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2007年2月11日 (日)

業を映す異形

Photo_506 待ってました!
封を開けるのももどかしく、梱包をほどいたのは「ガメラTHE BOX1965-1968」。

「大怪獣ガメラ」「対バルゴン」「対ギャオス」「対バイラス」のDVD4作品がパックされたもの。6年ほど前に発売され、今では店頭でもほとんど見かけないレアBOXです。
最近もっと凄いBOXが出ちゃいましたからねー。貧乏な私はそんな高いセット買えやしない(涙)。このBOX、数日前近所の電気屋さんで見かけたのですが、シュリンクパックが破れ、パッケージが日焼けしているにも関わらず定価、という状態だったので泣く泣く諦めていたのです。
それがオークションで新品、日焼けなし(笑)で出品されていて、狂喜した私は即断即落札。かなり安く買えました。
探した甲斐があったというものです(笑)。


でもこういうのって届くまで不安なものですよね。なにしろ写真だけで判断しなければならないので現物を見るまでは。
でも届いてビックリ。こんなに程度のいい新品がまだ世の中にあったとは(大げさですが)パックのビニールさえスレが全く無い、昨日発売されたかのような極美品で。
よかったよかった。


で、「ネヴュラ座」は昨夜から大映直営館と化し(笑)。これまでに何度も鑑賞した昭和ガメラですが、46インチの大画面で観ると全然違う作品に感じます。先日「キングコング対ゴジラ」を観た時も同じ印象を受けました。
やっぱり怪獣映画は大画面が映えます。もうなんて贅沢な。


既に穴の開く程観たガメラ映画。今回の高画質、大画面での再会ではいろいろ再発見もあったのですが、特に印象に残ったのは「多彩なカメラワーク」でした。
監督に限らず、映画会社にもそれぞれ「撮り方の違い」というものがあります。怪獣映画も例外ではありません。贅沢なミニチュアセットをこれでもかとロングショットで攻める東宝作品に対し、パンやズームによる視点の移動で躍動感を生み出す大映作品には、東宝怪獣にはない独特のダイナミズムが生まれるのです。

画面的な印象では、ゴジラ映画よりガメラ映画の方が、「寄り」が多い。怪獣のアップのサイズが違うんですね。ゴジラよりガメラの方が「画面に迫ってくる」感が強いような気がします。
また主役怪獣ガメラが空を飛ぶ為、視点がバラエティーに富んでいて飽きさせないという特徴もあるのです。

事実画面に向かって「おおー」と声を上げた回数は、ガメラ映画の方が多かったような気も。(46インチだと本当に声が上がっちゃうんですよ。無意識に。)

Photo_507 そんな楽しい体験の中で、今回改めて名作と感じたのが「大怪獣決闘ガメラ対バルゴン」(1966年 田中重雄監督)。
「対ギャオス」が昭和ガメラのベストという意見に異論は無いんですが、この「対バルゴン」もギャオスとは違うアダルトな作風で、今もファンの心を捉えて離さない作品なのです。
1965年、「大怪獣ガメラ」で産声を上げたガメラ。この「対バルゴン」は、ガメラ映画の好評に気を良くした当時の大映が翌66年のゴールデンウィーク時に公開した超大作でした。
(併映が「大魔神」という物凄い二本立てですよね)

この「対バルゴン」、賢明な読者の皆さんには今更ストーリー説明など必要ないと思いますが、私の覚書とでも思ってちょっとお付き合い下さい(笑)。

お話は前作「大怪獣ガメラ」の半年後から始まります。
前作で人類によってロケットにおびき寄せられ、宇宙に葬られたガメラは突如飛来した隕石と衝突、ロケット破損により自由を取り戻します。元々北極に住んでいた生粋の地球怪獣ガメラは帰巣本能により地球に帰還。電力発電による熱エネルギーを求めて東洋一のスケールを持つ黒部ダムを襲った後、赤道直下の火山帯へと飛び去ります。

