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2007年7月22日 (日)

優しい嘘

こんなお話を聞かれた事はありませんか?

「ゴジラのネーミングの言われは「ゴリラ」と「クジラ」の合成語」
「1954年の「ゴジラ」で、ゴジラが国会議事堂を破壊する場面では、観客から拍手が起きた」
「スペシウム光線のポーズは西部劇で拳銃を構えるポーズから来ている」
「スペクトルマンに登場する防衛チーム・怪獣Gメンの超兵器「ボントトルエカ」の語源は、「勇者」という意味のロシア語」

などなど・・・

特撮ファンの間では、これらはわりあいメジャーな「噂」です。
丁度、特撮作品に関するファン活動も盛んになり、各作品の研究が積極的に行われていた1970年代後半から80年代にかけて、これらの噂がまことしやかに流れました。
当時、私たちファンはこんな裏話に一喜一憂し、仲間と面白おかしく語り合っていたものです。ゴジラ映画のエアポケットとも呼べる76年から83年頃は、こんな話題で乾きを癒す事しか出来なかったんですね。当時は「宇宙戦艦ヤマト」「機動戦士ガンダム」が産声を上げた時期でもありますが、ここでそちらのジャンルに興味が行かなかったことで、自分が筋金入りの特撮ファンである事を再認識させてもくれました。(83年の「装甲騎兵ボトムズ」にははまりましたが、今回は別のお話です(笑)。

当時、全国で同時多発的に起こったムーブメントにより輩出された多くの「特撮識者」達はその後マスコミ等で活躍、その趣味を活かして実際に作品作りに携わったスタッフに直接取材、件の噂の真相を解き明かしてくれました。
当時、特撮ファンのバイブルとも言えた雑誌「宇宙船」や、彼らが続々と刊行した研究本をむさぼるように読んでいた私は、永年疑問に思っていた「噂の真相」に触れる度、驚きとともに大きな感慨を覚えていたものです。(うーん全然女子らしくないなー。もうちょっと話題を考えたほうがいいかなと思う今日この頃(笑)。

結局、それらの研究は1990年代に花開き、造形ノウハウ面ではハードディテールのガレージキット、また演出ノウハウ面では平成ガメラを頂点とする新作に繋がっていったと個人的には感じています。
そういう意味で、現在の特撮作品はこの頃の作品研究が大きな礎であったと思うのですが。

さて。実は今日のお話、この「研究」そのものについてではありません。実は冒頭の「噂」の出所に関する疑問です。こんな事をブログで書く酔狂は私ぐらいのもんでしょうが、ちょっと思う所あったものでいい機会かと。
これは想像の域を出ませんが、実は冒頭の「噂」、それぞれが違う経緯を持ってスタッフからファンに伝わったもののような気がするのです。
これは私がテレビ界に入って感じた「現場の感触」からの意見です。事の真意は闇の中。ただ当たらずとも遠からず、程度の認識でお聞き下さい。

Photo_1059まず最初の「ゴジラのネーミングの言われは「ゴリラ」と「クジラ」の合成語」。
これは後々の研究で明らかになった事ですが、これ、事実です。
ところがこの一文だけでは足りない。つまり、「事実の前半だけが広まっちゃった」という事なんですね。

1954年。「ゴジラ」第一作が企画された頃、その主演怪獣のネーミングに頭を抱えていた特技監督・円谷英二は、当時東宝撮影所で一際目立っていたある俳優に目を付けました。
豪放にして体が大きな彼は、後にゴジラと名付けられるその怪獣のイメージにピッタリだったのです。円谷は彼をイメージソースに怪獣のネーミングを決定しました。

その彼、東宝演劇部の網倉志朗は「ゴリラのような体、クジラ肉が好物」というキャラクターでした。「ゴリラとクジラ」という部分はここから来たものだったそうです。

ここで面白いのはこの「ゴリラとクジラ」という部分。
80年代、私が聞いた噂では「陸で一番強い動物・ゴリラと、海で一番強い動物・クジラの合成で、地球で一番強い怪獣だ」というものでした。噂と真相の着地点はリンクしているものの、そこまでの道筋が違うのです。


