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2007年7月 2日 (月)

人類最大の謎

ディレクターなんてお仕事をやっていると、普段から「何かこれは番組にならないか」なんてアンテナが働いてしまうもので。
これはお仕事以前に私の性癖でもあるのですが。

今日も早々と打ち合わせが終わったので、久しぶりに大型書店をぶらぶらと歩き、好きなジャンルの本を物色していました。

まーなんだかんだ言っても「ネヴュラ」で私の性格、嗜好はよくお分かりと思います。結構分厚い「UMA大全」みたいな本を開いて「うーんまだまだ世界には怪獣の住む余地があるなー」なんてムフフな妄想に浸る私は、ただのおバカに見えた事でしょう(笑)。

元来怪獣やアクション、ミステリー系が好きな私ですが、やっぱり映像作品はストーリーが命と言う訳で、以前にも古今東西の謎系ストーリーを紐解いたり、また自分でも妄想するのが好きなんですよ。寝る前などは網膜の裏に架空のストーリーを映写して「タダで楽しむ超大作」を満喫していますから。もちろん、作品の最初には東宝から20世紀FOXまで大手映画会社のマークを出す事も忘れません(笑)。

今日、帰りのミニバイクの車上で「昔読んだストーリー」について思いを馳せる気持ちになったのも、立ち寄った書店での一時があったせいかもしれません。
随分昔に聞いた短編ですが今も心に残り、また「これは映像化不可能」と思えたストーリーを思い出したのです。


これは結構有名なお話なので、ご存知の方も多いと思います。
アメリカの小説で、フランク・R・ストックトンという作家が書いた『女か虎か』というお話です。はるか以前に雑誌「エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン日本語版」に翻訳が載ったそうで、その時結構話題になったそうです。

ざっと概略だけお話しましょう。結末まで一気に行きます。
ここからはネタばれになります。未読の方はご注意下さい。
(ネタばれと言っちゃっていいのかな?)




ある架空の国の物語です。
その国に住む貧しい青年が、こともあろうに王女様に恋をしました。

王女様も青年を愛し、二人は幸せになるかと思われましたが、そんな身分違いの恋愛はその国では許されません。
青年は罪に問われ、処刑される事となりました。

その国では罪人に対して、少し変わった処刑が行われます。
罪人はその裁きとして闘技場に引き出され、王様の前に並ぶ、左右二つの扉の内どちらかを選び、開けなければなりません。


一つの扉の中には大きな虎が入っています。
扉を開けたが最後、青年は虎の餌食となってしまうでしょう。

もう一つの扉の中には女性が入っています。
青年の地位などを見合わせて国中から選ばれた、青年とは何の関係も無い女性です。

こちらの扉を開けたら、青年はどんな理由があろうともこの女性と結婚しなければなりません。

ただ、王女様も青年を愛していました。ひそかに王様の家来から、どちらの扉の中に女性が入っているか、また女性の素性も聞き出していました。
扉の中に居る女性は、身分は低くも美しく誠実で、かねてから青年を愛していました。


処刑の日がやってきました。闘技場に引き出された青年は扉を開ける直前、王女の方を見ました。きっと王女が助けてくれる。
王女も彼を助けたくないはずはない。しかし彼を助ける事は、扉の中の女性に青年を与える事になります。
青年が虎の餌食になるのは見たくはない。
しかし、扉の中の女性に青年を取られたくもない。


王女は迷いに迷った挙句、かすかに右の手を上げました。
「右の扉を開きなさい」と合図したのです。
青年は右の扉を開けました。


扉から出てきたのは、女か?虎か?



さて。未読の皆さん。「どーなるの、その後?」と思われたかもしれません。
実は私も知らないんです。
「えーっ、でもオタクイーン、このお話知ってるんでしょ?」
その通りなんですが、このお話はここで終わっているんです。
こういうお話なんです。


これはアメリカでひと頃流行したらしい「リドル・ストーリー」というジャンルのお話。いわゆる「結末がない」お話なんだそうです。昔、ある本でこのお話のあらすじだけを読んだ私は大変感心しました。
「こんなにミステリアスで、しかも読者の興味を引くお話があるんだー」なんて。

ですから実際の小説は読んでいません。前述のあらすじに若干の間違いなどがあったらお許し下さい。まー一昔前に流行った「究極の選択」みたいなものですが、こちらの方が数段レベルが高いと思います。

このお話が語っている事はとりも直さず『女心の謎はとても文章化できない』という事なんでしょう。結末をあえて描かない事で、その複雑な女性心理を「描いている」と言えます。文章の表現にトリックがある訳でもなく、また解答編がある訳でもない。
こういうお話は変に深読みして「王女と扉の中の女性が結託していた」とか「虎が死んでいた」とか小手先の理屈に走らないほうが楽しめます。

むしろ「自分が王女様だったらどうするか」という所に思いをめぐらす方がこの小説を楽しんだ事になるのでしょう。

男性読者の皆さん、この時の王女様の心の内を想像できますか?
また女性読者の皆さん、貴女が王女様だったらどんな決断を下したと思いますか?


