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2007年6月12日 (火)

巨人・超人世界の案内役

怪獣出現!
直ちに現場へ駆けつける科学特捜隊。
その健闘も空しく追い詰められるメンバー達。
閃光一閃、異形の生物の前に立ちはだかる銀色の巨影。
我らのヒーロー、ウルトラマン!


闇を纏い人々を恐怖に突き落とす、「恐怖の軍団」ショッカー!
獲物を求め暗躍する醜悪な怪人達の前に颯爽と現れる、頼もしい青年の姿。
彼の名は本郷猛。又の名を自由の戦士、仮面ライダー!


日本を代表するヒーロー番組、「ウルトラマン」「仮面ライダー」。
そのドラマ中に流れる空気を一言で表現するなら、冒頭のような感じになるのでは。
この二つのドラマは現在も脈々と作り続けられ、仮面ライダーなどは往年のオリジナルシリーズをリメイクした映画も公開されました。
現在、満を持してV3登場となる新作も製作されているようで。
そんな所からもオリジナルの高い人気を感じさせますね。

各々の設定がまるで異なるこの二つのヒーローですが、「ネヴュラ」読者の皆さんはその違いをどう楽しんでおられますか?
どちらかと言えばウルトラ派の私ですが、あのスピード感あふれるライダーアクションの素晴らしさには瞠目せざるをえません。
怪獣の重量感を表現する為、あえてハイスピードカメラという方法論を採用したウルトラの演出手法に対し、あくまで生身のアクションを展開するライダーの躍動感は、今見ても決して色あせない魅力を放っています。

ところで、二番組の空気を表現した前述の文に、ある大きな違いがある事にお気づきでしょうか?
二番組を比べ私が感じる違いの一つに、作劇上の「組織」の捉え方があるのです。
これは昔からよく言われている事ですね。


「円谷系のヒーロー番組には主人公側に組織があり、東映系のそれには敵側に組織がある」というものです。

「ウルトラマン」であれば、毎回別個に登場する怪獣や宇宙人を相手に、人類は「科学特捜隊」という組織で対抗する。
「仮面ライダー」は、人類制覇を企む悪の秘密組織「ショッカー」に対抗するのは「仮面ライダー」という個人。
この違いです。

確かに「ライダー」にも仲間は居ますよね。愛すべき立花藤兵衛をはじめとするクラブ・アミーゴのメンバーです。でも彼らは「組織」というにはあまりに頼りなく(笑)、人質になっちゃったりして結果的にライダーをピンチに追い込む役目を負っているような。
決してウルトラマンと科学特捜隊の関係ではないと思います。

これはそもそも、両番組の設定の違いから来るものでしょう。
Photo_883 今まで「ネヴュラ」で何度かお話している通り、企画立案時ヒーローの存在が設定されていなかった「ウルトラマン」は、「科学特捜隊」という組織そのものが番組の骨子となっていたのですから。
考えてみると「ウルトラマン」という番組は、「ウルトラQ」の後番組として「科学特捜隊」という番組が放送され、それが何シーズンかあった後にさらなる続篇として制作されていても成立する企画なんですね。(あー熱烈なウルトラファンを敵に回しちゃったかな?あくまでおバカな私の戯言とということで(汗)。
それくらい、あの国際科学警察機構の設定はしっかりしている。
現にウルトラマンの居ない世界で、科特隊を主役に据えたゲームソフトも発売されていましたし。

Photo_884 対する「仮面ライダー」は、あくまでライダー本人のキャラクターを生み出す事に企画の主眼が置かれていました。確かにデザインや設定などは二転三転しましたが、結局「ライダー」というドラマは「改造された肉体を駆使して悪に挑む人間」のドラマが番組の骨子になっている訳で。「悪の組織」というものがストーリーの根底にあるんですね。
立花氏他のメンバーはあくまで付随的な設定だったのでしょう。
新番組「クラブ・アミーゴ」ではあれだけの視聴率は稼げなかっただろうと(笑)。

