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2007年1月12日 (金)

時を超える調べ

その時、私は先輩の部屋で、一組のDVDを眺めていました。
赤いジャケットが印象的なそれは、言わずと知れた日本映画の金字塔「七人の侍」(1954年東宝 黒澤明監督)。
この映画も「ネヴュラ」ではたまに採り上げていますよね

ただこの作品については私はまだ全然不勉強で、偉そうな私見でも一席話そうものなら詳しい先輩諸兄から袋叩きにあいそうな気配さえ漂ってしまい(笑)、作品論に関してはまだまだまとまらない若輩者なのでした。

こうやって先輩と、日本映画の旧作を楽しむ機会は今まで数え切れないほどありました。その多くはいつものように、モニターに映るシーンやセリフを心の中で反芻させながら、あーでもないこーでもないと勝手な私見を無責任に言い合うだけ。まさに至福の一時で。
映画ファンの皆さんならお分かりの、楽しい時間なのでした。

カット割やカメラワーク、果ては太陽光のコントラストを計算したロケスケジュールのお話まで、一通りのよもやま話が終わった後で、不意に先輩がこんな一言を。
「この作品の『侍のテーマ』って曲、早坂文雄のボツ作品だったんだよね。ゴミバコに捨てちゃった譜面らしくて。」
「そうそう。それを黒澤さんが拾ったんですよね。で、早坂さんにピアノで引いてみろと。そのさわりを聞いた黒澤さんがその曲をいたく気に入って採用されたという。」

有名なお話ですよね。「七人の侍」のメインテーマ、あの勇壮なタイトル曲が、音楽担当の早坂文雄のボツ原稿だったという逸話。映画黄金時代の伝説として今も伝わる、早坂・黒澤の名エピソードです。
でもそれが偶然だったとしても、黒澤の天才的ヒラメキだったとしても、あの曲が名曲であった事は間違いありません。
「七人の侍」と言ったら、私はあの曲しか思い出せないですもん。

古今、星の数ほど作られている映像作品で、音楽が印象に残る作品は少なくありません。「ネヴュラ」読者のお一人お一人に大好きな映画音楽、番組テーマがおありでしょう。
私にも少なからず、心を奪われた音楽があります。


例えば「ネヴュラ」定番の特撮映画だって、音楽の印象度は作品によって違いますよね。
ゴジラシリーズ第一作「ゴジラ」のオープニング・タイトル曲。
日本の現代音楽の重鎮、伊福部昭作曲のあのテーマ音楽は、もはやゴジラと切り離せないほど有名かつスタンダードナンバーになってしまいました。私も好きな一曲なんですが、よく考えると伊福部メロディーで私が心を揺さぶられる一曲は、何と言っても「マーチ」なんですよ。
あの「ゴジラのテーマ」以上に魂を鼓舞される熱い一曲を挙げろと言われれば、私は迷わず「宇宙大戦争」(1959年東宝 本多猪四郎監督)の「突撃のテーマ」を挙げます。

作品後半のクライマックス、地球軍の戦闘ロケット隊とナタールの円盤が繰り広げる地球上空のドッグファイトを盛り上げた伊福部マーチの代表曲。あまりに早いそのテンポに、その録音時演奏者もクタクタになってしまったとか。
そりゃそうですよね。あれだけハイテンポの曲を演奏すれば息も切れるというもの。収録現場も「大戦争」だったのでしょう(笑)。


東宝チャンピオンまつり世代の方々はお分かりでしょうが、あの「突撃のマーチ」の旋律は伊福部氏がもっともよく用いたメロディーラインで、チャンピオンまつりのテレビスポットCMのBGMとして頻繁に使われましたよね。(後にわかった事ですが、実際に使われたのは「大怪獣バラン」(1958年東宝 本多猪四郎監督)のBGMらしいようで。)
あのBGMを聞くと、私などは「あ!明日から冬休みだ」なんて、子供の頃の楽しい感覚に囚われたりするのです。ただ、後に「宇宙大戦争」本篇を観た時、その大迫力に、単なるノスタルジーだけではない感銘を受けてしまった事も事実ですが。

伊福部昭と並んでゴジラ映画での登場が多かった佐藤勝は、意外に私、印象が無いんですよ。伊福部メロディーがあまりにもゴジラとのマッチングを見せてしまったせいでしょうか。
私にはむしろ「日本沈没」(1973年東宝 森谷司郎監督)の印象が強くて。
あの大災害と、日本人の悲壮感、無常観を音楽という表現で盛り上げた、見事な仕事と思います。「日本沈没」と言うと、あの重々しい「佐藤節」しか思い浮かびません。
これが伊福部さんでは違うんです。
あのオープニングの、低いドラムの旋律にしてからが。


他にも東宝特撮映画には、「妖星ゴラス」の石井歓、「世界大戦争」の團伊久磨、「ガス人間第1号」の宮内国郎など、独自の世界観で作品を盛り上げた名コンポーザーが名を連ねていますが、何故かいわゆる「東宝カラー」的な雰囲気が共通しているのが面白いですね。これが他社の作品となると、また全然違った音楽世界が展開して興味深いんですが。

「ゴジラ」と来れば当然「ガメラ」という訳で。昭和ガメラのBGMは「聞く人着プロマイド」とでも言いたくなるような、何とも言えない印象がありました。伊福部メロディーを「壮麗」と表現するなら、山内正、菊地俊輔など昭和ガメラのBGMは「華やか」とでも言えば良いのでしょうか。
「ガメラ・マーチ」など、オープニング・エンディングの歌が印象的なせいもあるのでしょうね。でも私は大好き。
ああいう軽快な歌は、ゴジラよりガメラの方が似合うような気もします。


