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2008年5月26日 (月)

機械仕掛けの謎

昨日の記事に載せた写真ですが。意味をお分かりの方は、
たぶん昨夜22時、NHK教育テレビをご覧になった事でしょう。

『ETV特集 石ノ森章太郎 サイボーグ009を作った男』。


ここで白状しますと。
私は石ノ森作品には明るくありませんcoldsweats01
ついでに手塚治虫作品も素人同然coldsweats01coldsweats01
私が最もリスペクトする漫画家は永井豪先生なのでhappy01
ですから、番組で採り上げられた「サイボーグ009」も、ほとんど読んでいません。決して石ノ森先生、手塚先生を否定している訳ではありませんよ。あくまで好みの問題。
「仮面ライダー」「サンダーマスク」「ブラック・ジャック」は読みましたし。
ごめんなさいね。最初に言っておかないと、後でツッこまれた時に困っちゃうのでcoldsweats01
そんな私が、何故今回の番組に惹かれたのか。

以前、よく遊んだ飲み屋さんで知り合った飲み友達に尋ねられた事があったんです。
「みゆきちゃん、サイボーグ009の「天使編」の続きって、書かれたんだっけ?」
その頃、お店ではいっぱしのオタクとして知られていた私ですが、その質問だけには答えられませんでした。何しろ知らないんですから。
恨み重なる天使編という訳ですhappy01
そんな事情から、今回の番組は見ないわけにはいかないと。

これでお分かりと思いますが。
昨日の写真は、009事実上の最終回と言われる「地下帝国ヨミ編」(1967年 少年マガジン)最終話の「あの場面」をイメージした一枚でした。

夜空を滑る一条の流星に祈る女性。
「世界に戦争がなくなりますように・・・
世界中の人がなかよく平和にくらせますようにって・・・いのったわ」

私が原作009で唯一知るシーン、美しくも悲しい名場面ですね。
原作では夜のシーンですが、流れ星の光跡イメージをあの飛行機雲に感じたという。まーおバカな感性でweep


で、番組の内容は。
ネットなどで調べるとこの番組って、以前BSで放送されたプログラム「とことん!石ノ森章太郎」の対談部分を編集したという事
ですね。
その事情はともかく、石ノ森ビギナーの私にはこの番組、非常に楽しめました。
前述の「ヨミ編」をはじめ、主要エピソードを簡潔に紹介した上で、そこに潜む石ノ森氏の人格や時代背景、やがて彼が向かった神話・精神世界への軌跡が、精神科医・名越康文氏の目を通して描かれる構成。
要所に登場する識者の意見も興味深いもので。
009という作品を縦軸に展開される「石ノ森論」は、さながら芸術家の生涯を紐解くような気概に溢れていたのです。


なーんて感想は、たぶん石ノ森ビギナーの私程度が感じる底の浅いものでしょう。coldsweats01
事実、ネットで散見する超マニア諸氏の「内容が薄すぎる」というご意見に、ビギナーの私は震え上がるばかりでcoldsweats01 
うーん場違い。自分のブログながら居心地が悪いですweep

さて。今回の番組の主軸、例の未完の問題作『天使編』の解析、現在の新展開についてのご意見は、識者の方々にお任せしましょう。
原作を一読もせずダイジェストを見ただけの私に、語る資格などありません。
いずれ一度時間をとって、じっくり読んでみたいと思います。
このエピソード、腰を据えないと受け止めきれないと思いますし。


そんな勉強不足の私が非常に興味を惹かれたのは、解剖学者・養老孟司氏のご意見でした。
石ノ森氏より一つ年長、1937年生まれの養老氏は、009世界の「機械、技術信仰」を「敗戦」というキーワードで読み解こうとします。
石ノ森氏と同時代に幼少期を過ごした養老氏は、敗戦で全ての価値観が逆転した瞬間が最も感性豊かな、影響を受けやすい時期と重なっています。
「本土決戦一億玉砕」が突然「平和憲法」に180度転換した瞬間を見ていると。
それまで信じていた愛情、人間関係の全てが信用できない。
アテに出来るのは目の前にある「物」「技術」のみ。「物」は嘘をつかない。
この感覚が現在の養老氏を形作っていると。

