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2007年11月 7日 (水)

電光石火作戦

吹きすさぶ風に揺れる駄菓子屋さんの小さな暖簾は、さながら西部劇の酒場のドアのよう。エンリオ・モリコーネのウエスタンBGMが似合いそうな空気の中、彼は一人、一世一代の賭けに臨みます・・・

前回のラスト、超人バロム1カードのラッキーカードを携えて駄菓子屋のおばさんを出し抜くべく勝負の舞台に立った小学生の従弟。彼は果たしておばさんに一矢報いる事が出来たのでしょうか?
今日の記事は前回記事の続きです。初見の方は11月5日の記事を先にご覧下されば、お話の流れがよりおわかり頂けます。

この日、駄菓子屋に向かったのは従弟一人でした。私は同行しなかったので、ここから先は後日従弟本人から聞いたお話です。その点はご了承下さい。

Photo細心の注意を払い幾多の練習を経て作り上げた作戦を、彼は実行に移しました。
いつものように店先に並んだバロム1カードの袋を一つ持つと、手馴れた手つきでおばさんにお金を渡し左手にカード袋を持つ彼。その時彼の右手の中には件のラッキーカードが。彼はおばさんの目に止まるようカード袋を持ち直し、目の前でおもむろに、そして確実に袋の口を破いていったのです。
袋はうまく破れました。おばさんは店内のお菓子やおもちゃのかたづけに気を取られ、さほど彼の手元を気にかけていません。

さあ、ここからが練習の成果。彼は袋を覗き込むフリをしながら左手に右手を重ね、右手のラッキーカードを袋に滑り込ませる事に成功しました。
袋の中では買ったカードとラッキーカードが重なった状態です。
さあ、そしてここからが最大の難関。何度も練習した技の見せ所。


袋からゆっくりとカードを引き出す彼。
袋から出てきたのはさっき忍び込ませたラッキーカード。
「カードのすり替え」セカンドディール成功!まさに電光石火の早業!


「あっ、ラッキーカードだ!」彼は驚くフリをして(きっとワザとらしかったんでしょうけど(笑)おばさんにカードを差し出しました。
「えーっ?」顔色一つ変えずにカードを受け取るおばさん。
沈黙の時間が流れます。
心臓の鼓動音が聞こえそうなほどの緊張。


「カイジ」風に言えば「彼は待った・・・。敵、自ら、泥土に足を踏み入れるのを。
顔を伏して待った・・・」って所でしょうか。
(クイズミリオネア・解答待ちシーンのBGMをご想像下さい(笑)

ところが、従弟からこの先を聞いた私は、意外な展開に驚きました。
なんと、おばさんの口から出た言葉は。


「あー、このラッキーカード、古いヤツだね。」

古い?古いってどういう事?予想もしなかった展開に彼は大パニック。
「このラッキーカード、変わったんだよ。」
目の焦点も定まらない彼の前に差し出されたのは、おばさん言うところの「新ラッキーカード」でした。
けげんな顔で覗き込む彼。

そのカードは、確かに彼が持っていたカードとはいくらかデザインが違っていました。文面の内容はほぼ同じなのですが、「ラッキーカード」の文字を取り囲む円の形や文字の配列に大きな差があったようです。

「取替え期限切れのカードが混ざってたんだねえ。おばさんは知らないよ。」
確かにその場で袋から取り出した(と見せかけた)カードですから、ここで「期限前に出たカードだからいいじゃない」とは反論できない。
彼は泣く泣く、カードを持って退散したのでした。

セカンドディールには成功した彼でしたが、その後の展開はいかに優れたカード・テクニックでも解決できなかったようです(笑)。
「あの時のショックは忘れられないよー。きっとあのカード、まだ家のどっかにしまいこんであるよ。捨てられないもん。」よっぽどショックだったのでしょう。その時の様子を彼は今でも話してくれる程ですから(笑)。


Photo_2今こんな事が起こったら子供はすぐさま親に告げ口、お店は詐欺行為でつるし上げられちゃうなんて大事になっちゃうんでしょうが、当時の駄菓子屋さんの雰囲気ってこんな感じでしたよね。
このカードの一件はもとより、例えばむき出しの状態で売っているドーナツを持って「これちょうだい」とおばさんに渡した瞬間、おばさんがうまく受け取れなくてポロッとお店の床に落ちちゃったり。そんな時、おばさんに涼しい顔で「私は知らないよ」なんてうそぶかれた事も。
もっと凄いのもあります。、例の「5円引き怪獣ブロマイド」を目当てに行った私たち。ところがたまたまお店では品切れで、なんとおばさんは店の奥の住居部分から「自分の子供に与えたブロマイド」を持ち出してきたのです。
それを平気な顔で売りつけられそうになった事もありました。
(さすがに断りましたが。だってむき出しなんですから。あれは袋から出す瞬間が楽しいのに。しかも差し出されたプロマイドはウルトラセブン怪獣「ガブラ」のアップ(爆笑)。