まーこんな事は今までも色々な文献で分析されていますから別に今更、というお話なんですが、私はこの「組織」という設定にちょっと興味を持ちまして。
これは「ウルトラマン」という番組の一話完結性、そして「仮面ライダー」という番組の連続ドラマ性から来ているものではないかと。


Photo_885 「ウルトラマン」に登場する怪獣、宇宙人という存在は、基本的に「一話完結番組のゲスト」なんですね。
科学特捜隊という司会者が回す番組のスペシャルゲスト。だから毎回の連続性など無視できるわけです。「ウルトラマン」劇中では特に科学特捜隊メンバーの交代劇なども無かったですから、別に放送話数が前後してもOKな訳で。
こう考えてみると、科学特捜隊の設定がいかに重要かが改めて分かってきます。視聴者は毎回起こるバラエティー豊かな事件を科特隊メンバーの一員となって追う事で、ストーリーが理解できるのです。
彼らは私たち視聴者を番組世界に誘う案内役であり、物言わぬ怪獣の行動を翻訳してくれる役割も担っている訳です。


Photo_886 で、「仮面ライダー」。この番組では、番組の案内役を「ショッカー」が担う事となります。
主人公本郷猛・一文字隼人を改造した悪の組織、ショッカー。脳改造を前にショッカーを脱出した彼らは、自分達のような人々を増やすまいと、それら非人道的な行いをするショッカーから「人間の自由」を守る戦いを誓う訳ですが、言ってみればこの戦いは「ショッカーを壊滅させる」事が目標ですよね。つまり「ウルトラマン」とは別の意味で「ショッカー」という組織がストーリーの出発点になっている。まずショッカーありきなんです。
その為「仮面ライダー」というドラマは、「ライダー達がショッカーを倒すまでの物語」という大きな流れがある訳です。
一話完結に見えていても連続ドラマなんですね。
ですから放送話数が大きく前後しようものならストーリーはメチャクチャ。今日は藤岡弘、の「本郷ライダー」がショッカーと戦っているのに、翌日は何の予告もなく佐々木剛の「一文字ライダー」がゲルショッカーと戦っていては困る訳です(笑)。


こういう連続性を持つドラマの場合、視聴者は必ず「毎回ここを見れば番組の流れが鳥瞰できる」という場所を求めます。
「ライダー」の場合それがショッカー本部であり、登場する怪人は視聴者を番組内で案内する「悪の司会者」(いい響きですねー。納谷悟朗の笑い声が聞こえてきそうです)なんですよ。


Photo_887 ちょっと思い出してみて下さい。「ライダー」開巻直後、まず最初に近いシーンは必ずあの「明滅するショッカーアジト」ではなかったですか?
「今回の作戦は?」というショッカー首領の声に答え、名だたる歴代の大幹部達は、例外なく作戦内容をプレゼン、成功の約束を声高に語っていませんでしたか?
そして登場する怪人の醜悪な叫び声が場面転換のQカット、なんて流れを何度見たでしょう。

これが「仮面ライダー」という番組のパターンであり、視聴者に「ショッカーは今人類征服までどの位置まで行っているのだろう?」「えっ、新しい幹部がやって来るの?」「ライダー抹殺の手立てはあるのだろうか?」などの言わば「ライダーニュース」を報じ、また新怪人のお披露目で
「ライダーはこんな怪人とどう戦うのだろう?」という興味を抱かせる見事な手腕だったのです。

これは作劇上、ショッカーによる作戦行動が主体であり、それを嗅ぎ付け捜索するライダー側、という流れが根底にあるライダーならではの展開術と思います。
番組中でもストーリーの要所要所にアジトが現れ、「作戦の進行状況は」「もうあと一息です」的なやりとりが繰り返される事で、ライダーの「活躍どころ」を視聴者に分からせる演出がなされていましたね。