実は、このフットワークの良さがガメラ映画の多彩な視点、ストーリーの加速に貢献しているんですね。
後年、平成ガメラを演出した金子修介監督が「GMK」公開時に語っています。「ゴジラは一度上陸したら後は進むしかない。ドラマを断ち切る事はできない。
その点ガメラは、人間側や別怪獣のドラマに切り替えたい時はどこかへ飛ばしちゃえばいいから楽。」

この「対バルゴン」でも、ガメラが赤道へ飛んだ後、新怪獣「バルゴン」へとストーリーの力点が移動していきます。

戦時中、南米ニューギニアのある村で巨大な宝石を発見した男。20年の時を経て、その宝石を回収しようとした彼は仲間二人、そして足の不自由な自分の代わりに弟を加えた三人をニューギニアの奥地へ向かわせます。
村へたどり着いた彼らは村人の制止も聞かず、宝石を隠したとされる洞窟へ。そこで捨て値で2億円は下らないほどの「オパール」を発見。彼らの大博打は見事な勝利を収めたと思われたのですが、三人の内一人は現地の毒サソリにより絶命、残った二人の内、欲に駆られた一人がオパールを持ち逃げしてしまいます。


この「対バルゴン」はこうした男達の野望がストーリーを引っ張る、怪獣映画にしてはまれな展開です。
この手の作品は例えば「キングコング対ゴジラ」「モスラ対ゴジラ」などがありますが、怪獣という荒唐無稽な存在が大前提としてある「キンゴジ」や「モスゴジ」に比べ、「対バルゴン」に登場する男達が目指すのはあくまで「宝石」。その目的や画面を彩る暗めの照明効果(これは特筆すべき雰囲気)が実にリアルかつアダルトな雰囲気を作り出しているのです。
昭和ガメラ映画の中で唯一、子供がストーリーに一切関わらない事も、このアダルトな作風を後押ししていると言えるでしょう。

まあ実際にはこの雰囲気は災いしたそうです。「人間ドラマの間は劇場で観ている子供がお菓子を買いに行ってしまう」(湯浅憲明監督談)との酷評を受けた大映側の解答が次回作「対ギャオス」という訳で。
いったい何が幸いするかわからないという(笑)。


Photo_508 彼らが発見したものはオパールではありませんでした。その村に古くから伝わる伝説の怪獣「バルゴン」の卵だったのです。船が到着した神戸港は、船から出現したバルゴンにより一瞬で大惨事に。
村で1000年に一度誕生する巨大生物バルゴン。
成獣になるまで10年近くを要すると伝えられるバルゴンが何故船の中で一瞬にして成長を遂げたのか。それは作品をご覧頂く事としましょう。(もうご存知ですよね。)

南米ニューギニアで生まれながら、バルゴンの武器は万物を一瞬の内に凍らせる冷凍光線。この光線で神戸港を凍結させたバルゴンは悠然と大阪へ移動、自衛隊と戦闘を展開します。
この「凍結する街」というのは、それまでの「怪獣破壊による炎の海」とは全く違った「沈黙の都市」の恐ろしさを表現していましたね。


Photo_509 この凍れる異形バルゴンと炎の巨獣ガメラがどう絡むのか。
この二つを繋ぐ「架け橋」があるのです。
大阪で破壊の限りを尽くしたバルゴンは大阪城脇で一時沈黙。対策本部は冷凍光線の射程を計測し、その射程外から攻撃を加える作戦です。離れた山中からミサイルを射ち込もうとしたまさにその時、発光したバルゴンの背びれから七色の光線が発射されました。遠隔地を攻撃できるバルゴンの必殺武器「虹色光線」です。

この光線は夜間シーンに映えましたね。見事な色彩設計と思います。作品内では冷凍光線によって空気が澄んでいる印象があるので、この虹が一層美しく見える。この光線に包まれた場所は一瞬にして消滅してしまいます。
破壊ではなく「消滅」なんです。なんて恐ろしい。


Photo_510 この虹色光線、色に反して熱を出すようで、この熱エネルギーに引かれてガメラが大阪に飛来、バルゴンとの第一回戦を繰り広げます。虹にぶつかり火花を散らすガメラの回転ジェットの勇壮さ。こういうのが怪獣映画の醍醐味ですよね。
この時避難が終わった大阪市内の道路に捨てられたラジオから「世界の各地を荒らしまわったガメラが現れ・・・」という実況が聞こえてくるあたり、いわゆる「ガメラのアリバイ作り」も忘れられていません。(その後ラジオが自衛隊の車に撥ね飛ばされるリアリティ!)