頂いたコメントにも書かれていましたが、この「駄菓子屋の攻防戦」が当時の空気なんですよね。この雰囲気は「ALWAYS 三丁目の夕日」一作目、駄菓子屋のシーン(「スカばっか」コールが素晴らしい)で再現されています。
地方は違えど昭和30年代から40年代あたり、コンビニ誕生以前までは、駄菓子屋さんは「大人と子供のかけ引きの場」でもあった訳です。

ところで。ちょっとお話は戻りますが、先ほどの「ラッキーカードのデザイン」の一件、一体なぜそんな事が起こったのでしょうか?
この事実、従弟の名誉の為にも(笑)今改めて考えてみると、当時の「バロム1カード」流通の裏事情がやや推測出来るような気もするのです。まあ推論に過ぎませんがこれも「ネヴュラ」向きの話題、大人の遊びとしてお聞き下さい。

Photo_6 ひょっとして例のバロム1カード、駄菓子屋さんのおばさんが言った言葉に大きな悪気は無かったんじゃないかと。
このバロム1スナックの写真、スナックの左下に映っているカード袋に「駄菓子屋でカードだけで売られていた時の袋?」という説明文がついていますよね。この「?」が曲者なんですよ。要はスナックに添付されていたカードと、駄菓子屋さんに流通していた頃のカードって、当時、その二つがはっきり選別されていなかったんじゃないかと推測できるのです。

ひょっとしてスナック添付のカードが駄菓子屋ルートに流れ、単体で売られていた可能性もあると。例えばブルーのカード袋のまま。当時そういう混乱から、スナック添付のカードについてはメーカー・問屋さん・小売店間に「このカードは当たりがあって引き換え景品が存在する」という情報が行き渡らなかったのかもしれません。
ただそうなると、袋に印刷された「その場でアルバムカレンダーがもらえます」という記述が疑問ですね。駄菓子屋のおばさんはそれを不思議に思わなかったのか無視したのか。まー当時、そういう記述は結構いい加減でしたしね。もらえるはずの景品がお店の都合で違う品物になっていたり(笑)。


Photo_7 あるいはスナック添付のカードを作りすぎた為、駄菓子屋ルートでも販売するけど、景品については間に合わないからカードとセットに出来なかった事情も考えられますね。
だから駄菓子屋のおばさんは従弟のラッキーカードの存在を知らなかった、もしくは知っていても景品がセットされていなかったから引き換えようがなかったのかもしれません。
従弟が引き当てたラッキーカードは、ひょっとしてスナック添付のカードだったかもしれないのです。彼も運の悪い時期にカードを当てたものです(笑)。


で、メーカーの混乱もおさまり生産ラインが整備されて、(中身は同じでも)駄菓子屋売り専用のカードがパッケージされたもの、それが「?」マークのついた黒いカード袋だったんじゃないかと。同時に景品引き換えシステムも軌道に乗り、駄菓子屋さんでもやっと引き換えが可能になった時、ラッキーカードのデザインも一新したのではないでしょうか。
そう考えればなんとなく辻褄が合いそうな気がします。

おばさんもこの時、ラッキーカードの存在を知ったのでしょう。同じバロム1カードでも、ある時期から景品が添付されるようになって、子供への説明に困ったと。「古いカード」というセリフも、おばさんの苦しい言い逃れだったのかもしれませんね。

Photo_4そんな風に末端の小売店にまで混乱を与えてしまうのも、当時のメーカーの大らかさゆえでしょう。考えてみれば、こういう混乱はラッキーカードにちゃんと景品の引き換え期限を明記しておけば避けられるんですよね。おぼろげながらバロム1カードには引き換え期限が印刷されていなかったような記憶があります。従弟の混乱もきっとここから来たと。(識者の方、もし違っていたらごめんなさい。私がすべて悪いんです。)
写真は仮面ライダースナックのラッキーカードですが、これにはちゃんと締切日が明記されていますよね。単体で駄菓子屋さんに流通しなかったカードであってもこういう風にセキュリティーがきちんとなされている。
カードの精度も含め、ライダーカードが今もって研究者の対象になっている理由が分かるような気もします。

