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2008年4月 1日 (火)

『奇跡の復活』

『妥協の末に後悔するより、こだわった末に後悔したい』
こんな言葉を掲げながら探し回った今日の午後。

昔から、雑誌に限らずいわゆる「美本」を求める癖が抜けない私。
ましてや、約三年ぶりの再会とあっては。
誰にも立ち読みされていないまっさらを求める勢いも、力が入るというもので。
で、三軒目にしてやっと見つけました。ビニール袋入りの超美本。
さすが発売日。それでも残数は少なかったですが。

先日の予告通り、今日は早起きしてお仕事など片付け、早速出かけてめでたくゲット。
「空想宇宙に再発進するビジュアルSFマガジン」というキャッチフレーズも新たに復活を果たした、我らの『宇宙船』発売日でした。
あまりに嬉しくて、思わず近くにあったオタク本もついでにゲット。

(写真がその三冊。こう並べると本当にオタクですが
他に「週刊歴史のミステリー11号」も入手、月初めながら結構な散財でした)

識者の方々のブログでも続々と記事にされているこのニュース。やっぱり皆さん、この誌名には特別の思い入れがおありなんでしょうね。それは私も同じです。
確かに休刊中も、『宇宙船』を名を冠したイヤーブックなどは毎年刊行されていましたから、それらを見ながら、ファンも復活を待ち望んでいたんですよね。
でもやっぱり、こうしてその復活号を手にとり、ページをめくってみると、夢が現実化した感慨もひとしおです。
何かもう先日お話した危惧以前に、嬉しさが先に立っちゃいますね。

「また三ヶ月に一度、この熱い思いが味わえるのね」なんて
とても冷静ではいられない状態に。あい変らずのおバカです


はやる気持ちを抑えページを開いてみれば、そこには高らかに「復活」の宣言が。
表紙に掲げられた宣言の繰り返しと言えど、こうして書かれると改めて感動が全身を駆け巡っちゃったりして
何故でしょうね。
例えて言えば「一度現場を離れた仕事仲間が、改めて現役復帰したような感覚」でしょうか。遠い存在と言うより、「特撮冬の時代を戦い抜いた戦友」という距離感なんですよ。この雑誌は。商業誌の壁に立ち向かった姿勢も含めて。


ですからもう、とても涙なしには読めませんでした。「新創刊1号」とかじゃなくて、休刊号を引き継ぐ「120号」となっている所も感涙物です。
中身もまさに『宇宙船』の船内そのもので。USSエンタープライズ号に於けるテレビ版と劇場版の違いみたいな感覚ですね。
やはりそのスピリットは受け継がれていました。


さて。ここからはちょっと内容に触れます。
ネタバレもありますので(雑誌のネタバレっていうのもなんですが)まだ未読で、購入のご予定がある方はご注意下さい。
ただいつものように、拙ブログは「レビュー」は行いません。あくまで「どう感じたか」が主軸です。私のおバカフィルターを通した感想である事をご了承下さい。


まずやっぱり、カラーページの新作紹介はどうしても目を引きますね。これは情報誌である以上仕方がない事なのかもしれません。
キャストやスタッフのインタビューも以前と同じ。確かに新作のファンも多い事ですし、この記事はもっとも旬な話題として必要なところ。日本の特撮世界で「ウルトラ」「ライダー」「戦隊」はもう外せないブランドなんですね。
やはりそういう話題を楽しみにしているファンも多いでしょうし。
その話題の採り上げ方に、宇宙船ならではの味つけが必要なのかもしれません。
スタッフはともかく、キャスト同士の撮影裏話などにはまったく興味の無い私は、ただそれらのカラーページを飛ばし読みしているだけなのですが
結局、番組のキャストって、スタッフのお膳立てに乗っかってるだけなので、裏話も浅すぎるんですよ。当たり前の事しか言えないのも仕方がないんですね。むしろキャストが含蓄あるコメントを言えるのは、番組終了後10年以上の歳月が必要な気もします。

そんな中、やはり圧倒的に宇宙船クルーの存在感を感じるページは「作品論」「怪獣私見」系ですね。これはもう私の好みなので、どうしようもありません。
「宇宙船」誌上でしか実現できない企画、このファンジンノリこそ「宇宙船」ですから。
この号では「ゴジラ」「バラン」「アンギラス」を題材にそれぞれの形態や生態を独自に解釈、「種」という見方で楽しい解析を展開しています。(ビギナーへの配慮がまったく無い所もすばらしい。「既にお馴染みの」的スタンスで)
こういう大人の遊びが出来るところが、この雑誌の良い所ですね。
この「擬似理詰め」の世界は、それらしければそれらしいほど面白いと。
「おおっ、この理屈は破綻が無い!」という感慨を覚えるところに、作者と読者の心の交流を感じるのです。
まーこれも好み、「理屈なんていらない」という方には歓迎されない記事ですが。
でも古今東西、映像作品という物はこういう発想から生まれる事も事実です。


