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2007年4月19日 (木)

総天然色ウルトラQ

「エレベーターに乗れば良かったかな。」
狭いエスカレーターで会場へ向かう私の心は、少しそんな苛立ちに包まれていました。

その思いには二つの理由が。一つは移動時間の短縮。
もう一つは「友野健二の気分を味わう為。」


先日、よく拝見させていただくブログ「★究極映像研究所★」さんの記事でウルトラQ・マン撮影プロップの展示会が開催されている事を知った私。
地元で、しかも毎週のように通っている職場の近くでこんな面白い展示公開が行われているとはと、今日お仕事が終わった後早速覗いてみたのでした。

Photo_700 ウルトラマンシリーズ誕生40周年[オブジェクツ・サブジェクツ]とタイトルされたこの展示会は、従来の「ウルトラマンフェスティバル」的なイベントとは若干趣が異なるもので、作品を「Q」「マン」のみに絞り込み、撮影プロップの実物を「アート」として捉え展示するというものでした。

詳細はこちら「パルコギャラリー」まで

http://www.parco-nagoya.com/web/gallery/07ultraman/


会場となるパルコ8階のギャラリーにたどり着いた私は、その受付の簡素な雰囲気にちょっと違和感を覚えてしまいました。
「これがウルトラ関連のイベント?まるで美術館の特別展のノリじゃん。」

実際、子供連れのお母さんを拒否するようなその雰囲気。
Photo_701 今回のイベントの趣旨をよく表していました。
確かに「黒バックにバックショットのウルトラマン」という、子供向きではありえないチラシのデザイン一つを見ても、「大人のウルトラ」を演出するプロデュースサイドの意気込みがにじみ出ていて。
身構えながら足を踏み入れた会場はやはり子供が駆け回れるノリではありませんでした。
照明を落とした会場。もはや伝説化したウルトラシリーズの始祖、「Q」「マン」の実物プロップが整然と並ぶガラスケース。

今日は平日。午後2時を少し回った頃です。会場の周りを取り囲むテナントは最新流行のウェアが並ぶブティックがほとんど。そんな中、白昼にポッカリと口を開けたこの40年前の空間は、陳腐な表現ながらまさに「アンバランス・ゾーン」に迷い込んだような不思議な感覚を私に抱かせるのでした。

過去にも何度か美術館の取材を経験した事があります。
学芸員の方にお聞きした事ですが、展示会の趣旨、主催者側の主張は美術品の展示の仕方、他の展示品との位置関係や順番などに表れるそうです。

同じ傾向の作品が並べば二作品を繋ぐ接続詞は「そして」。
あえて違う傾向の作品を並べれば接続詞は「しかし」となる。
美術と言うのはそう見るものだ、とお聞きしました。


今回の[オブジェクツ・サブジェクツ]の展示コンセプトも、さすがに大人の観客を相手にしただけあってそれなりのストーリーが感じられて非常に興味深いものがありました。
ただそれは実際に会場を訪れた方だけが感じられるものかもしれません。私が捉われた思いもここではお話しない事にしましょう。
おそらく訪れた人の数だけ感じ方も違う筈。
今回はただの「プロップ展示」とは違う意味合いを持つのです。

「アート。」それはまさにアートなのでした。主催者側の意図もそこにあったのかも知れませんが、製作後40年を経たウルトラのプロップたちは既に撮影に使われたものというだけでなく、時の重みが染み付いた不思議な魅力を訴えかけてくるのでした。
今回、展示内容は「Q」「マン」という分け方を採っていません。プロップのサイズが占める空間、プロップ一つ一つが放つ空気を重要視している為、作品毎に固めていないのです。
回廊を巡るのも非常に楽しい。
映像作品を通じて穴の空くほど見た小道具の数々が実に新鮮な驚きを持って目の前に現れます。この驚きと感動は、私の稚拙な文章ではとても伝えられません。


