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2008年2月12日 (火)

今夜はどう口説いてくれるの?

金曜日、夜11時。ちょっとお洒落なホテルのラウンジ。
お仕事を済ませた貴方と私が、二人で過ごす週末の前祝いに作った時間。

貴方はドライ・マティーニ。もちろんシェイクして。
私は・・・そうね。アメリカン・ビューティーを一杯。

ちょっと酔いも回ってきたところ。私は貴方の口説き文句を期待してる。
どんな素敵な言葉で落としてくれるの?


そっと貴方が口を開く。唇の動きを目で追いかける私。
彼はこうつぶやいた。


「これから30分。あなたの目はあなたの身体を離れて、
この不思議な時間の中に入っていくのです。」

私の目はもうハート。
目だけでなく、全ては彼の操る、「不思議な時間」の虜となってしまいました・・・



という訳で今日は、私の好きな「番組ナレーション」のお話です(笑)。
サブタイでお察しいただけたと思いますので、下手な小芝居は不要でしたね(汗)。
冒頭で使ったナレーションは、もちろん「ネヴュラ」最多出演を誇る「ウルトラQ」(1966年)のオープニング。国産の特撮ドラマの中で、これほどまでに有名な「視聴者口説き」の一言もないでしょう。
「あなたの目はあなたの身体を離れて」
この表現に込められた、不可解かつ新鮮な印象は、番組放送後42年を経た今も、ファンの心を鷲掴みにしているのです。


現在まで、星の数ほど作られているテレビドラマの中で、名作と呼ばれる番組を彩ったナレーションは、それ単体でも聴く者を唸らせる名文揃いですね。

ちなみにここで「名作映画」と書かなかったのには理由があります。
もともとシリーズ物として企画されるケースが少ない映画は、一本一本が独立した発想で作られる場合が多いです。企画開始時、一定の本数が製作されることを決定付けられたテレビシリーズとは、企画の成り立ちからして違うんですね。
そもそも、オープニングナレーションは、毎回同じの基本設定や番組イメージを観客に分かりやすく伝える事が目的。毎回、設定の違う映画には、このナレーションは不要のものなのかもしれません。「映画なんだから、そういう所こそナレーションでなく、ストーリーに織り込むべき」というご意見も聞きますね。
同じ映像作品であっても、一作で作者の主張をすべて網羅する映画と、エピソードを重ねることでテーマを重層的に表現するテレビシリーズとは、もともと別の構造を持つものなのです。

件のオープニングナレーションだって、毎回反復して流されることで、主題歌などと同じ「番組の顔」として機能するのは皆さんご存知の通り。
放送時、主題歌のなかった「Q」にとって、このナレーションが番組イメージに大きく貢献したと言っても過言ではないでしょう。

ところでこの「これから30分~」というナレーション、当時の国産テレビ番組と比べて、とんでもなくハイブリットに思えるのは私だけでしょうか。
なにしろ1966年ですよ。昭和で言えば41年。ビートルズ来日が大きな話題となったこの年、国産テレビ番組は「笑点」「忍者ハットリ君」(実写版)「おそ松くん」などが放送されました。
それらの番組に見られる日本的な情緒はまた味わい深いものがあります。
しかしそれらの番組に使われたナレーションやセリフ回しと比べても、「Q」のナレーションはずば抜けて都会的、スマートな印象を残すのです。


「Q」の前身となる番組企画「UNBALANCE」に於ける企画意図について、当時の事情を知る円谷プロの満田かずほ氏は、海外テレビドラマ「世にも不思議な物語」(日本放送1959年~)のテイストを目指したと語っています。
その後の研究で、「Q」のコンセプトが邦題「未知の世界」(第2シーズン邦題「ミステリーゾーン」 原題トワイライト・ゾーン 日本放送1960年~)や、邦題「ウルトラゾーン」(原題アウター・リミッツ 日本放送1964年~)などの影響を受けて作られていった事がわかり、今や定説となっています。
そう考えれば「Q」劇中の空気が日本離れしている理由も納得できますね。
実際私も、前述のシリーズをほぼ全話(このアバウトさが恥ずかしいんですが)鑑賞、そのテイストの酷似に驚いたものです。
まーいつもながら、私の発見なんぞ、先人の研究の後手後手に回ってばっかりで。全然偉そうな事など言えません(涙)。