この手の「子供話系」の噂は他にもあります。例えば「ゴジラの鳴き声は、世界の動物の声の合成」なんていうのもそうですね。現在は皆さんもご存知の通り、真相は音楽も手掛けた伊福部昭の作で「コントラバスの玄を擦った音」なのですが、どうしてこういう事が起こるのでしょうか。
これはまあお察しの通り、おそらく公開当時観客の興味を煽るために作られた一種の「パブリシティー記事」が伝わったものと言えるでしょう。今のように当時のスタッフの証言が得られなかった80年代、研究材料と言えば古書店を回って手に入れた、当時のプレスリリースぐらいしかなかったのです。
(それを入手する執念も凄いですが)。


続いて二つ目のケース。
Photo_1060「1954年の「ゴジラ」で、ゴジラが国会議事堂を破壊する場面では、観客から拍手が起きた」というもの。
これ、事実です。当時「ゴジラ」の監督助手を務めていた梶田興治氏が実際に劇場で体験したという証言がありますから間違いないと思います。ところがこの噂、一度ファンの間を駆け回った後で「どうやらこの話は、話題づくりの為に捏造されたものと思われる」なんて解析が出現、私たちも「そーだよねー。ちょっと出来すぎた話だもん」なんて思っていました。
それが最近になって、前述の梶田氏の証言で再びひっくり返っちゃった(笑)。
非常に不思議なお話ですが、これはおそらく「又聞きによる事実誤認」なのではないでしょうか。


こういう事はよくあります。経緯を推測すると、まず「ゴジラ」公開時、梶田氏が体験したこの劇場での出来事を懇意のスタッフに話したと。(おそらく思い入れたっぷりに。)
聞いたスタッフはそれを覚えていましたが、後に研究者からの取材を受け、その事を語る時どうしても「個人の考え」が入る。その為「彼はそんな事言っていたけど本当かどうか」なんて、表現が曖昧になる。あくまでも推測ですが。
それが人から人へ伝わると「そんな出来すぎた話、作り話じゃないの」という事になっちゃう。「伝聞の落とし穴」ですね。
伝えている本人には決して悪気は無いんですが、人づてに伝わる中で事実が変わっていってしまうと。


「事実誤認」はこの業界には多くあります。特に「ネーミングやポーズなどの発案理由」については山ほど。
Photo_1061三つ目の「スベシウム光線のポーズは西部劇で拳銃を構えるポーズから来ている」というのもその一つ。
このスペシウムポーズの発案者は「ウルトラマン」第二話「侵略者を撃て」の監督、飯島敏宏氏という事はよく知られていますが、前述のセリフ、どなたのものと思いますか?
驚くなかれ飯島氏ではなく、特殊技術を担当された高野宏一監督なんですよ。
この「侵略者を撃て」の特殊技術担当は的場徹監督。何故高野監督にこんな証言が可能だったのか?


これは今でも大きな謎です。これは20年近く前、ウルトラマンの特別対談番組で高野監督自らが語っていますが、どうもその語り口から見て(映像なので感触も分かるんです)
「~じゃないかなあ」というニュアンスが強い。

つまりこういう事は、スタッフ間のコミュニケーションの中で「なんとなく」伝わるものなんですよね。
ですから実は正解なんて無い。
「そうとも言えるし、違うとも言えるし」みたいなニュアンスなんですね。
ですからこの場合「誤認」と言うよりも「真実の一端かも」くらいに受け止めた方がいいのかもしれません。
ポーズ発案者・飯島監督にもはっきりした理由は無かったのかもしれません。「色々やっている内に、なんとなくね」なんて言いそうじゃないですか?飯島監督なら。
真実をご存知の方、無知な私に是非ご教授を(笑)。


さて。最後の一つ。これは今では笑い話ですね。
「スペクトルマンに登場する防衛チーム・怪獣Gメンの超兵器「ボントトルエカ」の語源は「勇者」という意味のロシア語」
「スペクトルマン」を始め、多くの特撮ドラマを生み出してきたピープロダクション。その社長、うしおそうじこと鷺巣富雄氏のファンサービスぶりは有名で、このお話もかなり眉唾ものなんですよ(笑)。

