雷龍 嵐に飛翔す
「汗が凄い!」
今日も出かけたウォーキングで、夏の訪れを感じました。
サウナスーツの中を流れる汗が袖の先から滴り落ちます。その勢いはまるでスパイダーマンの糸のよう。「落ちてるなー。今日もきっと。」
・・・体重、1.4キロダウン。
まー水分補給で元に戻っちゃいますけど(笑)。
今日はこんな調子でウォーキング日和でしたが、昨日は久しぶりの雨にしっかり祟られましたねー。
皆さんの地方はいかがでしたでしょうか?
私は昨日、番組の編集で局に行く予定があった為、その道中は大変でした。
例によってミニバイクだったもので(笑)。
レインコートをしっかり着こんでも濡れるものは濡れる(笑)。でも冷たい雨じゃないだけ助かります。
そぼ降る雨の中ミニバイクを走らせていると、いつもながらおバカな事を考えてしまって。
「そういえば、怪獣映画で雨のシーンって、意外に少ないなー」とかね。
制作側の事情で言えば、海・湖など、スタジオに水を張る撮影と並び、スタジオを水浸しにする雨のシーンは予算も手間もかかる分、大変な事なんですよね。
ですからなるべく避けたい気持ちもよくわかります。
なにしろ怪獣の着ぐるみひとつとっても、水分を含む事によって素材のラテックスが劣化を起こし、ひどい匂いとともに「腐っていく」そうですから。「雨」はどんな対戦怪獣よりも強敵という訳で(笑)。
そんな悪条件の中創り上げる「雨」シーンを持つ作品には、雨にストーリーのテーマを託す必要があって行う訳ですから、やはり私たちに訴えかけてくる力も強いのではと思います。
私などがまず最初に浮かぶ「雨シーン」と言えば、「ゴジラVSビオランテ」(1989年 大森一樹監督)のクライマックス、「ゴジラ対TCシステム」でしょうか。
以前にも「ネヴュラ」でお話しましたね。これはゴジラの活動を止めるべく自衛隊によって射ち込まれた抗核エネルギーバクテリアが、ゴジラのあまりにも低い体温により活性化できない為、ゴジラの体温を上昇させる為に実施された作戦です。
硫化銀により人工雨を降らせ、その稲妻を利用し高周波を発生させて分子を振動、過熱する作戦。決戦場となる若狭湾山岳地帯におびき寄せられたゴジラをあと一歩まで追い詰めた「超大型電子レンジ」の活躍は、人類がゴジラを駆逐する可能性を充分に感じさせてくれました。
嵐の中を歩くゴジラってまたカッコイイんですよね。
ゴジラ映画ではもう一つ、「ゴシラ×メカゴジラ」(2002年 手塚昌明監督)の冒頭、台風の中出現したゴジラに立ち向かう特生自衛隊90式メーサー殺獣光線車、という名場面がありましたね。
個人的な感想では、この「ゴジラ×メカゴジラ」ではあの冒頭場面が一番好みです(笑)。
状況の緊張感、画面の密度、嵐の中はっきりと目視できないゴジラの姿など、怪獣が本来持つ「恐怖の存在」というファクターがよく表現されていました。あの場面でも矢のように振る雨が、ゴジラの存在を実に引き立てていましたね。
ガメラ映画に目を移しましょうか。ガメラでは意外に雨のシーンって少ないですね。
「ガメラ3 イリス覚醒」(1999年 金子修介監督)など、クライマックスシーンは嵐の状況なのに、両怪獣は「屋内対決」なので今ひとつ「雨シーン」の雰囲気が感じられません。
この作品では、冒頭、赤道付近の熱帯雨林で長峰真弓(中山忍)がギャオスの死体を発見する場面が、本来は雨の予定だったそうです。しかし現地のお天気、スケジュールの都合から仕方なく晴れのシーンにしたとか。あのシーンがもし雨だったら、作品はまた違った幕開けになっていたでしょうね。
「天気の予定表ぐらいくれればいいのに。」(byアムロ・レイ)
昭和ガメラで印象的なのは「大怪獣決闘ガメラ対バルゴン」(1966年 田中重雄監督)でしょうか。
ガメラ初の対戦相手バルゴンは、水に浸かると体中の血液が流れ出してしまうという弱点がある為、対策本部は人工雨でバルゴンの動きを封じる作戦に出ます。
「水に弱い」という意外な欠点を持つバルゴンならではの足止め作戦でしたね。
あの、雨の中うずくまるバルゴンの姿は、冷凍光線や虹色光線で都市を氷原・廃墟に変える凶悪怪獣らしからぬ可愛さで。
私好きなんですよ(笑)。
テレビに目を移すと、予算のかかる「雨シーン」はずっと少なくなります。雨も最近はCGが多い為、実際に降らせなくてもシーンは再現できますが。
でもあの雨に濡れ、どことなく悲しさの漂う怪獣の質感は、実物の雨じゃないと再現できないような気もします。
「帰ってきたウルトラマン」第33話「怪獣使いと少年」(東條昭平監督)のムルチや、正確には雨ではありませんが「ウルトラマン」第23話「故郷は地球」(実相寺昭雄監督)のジャミラなど、あの濡れそぼった表皮に制作者のメッセージを感じませんか?
