカです。素直になっておけば・・・。
今だったら絶対にサザンです。
しっとりの曲もですがやっぱりリズム感のいい激しいやつ。
内容は過激でもそこはまあ・・・ご愛嬌で・・・(笑)
投稿: しすけ | 2008年11月27日 (木) 10時08分
メルシー伯様 いやーいいですねー「炎のファイター」

あの曲に乗って登場すれば、手術なんか全然怖くないですよ。
「イチ!ニー!サン!ダーッ!」のタイミングでメスが入る瞬間も見モノですね。
一世一代の流血試合。嵐を呼ぶ手術室という
「悪魔を憐れむ歌」は未聴ですが、なにしろストーンズですから、大体の曲調は想像できます。これも盛り上がりますね。
もはや手術って、一つのドラマですね
「太陽にほえろ!」「ガンバの冒険」も気持ちを鼓舞するのに最適ですが、やはり極めつけは「チャンピオン」ですね

どうして手術のBGMって、ボクシング系の曲を思い浮かべるんでしょう。
こうなると「♪サンドバッグに~」という尾藤イサオ氏の名調子も聴きたくなっちゃいますが。なんたって「立て!立つんだ!」ですから
私も「帰ってきたヨッパライ」「エクソシストのテーマ」は嫌です
)
「精霊流し」系で行くと、一連の70年代フォークは鬼門でしょうか。
森田童子「ぼくたちの失敗」とか。(術後、口が裂けても言って欲しくないセリフ
投稿: オタクイーン | 2008年11月27日 (木) 21時39分
しすけ様 公演にはお邪魔できず、大変失礼しました。

お察しの通り、体調など諸事情によるものです。
次回公演は必ず・・・。事故など不測の次第さえなければ
おっしゃるように、ここ数日の朝晩の寒さは傷にこたえます。
その為、固く誓った禁を破ってこたつを導入してしまいました
手術経験が、過去4回もおありとは。
私は小学校時代の盲腸と、15年前の椎間板ヘルニアのみです。
ヘルニアは全身麻酔でしたが盲腸は部分麻酔だったので、術中、お腹が妙に引っ張られる感覚を持った記憶があります
でも手術室のBGMリクエストって、以前からあったんですね。

しすけさんのお話をお聞きして、ちょっとビックリしました。
でもやっぱり難しいですよね。急にリクエスト曲を聞かれても。
ただでさえ手術なんて不安ですから、やっぱり明るい曲を選びたいものですが、そうすると妙にノリのいい曲ばっかりになってしまい・・・
あー歌いたい踊りたい。でも私は手術台の人、みたいな
いきおい、当たり障りの無い選曲をしがちです。
でもせっかくのチャンス。ちょっとこだわりたいですね。ここは
サザンはすごく良いチョイスだと思いますよ。
でも「勝手にシンドバッド」は微妙かも。
手術の残り時間を尋ねたくなりそうで。
「♪今何時?」「そーねー大体ねー」
執刀医はやっぱり「胸騒ぎの腰つき」なんでしょうか
投稿: オタクイーン | 2008年11月27日 (木) 22時06分
劇伴でも歌謡曲でも、洋楽でも特撮・アニメ主題歌でも、余計なことを考えてしまいそうです。自分だけが聴く分には何でもかまわないのですが、執刀医も聴いているとなると、あまりにノリのイイ音楽は怖いかも。
また、突然大音量で鳴る「スターウォーズ・メインテーマ」なんて、ビックリした医師の手元が狂いそうで‥‥(^o^)
私ならサティの「ジムノペディ第1番」やドビュッシーの「月の光」がイイかなぁ。ゆったりと静かに、眠くなったら眠ればイイし‥‥(^^ゞ
投稿: 自由人大佐 | 2008年11月29日 (土) 19時11分
自由人大佐様 そうなんですよ。



今日も診察の為に通院したんですが、待ち時間に曲目をいろいろ考えて、
一人でニヤニヤしちゃって
どう考えても手術に似合わない曲を予備知識無しでいきなり聴かされたら、
執刀医はじめスタッフもビックリしちゃいますよね。
そうならない為に、手術チームも事前に曲をチェックするのかなとか
「おっこの患者さん、俺と同じ好みだな。ウンチクの一つも仕込んでおくかな」
なんて先生も居たりして
何しろ患者さんには意識がありますから、話すのも容易。
スター・ウォーズ談義に花が咲いて、
最後は「フォースで治す!」みたいな爆弾発言も・・・失礼しました
大佐さんはサティがお好きなんですね。
以前担当した番組で、サティをBGMに使ったんですが、なかなか良い感じでした。
深夜番組だったので、癒し効果があったのかも
投稿: オタクイーン | 2008年11月29日 (土) 22時32分