Photo_1062私はロシア語はわかりませんが写真をご覧頂けばお察しの通り、「ボントトルエカ」という兵器はいわゆる「ヘリコプター」なんですよ。(こんな事を説明しなければならないピープロ作品のマイナーぶりがたまりません(笑)。
ですからこのネーミングも「空を飛ぶもの」から取られていると。
逆から読めば『カエルとトンボ』という訳です(笑)。

もうこの「ロシア語で「勇者」というお話、鷺巣氏の嬉しそうな顔が浮かんできて楽しい楽しい。

この手の取材者を煙に巻くお話、鷺巣氏は大好きだったようです。
Photo_1063後年の名作「電人ザボーガー」のタイトルネーミングについても、「この頃はプロデュース業にも疲れ、別の人をプロデューサーを立てる事も出来たので、自分はそろそろ「さぼるか」なんて思っていたから。「サボるか」「サボるがぁ~」「ザボーガー」なんてね。」なんて本当か嘘か分からない返事だったようですし(笑)。
ファンの方は「大事な番組タイトルをこんないい加減な決め方で!」とお怒りになるでしょう。ところが番組製作の現場に居ると、こういうトークセンスが大変大事である事がよく分かります。

番組というのはプロダクションが局にかける「プレゼンテーション」が命。ここでのセールストークが大きくモノを言うのです。
とにかく「局を乗せる事が命題」なんですよ。

真面目な顔で企画意図を語るだけがプレゼンではありません。口八丁手八丁で「なんとなく面白い番組だな」と局担当者に思わせるだけの技量が、プロダクション担当者には必要なのです。そういう意味で鷺巣氏は素晴らしい「売り屋」、スタッフを乗せる名プロデューサーだったのではないでしょうか。

今日お話してきた「噂」の数々。今ではもうその真偽もほぼ判明していますが、なんとなく「罪がない」でしょ。
ファンのロマンを掻き立てると言うか。夢があると言うか。
これらはきっと、私たちファンに対して「夢のある作品には夢のある裏話を」と常に配慮してくれた、名クリエイターたちの「優しい嘘」だったと思いたいです。


作品の再評価により、過去の名作に関する真実は次々と白日の下に晒されてきました。ただこの手の噂が尽きる事はありません。まだまだ研究課題は残っているようです。
しかしながら、怪しげな噂のほとんどが「優しい嘘」「空想の産物」だったとしても、それはそれでいいんじゃないかと。たとえ真実がどのようなものであっても、それは作品の素晴らしさにはまったく影響しないでしょうから。

思い出して下さい。「ウルトラマン」のタイトル画面、番組名の下にある一文。そこには大きく書いてありますよね。
「空想特撮シリーズ」と(笑)。

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コメント

 「ボントトルエカ」! 私はこのメカのことは忘れてしまいましたが、すごいネーミングですネ。「トンボガエリなのだ」これでいいのだ。

 「スペシウム光線のポーズ」について、その真偽はともかく、言及された発言って知りませんでした。「20年近く前の映像」というと、突然深夜に放送された番組ですか? 「私があとで見ようと思っていたら、奥さんにビデオを消されてしまった」という曰くつきの番組がありました。
 最近の満田専務や高野専務は、第1次シリーズを伝説化しようというようなサービス・トークが多いような気がします。私はあまり真に受けないように慎重に聞くことにしています^^;

 私は制作裏話は大好きで、それによって作品に違った魅力が増してくるように感じています。たとえば、「恐怖の宇宙線」の「ガヴァドンの星座から涙(流れ星?)が落ちる描写は脚本には無かった」とか、「『ウルトラマン』に登場する宇宙人たちは地球語を話さない(メフィラス星人はテレパシー?)」とか。
(もちろん何も知らずに見た方が、たとえば「ギガスはヒドラの改造」「『300005000年前』っておかしい」なんてことは知らずに見た方が、作品本来の魅力を満喫できるのでしょうが(^^ゞ)