さて。つらつらと「雨シーン」についてお話してきましたが、実は私、今日のお話で雨や嵐の脅威を凝縮したような怪獣を揚げてみようかと考えていたのです。
ところが、意外と思い浮かばない。
皆さん、「オタクイーン、これを忘れてるぞ!」という一頭はありますでしょうか?
シーゴラス夫妻?バリケーン?それらはちょっと小粒かなー。
「決定版」はなかなか思いつかないんですよ。単に私の無知ゆえの事なんでしょうが。
例えば、嵐に付きものの「雷」なんて、怪獣の存在理由として実においしい題材じゃないですか?その方面の代表怪獣って、意外に思い当たらないような気が。
なるほどー。怪獣界の「嵐を呼ぶ男」って、なかなか居ないんだー(笑)。
そんな思いに捉われた私は、無い頭をヒネってある有名怪獣を「雷龍」と名付け、勝手に設定を付け加えてしまいました。
こういう暴挙が可能なのもブログの面白い所ですね(笑)。
でも皆さん、私ごときの思いつきですから、皆さんも「雷が最もよく似合う怪獣」なんてすぐ思いつくでしょ。一頭しか居ませんよね。
私が考えたストーリーはこうです。
ここ数年、地球上空では異常気象から落雷、豪雨の量が増加の一途を辿っていました。
落雷量、そのエネルギーは以前にも増していましたが、幸運にも落雷エネルギーはアース効果により地中に分散、人々はこの自然の営みに安心していたのです。
しかし人類に警鐘を鳴らすのはいつも自然。この落雷エネルギーは地中のある一点に集中し、何千年にも渡り蓄えられていました。
その「一点」に潜む者こそ、まさに何千年も前地球に降り立った宇宙怪獣。
古来、日本には雷や風を神様に見立て、自然に対し畏敬の念を忘れませんでした。
しかし「雷神」「風神」など、鬼のような風貌を持ち人々の暮らしに厄災をもたらすこの存在の伝説には、一つの異聞が存在していました。
雷神が乗るとされる大きな雲。この雲は、ある説によると「龍」ではないかと。
雷神が司る嵐、豪雨の中を飛び回り、人々に強大な力を誇示する「雷龍」。
かつて伝説に語られたその巨躯は実在していたのです。
数千年に及ぶ、落雷の強大な電力を生体エネルギーに変換する事を覚えた怪獣は、ついに活動を開始。
ある夜。台風による豪雨に襲われた地方都市。落雷により町中が停電する中、人々が目の当たりにした恐るべき光景。
地面から巨大な長い首が生え、咆哮しているのです。
その長さ、ざっと50メートル。
金色に発光するその優美な姿。
しかしその姿は豪雨に阻まれはっきりとは確認できません。
地元警察は台風の恐怖が見せた集団幻覚と結論付けました。
しかし恐怖は続きます。次の台風で現れた「首」はなんと2本。さらに3本と言い出す者まで。豪雨の為、目撃者も誤認かどうかの確信がありません。
「嵐の中増える謎の首!怪物は何体居る?」
マスコミが面白おかしく騒ぎ立てる中、事件はついに起こりました。
過去最高の威力と噂された巨大台風が町を襲った夜。人々が豪雨を恐れ避難する目の前で、轟音とともに大地を突き破る金色の巨体。
目撃者たちの証言はまさに真実でした。
全身の鱗はまばゆいばかりの輝きを放ち、その胴体からは伸びる首は実に3本。
首の先には、伝説の動物・龍を思わせる不気味な顔が。爛々と輝く眼が恐怖におののく人々を威嚇します。
100メートルはあろうかという翼を広げ飛翔したその姿は、まさにあの「雷龍」そのものでした。
嵐の空をまるで泳ぐように飛び回る「雷龍」。直ちに自衛隊に出動命令が。
しかし、本当の脅威はまだ始まっていなかったのです。
雷龍を哨戒すべく飛び立った自衛隊機は、本部との連絡を取るチャンスもなくその餌食に。出動した全車両もその脅威を目の前にしながら、本部への連絡手段が絶たれてしまう事態に。
「ブラックアウト!」隊員の悲痛な叫びが対策本部に響き渡った瞬間、全ての電子装備はその動きを止めてしまいました。
暗闇に包まれる対策本部。それどころか雷龍が飛来する先、全ての電子機器は無効化され、豪雨の町は突如、深淵のしじまに包まれる事態に。