これ程分かりやすい例も珍しいですが、「ウルトラマン」と「仮面ライダー」は、番組内で「組織」というものを作劇上の案内役としたからこそ、本来入り組んだストーリーを子供にも分かりやすく提示できたのだと思います。
考えてみると、そもそもの企画の発端となった「組織」という設定が番組を牽引する案内役になるというのも面白いですね。
色々考えてみたのですが、実はヒットするドラマというのはこんな風に一箇所分かりやすい案内役を擁して、番組内をうまく交通整理させている事が非常に多いです。
それが図らずもこの二番組、「主人公側」「敵側」に分かれているのも興味深いですが。


ひょっとするとこれらのドラマ構造がヒーロー番組に最適なのかもしれません。
1970年代初頭にしてパターンは出尽くしてしまったのかも。
後々のあまたあるヒーロー番組がこの構造のバリエーションに過ぎない事が、その事実を証明しているような気さえして来ちゃったりして(ちょっと広川太一郎風(笑)。


最近の「ウルトラ」「ライダー」はこのパターンを意識的に崩そうとしているようですが、その試みは必ずしも成功しているとは言えません。ドラマが難解になるのは決してドラマの質が高いからではなく、名案内役不在の証明でもあるのですから。
作り手の端くれである私にはよく分かります。
「ストーリーが理解できない」と視聴者に思われるのは、演出者としては「負け」なんですよね(笑)。

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コメント

オタクイーンさん、こんにちは~

ネビュラ「同窓会編」大変楽しく読ませていただきました。
本当、読みながらドキドキしましたよ。。。。一瞬オタクイーンさん号泣か?なんて頭をよぎったりして・・・
結果的に大成功でしたね、、、ほっとしました。できればそのシーンに立ち会いたかったくらいでした。
マニアックなDは次回のお楽しみですね。。自分的にDなのは、Dな姿でいて欲しいという自分なりの願望なのかもしれません(笑)
ウルトラマン、ライダーの組織をそのような視点で見るのは初めてです、、、とても新鮮です。
なるほど組織によるストーリー案内で知らず知らずのうちに理解していたのですね。特にライダーはウルトラマンと逆でライダーは変わっても敵はショッカー首領が脈々と生き続けていて
たしかストロンガー最終回で種明かしだったと思います。
それと素人的感想ですが、ライダーはずっと出演するから敵が組織でOK、ウルトラマンはちょっとしか出ないから敵は単発、的が組織だったらちょっと出演で対応できない気がして(笑)
あ、ライダーの立花藤兵衛は付随的な設定じゃないと思います。。。。自分の浅はかな記憶ですと新ライダーと旧ライダーを繋ぐ唯一の接点だった気がします。。。ウルトラマンでいうと兄弟設定の代わりと考えるとどうでしょうか?
「ウルトラマン」は一話完結、「仮面ライダー」はシリーズ連続ドラマなんですね~今度知人に話して自慢します(笑)

>「円谷系のヒーロー番組には主人公側に組織があり、東映系のそれには敵側に組織がある」

自分が思うには
「組織力で闘いを挑む」戦争映画を得意としていた東宝と
「並み居る悪人どもやヤクザ組織に単身立ち向かう」ヤクザ映画や時代劇を得意としていた東映の
それぞれの社風の違いかもしれないなーと
自分のブログで今度分析してみるつもりでしたですです。

 転職情報誌のCMなどのパロディで、ショッカー側の視点に立った作品が成立するのは、ショッカーが組織として描写されているからですネ。

 そしてショッカーが組織、しかも世界各地に支部を持つ巨悪である設定だからこそ、仮面ライダーのロンリー・ヒーローとしての活躍が際立ち、1体1体の怪人を倒すカタルシスが感じられるのですネ。興味深い視点の考察だと思います。

 実は、本郷が日本に帰ってきた「新1号編」の頃、南米で戦っている一文字を描いたエピソードが制作・放送されないかと、密かに期待していたことがあります。「今週は日本の本郷、来週は南米の一文字」という展開はありだったかも。