 関係者の方々がずいぶんたくさんお亡くなりになり、今後は新事実が発掘されることは少ないでしょうが、まだまだ明かされていないことって多いのでしょうネ。また、私だけが知らないことも多いと思いますので、オタクイーンさんがご教授くださいませm(_ _)m

 研究本「宇宙船」の朝日ソノラマが解散だそうで‥‥。私は遅れてきた特撮ファンなのでそりほど思い入れはありませんが、何だか寂しいです。(我が家にある『仮面ライダー』『レインボーマン』などの主題歌レコードは朝日ソノラマのものばかりです。)

自分も元映像関係・ライター関係として
当時の監督や脚本家さんとお会いしたことがありましたが
そういう「トリビア都市伝説」にはいくつか原因ありまして

一つは今回オタクイーンさんがお書きになられたような「夢のある嘘」
もう一つは、それと似て非なるレベルの
「いっつも同じ質問ばっかされちゃうから
面倒だからなんか理由を後付ででっちあげてしまえば
次からはそれを毎回答えればOK」な、なんとも苦笑いな逸話w
「バルタン星人の名前は当時アイドルだったシルヴィ・バルタンから」
なんてのはこの典型ですねぇ。
このバルタン=シルヴィ説は後に飯島監督の
ウルトラマン・コスモス劇場版において
子どもバルタンの名前がシルヴィとなり「嘘から出た真」になりました(笑)

オタクイーンさんの本文中にもあるとおり
「当時はなんとなくニュアンスや現場の勢いだけでやった仕事が
後年リスペクトされすぎた結果
そこに「意味」を後付で考えなければならなかった」
ケースは割りと多かったのでしょう。

例えばこれは稀なケースですが
ウルトラマンをデザインした成田亨氏はそのデザイン過程において
「キリコの絵をモデルにした」と認識されてますけど
実は成田氏自身が自著の中でこう述べています。

「『ウルトラマン』は、イタリアの画家のジョルジオ・デ・キリコの絵から
着想を得ているとよくいわれていますが、それは違います。
僕がキリコの名前を出したのは、円谷プロを辞めて十五年して
画集が出版されたときに書いたんです。
要するにキリコのように単純だ、というだけの意味です。
なんか一度キリコと言ったら、みんなキリコ、キリコって言うんだけれども
例えば実相寺昭雄さんの本でも、僕がそういうことをしゃべった
みたいな書き方になっているんだけれども
しゃべったことなんかないです。
要するに、生命感のある単純さを求めたのです。
キリコみたいにしようということではないですね。
その単純さの質は、キリコと『ウルトラマン』では違うものです」

こういうのも伝聞の面白さというか
なるほど都市伝説の成立過程を見るようで面白いです。

自分のブログは毎回ウルトラを評論していますが
一本一本執筆するたびに
資料を漁り、当時の証言を集め、整合性を見出して結論まで導いていく過程は
考古学や民俗学の趣があります。

ウルトラも初代まで遡れば41年。
当時関わったスタッフの証言が全て正しいかと言えば
リップサービスあり、記憶違い・勘違いあり
中には「当時の生々しく陰湿な人間関係や諸事情なんか
いまさらわざわざ言う必要もないわけで、だからこそのすり替え」
という、まさに(当時の仲間へ向けての)優しい嘘もあり、というわけで
そういった様々な文献や証言を辿っていく道程は
自分がまるで、諸星大二郎の漫画の
稗田礼次郎になった気持ちにさせてくれますねぇ……。

そ~いや、「中村主水」のネーミングの由来にも
リップサービス的噂がありますね。
「中村」が電話帳で3番目に多かったというのは
本当っぽいですが、
(合わせて1番の鈴木と2番の佐藤が当時の政治家
と被って没になったというのも含めて)
「主水」は流石に「ジェームズ・ボンド」からは取ってないと
思うのですが・・・。

自由人大佐様 コメントありがとうございました。
そうでしょー。「ボントトルエカ」については本当に「これでいいのだ」という有無を言わせぬ説得力が(爆笑)。
これですよ。これがピープロ・テイストなんですよ。この「粋」が分かる選ばれた人たちしかピープロファンにはなれないという(笑)。