特撮映画以外にも、映画のBGMやタイトル曲には独特の思い入れを持つものが数多くあります。私はなぜか、作品のオープニング、エンディングより、劇中流れるBGMに強い思いを持ってしまう性格で(笑)。
邦画、洋画問わず「あのBGMが欲しい」とばかりに、ひたすらスコア版サントラ集めに血道をあげる始末です。
この分野ではキングレコードさんや今は無きユーメックス、またバップさんに大変お世話になりました。

好きが高じてバップやユーメックスを訪ね、「この作品のサントラを是非!」などと頼み込んだ恥ずかしい記憶も。
「ミュージックファイル・シリーズ」の担当、バップの高島さんとは飲みに行きましたねー。「大追跡」の一エピソード「淳子のミステリー・ゾーン」について熱く語った夜でした(笑)。


お話が随分脱線してしまいましたね(笑)。今ではそういった、名作映画やテレビシリーズのBGMもそのほとんどがCD化され、手軽に楽しめる時代になってきました。喉から手が出るほど欲しかった「必殺シリーズ」のBGMなども有名どころは出揃い、「今日はどの手で殺そうか」などと物騒な思いを抱きながらCDをトレイに乗せる楽しみまで現実の物に。(引かないで下さいね(笑)。
このBGMについてのお話は、一日程度の記事ではとても語りつくせないのでおいおいお話していく事にしましょう。
それほどこの分野は奥が深い。
とりあえず今月末に通販が開始される「特捜班CI☆5」のサントラCDを楽しみにしている、と言えばなんとなく今の気分をお分かりいただけるのでは?(分かんないですよね。)

さらに脱線してしまいました(笑)。でも不思議な事に、例えば今、バラエティーや報道番組などで頻繁に使われている映画、ドラマ、アニメなどのBGMは、かなり昔のものもあるのに何故か違和感がないですよね。皆さんそう感じませんか?
その映画なり、番組などが放送されていた時代に流れていた歌謡曲などは、今聞くととんでもなく時代を感じさせるのに。映画やドラマのBGMは古さを感じさせないんです。
例えば「ガンヘッド」(1989年東宝=サンライズ)。この作品のBGMはインパクト大で、今でも報道番組などで頻繁に使われていますが、作品の知名度が低いせいもあり(涙)、その音楽が映画のBGMである事を知る人は少ないのでは。
18年も前の音楽なのに。


確かに昔の歌謡曲は、「聴いた者に昔を思い出させる」という効果はありますが、それを今の曲として認識する事はできません。ところがある種の作品のBGMは、それが作られた時代を知らせなければ「現代の曲」として通用する力を持っているような気がするのです。
昨日も、たまたま点けていたコンポから聞こえてきたFM番組のDJトークBGMに「大都会PARTⅢ」のテーマ曲が使われていました。今時、約30年前のBGM!高橋達也と東京ユニオン!あえて「西部警察」を使っていないのは実に英断、マニアックな選曲です(笑)。

こういうケースはテレビよりラジオの方が多いのですが、テレビも決して負けていません。ただそういう名作BGMの使われ方は、作品のネームバリューに寄りかかれない分、純粋に曲としての完成度が買われているようで、元作品を知っている方としては実に嬉しいものがあるのです。
「あなたも生き残ったのね」なんて、つい昔のサントラを聞いてみたくなったりして。


時を超えてなお聞かれ続ける名作BGM。きっと皆さんにも「この一曲」というのがおありだと思います。「寝起きはコレ!」「通勤の車ではコレ!」なんて。
ちなみに私の最近のマイブームは、車で聞く「桐子の決意」(『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』2000年東宝 手塚昌明監督)。ラスト近く、不時着したグリフォンで特攻をかける桐子(田中美里)のシーンを彩った、人気コンポーザー大島ミチル渾身のアップナンバーです。


この曲を聴くと、なぜかやる気が出るんですよ。
これも一種の「突撃のマーチ」ですから(笑)。
でも飛ばしませんよ。愛車はミラ・ジーノですから。
可愛く走ります(嬉)。



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コメント

劇伴は元々作品を盛り上げるスパイスの様な
物なので、古い作品のBGMでも
報道番組やバラエティーで
違和感なく使用出来るのでしょう。
で、マニアックな人は「あっ、この曲は・・・」と、
本来と違う楽しみ方もあって。
最近の作品はあらかじめサントラ盤として
商品化を前提に制作されている物が多いからか、
違う作品の曲の流用というのもほとんど
聴かれなくなりましたね。
ウルトラQは東宝特撮、快傑ズバットはプレイガール、
付き馬屋おえんは必殺、
影の軍団Ⅱは東映映画 仕掛人・梅安。
(この仕掛人・梅安のBGMは中村錦之助作品集
<本当は萬屋なんですが>と言うCDで聴けます)
思いっきりマニアックだと、
斬り抜けるはおしどり右京捕り物車・・・。
かつては報道番組やバラエティーよりも
違う映像作品での使用でも一役買ってたのです。

ジャリゴン様 コメントありがとうございました。
お詳しいですねー。サントラについてはまだまだCD化されていない音源も多く、探索の道は険しいですが、それだけに楽しみもあったりしますね。
確かにかつては報道やバラエティーなどより、他のドラマなどへのBGM流用も目立ちました。オリジナル番組での印象が強いBGMなど、なんとなく違和感を感じたりして。そういうBGMに限ってCD化されていなかったりするんですよね。

私、今だに疑問なんですが、「宇宙猿人ゴリ」のBGMが「西部警察」に流用された経緯がどうしてもわからないんですよ。おそらくBGMの作曲家が同じだったから、などの理由なんでしょうが、西部警察で「ゴリ」というのも思い切った選曲と(笑)。
制作サイドのお家事情も窺えて、面白そうなお話ですね(笑)。

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