とはいうものの、これで終わっちゃうと「ネヴュラ」じゃなくなっちゃいますし(笑)、やはりそれなりの意見も言いたいお年頃なので(何を言ってるのか分からなくなってきましたが)今回は舌足らずながら、数々のプロップの内「ウルトラQ」関連のいくつかに絞ってお話を進めていくことにしましょう。

Photo_702 一つお断りを。今回の展示会、会場内は撮影禁止でした。プロップに触れるのも厳禁。
ですからこの後アップされている写真はすべてこの展示作品写真集「OBJECTS Imagination of ULTRA」からの複写です。
印刷物をそのまま撮影していますから網点が目立ちますが、現物に極めて近い状態のものですので、
これらをご覧頂ながらしばし観覧気分をお楽しみ下さい。

Photo_703 会場に入った最初の空間。私の正面には第19話「2020年の挑戦」のクライマックスシーン、ケムール人掃討の舞台となった遊園地の「コーヒーカップ」が置かれていました。
直径122cmとかなり大きいものです。この置き方がちょっと面白くて。ガラスケースの中、斜めに立てかけてあったんです。

「Q」はモノクロ作品ですから当然カラーで見るのはこれが初めてなんですが、思った以上にカラフルですよね。しかしながらこの色合い、どこかで見たような・・・
「廃墟」じゃないかと。

かつて客の入りもよく盛況を誇った遊園地や、ちょっと郊外にあるドライブインなどが寂れて営業停止になり、荒れ放題になったあの雰囲気。風雪に晒されて作られた一種独特の雰囲気を感じたんですよ。
あの、時に見捨てられた廃墟に感じる不思議な魅力が、このコーヒーカップには溢れていたのです。


考えてみればこのプロップだって40年の歳月を乗り越えてきている訳で。そういう空気を醸し出しても不思議じゃない。
今回の展示会はただ当時を偲ぶというファンの思いとは別の部分、プロップの経時変化が醸し出す「アートとしての魅力」が全面に押し出されているのです。


Photo_704 「コーヒーカップ」の右側、ちょうど角地になったところに展示されていたのが第17話「1/8計画」で使われた「由利ちゃんのカメラ」。由利子がこのカメラを見て不思議がった後、人間縮小機で1/8サイズにされた事を知るショッキングなシーンは「Q]屈指の名場面でした。
このカメラは幅86cmあります。やはりかなりの大きさですね。材料がトタンと木材であった事は後にカタログで知ったのですが、始めて見た時は金属の削り出しかと思いました。
「触っちゃいけない」と思いながらどうしても材料が知りたくて、軽く触れてしまったのもご愛嬌(笑)。

でも見た感じ、とても木には思えませんでした。おそらくこれ、製作された当時もそれなりに精巧な出来栄えだったのでしょうが、これが40年を越えてまたいい具合に「年季を経た感じ」なっているんですよ。先ほどのコーヒーカップとはまた別の意味で「オブジェ化」していると言うか。
これも主催者側が意図した部分だったのでしょうか。この大きさのカメラがいきなり角地に置いてある。この感覚がとても「アート」な雰囲気でした。


Photo_705 メインルーム。その中央に恐竜の実物大化石のように立っていたのが、第12話「鳥を見た」に登場する古代怪鳥「ラルゲユウス」の足。ドラマ後半、文鳥サイズから見る見る40メートルにまで巨大化し、街並みを吹き飛ばしながら過去へと帰ってゆくラルゲユウスの一種幽玄なイメージは、その後の幾多の「怪鳥エピソード」と一線を画すものでした。
この足は東宝特殊美術課の作だそうです。写真は元が小さい図版を足先だけトリミングしたのでちょっと荒いですが、実物はかなり精巧にできています。長さ67cm、高さ110cm。

しかしながらこの足、40年の時を経たとは思えない程状態がいいんですよ。今にも動き出しそうな感じで。これはどういう事なんでしょうか。
前述のコーヒーカップやカメラと違い、「生き物」というのは経時変化により生物感が増すのかもしれません。素材の劣化や汚れがリアル感を増すと言うか。