私、10代でこのお話を知り、痛く感動しまして周りの知り合いに触れ回った事があるんですよ。
「あなたならどっちだと思う?」って。
でも当時の交友範囲なんてたかがしれていますから、聞いたのはほとんど同級生の女の子ばかりで。
意見が割れるんですよね。これが。

普段男っぽい子が「青年が死ぬのはいやだから女性の扉を教える」と答えたり、大人しい子が「でも他の女性の所に行くくらいなら、虎」と答えたり。
しかもこの答えは「照れ」が入る。本当は「女性」と言いたいんだけど、本音を言うと「可愛い所があるんだー」なんてからかわれるから「虎!」なんて見栄を張ってみたり。
まあ10代の頃ですから。こういうのは年とともに思いも変わっていくのかもしれません。
女心と言うより、個人の性格が大きいんじゃないかと思ったりします(笑)。


最近はこのお話の事を忘れていたので、周りの人たちに聞いたことは無いですねー。
久しぶりに聞いてみてもいいのかも。女性読者の皆さん、是非ご意見下さい(笑)。


でも皆さん、どうですかこのお話。こういうのを「文章ならではの味」って言うんでしょうね。これを映像化したら、結末が描かれない事で観客は怒り出してしまうでしょう。
「監督、逃げたな!」なんて(笑)。

これが文章と映像の大きな違いですね。映像は文章に比べ、まだまだ「起承転結」へのこだわりが大きい。文章のように、あえて状況や結末を伏せておく事を「味」にしにくいんです。
映像は情報量が多すぎて観客に先読みされる危険性が非常に大きい。そこをうまく演出できた作品は数えるほどしかないような気がします。

その点、文章にはラジオドラマの方が近いのかもしれませんね。
主人公の置かれている状況がラストになって分かるものや、考えられないほど意外な結末から受ける衝撃は、やや情報量を規制されている「音だけの世界」の方が、観客の想像力に頼れる分だけ有利なのでしょう。


またまたお話が脱線してしまいましたね(笑)。
ヒッチコックも言っていますが、映画にもっとも適した題材は短編小説と思います。ピリリと効いたアイデアが光る短編を考えられる事は、それだけ映像向きの頭を持っていると言えるのです。考えてみれば、私も毎回「ネヴュラ」で皆さんにお話をお聞き頂くことで文章の練習をしているのかもしれませんね。
まったく上達できなくてご迷惑おかけしてますが(涙)。

さて。最後に。
ひょっとして奇特な方は「オタクイーン、お前は『女か?虎か?』どっちなの?」なんて疑問があるのでは?ありがとうございます。女扱いして下さって。
私の答えは・・・
答えの代わりに、以前人に言われた事をお話しましょう。


酒場でお酒を飲んでいた時の事です。私の顔を見てお店のママが言いました。
「みゆきちゃんって、モナリザみたいな表情するねー。」
謎を含んだ永遠の微笑み。
私の答えはそんな所です(意味ありげな微笑)。

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コメント

 男ですが、一言いいですか?(^^ゞ

 私は王女は「女性を選ばせた」と思いたいです。愛するが故に男に生きていてもらいたい、そして幸せになってもらいたい、と。


 しかし、男は左の扉を開けるのです。そのように考えた王女の心が痛いほどわかるから‥‥。助かりたい一心で王女に救いを求めたのですが、合図があった途端に王女の本心を知ってしまう。だから、左の扉を。

 こんな結末が私の理想かな?(^o^)


 映像作品でも、『Twilight Zone』や『ウルトラQ』は結末を語らずに視聴者に突き放すような終わり方をするエピソードが、けっこうたくさんありますよネ。(『Twilight~』は全く詳しくないですが(^^ゞ) 「あけてくれ!」「宇宙からの贈り物」「バルンガ」はあの後どうなるのか、とっても気になったままです。

オタクィーン様こんにちは。今回も興味深いお話ですね。この話の結末が左の扉であろうと右であろうと、どちらでも書いてしまえば炭酸の抜けたコーラのようになってしまいますよね。
PS:テレビでダイハード3見ました。面白かったです。4.0楽しみです。