同時代を生きた石ノ森氏にも、無意識の内にその感覚が刷り込まれているのだろうと。養老氏にはそれがよく理解できるそうです。


番組はそんな石ノ森氏の機械、技術信仰感覚を「エッダ編」(1967年 少女コミック)から引用し、証明しています。
北欧神話をモチーフとしたエピソードに、ロボットの巨神を登場させる。
精緻に構築された神話世界に、あえて無機質な機械を持ち込む。
この発想こそ、前述の「敗戦による価値観の逆転」によるものという解説でした。


もー無知で単純な私などは、この解説に目からウロコ。
人間の深層心理、その心に刷り込まれた信仰心は、こうした部分にさえ影響するものなんだなーと。

養老氏もおっしゃっていましたが、009世界を支配する機械信仰の構造は、石ノ森氏も無意識に行っているものだろうという事でした。


ここでやっと私も理解できるレベルへcoldsweats01
「仮面ライダー」「人造人間キカイダー」はじめ、60~70年代の
石ノ森作品にはある種の「機械への信奉」がありますね。
確かに「黒い幽霊」や「ショッカー」など、敵組織としてアンチテーゼ的に登場する事も多いですが、僅かな例外を除き、石ノ森キャラクターはことごとく「体に埋め込まれた機械、機械的に改造された体を武器に」敵に立ち向かいます。
望むと望まざるに関わらず。
埋め込まれた機械に嫌悪感を覚えながらも、その超人的なパワーを使って平和を目指す訳です。
彼らに対峙する敵も機械。「機械対機械」というイメージがあるんですね。

確かにそんな「機械の世界」が描かれるからこそ、逆説的に生身の人間感情があぶりだされる構造でもあるのですが。
そういう意味で「幻魔大戦」「イナズマン」などは、かえって異質な印象を受けますね。


無知な私はちょっと思います。語れないと言っておきながらすみませんcoldsweats01
その「機械に支配された石ノ森世界」が変化を見せるきっかけとなったのが、件の「天使編」だったとしたら。
幾度となく中断、再開を繰り返し、最終的に未完となった「天使編」。
番組ではその部分を「機械というメタファーで語る事の出来たそれまでの作品世界に、『本物の神』という存在を登場させた事による発想の壁」と解析していますが、稿を重ねるに従って、氏の興味は急速に物質世界を離れ、精神世界や古代文明に傾倒していきます。
それは果たして「発想の壁」だったのでしょうか。
確かに、人々が物質文明に疑問を持ち始めた時代背景があったとしても。
それだけで、人に刷り込まれた概念の根幹が変わるものでしょうか。

そこには、氏が機械信仰を捨て去るだけの大きなきっかけとなる、何かがあったのでは。憶測の域を出ませんがcoldsweats01


本編を読んでもいない私などが語ることなどできませんが、芸術家の意識、興味への貪欲なエネルギーってそういうものかもしれませんね。
ここはまだ考えがまとまっていません。底の浅い思いである事も承知しています。
「天使編」を読む目的は、それを確かめる為でもあるのです。
勝手な思いでごめんなさい。ご立腹されたファンの皆さんにはお詫びしますcoldsweats01


さてさて。いつも以上に歯切れの悪い今日のお話。
まーこれくらいでご勘弁下さいcoldsweats01
最後に。実は前述の「機械信仰」に私が反応した理由は、もう一つあったのです。ただこれは、現時点では言わないでおきましょうcoldsweats01 
カンのいい読者の皆さんなら、きっとおわかりと思います。


今日の夕方6時。いつもの池です。
落日の中、浮かび上がる白鳥の影に、また息を飲む私。
最近、この公園の写真が多いのにも理由があります。
その理由は・・・
石ノ森氏に習って、今回は「未完」にしておきましょうかhappy01

Photo

★補足・訂正とお詫び
拙記事内の「サイボーグ009・エッダ編」発表年度記述、
および石ノ森氏の「神話と機械信仰」の背景を説明する為の「エッダ編」引用について、ゲッターピジョン様からご指摘がありましたので、ここに訂正、お詫び致します。


「エッダ編」発表年度表記について

同編の正確な「少女フレンド」発表年度は
1976年ですが、
拙記事内では
1967年と表記しています。
これは今回の元ネタとなった「ETV特集」に於ける同編発表時の字幕スーパー表記に従ったものです。
しかしながらゲッターピジョン様のご指摘、およびウィキ調べでは、1967年の事実は無いようです。
つまり、これはNHK側の事実誤認、または誤植と思われます。
番組表記をそのまま記事に表記した事を、ここにお詫びいたします。