さらに研究には続きがあって、「Q」はどちらかと言えば、「未知の世界」より「ウルトラゾーン」に近いテイストを持つシリーズという解析がなされていますね。私も二作品を見比べて同じ印象を持ちました。
「未知の世界」は不条理な世界を描くミステリーの傾向が強い。
「ウルトラゾーン」は宇宙人やモンスターが登場する、SFストーリー。

まーはっきりと色分けできる訳でもありませんが、どちらかと言えば、なんて感じです。「Q」が都会的で洗練されている理由は、アメリカSFテレビドラマの血が流れているからなんですね。


ちょっとお話が遠回りしました。なんでこんなに迂回したかと言いますと。
冒頭の「Q」ナレーションにも、この「アメリカの血」の影響が現れているから、なんて事を言いたかったからなんですね。
「未知の世界」「ウルトラ・ゾーン」共に、番組はナレーションで幕を開けます。
実際のところ、それぞれのナレーションは素晴らしいもので、ドラマへの期待をいやがおうにも高めてくれるものでした。

残念ながら、「未知の世界」のソフトは手持ちがありません。(第2シーズン「ミステリー・ゾーン」は持っていますが、ナレーション内容が違うような。)
ですから有名な「ウルトラゾーン」のナレーションのみ、ご紹介しましょう。


番組タイトルの直後に、テレビ画面の故障らしき映像の乱れが入って・・・
真っ黒な画面の中心には、小さな白い点だけ。淡々と語る男性の声。



これは、あなたのテレビの故障ではありません。
ダイヤルをお触りにならないように。私たちがコントロールしているのです。


ボリュームを上げたければ、このように大きく。
また下げたければ、このように小さくする事ができます。(音声が強弱)
水平線も垂直線も、ご覧のように自由に調節できますし。
(上下左右に伸びる点)
映像のゆがみも思いのままです。(垂直同調が乱れるテストパターン)
また、焦点をぼかしたければこのように、合わせたければいつでも鮮明に映し出せます。(ピントがずれる地球の全景)
もう一度申し上げますが、これは、あなたのテレビの故障ではありません。
(波形パターンが動いて・・・)


あなたは、これから私たちとともに、素晴らしい体験をなさるのです。
それは、未知の世界の神秘とも言うべき宇宙の謎を解く、驚くべき物語です。

再びタイトル「THE OUTER LIMITS」。



あまりにも有名な、若山弦蔵氏の名調子。シンプルで効果的な画像処理。
「ネヴュラ」読者なら、よくご存知のことと思います。
「電波側」がテレビの受信状態をコントロールしているという設定。
こちらからではなく、勝手に映像や音声が操作されてしまうという演出。
確かに番組の枠内ですから、製作側にすればいとも簡単な事なんですが、改めてそれをやられると、ちょっとした驚きを覚えてしまいますね。
たとえこけおどしであっても、それは「これから視聴者を異世界へと誘う、見事なツカミ」の役割を果たしていたと思うのです。

「テレビがコントロールされるという超常現象」が導入部。


この「ウルトラゾーン」の第一話「宇宙人現わる」は、テレビの電波を伝ってブラウン管から抜け出てくる電磁エネルギー生命体の驚異が描かれていました。
このナレーションが語ったのは、決して嘘やはったりではなかったのです。
「未知の世界」のオープニングにも、こうしたスピリットは溢れていましたね。

「Q」の名文句「これから30分~」にも、「異世界への案内」というこのスピリットが脈々と流れています。何しろ「目が身体から離れる」んですから。
それは「テレビの電波をコントロールできる」ほどの異世界の住人にしか、言えない言葉なのかもしれません。



さて。実は今回のナレーションのお話はまだ導入部。これから本題に入ろうと思ったのですが、予想以上に「Q」のお話が長くなってしまったので、続きは次回以降にしましょう。皆さんが大好きなナレーションのお話も、できるかもしれませんね。

でも思います。
あの「Q」のナレーション「あなたの目はあなたの身体を離れて、この不思議な時間の中に入って行くのです」は、つくづく罪な「口説き文句」だなーと。

私はその一言に魅せられて、怪獣世界への永遠の愛を誓っちゃった訳ですから。あれから42年間も。
なかなか最近は、心を奪われるほどのナレーションに出会う機会が少ないですね。一撃でファンを虜にする名文句を聞いてみたいものです。


バレンタインデーも真近。私もチョコに名ゼリフを添えて、本命の彼を落としてみたいものですが。(こんな駄文じゃダメだって?(涙)

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