 虎、でしょう。
ガメラ医師がもし王女様の立場だったら・・・

 心底自分の愛する男性が、他人の物になることはどうしても許せません。愛する人を自分の選択で永遠に失う事になったとしても、それは永遠に自分の物にできたという事になりますから。

 でも現実的には、平民と結婚させといてほとぼりが冷めた頃にこっそり召し出す、という手もありますよね。生活に疲れた頃を見計らってゆるゆると…

「そちも、悪よのう、うっふっふ」
 な、ガメラ医師がお送りしました。ちゃんちゃん♪

はい、私は迷うことなく「女性」の扉を教えます。

『彼が幸せになってくれることが私の幸せ』

…というのは建て前で、本音は

生きてさえいてくれれば、またどこかで逢うこともあるだろうし
国王の気が変わって、いずれ結婚の許しがもらえるかもしれない。

たとえ二度と逢えなくて、その女性と幸せに暮らしていたとしても
助けてもらった感謝、裏切った罪悪感、などなど
何かにつけ私のことを思いだすはずなので
ずっと彼の心の中に住み続けることができる。

あと、自分が心変わりしたときの言い訳にもなります。
彼も幸せになったんだから、私も…と。


『自分のモノにならないなら殺してしまおう』

…という考えは到底理解できません。

自分のせいで死なせてしまったという罪悪感と
どんどん美化されていく思い出に縛られて
次の恋ができなくなりそうじゃないですか?

そんなの絶対イヤだもん(* ^ー゚)

自由人大佐様 コメントありがとうございました。
なるほど。王女の若者への思い、若者の王女への思いが交錯する美しい結末ですね。
私には及びもつかないストーリーで感服しました。しかも記事アップ後間髪を入れずのコメントで。
以前、私のつたない妄想ストーリーに頂いたコメントにも感じましたが、自由人大佐さんってこういう創作系にすごくお強いんですね。
やはり映像作品に心惹かれる方は、発想力も優れているのだなあと改めて感じた次第です。

おっしゃる通り、確かに「Q」や「トワイライト・ゾーン」には結末を伏せ、余韻を残すストーリーがありますよね。それがかえって世界観の広がりを感じさせて素敵だったりもしますが、演出側から見てああいう風に「結末を伏せても成立している」物語を紡ぐのは本当に至難の業なんですよ。あの手のエピソードが名作揃いなのは、きっとラストに至るストーリー運びも素晴らしいからなんでしょうね。
私などは遠く及びませんが(笑)。

のん様 コメントありがとうございました。
そうですよねー。この手のストーリーはオチに全てがかかっているので、それを伏せる事によって名作の誉れを受けるものだと思います。おっしゃる通り、これでどちらかの扉が開いた所まで続いてしまうとただの掌編になってしまいますから。
世の中、謎も必要かと(笑)。

「ダイ・ハード3」ご覧になりましたか。あれを見て「4.0」を鑑賞すればまた面白さも倍増すると思いますよ。絶対期待を裏切りません。
この夏、おすすめの一作です(笑)。

ガメラ医師様 コメントありがとうございました。
なるほど。「理想と現実」ですね。ガメラ医師さんらしい、非常に聡明かつ冷静なご意見です。
「虎」とお答えになられたのは意外でしたが、やはりそこはガメラ医師さんの心にある熱い情熱ゆえのお考えなのでしょうね。
そしてもう一つのお考え。これは思いつきませんでした。
現実的で、しかも人生の悲哀さえ感じる深い結末ですね(笑)。

「そちも、悪よのう。」と言いながら、越後屋の思いも否定できない私。これも人生経験ゆえなのでしょうか(笑)。

やませ様 コメントありがとうございました。
やませさんは絶対「女性」とお答えになると思っていました(笑)。

なるほど。「ずっと彼の心の中に住み続けることができる」というのは女性ならではのお考えですね。よく分かります。私もおんなじ(喜)。
「彼も幸せになったんだから、私も・・・」
これもよくわかりますよ。自分の心に枷を嵌めて生きていく事は辛く、一生ついて回ると思いますから。
彼を許した事が免罪符となるかどうかはともかく、「それが精一杯の決断だった」と自分に言い聞かせる事が王女様のその後に大きく影響する事も間違いないでしょう。

「次の恋」に向かって前進する事が、彼への償いになる。
そんな前向きな姿勢が、きっと今のやませさんを形作っているのでしょうね(笑)。

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