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2006年12月22日 (金)

愛は障害あればこそ

Photo_400 「これはヒットかもしれないわー。」
昨日、また性懲りも無く手に入れてしまったこれ。「GMKゴジラ」。

読者の皆さんには説明の必要もない、特別なゴジラと言っていいでしょう。
このゴジラが登場する作品について、「ネヴュラ」ではもう何度書いたでしょうか。
「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」(2001年東宝 金子修介監督)。

この作品、ゴジラ映画史上最も怖いゴジラが描かれた、なんて言われましたね。
確かに稀代の造形師、品田冬樹の手によるこのゴジラは、原点回帰を目指した恐竜型のフォルム、感情移入を拒否する黒目の無い瞳など、この頃のゴジラ造形の流れの中でも異彩を放つデザインで大きな話題を呼びました。
そんな事もあってファンの間では造形師の名前を冠して「しなゴジ」なんて呼ばれています。

造形師の名前が冠されたゴジラなんて、ゴジラ史上初めてですよね。それだけこのゴジラは他のゴジラ造形とは一線を画す存在なのでしょう。
以前、私の街で平成ゴジラの着ぐるみを展示した「ゴジラ展」が開催されたとき、他のゴジラとは明らかに違う存在感を放つこの「しなゴジ」を前にして、私は「この実物を見ただけで来た甲斐があったわー」なんてほくそえんでいました。

Photo_402 その凶暴な雰囲気は、こうした「ユルユルソフビ」になっても健在です。なにしろプロポーションからして独特。どこから見てもゴジラなのに、どこから見ても他のゴジラと違うという不思議な個性が、このソフビにも再現されていて実にヒットなのでした。
タグを見ると、どうやらゴジラビデオファンクラブ会員用の限定品だとか。どうりでお店で見たことが無い訳だよねー。
オタクショップに流れてこなければ目にする事もなかったでしょう。
いやーでもいいわこれ。私の「ゴジコレ」の中でもかなり上位を占めるんじゃないか、なんて。

ところで、私がこのしなゴジを手に入れる時、ちょっとしたエピソードがありまして。
このソフビはいつものオタクショップで、ショーケースの中に未開封で鎮座していたんですが、その場所は随分奥の方だったんです。
手前にはゲゾラとか立ってたりして(笑)。
で、手前のソフビを眺めていて目に止まったのがこれという訳です。
ゲゾラなんか目じゃないくらい「白目でガンをつけられた」という(笑)。

部屋に帰って開封し、「やっぱりしなゴジは最高だなー」と眺めながら、私の頭は「GMK」に思いを馳せていました。
「なんでこのしなゴジは、あんなに魅力的に映ったんだろう。」
確かにあの作品で、ゴジラは大きく、怖く、強く映っていました。全ゴジラが戦うバトルロイヤルなんかがあったら(ガンダムファイトみたいなものですかね)おそらく優勝候補じゃないかと思うくらいの実力でしょう。心臓だけでも生きてるし。
その迫力を生んだもの。それは単に、強さを誇示するキャラクター作りだけではないんじゃないかと思うのです。


実は、体長や強さだけで言えばおそらく平成ゴジラの方が上なんですよ。
身長100メートル、放射能火炎は大盤振る舞いの「VSキングギドラ」「VSメカゴジラ」あたりのゴジラは、「こりゃもうどんな対戦怪獣をぶつけたってムリだな」なんて感じてしまって。
ある意味無敵になってしまったゲームキャラに通じるつまらなさに通じるものがありました。

ところが、怪獣的な怖さが無い。

強さはあっても、巨大生物としての驚異が感じられないんですね。
ゴジラという存在に慣れてしまったから、という理由とも違うような。当時「なんでなのかなー」と考えてはいました。
その疑問に回答らしきものが出たのが「ガメラ 大怪獣空中決戦」(1995年)でした。
この作品も「ネヴュラ」常連ですが(笑)。

平成ガメラは「怪獣を見る視点」という物に徹底的にこだわった作品としても有名ですよね。それにはこの作品の特撮を手掛けた樋口特技監督の意地が表れていると。
樋口監督が、1984年制作の「ゴジラ」(橋本幸治監督)に特撮スタッフとして参加した事はよく知られています。その時、特撮のカメラポジションを高めに構えるカメラマンに対し、当時の樋口監督は疑問を持ったそうで、スタッフに「このカメラは誰の目線を想定しているんですか?」と尋ねたそうです。
そのスタッフは言いました。「神の目じゃ。」


「神の目」。それは私達人間には決して知覚できない視点なのでは。
樋口監督もきっとそう思ったのでしょう。平成ガメラシリーズに見られる臨場感は、精緻を極める作りこみのセットの中に、地面ギリギリに構える「人間の視点」としてのカメラポジションが生み出しているのです。


考えてみますと、平成ゴジラシリーズの特撮場面は、カメラがほとんどハイポジションなんですね。怪獣の視点になっている。その為、たとえ身長100メートルのゴジラでも巨大さが表現されていない。
見上げるような視点が無いからです。あったとしてもそれは遠景ばかりで、すぐ近くに怪獣が迫っている迫力が感じられない気がします。
逆に平成ゴジラは俯瞰(上から見下ろす)ようなカットが多い。これは実は映像表現のセオリーでは「キャラクターを小さく見せる」効果があるんです。
一般の映画などでヒロインが泣き崩れる場面などを思い出して頂くと、彼女の置かれた状況、運命に押しつぶされるかのような儚いヒロインの感情が、やや上からのカメラワークで表現されている場面があるかとも思います。そういう事なんです。
だから怪獣などに対してのカメラワークは、むしろ仰角(見上げる角度)の方が、より巨大感、迫力を強調できるわけです。


