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2008年8月12日 (火)

アスターとホオズキ

「これ、お墓参り用でおかしくないですよね?」
そんなおバカな言葉とともに私が差し出す花束を、けげんな顔で受け取る店員さん。
それもそのはず、その時手にした花束には、菊とともに鮮やかなアスターがあしらわれていたのです。

「ええ・・・。まあ、これにホオズキでもちょっと加えればお盆らしいですけどね。」
店員さんの返事にちょっとためらった私。なぜかその時、ある予感がありました。
お盆に、亡き者がこの世に帰る時の提灯に見立てる供花、ホオズキ。
でも今日はホオズキは要らないと。
なんでしょうね。虫の知らせみたいなものがあったんです。
まさか、それが現実になるとは。

今週はお盆休みという事で、帰省やお墓参りをされている方も多いと思います。
私も先日、妙な夢を見たせいか、何となく両親が眠るお墓へ足が向いてしまいまして。

先日の夢はこんな感じでした。
7月12日(土)「キャビンは郷愁を乗せて」
http://spectre-nebura.cocolog-nifty.com/cultnight/2008/07/post_2ec7.html

Photo_5冒頭の一幕は今朝、近所のお花屋さんでのやりとり。
赤が好きだった母の為に、あえて真紅のアスターを選んだ私。
お盆の花としてはちょっと派手ですが、これくらいの方が母も喜ぶだろうと。まー父は照れるかもしれませんがhappy01

そんな訳で、妙な確信に導かれながら向かった霊園。
お盆という事で、午前中から多くの方がご先祖のお参りにいらっしゃっていました。

この年で独り身の私。正直、たった一人で両親の元へ行くのは寂しいものがあります。本当なら家族と一緒に、はしゃぐ子供をあやしながらのお墓参りなんて夢見る事もありました。
でも体は男性、心は女性というアンバランスな存在ゆえそれも叶わず。
当然、子供を産む事も出来ませんし。
自分で選んだ人生とはいえ、こういう節目を経るたびに心に吹く風の冷たさは、猛暑日の日差しよりもなお強く染み入るものなのです。

たった一人の肉親である妹も今は嫁ぎ、年に一二回会う程度の間柄。決して不仲ではありませんが、他家の者にそうそう連絡を取る用事もありませんし。
そういう意味でも、両親の他界をいやがおうにも感じるお盆は、私にとってやや辛い時期でもあります。孤独を感じてしまうからです。

実家からほど近い場所に位置するこの墓地には、父の他界後、よく母と訪れました。
必ず毎月、ここへ通うことを望んだ母でしたが、なぜか墓前でかしわ手を打つというおバカぶりで(爆笑)。
父を偲んでいるのかなんだかわからない光景が懐かしくもあります。
そんな母が父と同じ場所に眠りについて、早や一年と九ヶ月。早いものです。
母の手を引きよく歩いた細い参道も、一人となるとなぜか道幅の広さが感じられて。

Photo_3備え付けの桶に水を汲み、ひしゃくを携えて向かう墓前。
ややうつむき加減に歩く私でしたが、視線の端に鮮やかなオレンジ色が差しました。
それが我が家の墓前から放たれていた事を認めた私。
「あれ?先客?」意外な事態にちょっと高揚感もあり、私の足は弾みました。
たどり着いた墓前にあったのは、鮮やかなホオズキをあしらった大きな花束。冒頭に覚えた虫の知らせはこれだったのか。
花の鮮度から、活けられたのはおそらく昨日くらいでしょう。


両親は地方出身者で、マスコミに携わる私などとは真逆の堅実な性格でした。
団地住まいでしたから近隣とは交流もありましたが、いずれも両親とは年の近い方々ばかり。時を同じく他界され、お仲間も減る一方だったように記憶しています。
この暑い最中、わざわざ交通の便も悪いこの霊園へ、両親を見舞ってくれるとは。
墓前の花束に鮮やかな紅いアスターを加えながら、私はそのホオズキの主に思いを馳せていました。
私がある一点に目を留めたのは、その直後でした。
それは親族にしか分からない、ある可愛い証拠。
「そうか。妹一家が来てくれたのね。」

昔から無駄に元気な私に比べ、病気がちで両親の心配と愛情を一身に集めていた妹。
そんな妹でしたから、何よりも人並みの平凡な幸せを望んでいました。
良縁に恵まれ嫁いだ折には、頑固な父も男泣きし、幸せを願ったものです。
そんな妹も結婚後は体調も回復、奮闘しながら男の子三人を育てています。
旦那さんを含めた五人家族は、毎日が戦争のようだとか。

そんな妹でしたから、両親への思いもひとしおだったのでしょう。
お墓へ足を運ぶのも、私以上にまめだったようです。ただ慶弔事には決定的に無知なところがありましたから、その影には義理の弟、出来た旦那さんの働きも大きかったと思いますが。