さすがですね。おっしゃる通り「20年近く前の映像」とは、1987年に大阪・よみうりテレビが製作した「なんたってウルトラマン」という約3時間近くに渡る第一期ウルトラのスタッフ対談番組です。
この番組、私の住む中部地区では87年の7月23日深夜(丁度20年前ですね)に放送され、その録画VHSは当時スタッフの貴重な証言集として私の資料となっています。
今だにこれを超えるボリュームのマニア向け特別番組を私は知りません。そういう意味で、この番組は「ネヴュラ」執筆にも大いに役立っています。これを消されちゃうというのは何とも・・・
ご不幸、痛み入りますとしか言いようもなく(笑)。

この番組の良かった所はスタッフ一人一人の「証言」ではなく、全員を円谷プロ旧本社屋に集めた「座談会方式」を採っている所でした。スタッフ間の記憶違いをお互いのスタッフが訂正し合い補完している他、エピソードの語り口や表情を通じて当時のスタッフ同士の確執など微妙な関係のニュアンスが窺えるのです。そこが従来の「作られた証言」と一線を画しているところで、返す返すも見る度によくこんな特番企画が通ったなーなんて感慨に浸っております。

おっしゃる通り、件の特番では語られていないまでも「知らないほうが良かった裏話」もウルトラには沢山ありますよね。私の周りにも業界人の役得で驚愕の事実をかぎつけた知り合いは多いですが、そのほとんどのエピソードは語るのも痛々しいものばかりです。
ですからよけい、今回の記事で語った「噂」が「ファンの夢を壊さないように作られた逸話」という事がよく分かるんですよ。
真相は藪の中。でも、掘り返しても決して良い事はないという(笑)。
私のような無知な者が語れる事は少ないですが、これからもそのあたりの配慮を踏まえながら、つらつらと書いていきたいと思いますのでよろしくお願い致します。

朝日ソノラマの件、私も寂しさを感じますが、そこは商業原理に基づく業界の厳しさと感じてもいます。ソノシートで児童文化に新たな波を起こし、雑誌「宇宙船」でマニアを牽引してきた功績は素晴らしいものがありますがやはり時代の波は無情。「宇宙船」休刊号に記された「宇宙船の役割は終わった」という一文は、そのまま朝日ソノラマそのものを指していたのでしょうね。

市川大河様 コメントありがとうございました。
ライターとしてご活躍されていた市川様なら、今回の記事に込められた思いはお分かり頂けるでしょう。
いかにウルトラといえ、それは人間が作るテレビ番組ですから門外不出の「語れないエピソード」があるのも当たり前です。
市川様も痛いほど感じられていると思います。私も円谷と少なからず関わりを持った人間ですので、特撮業界に於ける円谷のスタンスや様々なスタッフ同士の確執など、また特撮ライター諸氏がいかに円谷側に気を使われているか、などなどの事情さえいやでも耳に入ってきてしまうのです。

これ、私も今のお仕事を手掛けるまでは分からなかったんですが、実際現場で動く立場になってみると、今伝えられているエピソードなどは映像製作の現場なら日常茶飯事、当たり前である事がよく理解できました。設定やシナリオと出来上がった作品との差異を語る評論を見かける度に「それはそうなんだけども、そこには伝説となるようなドラマは無いんだよね」と醒めた見方を禁じえない自分が居たりして。
実際、撮影現場ではシナリオ通りに進む方が稀、という事を知ってしまったゆえの感触です(笑)。

頂いたコメントにある「成田氏と円谷の関係」にしても言わずもがなでした。
20年ほど前、やはり特撮作品に心酔する職場の先輩がつてを頼って生前の成田氏ご本人と懇意になっていたのです。
当時、成田氏が置かれていた状況については市川様ならよくご存知と思いますが、私たちはその事実を知るにつけ、「成田氏を守る会」を立ち上げようとした事さえあった程です。
それ程業界内では「夢の無い話」の方が多い。実際私も痛い目に遭った事が。まあこれ以上のお話はやめましょう。女性としてはあまり可愛げの無い事も言いたくないので(笑)。