石ノ森氏の「神話と機械信仰」について「エッダ編」が引用された経緯

石ノ森氏の持つ「神話と機械信仰」の説明に「エッダ編」が引用された事に違和感を持たれたとご指摘がありましたが、これは私の説明不足からでした。
「エッダ編」が引用された理由は、「ETV特集」中、名越氏と養老氏の対談で、養老氏が石ノ森氏の機械信仰の背景について推論を語った時に、名越氏がご自分の009講読体験の中で感じた違和感として「エッダ編」を持ち出したからでした。
(ただ名越氏は「エッダ編」とは言わず、ご自身の記憶の中で「巨人と機械」を思い出されたようですが)
「なんで神話世界の巨人の中が機械なのか。昔から自分はそこをずっと疑問に感じてきた。その謎が解けたような気がする」みたいなお話となった訳です。
「エッダ編」はその流れで、名越氏のお話を補足すべく引用されたものでした。

拙記事ではその経緯を割愛した為、やや唐突に感じられたのかもしれません。
申し訳ありませんでした。お詫び致します。

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コメント

>番組はそんな石ノ森氏の機械、技術信仰感覚を「エッダ編」(1967年 少女コミック)から引用し、証明しています。
 ↑私の持っている「Shotaro World」051(メディアファクトリー)、「サイボーグ009」第13巻によれば、「エッダ編」は1976年です。
 1967年は、「ヨミ」編です。
 これがオタクイーンさんの誤植ではなく、NHKのミスだとしたら、NHKの特集に、見る価値はありませんんね。
 また、「エッダ編」を番組がセレクトした意味も不明です。
 「神話と機械文明」であれば、その直前に「風の都編」があります(インカ文明)し、そもそも「ミュートス・サイボーグ編」(1965年)で、ギリシャ神話と機械文明の融合が描かれています。
 
>「幻魔大戦」「イナズマン」などは、かえって異質な印象を受けますね。
 ↑「幻魔~」は、平井和正が原作ですし、ベクトルが違っていてもおかしくないと思います。
  
>技術信仰感覚
 ↑ですが、
 「機々械々」編(短編)にて、ロボットの004の敗北。
 (タイトル失念)人工都市での004の自嘲。
 ↑の方が、より判りやすい気がします。
 
以下、蛇足。
● 「ヨミ」編
 ペルシダー・シリーズのパクリ(リスペクト?)
 ブラッドベリのパクリ。

オタクイーンさん、気温の変化で体調崩されていませんか・・・?
自分は少し風邪引いちゃいました~
前回のテーマは広義すぎて、さすがのオタクイーンさんも返答に少し熟考されているなぁ~なんて心配していました。
シナリオテクニックのお話、、参考になりました、なるほどーっと。やはり現在の状況が製作側にとって非常にやりづらい環境なのは素人ながらに想像できます。
しかし、テレビ番組がお笑いバラエティ系が多く、昔のように教養とまではいなくても道徳的な要素の番組が少なくなったと思うのは気のせいでしょうか?
こうやってオタクイーンさんとやり取りしていると、だんだん深く考えるようになっていろんな事に気づいたり、感じたりするようになっていくのが楽しいです。。
「とことん!石ノ森章太郎」はすべて見ました。。。でも『サイボーグ009を作った男』は、、ウカツでした。。。
この公園の写真は、自分にはスワニーしか連想できません。。。。

「仮面ライダー THE NEXT」は残念ながら貸し出し中でした・・・なんせ1本しか置いてないので・・・観賞したら感想書きますのでご指導くださいねー♪

ゲッターピジョン様 ご指摘ありがとうございました。
いやーさすがに識者のご意見は鋭いですねーcoldsweats01
やっぱり私などが、009をいい加減に語っちゃいけないんですねーcoldsweats01

ところで問題の「エッダ編」発表年度表記ですが。
件の番組では、間違いなく説明字幕は「1967年」となっていました。
eyeを皿のようにして5回もcoldsweats01確認しましたので間違いありません。
その後ウィキで調べた所、やはりおっしゃる通り「エッダ編」は1976年のようで。
つまりこれはNHKの誤植という事なのでしょう。
NHKともあろうものが珍しいhappy01
危なかったー。このまま覚えこむ所でした。ありがとうございました。

