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2007年4月30日 (月)

撮ってはいけない!

アニメーションは五度目の新作だそうですね。
今、実写版も劇場公開されている「ゲゲゲの鬼太郎」。
昨日何気なく点けたテレビで、たまたま長谷川圭一脚本の最新シリーズを見ました。
4月1日からスタートした今シリーズも回を重ねる事五話目。
「呪われた映画」というサブタイトルに映画好きの私は反応してしまい(笑)。そのストーリーは・・・


井戸にまつわる悲しい史実を元に、今まで何回もリメイク制作を試みられた映画。
しかしいつのリメイクも、撮影が始まるとスタッフが忽然と姿を消してしまう不可思議な現象が起こる為、ある種「禁断の作品」とされていました。

しかし人間は愚か。そういう話題に便乗し、また新たにリメイクを手掛けようとする制作者達が現れたのです。
撮影が始まろうとしたまさにその時。一人の男がスタジオに飛び込んできました。
「撮影してはいけない!」
彼は二十年前のリメイク時のカメラマンでした。

以前のリメイクで彼がカメラを回そうとした瞬間、彼の眼前では恐ろしい事が起こったのです。スタジオセットであるはずの井戸の中から一人の女性が姿を現したのでした。
映画に関わる人々を闇に葬ろうと牙を研ぐ妖怪・沼御前。
彼女の足元から伸びる蛇に巻きつかれ、彼はまさに沼御前の餌食に。
絶対絶命の彼を救ったのは、沼御前に敢然と挑むチャンチャンコ姿の少年でした・・・


とまあ、こんなお話でした。
今回の鬼太郎は、水木しげるの原作が持つ「鬼太郎の内なる怖さ」をやや匂わせている点が新しいですね。
モノクロ第一シリーズから見ていた私としては、鬼太郎というお話が本来持つ「人間世界の裏側で確実に生きている妖怪」の恐ろしさ、そして彼らのバイリンガルとして存在する鬼太郎の危ういスタンスを復活させた所が嬉しかったりします。

20年前、カメラマンの彼を救ってくれた少年は、再会を果たした今も当時のまま年をとっていない。そんなちょっとした所がいいんですよ。
沼御前から何度も人間を救った鬼太郎は警告してきたのです。「この映画を撮ってはいけない」と。しかし映画は作られる。
ラストシーン、正義の味方ではない鬼太郎のちょっと怖い一面が覗く所に、この作品が持つ深みがあるような気がします。
やりますね。長谷川圭一さんも(笑)。


さて。昨日の鬼太郎を見ていて、私も昔の体験を思い出しました。
テレビ業界で働く私にとって、今回のお話は大変身近に感じられるもので。アニメが身近というのもどうかと思いますが(笑)。

テレビというのはそもそも「撮影する」という所から素材作りが始まります。その場で起こっている事をカメラに収める。
こんな事は説明するまでもありませんね。

ですが、期せずしてその「収める」という事が大きな意味を持ってしまう事もありまして。取材、撮影対象によっては、今回の沼御前のエピソードにも似たような事が起こってしまうのです。
さすがに妖怪に襲われたことはありませんが、私もこれまで何度か奇妙な経験をしました。
もう随分前の事ですからお話してもいいでしょう。

私がまだADだった頃、親分であるドキュメンタリー番組の重鎮が、史実に関する特番を制作した事がありました。
江戸幕府三代将軍の長女として生まれた「千代姫」にまつわるお話でした。

千代姫は寛永16年、徳川光友と婚姻しました。その際の婚礼調度は「初音の調度」と呼ばれ、現在は国宝となっています。当時の宮使いの職人による贅を尽くした高度な調度品の数々は美術品としても大変価値の高いものでした。
番組は現在、名古屋市の徳川美術館に所蔵されている「初音の調度」を紹介しながら、千代姫の生きた時代を紐解いていく歴史ドキュメンタリーの形式だったのです。
この番組、当初からご難続きでした。


撮影素材のビデオテープに走る奇妙なノイズ。テープ管理はADの仕事なので、この現象には肝を冷やしました。
撮影途中の交通事故。この番組取材の途中、取材先から車を出した途端、後続車との接触事故が起こりました。めったに起こらない事で、スタッフ間で「この番組は危ない」との噂が囁かれだしたのはこの頃からです。


不思議な出来事はさらに続きました。
編集室の突然のトラブル。今までトラブルなど起こったことの無い編集室が、不意に制御不能に陥ったのでした。ベテランの編集マンも首をかしげ、機材をすべてチェックしましたが原因は分かりません。とにかく始めなきゃ先に進めないと、だましだまし始めた編集途中でも突然、電源が全てストップするという怪現象に見舞われる始末でした。
こうなるとさすがに恐ろしい。その時、百戦錬磨の親分ディレクターが語った事は今でもよく覚えています。
「歴史物っていうのは時々こういう事が起こる。有名な人物の過去を掘り起こすのは覚悟が要るんだ。」

番組完成後、編集上がりの放送用テープにも怪現象は現れました。編集時に何度もチェックしたはずなのに、画面には妙な形のノイズが。その時はさすがに歴史を彩った人物の、今なお残る思念を感じずにはいられませんでした。