Photo_511 この冷凍怪獣にガメラはどう挑むのか?
未見の方はご覧いただき、ご存知の方は記憶を辿ってください。
私はこの「対バルゴン」、意外にガメラの出番が少ないにも関わらず、やはりこれはガメラ映画なんだなーという思いを強くしました。
これはバルゴンの圧倒的な敵役ぶりに加え、「痛めつけられるガメラ」というフォーマットが観る者に著しくガメラへの感情移入を起こさせるからでしょう。

「ガメラは力道山型ヒーロー」という評論を以前目にした事がありますが、一敗地にまみれる主人公がリベンジするというストーリー仕立ては確かに言いえて妙。
その方が盛り上がる事を当時の大映スタッフは分かっていたのでしょう。
これがゴジラには出来ないガメラ最大の武器なのです。

「一度負け、蘇える格好良さ」が。


そしてこの「対バルゴン」、再見してみて改めて感じた事があります。
これもよく言われる事ですが、人間ドラマの底流に横たわる「欲」の存在。

この作品のキーワードの一つに「富に絡む人間の欲」という業へのメッセージがあります。そもそも主人公達はオパールという高額な宝石に目がくらみ、南米へ向かった訳ですよね。そしてバルゴンを「持ち帰って」しまったと。
バルゴン事件は人間によって起こった事なのです。

そしてバルゴン対策に使われるのは世界にもまれに見る大粒のダイヤモンド。(5000カラット!)
このダイヤはバルゴンが生息するニューギニアの村で、バルゴンが生まれる度に使われるという曰く付きの一品です。
このダイヤにも歪んだ人間の欲が絡みます。
以前観た時は登場人物のあさはかぶりを笑ったものですが、年を重ねるにしたがって主人公達の行動を笑えなくなってくるのも事実なんですよね(笑)。


Photo_512 オパールそっくりの卵から生まれダイヤモンドを好むバルゴン。
まさに欲にまみれた人間の業を映したような怪獣です。バルゴンに捕食される強欲な登場人物の末路は、「業」に滅ぼされる人間の姿そのものでした。
凍りつくような光線は人間の冷たさを表し、虹色の光線は華やかさに秘められたグロテスクな心情を映し出しているような。

まあ怪獣映画にこんな教訓めいた比喩を感じなくてもいいんですが、ある意味それはスタッフがこの作品に込めたささやかなメッセージなのかもしれません。
「そんな事言ったらどんな怪獣だってこじつけられちゃうよ。」
ごもっともです。毎度のおバカな私見とお許し下さい。

作品のラスト、主人公が語るセリフに、この作品のテーマが凝縮されています。
「人間、欲の皮はあんまり突っ張るものじゃない。」

とはいえこんな聖人みたいな考えは、毎日の生活ではなかなか守れないもので。
相変わらず安いオタクグッズを探し回る私。
「バルゴウ」の餌食になるのも間近かもしれませんね(笑)。

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コメント

 こんばんは。TB&コメントをありがとうございました。
 『ガメラ対バルゴン』は異色の作品ですね。子供の出てこないガメラ映画って他に記憶がありません。湯浅監督作品群のファンの方からすると納得行かない展開かもしれませんね。
 アダルトな感じがなんとも言えない魅力ではあります。そろそろ東宝のGと大映のGで決着をつけて欲しいところです。お互いに年だし、ラストマッチとして相応しい戦いになると思いますし、ファン同士の乱闘とかなったらさらに盛り上がりますね。
 紅白に色分けした両陣営のTシャツを予め販売して、それを必ず着て、映画館に行くようにすれば、立場が分かり、盛り上がると思うんですが。ではまた。