期せずして墓前を鮮やかに彩った、アスターとホオズキ。
その光景を見ながら、私はある感慨に浸っていました。
この花のセレクトにも、兄妹の(ホントはここは「姉妹の」と言いたいんですが)生きざまが出ているんだなと。

新しさと華やかさを目指し、アスターを選んだ私。
平凡と伝統を重んじ、ホオズキを選んだ妹。
共に眠る両親には、自分達の子供が歩む道がどう見えているのかな、なんて思いもあったりして。
なにしろ正反対の二人ですから。過激に生きる私なんぞ、両親からは危なっかしくて見ていられないでしょうね(笑)。

と同時に、まだ一緒に両親を偲んでくれる親族が居ることが嬉しくもありました。
嫁いだとはいえ、やはり妹も血族の一員。
悪い姉です。そんな事は分かりきっているはずなのに。
妹に怒られちゃいそうですね(笑)。


残された者たちの捧げた色とりどりの花が咲き誇るお盆の墓地は、いつもとはちょっと違った雰囲気が漂います。
活けられた花の一輪一輪に込められた思いが、亡き者の眠りを癒してくれるのかもしれません。
とはいえ。この猛暑にバテているだろうと、桶二杯分の水をお墓にかけた私に、両親もあきれ果てているかもしれませんが(笑)。

帰宅後、妹に電話をかけた私。お墓参りに来てくれた事にお礼を言いました。
「えーっ?なんで私ってわかったの?」
驚く妹に、私は得意げに言いました。
「お墓に残った線香の本数。燃えかすが同じ長さの線香が五本残ってたじゃん。
しかも新しい。つまりこれは同時に五人来たって事だよね。
五人家族なんてウチの周りでは・・・」
「あ、そーかそーか。そーだよねー。」

この夏は子供をポケモンの映画に連れて行くという妹。しっかりお母さんしてます。
元気そうで安心しました。これからもホオズキのように、堅実な幸せを保っていって欲しいと思います。
リスキーに生きる私の分まで(笑)。

その後の調べで、あの紅い花「アスター」の花言葉が「思い出」「追憶」である事を知った私。お盆の花にはピッタリじゃないのと。
これから毎年、お盆の墓前にはアスターと決めました。
その鮮烈な色は、私の生き方とも重なるような気がするからです。


Photo_4まーそんな出来事に比べ、お盆の雰囲気ゼロの我が家。
せっかくだからとお供えのおまんじゅうを、コタと一緒に食べました。
いきなりかぶりつくコタでしたが、虫歯を心配してアンコを取り去っちゃったのが不満のようで。
うしろのアンコ付きを恨めしそうに見てました。
これはおねえちゃんの分。また太るけど(涙)。

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コメント

とてもよいお話ですね。しみじみとしました。お盆ってやっぱり他界した親族を思い出す大切な節目ですね。生きていくうえで大切なことだと思います。

追伸:ご無沙汰してます。私事ですが先月自宅のPC壊れまして修理に出してます。時折楽しい記事拝見しております。ではまた。

 ホームズばりの見事な名推理! カッコいいですネ。

 私の母方の墓参りでは、柏手を打ちます。母の家は神道なんですヨ。
 葬式では音を立ててはいけないそうで、柏手を寸止めします。その様子が葬式なのになんだか可笑しくて‥‥。死者との別れで神妙な面持ちなのに、みんな寸止め。途中で笑いそうになってしまい、子どもの頃はこの葬式に参列するのが苦手でした(^^ゞ

のん様 ご無沙汰しております。
資格試験の準備はいかがですか?この猛暑の中の試験勉強は大変でしょうが頑張って下さい。応援していますhappy01

今年のお盆はなぜか、両親の事を思い出す機会が多くて。
つい墓前に足が向いてしまいます。
きっと妹も同じ思いだったのでしょう。さすが兄妹(うーん何度書いても違和感がありますねー。姉妹と書きたいんですがcoldsweats01

PCの故障って思ったより打撃が大きいですよね。
使えなくなると、いかに生活の中でPCが大きな位置を占めているかがわかります。
私なんて自宅で書類制作などのお仕事を行いますから、PCの故障はそれこそ死活問題でcoldsweats01そのわりに、結構乱暴に使い倒してますがhappy01
のんさんもお困りでしょうね。
この際徹底的に修理され、また元気な記事で楽しませて下さいねhappy01

自由人大佐様 いやーホントにお粗末な推理でcoldsweats01
得意になった自分が恥ずかしいですweep

神道ではかしわ手を打つんですか!
私の周りには神道の家が無いもので、その風習は全く知りませんでした。
無知でごめんなさいcoldsweats01 お気を悪くされないで下さいねcoldsweats01
「寸止め」も変わった風習ですね。やはり死者は静かに見送るという事なのでしょうか。うーん本当に勉強になります。

家の家系は仏教なので普通に手を合わせるんですが、どーも母だけ勘違いしているようで、私の前ではよく間違えました。
親戚の前でやらなかっただけ、まだよかったですがcoldsweats01

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