なーんて。カードの実物を一枚も持っていない私など、決して偉そうな事は言えないんですが(笑)。

Photo_5駄菓子屋さんの攻防について結構辛辣な事もお話しましたが、駄菓子屋さんのおばさんって決して前述のような怖い人ばっかりでもなかったような気もします。
夕方、お店を覗くと、「宿題は済ませたの?」「もうすぐ夕ごはんだから、あんまりお菓子食べちゃいけないよ」なんて、まるで母親のように私たちの事を心配してくれたおばあちゃん達も多く居ました。
私がお店を覗くのは、そのおばあちゃんとの会話を(いや、話しかけられるのを、ですね。)楽しみにしていたからという事も間違いないのです。


おそらく今、こういう家族のような会話が成立するお店は、都市部より地方の方が多いのでしょうね。私も番組の撮影などで時々地方都市に出かけると、町の小さなタバコ屋さんでこんな会話を楽しめる事があります。
古い人間なのか、そういう出来事がある度に「今度のお仕事は得しちゃったな」なんて思える事も多いですね。あの駄菓子屋さんのやりとりや今回のようなエピソードが何故か記憶の中で輝いているのは、その根底に人間同士のコミュニケーションがあったからなのかもしれません。

頂いたコメントの中にありました。例え駄菓子屋さんのおばさんが怖くても。
「でも毎日通ってたんだよなぁ~。」

また行きたくなるお店。子供時代には数多くあったそんな貴重な場所は年を経るとともに少なくなっていきます。大事にしたいものですね。
たとえ店主との間に「電光石火作戦」のかけ引きがあっても(笑)。

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コメント

こんにちは。
復活おめでとうございます。
毎回楽しみにしています。特に会社で堂々と?開けるようになった背景のデザインが良いです(笑)

で、くだんのバロム1カードの件ですが、このラッキーカードは現在分かっているだけで5種類くらいありました。

初期のものは○の中にラッキーカードと書いてあるもので、後期のものは超人バロム1のロゴが書いてあります。

問題のアルバムのほうですが、駄菓子屋で箱売りされていたのなら、箱の中にアルバムが3冊入っていたはずです。
ここで、もうひとつ問題なのが、ラッキーカードです。
ラッキーカードは別梱包なんですね。
だから、景品を渡したくなければラッキーカードはそのまま捨てちゃうことが出来たんです。

私も随分やられたような気がします。
幾ら買ってもラッキーカードが出なかった店は、面倒なのかどうか分かりませんが、かなりの確率で店頭には出していなかったでしょうねぇ。

後年、問屋めぐりをしてこの手のカードを箱で大人買いして判明した事実です。
知らないほうが夢があったでしょうか・・・

 複雑な結末ですネ~。「ラッキーカード」のデザインが違うなんて、考えもしませんでしたヨ。

 「ライダースナック」のカードは現存しているものがたくさんあったり、きちんと収集されていらっしゃった方がたくさんいたりで、資料が充実しています。これも人気番組だったお陰ですネ。おそらく、『バロム1』のカード同様に、日清の「キカイダーココナツ」の円形カードはまだ全貌が解明されていないものでしょう。

 私は当時のライダーカードのコレクションのほとんどを、「本郷と一文字のダブル変身」の458番と取り替えてしまいました。(番号は今調べました(^^ゞ)どんな怪人のカードよりも、この458番の2人がカッコよかったんです!
 そういえば、ラッキーカードは1回しか当てたことがなかったなぁ~。送ったら返してもらえないと思い込んで、アルバムとは換えませんでした(^^ゞ


 駄菓子屋の魅力溢れる商品群に惹かれて、ババアとの攻防に明け暮れていたあの頃。汚い手で串に刺さったアンズや花串カステラ、チョコリングなどを食べ、5円引きのウルトラ怪獣のブロマイドを買い、ゴムのヘビやクモの当てものに燃えていました。今の子ども達には経験できないものですネ。イイ時代に生まれたと感謝しています。

オタクイーンさん、ドキドキしながら待ってました~結末編!
「古いやつ」って、じゃ、以前は古いやつじゃなかったんですね!といいたい所ですね~(笑)
駄菓子屋のおばちゃんとの戦いも妙に納得できるエピソードです。
「ALWAYS 三丁目の夕日」を観て感慨深い気持ちになるのも、きっとそういう時代の懐かしい風景を思い出すからでしょうね。
そのカード、出てくるといいですね、、、逆に思い出と相まって最高のお宝になるでしょう。。
自分の通っていた駄菓子屋のおばちゃんは最近永眠されました。
小さい頃、毎日のように通い、時には怒られ、時にははずれ続ける自分に、「ほら、もっていけ。」と一等のサメをくれたりと、、、いい思い出です。
その店も時代と共に駄菓子を置かなくなり普通の小売店になり、亡くなるまで商売を続けてました。大人になってもちょくちょく買いに行き、世間話をするのが楽しみでしたね。

