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2007年3月12日 (月)

幻の「G作品」

Photo_578 この台本をご存知でしょうか?
『ウルトラマン ジャイアント作戦』と名付けられたこの一篇。

ウルトラマンの名を冠している事からも、この台本があの「ウルトラマン」の一エピソードとして企画された事がわかります。ただこの台本、テレビシリーズとは別の作品、つまり「劇場用作品」として企画されたもの。
この存在は濃いウルトラファンならよくご存知の事でしょう。

この台本は1966年、初代ウルトラマン放送当時に書かれたものの復刻版。
数年前、講談社から発売されたパートワーク雑誌「オフィシャル・マガジン・ファイル ウルトラマン」の別売りバインダーに特典として付いていたものです。

一年ほど前、このバインダーをオタクショップで見かけた私は、定価の半額以下という価格とこの特典に目がくらみ(笑)、件の雑誌を一冊も持っていないのにバインダーだけ買ってしまったのでした。
相変わらず効率の悪い私(涙)。
その後この台本の事はすっかり忘れていたのですが、おととい放送の「ウルトラマンメビウス」に初代マンが登場した事もあったのでしょう。(「メビウス」についてはノーコメント(笑)。
頭の隅に残っていたウルトラマンのルーツにちょっと興味が湧き、この台本を初めて紐解いたという訳です。

表紙に「検討用」「仮題」とあるようにこの台本は叩き台として作られたようで、実際に作品化されていない事は皆さんもご存知でしょう。(「見た!」という方がいらっしゃったら是非ご連絡を(笑)。本編前には「あの」白石雅彦氏による詳細な解説があったので、この台本が作られた経緯はおおよそ理解できました。
お話の都合上、この解説についてはちょっと後回しにして、まず「ジャイアント作戦」の内容についてお話しましょう。

このお話は劇場用作品にふさわしく、テレビシリーズ「ウルトラマン」の世界観をそのままに、非常にスケールアップした規模で描かれています。
既にスクラップとなった旧式ロボットからの宣戦布告。スクラップロボット「ナポレオン」は人類に対し降伏を迫ります。その尖兵として北モンゴルに潜伏していた地底怪獣・モルゴを覚醒させると宣言。
対する科特隊のメンバーは二手に別れ、モルゴ掃討の為北アルプスに向かうと同時に居場所不明の「ナポレオン」捜索に奔走します。


O大の渡辺博士によって開発されたナポレオン。
オートメーション工場の運転を任されるほどの高性能を誇りながら、後継機の登場により徐々に活躍の場を失い、スクラップにされた悲劇のロボットです。
捜索を続けるハヤタ、アラシの前に現れたナポレオンは恐るべき事実を語ります。

「怪獣モルゴと私を含めて、人類の滅亡をねがう五種類のものの攻撃が、準備されています。」
人類を滅ぼした後その五種類の勢力が戦い、勝ち残った者が地球を支配する・・・・
まさにウルトラ世界のアルマゲドン。最終戦争に付けられた名称が「ジャイアント作戦」なのです。


強大な破壊力を持ちながらもハヤタの機転とアラシの活躍により作動不能に陥るナポレオン。ナポレオンは倒れる直前、謎の言葉を残します。「私を破壊しても、ジャイアント作戦に参加する為に、宇宙の彼方から、君達の敵バル・・・・・・」
時を同じく、ムラマツキャップらのメンバーもモンゴルでモルゴを仕留めていました。


基地に帰ったメンバー。しかし新たな脅威は目の前に迫っていました。
西洋の孤島「オカリナ島」。以前この島に現れ、科特隊が始末した鋼鉄巨人「G」が姿を消したと言う情報が入っていたのです。中世の西洋の甲冑をつけた兵士のような大巨人「G」。身長50メートルはあろうかという巨体は今どこに?
第三の敵の登場か?


ドラマはさらに、Gを開発した狂人ゾウ博士の娘ユカリの登場、さらに科特隊・そしてウルトラマン最大のライバル「バル・・・・・・」の襲来と二転三転、意外な結末を迎えます。

どうです?凄いストーリーですよね。
このお話はテレビシリーズ「ウルトラマン」のエッセンスを凝縮しただけでなく、随所に劇場版ならではの新設定が登場し、超大作感を感じさせます。

ムラマツキャップの上司サイゴー以下、科特隊メンバーも増員され、ナポレオンを作動停止させた光線銃「マルサイト・セブン」、鋼鉄巨人G掃討の為出動する水陸両用戦車「タイタン」等、劇場版ならではの新兵器が次々と登場するのです。

Photo_579 これは解説文に書かれていた事ですが、「ウルトラマン」の劇場用作品第一作は1967年7月、「キングコングの逆襲」と同時上映された「長篇怪獣映画ウルトラマン」という作品。これは後年私もビデオで見ましたが、いわゆる「テレビシリーズの再編集版」なので純然たるオリジナル作品ではありません。その後も「ウルトラマン」単体としてのオリジナルムービーは制作されていませんから、この「ジャイアント作戦」が実現していたら、初代ウルトラマン最初にして最大の娯楽巨編になっていたかもしれないのです。

「ジャイアント作戦」制作中止の経緯は今となっては想像の域を出ませんが、解説文にもある通りやはり制作費の問題、また当時の映画界とテレビ界の格差などの事情が絡んでいたと思われます。
今と違い、いかにテレビ番組が人気を博していようとも、銀幕世界の現場はまだまだテレビを差別していたのでしょうね。
ともあれ、この「ジャイアント作戦」企画は頓挫、日の目を見る事はなくなりました。しかしそのストーリー、設定などが散り散りになって「ウルトラマン」テレビシリーズ本篇に活かされていった事は間違いないでしょう。