 『V3』の第1話(『仮面ライダー』通算第99話)で、デストロンの首領が納谷悟朗さんの声で「久しぶりだな、ライダー」と言った時の衝撃と言ったら! 倒しても倒しても復活する敵組織(の首領)の出現に、狂喜しました!(ライダーも好きでしたが、ショッカーも好きでしたから) これも、ショッカーが組織として描かれていたからの盛り上がりだということを、この記事を読んで改めて知ることができました。

大和少年様 コメントありがとうございました。
あの夜のエピソードについては、本当に皆さんから楽しいご感想を頂き、私も嬉しい限りです。
「転の巻」ラスト近くで感じた不安も、「痴の巻」前半での再会の様子もまったく事実で、いかに私のような生き方がドラマチックなものかという事を我ながら再認識したような次第です(笑)。
「D」はいつかの機会までとっておきましょう。実は服そのものはもう揃っているんですが(笑)。

「ウルトラ・ライダーの組織」について、実は今回のような見方は特撮ファンの間では比較的浸透していて、私も文献などで読み知った口です。まー後半の「案内役」という私見は例によって私一人のおバカですが(笑)。
でもあの二つの組織がドラマを引っばる上では大変好都合である事は確かです。
私はいつもドラマを見るとき「自分だったらどうするか」という事を念頭に置くので、「あーこの展開なら状況説明を科特隊にやらせるな」とか、「この作戦は最初にアジトで解説させておけば」なんて考えちゃうんですよ。そういう時実に使いやすい設定だと思います。「困った時の逃げどころ」とでも言うべき場所なんですね。(こんな裏話をしても仕方ありませんが(笑)。

おっしゃる通り、ライダーシリーズに於ける立花藤兵衛の役割は大きいですね。たぶんあれは話数を進める内、制作側が彼に魅力を感じ、その活かし方を模索した結果でしょう。
もちろん、彼を演じた小林昭二氏の功績である事は言うまでもありませんが。
まだまだ語れる「ウルトラ」「ライダー」。話題が尽きないのは、それらの作品が持つ奥深い魅力のおかげでしょう。この二作品がある限り、「ネヴュラ」がネタ切れになる事はありません(笑)。

市川大河様 コメントありがとうございました。
円谷・東映作品の「組織」の位置付け論については、昔から色々な分析がなされていて大変面白い所です。
市川さんのおっしゃる通り、「戦争映画の東宝」「時代劇の東映」という見方も実に興味深く、この話題の深みを感じます。

実は今回の記事、本来はそちらの「組織論」でまとめようと思っていたのですが、書き進むうちにちょっと自分の中で未整理の部分が散見され、時期を見て再度挑戦、なんておバカな事を考えていたのです。早まらなくてよかったー。
市川さんの解析には叶わないですから(笑)。
個人的には時代劇の作劇法の違いで、「七人の侍」の東宝と「旗本退屈男シリーズ」あたりの東映の違い、なんて漠然と思っていたのですが・・・
市川さんの評論、楽しみにしております(笑)。

自由人大佐様 コメントありがとうございました。

>「今週は日本の本郷、来週は南米の一文字」
なるほど。この視点は素晴らしいですね。これは私も見たい!
ライダー世界のワールトワイドな広がりを演出できると同時に、ショッカーの魔の手が地球規模に及ぶ事が語れる秀逸なシリーズ構成です。なんでそこに気がつかないんでしょうか。
「駄目なんだなあ。私は(笑)。」

ショッカーは大組織であるがゆえに、首領一人が倒されただけでは壊滅しないような怖さがありますよね。いつでも復活しそうな組織的体力の強さを感じると言うか。
なにしろ「恐怖の軍団」ですから。しかも団員はいくらでも湧いて出てくるイメージがあって。
それが「仮面ライダー」という作品の持つ底知れぬ深みであり、またそこが「秘密結社」というものにどこか憧れを持つ私たちに訴えてくる危険な魅力だと思います。
「悪の組織」を魅力的に描く事が、ライダータイプのヒーローを活かす最高の手段なのかもしれませんね(笑)。

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