用心棒様 ようこそいらっしゃいました。
楽しいコメントありがとうございました。
「対バルゴン」で特撮監督に回った湯浅監督はこの作品にも強い愛着がおありのようで、後年特撮の裏話などを楽しく語っておられました。本篇演出は叶わなかったものの、これもご自身の作品との自負が大きかったのでしょうね。

「G×G」楽しそうですね。特撮ファン最後にして永遠の夢です。
用心棒さんのアイデアも盛り上がりそうですねー。Tシャツ販売に加え、報道管制を引きネタバレ一切禁止、封切前に生放送特番を組んで有識者をパネラーに招待、「どちらが勝つか」なんて激論を戦わせるなんてのも面白そうです。
視聴者にはリアルタイムで勝利怪獣のモバイル投票なんて呼びかけて。
平成作品でゴジラに一矢報いた形のガメラですから、先輩後輩の気遣いも無いはずですしね。
この企画に食指を動かす局を考えると、ガメラ側は日テレで決まりですがゴジラ側が微妙な所で・・・
なんて妄想も果てしなく広がってしまいますね(笑)。
またのご訪問、お待ちしています。

オタクイーンさん、こんにちは!
オタクイーンさんらしい暖かい眼差しが伝わってくる記事ですね。
私もネヴュラを覗くようになってから、昭和ガメラシリーズをいろいろと観ました。
>「一度負け、蘇える格好良さ」
確に!ガメラ映画の魅力ですよね~
そして「対大悪獣ギロン」では、そのキャラも含めて大笑いさせて頂きました。
いや~ギロン最高です(笑)。
しかし、「大怪獣」「対ギャオス」「対ギロン」以外は、私にはどうも駄目ですね~(T.T)。
このバルゴンの虹色光線(ジャイガーも似たような光線持ってましたよね)は、いくら怪獣映画だからってやりすぎだよ~!
一気に引いちゃいました(笑)。
そして最後の「対ジグラ」にいたっては、ガメラを馬鹿にしたような演出さえありました…あれじゃ~ガメラが可愛そうです。
あれ?、また話があさっての方向へいっちゃいましたね(笑)。
「欲にまみれた人間の業」とてもそこまで思いを馳せることは出来ませんでした。
まいどのことで、すいません m(_ _)m 。

ポン太様 コメントありがとうございました。
「対バルゴン」は、前作「大怪獣ガメラ」のヒットを受け、さらにスケールアップを狙って制作された作品。
大映側としてもその方向性を模索していたんでしょうね。
アダルトな作風もバルゴンの虹色光線もその試行錯誤の表れだったのでしょう。まあ当時、それらが受け入れられたとは言いがたく、その反省が次作「対ギャオス」に活かされたという訳です。
そんな試行錯誤も含め、怪獣に肩入れしてしまうのが私の悪い癖で・・・お笑い下さい。
こうした作品を経て平成ガメラも生まれたと思うと。

それにしても、苦手な作品にもこうしてコメント下さるポン太さんのお心遣いには本当に感謝致します。ありがとうございます。

こんばんは!
なるほど、、、1度負けて、リベンジするんですね。
てかこれ読んでて思いついたのですが、
琵琶湖に沈んだバルゴンは、たぶん溶けてしまっているわけで、、、
あのダイヤモンドも、むき出しになっているかも、、、
これは絶対に、誰か、探しに行きますよねぇ。

猫姫様 コメント&TBありがとうございました。
そうですね。確かにあのダイヤ、バルゴンが溶けてしまったら琵琶湖の底ですね。
でもバルゴンの消化液ってダイヤモンドを溶かす事はないんでしょうか?
なにしろ怪獣ですから。独自の消化器官を持っているかも・・・
その消化液で消化したダイヤのプリズム効果であの虹色光線が発射できる、なんて理屈も、ガメラ世界ならアリかもしれませんね(笑)。

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