ファンの琴線に触れる取材記事も充実していて。
今年二月に行われた円谷プロ・砧社屋の閉鎖イベントリポートなんて、まさに一つの時代の終焉を見つめた見事なものでした。
これですよこれ。こうした事実をじっくりと語れる場は、この雑誌を置いて他には無いでしょう。

「そりゃあ寂しいですよ。」と語る満田監督の言葉は、宇宙船再発進の事実と裏腹に万感の思いを抱かせます。
昔、私がお邪魔した砧社屋。無上の感動を与えてくれた怪獣倉庫は、すでに恒久の彼方に去ってしまったんですね

しかしウルトラの星は永遠。新たな時代の到来を迎え、新出発に臨む夢工場の姿に、心からエールを贈りたい気分になりました。


そんな意味でこの『宇宙船』は、ある種高年齢のファンをも唸らせる充実した内容が求められるのです。件の記事の取材者が同年代であろうことは、その思い入れから充分に察しもつく所。頑張ってますね。お互い

そして今や、本誌「ホビージャパン」でも採り上げないであろう『古のキット製作』記事。
なにしろコテコテの絶版キット、製作ガイドとしても成立しない所をあえてのカラーページ。
しかもチョイスされたアイテムがツボ突きまくりの「マイティジャック」。
これを見て泣かない60年代生まれが居たらお目にかかりたいと

(絶版キットを投資目的で持ってる方ではなく、いつかの製作を虎視眈々と狙っているモデラーだけに許された贅沢なページです
いやーそれにしても、あのイマイの電動走行をギミックそのまま組み立てますかー。あえてオミットする風潮の中で。うーむ宇宙船恐るべし。
次はバンダイ初版、ゼンマイ走行の「宇宙戦艦ヤマト」に挑戦でしょうか


今時なぜMJ?と思ったら、新作TOY紹介ページで爆弾記事が。
「えーっ!?ついにMJ号が合金化?」

昨年のメーサー車発売ニュースもビックリしましたが、いやーついに最後の大物が立体化されますねー。きっと生産数も物凄く少ないんだろーなー。


もちろん二個買いこれでこの夏のレジャー予定は確実にキャンセルです
こういう新作アイテムとの連動記事も、宇宙船ならではですねー。
しかも、既にアイテム選びの時点でファン層を限定しているという。
なにしろ本放送後、一切リメイクされない「孤高の一作」ですもんね。

庵野秀明監督なんて、物凄くリスペクトしている作品なんですが


他にも魅力的な記事が目白押しで。なんだかこの復活号、休刊中のエネルギーを凝縮、一気に爆発させた感さえありますね。
これまでのオイシイとこ取りと言うか。
確かに時流に合わせたレビュー記事の割合も多いですが、そんな中キラリと光るマニアックな企画が、「宇宙船健在」を強くアピールします。
で、今回、私が最も驚いた企画が・・・


なんと誌上でヒーロー作品のプロット・デザイン・イメージボードを募集、企画如何によって実製作までこぎつけようという夢のような企画です。
名付けて「宇宙船映像倶楽部」。

これはこれまでになかった企画ですねー
例えば「アニマックス大賞」みたいなノリの企画なんでしょうか。
それを特撮作品で。
しかも誌上で呼びかけようという企画。
先日お話した『新生宇宙船の武器』とは、これだったのかもしれません。
本誌、HJ誌上で行った「オラザク」的な発想を、実写ヒーローに転化した企画でしょう。「オラヒーロー」というところでしょうか?

やっぱり宇宙船クルーの目は、新たな方向に向いていました。
これは非常に嬉しい事ですねー


これこそ、ネットのような個人発信では出来ない発想なんですよね。
出版社という資本、「読者と共に作り上げる作品」というクリエイティブな話題性。

部長に雨宮慶太監督というのも、読者のモチベーションアップに最適な人選で。
「自分が思い描いていたヒーローが、ひょっとして現実のものに!」
これですよ。これこそが宇宙船スピリット。
採用されても賞金なし。やる気一つで臨んで欲しい。これもすばらしい。
こういうものですよ。作品への姿勢って。

「お金の為じゃなく、やりたいからやる。」
映像製作って、そういうモチベーションが何より大事なんですよね。


ただこの企画、ある意味では無謀。途中で頓挫するかもしれません。
応募が少なかったり。現実的な企画が無かったり。色々あるでしょう。
それは何を意味するのか。つまり今のファンは「受身」であって、出来上がった作品にツッこみを入れてる割に、自身では何も作り出せない存在である事を明白にする事じゃないかと。それは何より私にも言える事です。
大げさかもしれませんが、これは業界に自分をアピールする「チャンス」なんですよ。


私がこの企画にリスペクトしたのはそこです。
プロから「一緒に作ろうよ」「知恵を貸してよ」と呼びかけられて黙っているようなら、それはやっぱり「受身」と言われても仕方がありません。
もちろん自分も含めて。

私の周りでも、アイデアは語るのに「それを企画にしたら?」と言えば「自分はそこまで積極的じゃないから」という言葉しか出ない「自称ファン」は数多く居ます。
ただ漫然と作品を見て、脚本の不備にツッこんでいれば満足なのか