ですから本当は作品研究とはいえ「立ち入る加減を見極める事」も大事なんですよね。プロダクション側で調整して「この程度まではOK。それ以上は煙に巻く」というスタンスは、ある意味正しいのかもしれません。「それ以上は大人のお話」という一線は厳然と存在する訳です。ですから研究する側も一種の節度を持って事に当たる事が大事でしょうね。

スタッフから根掘り葉掘り聞き出しても、そこには真実だけがあるとは限らない。作品そのものやある程度の資料から「憶測」して当時の状況に思いを馳せる、独自の解析を語るといった「大人の遊び」的なアプローチが最もスマートな「作品の楽しみ方」なんじゃないか、というのが最近の思いです。

以前観客として参加したウルトラ関係のトークショーで桜井浩子さん達が楽しく語るお話の腰を折るように、観客席から「本当の事を言え!」という叫び声が聞こえました。声の主はあまりにも作品に心酔してしまった一人のマニア。
もう普通のトークじゃ満足出来ないんですね。
私は思いました。「ああはなりたくないなー」。
何事も深入りは禁物という訳で(笑)。

個人的には、市川様が展開されている各論はウルトラ世界を味わう上で最も適切、かつ高度なアプローチと思います。結局、解析という物は事実だけでは成り立たない。断片的な情報を脳内で補完する必要がある訳ですもんね。
私など及びもつきませんが、これからも拝見させて頂きますのでどうぞよろしくお願い致します(笑)。

ジャリゴン様 コメントありがとうございました。
そうですよねー。もう必殺レベルになるとスタッフも個性派揃いですから(笑)、何を言われても鵜呑みにできないという泥沼に(笑)。
山内プロデューサーにしてからがリップサービスの塊ですもんね。
「主水」と「ボンド」と言うのも、いかにもありそうな噂ですが、一概に否定し切れないのは「企画会議ではそういうバカバカしい案の方がウケがいい」という事実があるからです。
例えばこの噂が事実とすれば、このエピソードはスポンサーへのセールストークにも役立ちますよね。
「007みたいにヒットしまっせー。これは」みたいな売り方が出来る。これは局の営業担当にとって大きな武器になるんですよ。
プロデューサーというのはネーミング一つにも売り方を考える。
スポンサーが付かなければ番組は絵に描いた餅ですから。

たとえこの噂が真実ではないにしても、山内氏なら「こう売れ」と指示したような憶測ができませんか?
番組とはそう楽しむものかもしれませんね(笑)。

オタクィーンさま、こんばんわ。毎度たいへんハイレベルなオタク分野のお話勉強になります。子供の頃電人ザボーガーのバイクのおもちゃ持っていたような遠い(?)記憶があります。そういえばネットで勇者を翻訳しようと思い、とりあえず「brave」をロシア語にしたら「храбрейше」と出てきました。読み方ワカリマセ-ン。
ps:そういえば、GYAOで岡田氏の番組見てたら、NHKで特撮夜話企画あるそうですね!(ガセの可能性あり?)

のん様 いつもつまらない独り言にお付き合い頂いてありがとうございます(笑)。こういうお話は分かる方には面白いですが、興味の無い方には何の面白みも湧かない所が難しいですね。
「勇者」お調べ頂いたんですか。お手間おかけしました。私もロシア語はさっぱりですので、記された単語の読み方も分からず(笑)。
不勉強を恥じるばかりです。

ザボーガーのアイテムに関しては放送当時、アオシマのプラモデルを組み立てた以外は特に持っていなかったんですが、最近になってキャラウィールのマシーンザボーガーを入手。
いい時代になったものです。
マンガ夜話、アニメ夜話とくればいずれは、と思っていましたが、ついに特撮夜話まで来たんですね。私はその情報は知らなかったんですが、それなりに楽しみです。でもファミリー劇場のウルトラ情報局レベルだったらちょっとカンベンですね(笑)。

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