平成ゴジラに感じる物足りなさは、おそらくこのカメラワークにもその一端が表れているのでしょう。そしてもう一つ、巨大感、驚異を演出するカメラワークがあります。
これは「GMK」で特に強調されたことですが。


目線を遮る「障害物」の存在です。

都心部で私達が身長50メートルもの生物を目撃する時は当然見上げる角度になります。その時視界に入ってくるのは、まず巨大にそびえ立つビル。近くの家並みでさえ見える筈です。そしてその向こうに怪獣。
私達にはこう見えなければおかしいんです。

よほど見晴らしが利く広い平原でもなければ、怪獣の一部はビルに遮られて見えない。足元なんかは家並みに隠れて見えないわけです。この「障害物」の存在が、私達に怪獣の存在感を知覚させてくれる。「日常の中に入り込んできた非日常」を感じさせてくれるんですね。

「GMK」では、この「障害物」の演出が、怪獣の巨大感を実に感じさせてくれました。ゴジラ上陸直後の、タクシーの車内から見上げるゴジラの姿(フロントピラーが怖い!)大湧谷で放射能火炎を放つ直前、ロープウェイ発着場の中から見えるゴジラの姿(これも窓枠が!)等々・・・。私達の世界と地続きで怪獣世界が繋がっている事を感じさせる上で、これは非常に重要な演出と思いました。

平成ゴジラではこういう視点が欠けていたような気がするのです。
Photo_403 例えば写真のような「ペギラ、科特隊基地を襲う」といった場面(笑)でも、平成ゴジラ風に撮ればこういう、やや俯瞰の「神の目」視点になると思うんです。
位置関係はわかりますが、ちょっと平板な絵に映っちゃいませんか?


Photo_404 これが、「仰角、障害物あり」の視点だと、ほらこの通り。「おおー、怪獣!」って感じに見えちゃって。大迫力を感じちゃうんです。
私だけかな?
結局人間が普段見ている、馴染みの視点に進入してくる巨大な存在が、迫力を呼ぶんですよね。



Photo_405 今日の記事の為に手持ちの怪獣でこの撮影をやってみると、これがまた面白くて。
大好きな「ネロンガ」も、家並みと並べてみればこの迫力!思わずメーサー車まで出動させちゃったりして。怪獣のフィギュアなんて大体いつも上から見てますから、下から見上げる視点は新鮮ですよねー。
家まで置くとこれはもう(興奮)。


Photo_406 ほらほら。買ったばかりの「しなゴジ」だってこの通り。やっぱり怪獣は仰角ですね。障害物もいいお芝居してます。きっと樋口監督も、こういう絵に興奮したはずなんですよ。
平成ガメラで樋口監督の助監督を努めた「GMK」の特技監督、神谷誠さんにも、この感覚は健在だったんでしょうね。しなゴジの迫力を生んだもの。これはこうしたカメラワークの助けもあったのです。つくづく「見せ方」って重要ですよね。

最初から絵空事と思われてしまう怪獣映画にとって、観客を作品世界に誘う演出は実に重要。そういう部分の絵心を持った監督の登場を期待したいものです。
Photo_407 やっぱり怪獣への愛も、『障害』がある方が燃え上がるんですよ。
ウルトラQ「1/8計画」での由利ちゃんへの愛も、二人を分かつ障害ゆえに盛り上がったんでしょ。
ね、淳ちゃん(笑)。

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いいなぁ~。淳ちゃんのソフビ。
(違うか)
金子監督は今の所、
この一本だけでしたよね?
「やっとこの日が来たか」って感じの
作品でした。

所で先日、またまたトイ・ショーに
行って来ました。
そこで、少しばかりご相談したい事が
ございますので、お時間のある時にでも
構いませんのでご一報頂ければと思います。
その前に「ミラーマン」って好きですか?
(コレ、ヒント)

ジャリゴン様 コメントありがとうございました。
「GMK」は、おそらく金子監督にとっても「最初で最後のゴジラ」だったのではないかと思います。あの設定で続編を作ろうとしても東宝が許さないような気も(笑)。
だからいいんですよね。孤高の一篇という感じが漂って。

「ミラーマン」については、貴ブログにお邪魔させていただき、ご返事差し上げたいと思います。
(別に大仰なお話でもないんですが(笑)

なるほど・・・こう撮ると かわいいソフビ怪獣くんも迫力ですね!
言われてみれば、当たり前のことのように思いますが、実際は違ってたりしたんですね!
映画を見るポイントがまた増えました!!

ポン太様 コメントありがとうございました。
日本の怪獣は、基本的に人間が着ぐるみで演技する形なので、当然等身大ですよね。それを巨大に見せる演出が円谷特撮に与えられた要求であり、以後の怪獣映画の基本となっているわけです。
私達観客にも、そうした演出陣の努力は伝わってきていましたよね。確かに今のCGには及ぶべきもありませんが、そこには確かに現物の「障害物」があって、私達はその向こうに巨大な生物の姿を感じられたのです。
子供の頃遊んだ怪獣ゴッコでも、ビル街に見立てたブロックなどをよく崩して、破壊のカタルシスに浸っていました。
おっと。女子が言うセリフじゃないですね(笑)。

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