「ボトムズ」の件、承知しました~そうでなきゃ長年にわたってファンを魅了できないですよねー

雀坊。様、お久しぶりです。新しいブログデザインはちょっと大人しいかなと思っていましたが、そんな効果もあるんですね(笑)。

ラッキーカードの件についての詳細なご説明、大変ありがとうございました。
まさか5種類もあったとは。予想以上のバリエーションにビックリです。やっぱり景品の交換締め切り日によって分けられていたのでしょうか?
確かにそういう事情があれば、拙記事のカードデザイン違いの説明はつきますね。おばさんの「古いカード」なんて説明はともかく。

おばさんがそこまで頑なに景品交換に応じなかった理由は、ご説明にあった別梱包のラッキーカードが普通のカードに紛れ込んでいたからという事なのでしょうか。おばさんはそうとは知らず景品を独り占め、お客の子供にずっと当たりのないカードを売っていたと思い込んでいた・・・
いやーまだまだ謎は尽きませんね(笑)。でもまあそれはそれで、昔話のネタとしては丁度いいじゃありませんか。このエピソードがきっかけであの頃の空気を思い出す事ができるのですから、あの怖いおばさんに感謝しなきゃいけませんね。

これからも、カードやブロマイドの事はエキスパートの雀坊。さんに教えて頂ければ嬉しいです。ご覧頂いてお分かりの通り、私なんて中途半端な記憶と思い込みだけのおバカですから。
また何かとサポート下さい。よろしくお願い致します。

自由人大佐さん、いかがでしたか?真相はまさにこの通り。複雑な上に今も謎に包まれた結末でした。
でも考えてみると、記事に書いた通り当時の駄菓子屋さんやタバコ屋さんって、けっこうこんな掟破りが多かったですよね。こういう景品システムだってメーカーのマニュアルにこだわらす、小売店の裁量に任されていた部分があったような気もします。
子供の頃の、この手の記憶が記憶が混乱している背景には、お店の対応の違いもあったんでしょうね(笑)。

今、458番を見ていますが(笑)、こういう特写が多いのもライダーカードの魅力なんでしょう。私にもお気に入りの一枚があったと記憶しているんですが思い出せません。きっと他の図版とごっちゃになっているのでしょう。
久しぶりにライダーカードを見渡して、当時の自分に思いを馳せてみるのも楽しいものです。

拙記事に時々出てきますが、家の近くの大型駄菓子屋さんには少ないですがおもちゃも売っているんですよ。空気で跳ねるピョコピョコカエルとかいろいろ。
おもちゃがいっぱいぶら下がっている当たりクジもシート売りされていますが、おもちゃが全て最近のキャラクターなのが少し寂しいところです(笑)。


大和少年さん、結局、真相は闇の中でした(笑)。
情報という魔物に翻弄された従弟はこんな原体験をバネにしたのか、今、情報処理分野の博士号を取って大学の教授となっています。
つくづく、カードの恨みは恐ろしいと(笑)。

今、続篇が公開されている「三丁目の夕日」ですが、作品の向こうに「自分達の三丁目」を観る事ができる人たちは、あのシリーズを手放しで楽しめると思います。
ただ私たちが時代劇を楽しめるように、今の子供たちにだって「三丁目」は面白い作品に映るんでしょうね。そう願いたいものです。
平成生まれの人たちには、「三丁目」はきっとSF作品でしょうけど(笑)。

大和少年さんと同じく、私も駄菓子屋さんには数え切れない思い出があります。
毎日のように顔を見る駄菓子屋さんのおばさんには、何故か特別な思いがありますよね。拙ブログでも一度、そんな思い出を書きました。

2006年8月5日の記事「言えなかったさよなら」です。
http://spectre-nebura.cocolog-nifty.com/cultnight/2006/08/post_d724.html

もう読まれたかもしれませんが、私の中では今だに小さな痛みを伴って生き続けるエピソードです。よろしければご笑覧下さい。

「ペールゼン・ファイルズ」は最近の私のお気に入りで、気がつくと見ています。
これがボトムズの毒なんですよねー。
今やその毒は全身に回ってしまったようです(笑)。

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