まるで町中が恐怖に慄いているような沈黙の闇。
「電磁パルス発生によるコンプトン効果と思われます!」空を切る隊員の報告に言葉を失う司令官。
電磁パルス。高高度核爆発、雷などによって発生するパルス状の電波。ケーブル・アンテナ類に過剰な電流を流し、接続された電子回路を焼き切ってしまいます。
「怪獣が放つあまりにも強大な雷撃エネルギーが、全ての電子部品を無効にしたというのか!」
「・・・現在、人類が保有するEMP爆弾でも有効半径は100メートル程度。あの怪獣の持つエネルギーは・・・」
「通信網全て無効、被害は甚大と思われます・・・」
想像に過ぎない隊員の声は、もう司令官の耳には入りませんでした。
「人類が作り上げた全てのテクノロジーが、ただの一瞬で崩壊するなどと・・・」
そう。それはまさに「空飛ぶ厄災」。
雷龍の行くところ都市機能は麻痺。町は暗闇の波が押し寄せ、人々は身を震わせる事しかできません。
ただ飛ぶだけで恐怖の存在なのです。
豪雨に閉ざされる闇の中、大空を覆う金色の翼。しじまを破る雷の光に浮かび上がる3つの顔。
6つの眼が不気味に光りました!
3つの口が耳まで裂けた瞬間、まるで落雷のごとく大地に突き刺さる稲妻状の光線。
それは一撃で都市一つを粉砕する威力を持っているかのよう。
しかし嵐の中、紅蓮の炎に包まれた町はただ空しく崩壊の時を待つのみです。
大地を焼き尽くす炎の照り返しを受け、嵐に濡れた金色の体躯はさらに美しく、さらに怪しい輝きを放つのでした・・・
なーんて。この「雷龍」、皆さんはどんな怪獣をイメージしたかお分かりですよね。
あの反重力光線って、やっぱり「落雷」のイメージ充分ですもんね。
まーさっき思いついた場面ですから穴だらけなのはよーく分かってます。「こんなシーンが見たいなー」なんて思っちゃっただけで。まるでツッこみ待ちのような駄文ですね(笑)。
「いや、オタクイーンは甘い。自分だったらこうする」
「このシーンの続き、私はこんなのが見たい」なんてのもいいですねー。
「雷龍」(もう勝手にこう呼んでしまいますが)は、これまであの怪獣王のライバルとしてしか採り上げられず、ついに今まで単独出演が叶わなかった名獣。
あれだけのキャラクター性を持っていて代表作品が無いのは可愛そうです。
なにより、日本特撮映画界最後の大型企画だと思うんですが。
また長々とごめんなさい。今日はこれくらいにします。
あまりつまんないお話を続けると、皆さんの雷が落ちそうな気もしてきました。
パソコンに「コンプトン効果」が起こらないうちに、電源を落とすとしましょう(笑)。
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» ガメラ:雨に関するBlog記事 2007/05 [ガメラ医師のBlog]
今日の発端は、こちらの記事を拝見した事から。
『オタクイーンの「恋するネヴュラ」 』
http://spectre-nebura.cocolog-nifty.com/cultnight/
さん、5月26日の更新。
雷龍 嵐に飛翔す【写真あり】
http://spectre-nebura.cocolog-nifty.com/cultnight/2007/05/post_5497.html
日本特撮映画における雨のシーンについて。
「昭和ガメラで印象的なのは「大怪獣決闘ガメラ対バルゴン」(1966年... [続きを読む]
昨日の夜、『ゴジラ×メカゴジラ』をちょうど見たところでした。
冒頭のシーンで、台風をレポートしているTVレポーターの背後の海面が盛り上がり、巨大なゴジラが登場するシーンに、映画館で思わずシートに身を押し付けて仰け反ってしまいました(^^ゞ
雨、そして夜というシチュエーション、特に「雨のためにはっきりと視認できない」というのが、迫力を加えていますネ。
「雨でメーサーの効力が70%に落ちている」というのも、雨が有効に盛り込まれたシーンです。
映画タイトルが現れる直前、落雷を受けて心地良さそうに吼えるゴジラ!