その経験から数年を経てディレクターとして一本立ちした私。
過去のそんな記憶も薄れていましたが、不意に訪れた奇妙な出来事は、私に「歴史取材の恐ろしさ」を思い出させてくれました。

今も語り継がれる歴史のロマン、関ヶ原の戦い。慶弔5年、現在の不和郡関ヶ原町で、徳川家康と石田光成が一戦を交えた、誰もがご存知の大合戦です。
以前、この関ヶ原の戦いを採り上げる番組を手掛けた事がありました。これはやや明るいノリの番組で、女性リポーターが関ヶ原を訪ね、甲冑を纏った家康役の役者さんに案内されて合戦ゆかりの地を回るという、よくあるパターンの番組。

この時、撮影は別に何事もなく進んでいました。お天気も快晴、スタッフ間で冗談も飛び交う順調なロケでした。
奇妙な出来事はロケ終了後に起こったのです。
ロケも全日程が終わり、プレビュールームで撮影素材のテープを点検していた私は、あるカットで目を止めました。
そのカットは、合戦場の家康陣営から北西に進んだ俗に言う「決戦場」と呼ばれる場所で撮影したもの。リポーターが「ここが関ヶ原の戦い最大の激戦地で・・・」なんて喋っているカットでした。決戦場をロングで捉え、片隅にリポーターを立たせた何の変哲もないカットです。ところが。


そのカットだけ、画面が真っ赤なのです。

ビデオや写真を撮られる方はご存知と思いますが、カメラというものは普通、撮影前に「ホワイトバランス」というものを調整しますよね。外光や撮影場所の色合いに合わせ、白を基調にカメラを適正感度に補正することです。
このカットは決戦場到着後、カメラマンがホワイトバランスを合わせてから数カット撮影した後に撮ったもの。オープンロケで場所は移動していないのでホワイトバランスは取り直していません。前後のカットは普通に撮れているのです。
そのカットだけ明らかに赤い。考えられない現象です。

普通の「ちょっと赤っぽいな」じゃないんですよ。レンズに赤のフィルターを被せたんじゃ、と思うほどに赤い。
慌てた私はカメラマンに報告したのですが、彼は言下に否定しました。「ありえない。」


カメラマンには撮影した映像に関する責任があります。撮影時には細心の注意を払っている筈。その彼も、プレビュールームでそのカットを見て驚きを隠せませんでした。
「あの場所では最初にホワイトを合わせてから一度も再調整していない。こんな、何カットも撮っている中でワンカットだけ色が変わるなんて説明かつかない。」


結局そのカットは使えず、番組上は編集でなんとかしましたが、この現象については今だに説明がつきません。カメラマンの彼が言うのだから間違いないでしょう。
そのカットを覆った「赤」という色が、合戦の凄まじさや亡くなった多くの兵達の思いを代弁しているような気がするのは私だけでしょうか。

「初音の調度」「関ヶ原の戦い」など、歴史に名を残す大きな出来事は、後世にも何らかの影響を与えるものなのでしょうか。「その場面を切り取る」という映像表現の現場ゆえに遭遇してしまうこんな出来事。カメラは「人間には見えない空気」まで映しこんでしまう力があるのかもしれませんね。
それ以来、歴史物の取材には気を付けるようにしています。
何の力もない私などには、先人達を偲び、思いを馳せる事ぐらいしか出来ませんが。


超能力や霊感などには全く縁の無い私。
今隣に霊が座っていてもまったく気づかないでしょうね。
でも私、心霊現象って「アリ」なんですよ。
霊の皆さんが周りに居るのも「アリ」。
彼らにも「ネヴュラ」の読者として、好き勝手言って欲しいですから(笑)。

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コメント

こんにちは。
「撮ってはいけない!」「ゲゲゲの鬼太郎」ときたので、てっきり実写版の鬼太郎は「撮ってはいけない!」というお話かと思いきや・・・。(実写は3度目でしたっけ。)
後半意外な展開でしたね。
まさに「女優霊」とか「リング」とか「ほんとにあった怖い話」ですね。
よく、撮影所や劇場には「いる」って言いますものね。
新作アニメの鬼太郎は今も毎回見てますし、前回のアニメシリーズも観てました(京極堂とか出てました)。
今回も、妖怪たちには、是非人間に日よらずに、心ない人間どもを思い切り懲らしめてほしいと期待してます。妖怪は、現実の世界では絶滅寸前・・・いや絶滅してるかもしれませんから。
でも、水木先生御健在な限りは、不滅と信じます。

ITOYA様 コメントありがとうございました。
今回の記事以外にも、テレビがらみの「怪談」は数多くあります。
それらはさすがにアップするには恐ろしすぎて、ちょっと発表出来ないものばかり。私の中でお札を貼っていますが(笑)。
おっしゃる通り、鬼太郎をはじめ多くの妖怪たちは、人間にとって畏怖の存在であって欲しいと思います。
自然の一部でもある人間が道を踏み外した時、闇の中で口を開けて待っている恐怖の存在。それはきっと、古から連綿と受け継がれてきた「自然界のセキュリティーシステム」だったのかもしれませんね。
妖怪たちの怒りを買わないよう、誠実な毎日を心がけたいものです(笑)。

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