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2007年8月15日 (水)

飛び立つ蝉のように

それは昨日の夜の事。
部屋の隅でカサコソ大きな音が。

例によってゴ○ブリが遊んでいるのかと放っておいたのですが、それにしても音が大きい。
コタちゃんに被害が及んではと心配し、ターゲットを探しにあちこち覗いてみました。ところがどこにも居ない。
やがて場所は特定できました。
音のするのはベランダに出るガラスサッシの所。間違いないのに、そこには何も居ないのです。
「お盆で両親があの世から帰って来たにしても、カサコソはないでしょう。」なんて思いながら、その夜は寝てしまいました。
意外にそういうところはお気楽な私(笑)。

今朝。空になったお茶のペットボトルを片付けようとベランダに出、置いてあったペットベトル用ゴミ袋を持ち上げた所、そこに昨夜の音の主が。
もうお分かりでしょう。それは大きなアブラゼミだったのです。


「あーこれなら音も大きいはずだよねえ。」
意外にも蝉ちゃんは力尽きた様子もなく、トコトコとベランダの隅まで歩いてうずくまっていました。それなら一応記念写真を、と思ってデジカメを取り出したんですが、その瞬間、蝉ちゃんは大きな羽音とともに夏空へ飛んでいってしまいました。

完全な作戦負け。こんな所まで蝉が来るんですねー。
マンションの高層階なのに。

記録的な猛暑が続く毎日。エアコンなしではとても過ごせない部屋には一切季節感などありませんが、ガラスサッシを隔てたベランダにはまぎれもない「盛夏」がありました。
蝉の飛び去った夏空は暑く、眩しく、私にある種の既視感を抱かせてくれました。


「ネヴュラ」でも何度かお話しましたが、私は渡航経験がほとんどありません。行った所は中国、香港、シンガポール程度。アジアばっかりです。それもお仕事が多く、とても旅行と呼べる代物ではありませんでした。
皆さんもお分かりと思いますが、前述の渡航先はほとんど年中酷暑に見舞われる国々ばかり。一昨年の夏、愛知万博で取材スタッフとして動いた記憶もあいまって、私には「暑さ」と言えば海外、というイメージが付きまとっているのでした。

今年のお盆は特に予定も無かったので、ここ数日はコタと遊んだり、近くのBOOK OFFで買い込んだ安い文庫本を読み漁る生活を続けていました。溜め込んだDVDを一挙鑑賞なんて事もなく、コタを横に置いてひたすら読書の毎日でした。
夏の暑さがそうさせたのでしょう。お店で本を物色する私の食指はやはり旅物へと動いてしまいました。
Photoこれがここ数日読んだ本。たとえ少しでもアジアを真近に見た経験から、選ぶ本もどうしてもアジア諸国物に偏ってしまいます。
でもいいですよね。全部税込み105円。
まー「100円の旅」という訳です。

お金のない私には海外旅行もおいそれとは出来ません。
わずか3冊315円で、気分は遠いアジアの空へ飛んで行けるのです。この本と熱帯夜のおかげで寝る時間は朝方ばかり。
「時差ボケ」まで味わっています(笑)。


別にこれらの内容をお話しする必要もないでしょう。随分前に書かれたものですし、それぞれの国の印象や風習、現地の人々との出会いを綴った等身大の旅行記です。違う所と言えば著者の年齢くらいでしょうか。同じ国を旅するにしても、旅人の年齢や目的、手段によって国は様々な顔を見せます。完全なスケジューリングの元、ガイド同行、一等客車ばかりの列車の旅と、目的の無いバックパッカーとは全く見えるものが違ってくるのです。
今回の3冊は、その違いを楽しむものとも言えました。

皆さんは「海外旅行」という言葉からどんなイメージを受けられるでしょうか。これも本当に人それぞれ。おそらく一人として同じ答えは無いでしょう。
「リゾート」「異国情緒」「グルメ」「ショッピング」などなど、国内では決して味わえない様々な感動がありますよね。

これはブログという特殊な媒体ならではの事ですが、「ネヴュラ」を海外でご覧になっている方だっていらっしゃるかもしれませんから、私の毎日を珍しく感じられる方だって居ないとは限らない訳ですし。
かように「海外」の響きには大きな誘惑があります。


Photo_2私の場合、渡航地域が偏っている事もあって、どうしても海外と言えば「暑い」「青空」「喧騒」「生命力」そして「危険」というイメージが付きまといます。それはアジア諸国を旅行された方なら頷かれるのではないでしょうか。まーそれぞれの国の表面をちょっと覗き見した私程度の戯言ですから底も浅いですが(笑)。
ただいつも感じるのは、どうも私はアメリカやヨーロッパに比べ、アジアに惹かれる傾向があるという事なのです。
私が夏好きという事もあるのでしょうが、「アジアの夏の夜は、冷房の効いたフィレンツェのホテルで迎える静かな夜とは完全に別物」なんて一文に妙に心躍る所があります。
中国の地方都市、長さ10センチのヒルが廊下にうごめくホテルは確かにそうでした。