オタクイーンさんの書かれた「雷龍」の描写を、私も見てみたいです。キングギドラが主役の怪獣映画実現に賛成!(^o^)/
ところで、「雷竜」と書くと、古くは間違いであった「ブロントサウルス」、現在は「アパトサウルス」がこのように呼ばれていますネ。
投稿: 自由人大佐 | 2007年5月26日 (土) 22時00分
自由人大佐様 コメントありがとうございました。
「豪雨と怪獣」って共に人類への脅威という部分で相性が良いと思いますが、現場の事情でなかなか実現しないだけに、名シーンを見るとそれだけで得した気分になりますね。
「怪獣のフォルムがはっきり確認できない」という意味では、「GMK」のバラゴン初登場シーンもなかなか雰囲気があって好きです。
「雷龍」はまさに「機龍」のモジリでお恥ずかしい限りです(汗)。
イメージとしては「ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日」の大怪球フォーグラーですね。ただ飛ぶだけで大災害という(笑)。電磁パルスは現代のアンチ・シズマドライブなのかもしれません。私の筆力ではあの名作アニメの足元にも及びませんが(笑)。
キングギドラが一枚看板で出るならこれくらいのスケールが欲しいですよね。でなきゃご本人も納得しないんじゃないかと。
「雷竜」たしかにそうでした。頭の片隅にこの名前があったのかもしれません。情報ありがとうございました(笑)。
投稿: オタクイーン | 2007年5月27日 (日) 02時38分
「故郷は地球」のラストシーンでは、密かにウルトラマンを恨んだものです。 「正義のヒーローなら、もうちょっとなんとか出来なかったのか!」って。
セブンのペガッサ星人も、まだどこかの影の中に隠れつづけているのでしょうか…。
ガメラと雨について、拙Blog上記のTBで少々まとめてみました。オタクイーン様の記事の足元にも及ばないまとまりのない更新ですが、こういう切り口もあるかという事でご紹介をお許しいただければ、と思います。
コタクイーンさまにも宜しくお伝えください。 (^^)ノシ
投稿: ガメラ医師 | 2007年5月29日 (火) 17時34分
ガメラ医師様 コメント&TBありがとうございました。
私にとって「故郷は地球」と同じ空気を感じる作品は、ウルトラセブン第26話「超兵器R1号」でしょうか。ジャミラに対してマンが放ったウルトラ水流の残酷さは、そのままセブンがもぎ取ったギエロン星獣の右翼に通じるような気も。
ほとばしる水、翼から舞い散る羽の違いはあるにせよ、共に画面を覆いつくすそれらは、地球人の身勝手な宇宙開発の代償に対する悲痛な叫びの具現化に見えてしまうのでした。
梅雨も間近ですね。ガメラ医師さんとはお近くなので、空気の匂いやお天気の感じ方もご共感頂ける筈。
雨に反応する私の気持ちもお分かりになるのでは(笑)。
拙記事が少しでも貴ブログのお役に立てれば、これほど嬉しい事はありません。
コタは今日ものんびり過ごしています。さっきまで起きていましたが、波音のヒーリングCDを聞かせたらすやすやと眠ってしまいました(笑)。
投稿: オタクイーン | 2007年5月29日 (火) 20時19分