確かに怪獣のガレージキットなどは生物感を演出する為に意図的に汚しをかけますよね。こういうプロップの場合、経時変化がそのままいい汚しになっている訳です。
その効果は、これからご覧頂く「名獣」のパーツをご覧いただければお分かりと思います。


Photo_706 第一話「ゴメスを倒せ!」に登場する古代怪獣「ゴメス」の角。幅32cm、高さ16cm。
これなど「先日発掘された恐竜の骨格標本」と言われても納得してしまいそうなクオリティーを誇っています。東宝特殊美術課の作なのでその出来は折り紙付き。素材はポリエステル樹脂だそうですから型を作って流し込んだのでしょう。ラルゲユウスの足、ゴメスの角などを眺めていると、今度は歴史博物館の一角にでも佇んでいるような錯覚さえ覚えます。
照明効果も効いているのでそんな風に感じてしまうんですよ。


Photo_707 今回、「Q」関係で私が最も驚きを感じたのがこれ。第20話「海底原人ラゴン」に登場した「ラゴン」の頭部マスクです。以前にも何度かウルトラ関係のプロップ展示会は足を運びましたがこのラゴンは今回初対面で。
第一次ウルトラ作品の怪獣に共通して言える事に「目」と「皺」の表現があります。
骨格から逆算される皺、生物感と「眼差し」を意識した目の表現。高山良策が生み出す怪獣の魅力はそんな「生命を感じる造型」にあるような気がするのです。今回この「ラゴン」を目の当たりにして改めて思いを強くしました。

というのは今日、私は展示室でガラスケースの奥から「目線」を感じたのです。
深度5000メートルの海の底から、地上をじっと見据える眼差し。40年の時を越え、今なお人類を射抜く強い視線。

歩み寄った私は、改めてその造型技術の高さに戦慄しました。感動ではなく「戦慄」。
ガラスケースの中で、ラゴンはまだ生きていたのでした。

私の文章力でこれ以上の表現は出来ません。後は写真をご覧頂下さい。
「オブジェ」「標本」[視線」。芸術作品が本来持つ「刺激」の数々が、この展示会にも溢れていたのでした。


Photo_708 随分前にもお話しましたが、やはり生物感の決め手は「目」ですね。目と言えば、今回目だけの展示だったのがこの「ナメゴン」。
第三話「宇宙からの贈りもの」に登場した火星怪獣でした。

この目、以前「ウルトラQ」のDVDBOXにショップ特典としてレプリカが添付されていましたが、オリジナルを見るのは今回が初めてでした。
レプリカはオリジナルに近い色を再現したとありましたが、なるほどその通り。家で見直してみようと企んだのもつかの間、意外な展開がありました。

2_15 今日、写真集の購入特典として同じレプリカが付いてきたのです。家へ帰って二つ並べると、あらーそれぞれ色が違う。左がDVD特典、右が写真集の特典です。まーそれはそれで。いい記念になります。
これで実物大のレプリカナメゴン再現も夢ではないと(爆笑)。


実は「Q」関係には他にもプロップが沢山あったのですが、今回はこれくらいにしておきましょう。実は私、もう一度この展示会を訪れる予定があるのです。
Photo_709 あさって土曜日お昼2時。桜井「由利ちゃん」浩子さんをナビゲーターに、展示会のディレクター原口智生氏、フォトグラファー照内潔氏のトークショーが開かれます。
ちょっと面白いお話が聞けそうで。行ってみようと思い立ちました。

Photo_710 地方に住む私。こんな機会も少ないですし、ここ数日はウルトラ世界にドップリ浸かるのも悪くないかと。至福の時を楽しむ私をお許し下さい。
トークショー後、今日割愛した「ウルトラマン」プロップ篇も合わせてアップする予定です。
またいつものおバカなお話。
例によって期待しないでお待ち下さいね。

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