なぜヨーロッパじゃないのか。なぜアジアなのか。
それはきっと、私のディレクターとしての性癖が関わっているのでしょう。


いつかお話した事がありました。
「ディレクターの原動力は感動。」
映画やテレビに限らず物を作ろうとする人間は、自分が感じた心の動きを形にしたいという欲求に突き動かされて創作活動を行います。そもそも感動が無ければ創作しようという気にならない訳です。
この「モチベーションの源」が他の業種との違いです。
同じ題材をモチーフにしても、作り手がどこに感動したかによって出来上がるものが全く違ってくる。そういう意味でこの業種は極めて私的なものであると言えましょう。

また、その私的な部分を形にする上での冷徹な判断力も要求されます。
ですからディレクターと呼ばれる人種は極度に感情的であり、またそれを客観的に見つめるもう一つの目も持っています。
でなければ「感動という形のない物を形にする」事は出来ないからです。


その物事のどこが琴線に触れたのか。クリエイティブな刺激があったのか。それはクリエイター一人一人によって違うでしょう。正解などありません。逆に正解が無い事がとてつもなく魅力的であるとも言えます。
「ネヴュラ」読者の方々はもうお分かりの通り、私の琴線に触れるものは怪獣、ヒーロー、ハムスターなどなど(なんて節操のないラインナップ(笑)そしてその中に「アジア」も含まれるのでしょうね。


香港、マカオ、インド、台湾、韓国、タイ、マレーシア等々・・・。こんな国々から受けるとめど無いイメージは、私の創作意欲を大きく掻き立てます。
おそらくそれは「アジア諸国が持つ生命のパワー」から来るものでしょう。

以前、ウルトラ関係のスタッフ対談番組で語られた興味深いお話があります。
「ヒーローというのは、混沌として整備されていない世界に生まれやすい。」
例えば1960・70年代の高度成長期に「ウルトラマン」や「仮面ライダー」が生まれたように。
時代が落ち着きだした1980年代、大ヒットした「北斗の拳」は、核戦争により一度リセットされた世界を舞台としたように。
最近のヒーロードラマの不振の背景は、その舞台となる世界が整備されすぎているからという分析も語られているのです。
乱暴な印象ですが、私には今のアジアは「ウルトラ」「ライダー」前夜に見えてくるんですよ。


Photo_3確かにそのパワーは、訪れた私にはとても新鮮に映りました。
香港。空港からホテルへ向かうタクシー内。指示したホテルの場所が分からず、ガイドの胸元をつかんで逆ギレする熱いタクシードライバー。
「荷物を運んでやる」と言い寄ってきた現地の男性。料金交渉は終わったのに、いざ払う段になって「荷物が重かったから割り増し料金」とふっかけてきました。ここで負けてはと交渉料金で頑張ったらつかみかかってきたので、お金を投げつけて逃げた事も。
こんな事は日常茶飯事。彼らにとって、それらは生きる上で当たり前の事なのでしょう。
アジアはこんな風に人々の息吹が満ち溢れていました。
こういう出来事に会うと、「指示に従う」「定価を払う」という、今まで当たり前に感じていた生活のルールがあやふやになって来るのです。


私はこういう「生きる上でのありあまるパワー」が嫌いではありません。「世の中は隙を作る方が悪い」と言わんばかりの彼らのエネルギーに、やや感動めいたものを感じるのです。
「舗装された道路を走れば快適だけど、デコボコ道のお尻の痛さも忘れてはいけない」といった所でしょうか。いつも心に緊張感は持っているべきかもしれないと。


ちょっど去年の今頃の記事で、中国を訪れた時の模様をお話した事がありました。その時にも少しだけ言いましたが、このアジアの雰囲気は、昔私も味わった1960年代の空気そのままではないかと思うのです。
これまでに読んだ数少ない旅行記、特に世界的バックパッカーの方々の著書にも同様の感想が多く見られました。「日本が経てきた道」「でも日本の人々が忘れてしまった表情」を求めて旅をする彼ら。私は彼らに深い共感を覚えます。

別に郷愁に浸りたい訳じゃないと思います。もっと根源的な事、「自分の力で生きるという事」について考え直せる環境がそこにあるのかもしれません。
あまりにも進みすぎたテクノロジー、生きるシステムがブラックボックス化しすぎた世の中に疲れているのかもしれませんね。
エアコンの効いた部屋で、そんな言葉をパソコンに綴る矛盾もよく分かっているのですが(笑)。