「神話と機械文明」の説明に「エッダ編」を引用した経緯には理由がありまして。
要は番組中、名越氏と養老氏の対談で、養老氏が石ノ森氏の機械信仰の背景について推論を語った時に、名越氏がご自分の009講読体験の中で感じた違和感として「エッダ編」を持ち出したんですね。
ただ名越氏は「エッダ編」とは明記せず、ご自身の記憶の中の「巨人と機械」という記憶をお話されたのですが。
「なんで神話世界の巨人の中が機械なのか。昔から自分はそこをずっと疑問に感じてきた。その謎が解けたような気がする」みたいなお話で。
「エッダ編」は、その名越氏の記憶を補足するべく引用された訳です。
拙記事ではその経緯を割愛した為、やや唐突に感じられたのかもしれません。
申し訳ありませんでした。

他のシリーズを紹介できなかったのはきっと時間の関係でしょうね。
この手の番組にはよくある事で。ファン永遠のジレンマですねhappy01
さっそく、記事中にも補足解説を入れておきます。
重ね重ね、感謝致します。

しかしながら、他のエピソードでも「神話と機械信仰」が描かれていたとすれば、石ノ森氏の資質や興味は、既に009開始時点で萌芽が見られたという事ですね。
これも大変興味深いです。
やっぱり009は一時間半の特集番組では語れない深さを持っていますね。
ますます興味が湧いてきましたhappy01

大和少年様 お風邪を召されたとの事。
お大事にして下さいね。この時期は温かくして治すと言う訳にもいきませんし。
おかげ様で私は毎日、無駄にピンピンしてますhappy01
日課のウォーキングも順調で。しっかり汗をかき、脂肪を燃やす事に情熱を注いでいます。可愛くない女ですweep

前回のテーマでは、皆さんから本当に真剣なご意見を頂き、非常に充実したやりとりをさせて頂きました。
おっしゃる通り、このやりとりの目的は「結論を出す」事ではないんですね。
お互いの意見交換を通じてそれぞれの思いを確認する事。そしてそれを明日の作品に活かす事なんですよ。
ですから大和少年さんのご意見も大変参考になりました。
こんな風に多面的にヒーロー世界の構造を見る事が出来るのは、やはりネットという媒体の素晴らしい利点ですね。
私だってブログを始めるまでは、結構ひとりよがりの思いばかりでしたから。
皆さんとのやりとりを通じて、私の内面も確実に変わっていると感じます。
ありがとうございますhappy01

<テレビ番組がお笑いバラエティ系が多く、昔のように教養とまではいなくても道徳的な要素の番組が少なくなったと思うのは気のせいでしょうか?
これはおっしゃる通りですね。この現状には理由があるんですよ。
要は制作予算の問題なんです。
ここ数年の流れですが、番組の制作予算が削られる為に、制作にかける時間コストを短くする必要があるのです。
当然タレントのギャラも削られるので、制作サイドとしてはタレント拘束時間を短くしなければならない。
「収録日当日打ち合わせ、そのまま収録」が可能な番組体制が必須となる訳です。
数十分の打ち合わせで成立する番組。それがバラエティーなんですよ。
最近の番組を見ていると、それがよく分かります。
「ああこれは打ち合わせ時間が無かったんだな。
でもこのタレント数、レベルなら予算はこれくらいだから、きっと番組内容を充実させるより、絵づらの派手さを狙ったんだな」なんてhappy01
全ては予算。テレビの世界も利害で動く事には変わりないんですよ。

『サイボーグ009を作った男』は、私には凄く興味深い番組だったんですが、なかなかその全貌を紹介するまでにはいかなかったようで。まー難しい所ですね。
でも番組のおかげで、私も009を読んでみたくなりました。happy01

公園の写真ですが。これは必ずしも白鳥に意味はありません。公園そのものに意味があります。まーいずれお話しする機会もあるかと思います。
期待しないでお待ち下さいhappy01

『ライダー THE NEXT』私も借りるのには苦労しましたcoldsweats01ずっとお待ちしていますから、いつでもご覧頂き、ご感想などお寄せ下さい。楽しみにしていますhappy01

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