私がこの台本を読んだ時、瞬時に浮かんだ私見は二つありました。その一つは「バルタン星人の登場」について。
直後に解説文を読み、そのイメージもむべなるかな、と思ったのですが、その理由はやはりこの作品を執筆した飯島敏宏監督にあるでしょう。
「ウルトラマン」に於ける飯島監督脚本、(脚本は千束北男名義)演出作品の中でも有名な第2話「侵略者を撃て」、同16話「科特隊宇宙へ」。
この二作品に共通する敵役「バルタン星人」は、今もウルトラマン最大のライバルとして抜群の知名度を誇っていますが、この「ジャイアント作戦」にもバルタン星人の登場が予定されていたのです。


解説文によると「ジャイアント作戦」準備稿の脱稿は1966年9月27日。この時点で既に「ウルトラマン」は第11話「宇宙から来た暴れん坊」(9月25日)までが放送を終えていました。
飯島監督が「ジャイアント作戦」にバルタン星人の登場を考えたのは、やはりこの時期のバルタン人気(笑)を物語る大きな証拠となるのではないかと。

しかしながら「ジャイアント作戦」の企画が頓挫した段階でも、飯島氏の中ではバルタン再襲来のアイデアは捨てがたかったものと推察できます。
何しろ生みの親ですし(笑)。
飯島氏は「ジャイアント作戦」中のバルタン登場部分を、テレビシリーズ「ウルトラマン」本篇に活かしたのです。


その結果が第16話「科特隊宇宙へ」(10月30日放送)である事はおそらく間違いないでしょう。同エピソードをご覧の方はご存知の「バルタンの集団移動、巨大化・縮小化」「ウルトラマンのテレポーテーション」などが、既に「ジャイアント作戦」に登場しているのです。
Photo_580 また面白い事に、このエピソードでウルトラマンの決め技として新登場した「八つ裂き光輪」ですが、「ジャイアント作戦」でも「秘密兵器ウルトラソード」なるものがウルトラマンの手から放たれているのです。
「磨きぬかれた無数のダイアモンドのように美しく光る金属片」と表現されるこの新技が現場の条件とすり合わされ、「八つ裂き光輪」に変化した、と考えるのも自然と思うのですが。


従来の疑問にも一つの回答らしきものが。
Photo_581 実は私「科特隊宇宙へ」には、「なんでバルタン星人って二代目であんなにフォルムが変わっちゃったの?」という疑問があったのです。
確かに初代バルタンは前作「ウルトラQ」に登場したセミ人間の着ぐるみを改造したもの。成田亨氏のオリジナルデザインは二代目の方が正しいんですが、初代の着ぐるみもいい出来だと思ったんですよ。
今でも「バルタン」と言えば初代のフォルムが浮かびますし。
それが何故新造されたのか?


2_11 ひょっとするとこの「ジャイアント作戦」実現化を見越して、円谷プロ側でもアクションを起こしていたのかもしれませんね。「劇場版だから着ぐるみも新造して呼び物に」的な考えで。
これも推測の域を出ませんが、一つの可能性ではあります。
なにしろ「ウルトラマン」全篇を見渡しても、初代と二代目であれだけフォルムが変わった怪獣って居ないですもんね。


そしてもう一つの私見。
「鋼鉄巨人G」についてです。

Photo_582 ちょっとこのイラストをご覧下さい。この巨人の雰囲気、「ジャイアント作戦」劇中「中世の西洋の甲冑をつけた兵士のような」というイメージに似ていませんか?
このイラスト、実は当時朝日ソノラマから発売されたソノシート「怪獣大画報」中のドラマ「青銅大魔人の怒り」に登場する「大魔人」なんです。このドラマは第一次怪獣ブーム最中の1966年、「完全オリジナルストーリー」として発売された物。かの天才編集者、大伴昌司氏の原案によるもので、650年前に沈んだ蒙古軍の戦艦から蘇ったこの大魔人が日本を征服する為に上陸する、といった内容でした。
このストーリー。このフォルム。「ジャイアント作戦」の香りがしませんか?

Photo_583 このソノシートについても昔から疑問があって、「なんでこの時期にオリジナルストーリー?しかも怪獣ならともかく、主人公が「青銅の魔人」って?」と不思議に思っていたのです。
ドラマの原作者大伴昌司は、当時「ウルトラマン」を通じて円谷プロと深い親交があった筈。ひょっとしてブレーンストーミングの段階で、このアイデアが大伴氏から出たのかもしれませんね。それをシナリオに取り入れたのが飯島監督。一方大伴氏も独自に動き・・・
そんな裏事情もあったのかもしれません。

このソノシートが発売されたのは1966年9月。「ジャイアント作戦」執筆時期とまったく重なっています。
ここにどういういきさつがあったのかは今となっては分かりませんが、「ジャイアント作戦」という台本の存在が一つのミッシング・リングとなって、ウルトラの歴史の暗部に光を当てる作用を持つ事は非常に面白いですね。
ゴジラ作品で言う「ジャイガンティス」のようなものでしょうか。


Photo_584 さて。ここにもう一つ懐かしいソノシートが。
この「怪獣大図鑑」は当時、朝日ソノラマが刊行した日本発の怪獣図鑑だそうです。(写真は最近発売された復刻版)この刊行時期っていつだと思いますか?

なんと前述の「怪獣大画報」の翌月、1966年10月なんです。

これを念頭に、もう一度表紙を見て下さい。
表紙を飾るのは「ウルトラマンとバルタン星人」。
これも「ジャイアント作戦」の関連?
この表紙に深い意味を感じてしまうのは私だけでしょうか(笑)。

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