Photo_5 いずれにせよ、十数年前に訪れたアジアの片隅の印象が季節と共に鮮明に思い出せるのは、やはりその時受けた強い刺激のせいでしょう。ただそれだけ時間が経つと、自分の中に残る印象のふるい分けが自然とできて来ますね。
年のせいもありますが(笑)。
今、私の記憶に強く残るのはその土地土地の人々の表情。特に下町でこちらの気持ちが通じた時の笑顔。
ブランドや高級品にまったく興味がない私は、下町商店街のおもちゃ屋さんや模型店、駄菓子屋さんや本屋さんばっかり歩き回っていましたから。

そういう所には自然と子供が集まる。子供の方が表情をはっきり出しますからね。言葉は分からなくても言ってる意味は分かるんですよ。
市場で野菜を売ってるおばさんや、道端で将棋らしき遊びに興じるおじさん達の正直な表情にちょっと安心したりね。
「あー、人間ってこんな風に生きればいいじゃん」的な感動が。


私が見たものは決してその国の本来の姿ではないのかもしれません。アジア諸国が一見の観光客には見せないしたたかさを持っている事もよく分かっています。またきっとアメリカ、ヨーロッパの国々にもそういう場面はあるでしょう。
偏った見方しかできないのはひとえに私の経験不足。これからも見聞を深めていきたいものです。

でも私にとってなぜか、夏は遠いアジアの国々に思いを馳せる季節。こんな暑い日は香港の露店で食べたコッテリ味のあんかけチャーハンが思い出されて来るのでした。

そう考えてみると、どうやら私がしたいのはパックされた「旅行」ではなく、当てのない「旅」なのかもしれませんね。
お金も暇も度胸もない私の、せめてもの心の贅沢。コートダジュールのビーチより、カルカッタの安宿の屋上で星空を眺めてみたいです。ちょっと本に影響されすぎたのかもしれませんね。
相変わらずの単純バカですみません(笑)。


私もベランダの蝉のようにひとっとび、気ままな旅に出たいですねー。今度は食わず嫌いせず、コタの故郷、シリアにでも行ってみましょうか。
そんな無責任な妄想も楽しい、うだるような熱帯夜なのでした。

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コメント

むぅ~ん・・暑いです~、こちらも熱帯夜です(汗・・(>_<)\

ところで私、生きているうちにオーストラリアと南米と南極大陸の地を踏むのが目標です。他の大陸は新婚旅行やら社員旅行やら会社の研修などで、とりあえず一歩でも足を踏み入れてますので。
今はとっても南極の氷で涼んでみたいッス! o(;-_-;)o暑い・・・

蔵前さんや下川さんの著書をお読みなら、宮田珠己(ミヤタタマキ)さんの本も既にお読みでしょうか?
『旅の理不尽』や『わたしの旅になにをする。』などなど、アジア中心の旅ものですが、もう腹かかえて笑えるので、暑気払いやストレス解消にぴったり。
私も実際にはなかなか行けない旅行を本で楽しむクチです…ブックオフすらもったいなくて、図書館利用しまくり!ですが(笑)。

のん様 本当に暑いですねー。毎日それしか言う事がありません。空気というものがこれほど熱を持つのかと驚くばかりで。
首筋や腕がチリチリ音を立てて焦げていくのが体感できるなんて信じられません(涙)。
でものんさんは羨ましいですねえ。オーストラリア・南米・南極以外を制覇されたとは。私なんて国外へ出た途端、西も東も分からないおのぼりさんですから。ただ何でも見てやろう的な興味は人一倍ありますが。私ものんさんのように世界のあちこちで見聞を深めてみたいです。私など日本人の恥さらしかもしれませんが(笑)。
でも本当にこれだけ暑いと、極地へも行ってみたくなりますよね。
そんな妄想に惹かれる私は、今日も白くまアイスでお茶を濁しています(笑)。

アメジスト様も旅行本のお仲間でしたか。これは嬉しい(笑)。
アジアは一度足を踏み入れると後を引く地域のようで、なぜか旅物のエッセイもアジア系が多いような気がします。
人間性をむき出しにする現地の人々の生き様が旅人にとって強烈な印象を残すんでしょうね。私もその一人です。

蔵前氏や下川氏などこのジャンルのビッグネームの著作からは、抱腹絶倒のエピソードの内に潜む「人間の根源」「生きる意味」のようなものが味わえ、非常に感慨深いものがあります。
ご紹介頂いた宮田珠己さんの著書は未読でした。旅のスタイルが千差万別のように、きっと宮田氏が切り取る世界も独自の味わいがあるのでしょうね。
是非読んでみたいと思います。
嬉しい情報ありがとうございました(笑)。

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