2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

ネヴュラ・プライベートライン

無料ブログはココログ

« 『奇跡の復活』 | トップページ | 「正義」の「定義」 »

2008年4月 2日 (水)

水中花の悲哀

毎朝、新聞で楽しみにしている記事があります。
せち辛い世相を反映し、殺伐とした見出しが躍る紙面の中、連載中の「ちびまる子ちゃん」と並ぶ唯一の興味。
雑誌や新刊書の紹介記事・広告などです。


ネットの普及で、昔ほど本を読まなくなった私ですが、それでも常に面白い話題、刺激を与えてくれる一冊を探す癖が抜けません。
そんな訳で、今朝もつらつらとページをめくっていたら。
「あっ、これは面白そう」という一冊に出会いました。
さすが年度変わり。昔からおなじみの雑誌も、新装版となる事が多い時期ですね。

Photoで、早速買ってきたのがこれ。「サライ」です。
この雑誌、10年以上前は定期購読していたんですが、最近はちょっとご無沙汰になってまして。「記事が枯れすぎ」という所に、敷居の高さを覚えたのかもしれません。
でも、そのしっかりとした取材、地に足のついた編集方針は、いつも浮ついた私にとって大変好ましいものがありました。
しかも今回の特集は、ご覧のとおり「昭和のお笑い」。
このテーマを掲げられたら、買わない訳には行きますまい
happy01


「ネヴュラ」でも何度かお話していますが、私は元来、結構なお笑い好きです。
まーお笑いが嫌いな人は居ないと思いますが、自分の番組にも芸人さんを呼びお笑い演出を導入、以前、半年ほど「坂本ちゃん」と一緒にお仕事した事もあります。
ですから「お笑い」という単語には、少々過剰気味に反応してしまうんですね。
しかも「昭和」と来ればなおさら。
今日発売でしたから、書店で手に取られた方も多いと思います。

Photo_2この一冊目当てに書店に向かった私はもう興奮状態。手に取った私を購入に踏み切らせたものは、なんといっても超豪華な付録でした。
何と今回、この号にはCD付き。
しかも私の世代にとって、ついにリアル体験が叶わなかった「三木鶏郎」「榎本健一」「古川ロッパ」の肉声CD。これで買うなという方が無理ですhappy01



ただこの話題、さすがの「ネヴュラ」読者にとってもちょっと古すぎますよね。
昭和27年のラジオ、34年の演芸、35年のインタビューですから。
私も生まれてませんし。
でもそう言っちゃうと、「生まれる前のゴジラ映画は関係ありませーん」と言い放つ今風ファンと同じ立ち位置になっちゃうので、ここは意地でも踏みとどまりますhappy01

まー33分程度のCD。食事時間に一気鑑賞できました。
自分なりに思う所も多かったんですが、これはまだ読みも浅く、咀嚼が足りないので感想はいずれお話する事として。
当然ながらこのCDは本誌記事ともリンクしていて、三木鶏郎、エノケン、ロッパの半生などを綴った記事などは結構勉強になりました。
さすがに戦前、戦後のお笑い文化を担ったビッグネーム、小林信彦さんの著作だけでは全貌もフォロー出来ないというもので。


当時を知る方には、この辺りの立体的なウンチクも伺えるのかもしれませんが、やはり記事と声だけではなかなか一説のたまうのも難しく。
ボキャブラ不足の私などは余計、識者からのツッこみに怯えて何も書けない有様なのでした。ごめんなさい。いつも以上の及び腰でweep


本誌にはそれらビッグネームに続く戦後、テレビ世代のお笑いスター達の姿が活写され、この特集、さながらお笑い文化の歴史教科書的様相を呈しており。
いやー力が入ってる。よく調べてありますhappy01

Photo_3この号、よほど腰を据えて読まないと軽くあしらわれそうなので、今日の時点での感想は避けます。
そんな中、唯一私の中で咀嚼できたのが、巻頭に組まれたウクレレ漫談師、牧伸二さんのインタビューでした。
御年74歳。デビュー51周年だそうです。

私の世代では、日曜お昼の「大正テレビ寄席」などが記憶に上る所。『ロンバリルーム』とかhappy01


ご多分にもれず、芸人さんの世界にもやはり厳しさは存在します。コミカルなウクレレをBGMに時代を斬る牧さんの「やんなっちゃった節」は今も健在ですが、その現役ぶりの影には、やはり数々の岐路があった事が分かります。
しかしながら「ネタ作りにはあまり苦労しない」「一度ウクレレをギターに変えた時は、音が重くなっちゃってギブアップ」などなど、その道を極めた方ならではの裏話は軽妙洒脱、芸談好きな私の溜飲は一気に下がるのでした。
やっぱりあの軽妙さは、ウクレレだからこそ成立するんですね。
考えてみればあの唄、内容は結構辛辣ですもんね。


「芸人は舞台で鍛えられる」という言葉も、私には大きく頷けるものでした。
インタビュー中、ほんの少しだけ舞台のネタが披露されているんですが、やはりテレビのネタとはまるで違う。そこには、明るく無害なテレビ芸人の下からぬるりと顔を覗かせる、したたかな舞台芸人の顔がありました。

私はそんな所にも、お笑い芸という存在の危ない魅力を感じるのでした。

で、まあこういう大御所インタビューの常として、最近の芸人さんについてお話が及ぶのですが、やはりこういう所に舞台芸人の意地が出ますね。
写真の見出しの通りです。
「裸芸は裏芸。芸人同士の無礼講の宴席でやるもの。」