「なぜ自分が満足できる作品が生まれないのか?」と嘆いているだけなのか?
自分の中に「アイデアの蓄積」は無いのか?
自分は何のために業界入りしたのか?
編集部からの呼びかけに、改めて自問自答している自分が居るのです。

それはまるで、社内会議でただ相手の案にツッこみを入れ、「それなら代案は?」と聞かれて自信たっぷりに「無い」と言っているようなものなんですよね。


経験から言わせて頂ければ、企画に「形」なんてありません。伝われば良いんです。「企画書の書き方が分からない」なんて言い訳なんですよ。
良い企画ならテクニック以前に「思い」で
意図は伝わります。
私は今まで、その現場を何度も見てきました。
確かにこの企画、雑誌媒体ならではの「客寄せ」かもしれません。
でも流れは誰にも分からない。「化ける」可能性もゼロではないんです。
まず信じる事。私の歳でそんな事を言うのも恥ずかしいですが、いくつになってもその姿勢は必要と思います。
そんな熱い気持ちを、この企画は私に思い出させてくれました。
編集部と読者が企画を育てて行く。そんな現場に立ち会える事などめったにないですから


「オタクイーン、そこまで言って。応募する度胸はあるの?」
当然出ますよね。その質問。でも日頃のおバカをご覧になっている「ネヴュラ」読者なら、もう私の答えはお分かりでしょう。
もちろんありますよ。目の前のチャンスをふいにするほど私はボケていません。でもきっと、今のヒーロードラマのメインターゲットからは大きく外れていますから、あくまで自分が見たいヒーローにこだわります。
それが雨宮監督のおメガネに叶うかどうかは、また別のお話です。
冒頭の一言のように『こだわって後悔』したいんですよ。いつも。



さてさて。最後はちょっとヒートアップしちゃいましたが、ともあれ今号の『宇宙船』、なかなか読ませる一冊でした。
危惧していた「ヒーロー写真集+フィギュアカタログ」に陥っていなかった事を心から喜びたいと思います。編集部の皆さんにも感謝。

中身の薄い雑誌が多い中、これで1,800円は安いと
119号に続いて本棚に並べれば、三年のブランクも一瞬に感じてしまい


最後に。皆さんやられていると思いますが。
今回の復活号をはじめ、『宇宙船』の表紙には節々に「あるロボット」が登場します。
開田裕治氏描く所のこのロボット、創刊号をはじめ通刊100号、そして今回の復活号と三冊の表紙を飾りました。


「ハムスターが主人公のヒーローもアリか。いや。ハム太郎とかぶるし・・・」
既に企画考案モードの私。

またしばらく、楽しい時間が続きそうです

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コメント

 私も見ましたヨ! ‥‥立ち読みですが‥‥(^^ゞ

 それぞれに特色ある連載企画のページも健在で、やっぱり多くのライターの様々な視点による記事は面白いですネ。個人の凝り固まってしまう視点のネット記事と比べると、いろんな刺激があって面白いです。

 本記事の中でオタクイーンさんも触れられていますが、砧社屋と東宝ビルトの閉鎖の記事はさすがにプロのライターによる記事なのだな、と感じました。前回の記事への私のコメントのように、満田専務へのインタビューなど、素人のブログでは不可能です。こういうディープな部分へどんどん入っていってもらいたいです。

 MJ号の合金の記事、私も見ましたヨ。約2万円でしたっけ? ちょっと私には手が出ない‥‥(T_T)
あのイマイのプラモ、私は当時持っていました。ちょうど私がハシカにかかった時で、そのことを思い出します(^^ゞ
 まだ幼稚園児の頃で、当然1人ではつくれず、父と父の会社の人が手伝ってくれて完成させました。まだ「塗装」なんてことを知らず、デカールを貼っただけでした。

 『宇宙船』は季刊として復活したのでしょうか。明日にでも改めて買ってきます(^o^)/

自由人大佐様 今回の宇宙船復活は本当に感涙物でした。
記事が休刊以前の体裁そのままだったので、不思議な事に、休刊していた事さえ忘れてしまった程でした

考えてみれば、おっしゃる通りの「プロによる取材記事」も商業誌ゆえの強みですね。
同じ物を見ても、素人とプロでは着眼点が違いますし、文章化のノウハウもプロならではの物がありますしね。その事を再認識した次第です。

MJ号の合金、いつかは出ると思っていましたが、こんなに早く実現するとは。
完全なサプライズでした。
メーサー車・轟天号と並ぶ、特撮ファン垂涎のアイテム。まさに決定版です。
でも私も、きっと一個入手が精一杯かも。
やっぱり19,800円は大きいです

でも大佐さんは、イマイのキットをご幼少の頃お持ちだったんですね。羨ましい。
私なんて80年頃の再版で数個かき集め、今だに一個も完成させていない体たらく
今回の合金発売で、製作モチベーションがますます下がりそうです。
あ、発売までに作ればいいのか。でもコナミの食玩があるし・・・
やっぱり意思が弱いですね。お許しを

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