この発言を読んで、私にはある記憶が脳裏をかすめました。
以前、それに通じる会話を交わした事があったからです。



私が昔、芸人の青木さやかと親交を深めていた事は、「ネヴュラ」でもお話したと思います。
東京でブレイクする前、彼女は、名古屋で自分の芸風や進路に悩んでいた時期がありました。そんな彼女から、私はよく相談を受けていたのです。
深夜のファミレスで、長時間語り合った事もありました。


大まかに言えば、彼女の前に立ちはだかる壁は一つでした。
「女芸人が目指す方向は?」これだけでした。

当時、既に劇場などでお笑いライブを行っていた彼女は、観客の反応などから自分の方向性を見失っており、「自分のどの部分を伸ばせば良いのか」がまったく分からない様子でした。
そこで話題に上ったのが『女芸人は色気を武器にしていいのか?』という事。


元来、非常に生真面目で律儀な彼女は、その部分に最も気を使っている様子でした。決して色気を武器にはしない。色気を見せれば観客の興味はそちらに集中し、お笑いの方向を見なくなってしまう。
「正しい選択かもしれないね。」
私はその時、そんな感想を漏らしたような気がします。
きっとそれが、彼女の芸人としての意地だったのでしょう。
「色気に頼れば早く潰れる。」そんな強迫観念もあったのかもしれません。


ここまで聞かれて、皆さんはある疑問を持たれたと思います。
「えーっ?だって彼女のキャッチフレーズは『ドコ見てんのよー!』だし、写真集だって出したじゃん。あれで色気を抑えたって言えるの?」
ごもっとも。ここが今日、お話したい部分です。


きっと彼女はスレスレで、牧伸二さん言う所の「裏芸」を回避したんでしょうね。
時期も良かったと思います。例えば、彼女が最初から「にしおかすみこ」のようなデビューを飾っていたら、今のポジションには居られなかったと思うのです。

前述のにしおかやたむらけんじ、小島よしおなど、「裏芸」を印象づける芸人さんは、やはりどこかで転換期を迎えなければならない。確かに裸だけではせいぜい賞味期限は一ヶ月。ビジュアルだけなら二週間という所でしょうし。
既にたむらけんじさんなど、関西制作の番組では肌を晒していません。


要は「デビュー時、既に手の内を見せてしまっている」という事なんでしょうね。
後が無い。

確かに今の「テレビ芸人」(あえてテレビと付けますが)さん達は、一発屋的な出方で次を考えられない状況(芸の鍛錬、才能も含めて)にありますから、裸芸人さんと大差は無いんですが、まだ「脱ぐまでには至らない余裕」があります。
「出オチ的背水の陣」で登場するほど、その後が大変になるはずですから。


おそらく牧伸二さんが言いたかったのは、「裸芸なんてものは、腹を割った仲間だけに見せる内輪芸。最初からそこまで見せてしまったら後が無いよ」という事だったのでしょう。
確かに難しい状況。転換にはよほどの戦略が必要でしょう。
既に翳りが出ている人も居ますし。


ただ、もう一つ言える事があります。
そんな一瞬の光芒でもいいからテレビに出たい。人気を得たい。
そういう願望を持つ人たちも、確実に存在するんですよね。
私が「テレビ芸人」と言ったのはそこです。

おそらく、テレビはその長い歴史の中で、「舞台芸人」とは違う人種を生み出し続けているんです。ブラウン管の中だけで一瞬輝く「水中化」のような存在を。
決してそんな人ばかりじゃないんですが。最近はちょっと目立つかなと。


ここがきっと、牧さんには理解できない部分だと思います。
「芸人」と一言で括るから無理があるんでしょうね。
そういう意味で、瞬間的なギャグ(小林信彦氏に習って「キャッチフレーズ」と表しましょうか)やアイドルとのトークで偶発的に出るボケを身上とする人々は、もともと舞台など目指していないのかもしれません。
テレビの中だけで咲けばいい。一瞬で散るのも一興と。
これは決して揶揄ではありませんよ。職業に貴賎はありません。そういう生き方もあるという事です。彼らを真近で見ている私にはよく分かります。
彼らにも生活があり、未来を考える必要もあるのです。

Photo_4牧さんのインタビュー、次のページには、「芸人を作るには10年かかる」という持論が展開されています。
確かにこれも真っ当なご意見ですね。

でもそれはあくまで、「芸に一生を捧げる」と決めた人に言える事なのかもしれません。

一瞬の人気を「宝くじが当たった」とでも思う人種も居る訳です。良くも悪くも。

それを誰も責められません。本人の人生ですから。
ただ、個人的な好き嫌いで言えば・・・それはお分かりと思いますhappy01

いつもながら、お話がちょっと逸れてしまいました。
まあこんな私も居るという事で。
本当はこの話題、もっと掘り下げたいのですが、ちょっと明日はたて込んでいるので今日はこんなところで。
「平成のお笑い」が決して幻影ではない事を信じたいです。

(でも最近、心に残る芸人さんが居ないのは何故?)

« 『奇跡の復活』 | トップページ | 「正義」の「定義」 »

「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

「映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/104767/12168940

この記事へのトラックバック一覧です: 水中花の悲哀:

« 『奇跡の復活』 | トップページ | 「正義」の「定義」 »