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2006年11月 8日 (水)

交響曲第獣番「咆哮」

ちょっとビックリ。
局での打ち合わせの為にミニバイクを停めた、都心の街角。

「ドーン」という音に伏せていた顔を上げると、目の前には大きく凹んだ車が。
走る車に後続の車が追突したのでした。

幸い、どちらの車のドライバーも怪我はなかったようでまあ一安心。私も気をつけないと。なんて思いましたが。

でもああいう事故って、伏せていた顔を上げるきっかけは「音」なんですね。大きな音。
打ち合わせも終わりそんな事を考えていると、今度は信号の所でヘリコプターのローター風の音が。振り返ればそこには、強い風に震える道路標識が。
「風が強いと標識もこんな音で震えるんだねー。うー寒い。」

街中で大きな音や変わった音がするとハッとしませんか?
小心者の私などは、そんな音に対して怪獣や超常現象への想像を逞しくするんですが。


古今、日本で作られた怪獣は、そのオリジナリティーあふれるデザインに加え、それぞれ独特の「咆哮音」を持っています。
いわゆる「鳴き声」という物ですね。

鳴き声を聞くだけで怪獣の名前が分かってしまう。かつて、大怪獣の咆哮にはそれだけの大きな個性がありました。ちょっと考えただけでも思い出される怪獣、宇宙人の鳴き声は数知れず。マネをした方も多いんじゃないですか?

Photo_326 ゴジラの咆哮音が、作曲家伊福部昭の手によるものという事はよく知られています。
初作「ゴジラ」が制作された1954年当時。「怪獣」という概念を作り出すことに全てが手探り状態の中では、ゴジラのデザインに加え、その咆哮音も、誰にも聞いた事が無いものでした。「身長50メートルの、突然変異した恐竜の鳴き声」をどう表現するのか。円谷英二特技監督以下スタッフも大いに悩んだ事でしょう。
どういう経緯で伊福部氏に咆哮音の依頼がなされたのかは今では知る由もありませんが、あの独特の咆哮音が日本有数の作曲家によって作られたというのは非常に面白いですよね。

後年放送された特集番組などで語られた「ゴジラの鳴き声」作曲のヒントは、どうやら偶然の産物だったようですね。
当時怪獣の鳴き声など初めての依頼だったであろう伊福部氏は、いろいろな楽器を駆使してあの体躯から放たれる音を表現しようと苦心されたそうですが、たまたま楽器のコントラバスの弦がこすれる音を聞きつけ、そこにゴジラの鳴き声のヒントを見つけた、というお話。
怪獣の鳴き声を作曲家に発注するスタッフもスタッフですが、その依頼にあれだけの創造力で応えた伊福部氏も見事です。

結局ゴジラの鳴き声はコントラバスの音を処理して作られたわけですが、今ゴジラの鳴き声と言えばあの声しか想像できないですもんね。例のテーマ曲とともに、ゴジラの鳴き声も現代まで伝えられる「名曲」と言えましょう。
その鳴き声は作品毎に若干のマイナーチェンジがされているようですが、一度聞いたら忘れられないあの咆哮はどのゴジラも同じ。「この作品のゴジラは声が全然違うねー」なんて事はありませんよね。基本は常に守られている訳です。

和製怪獣のオリジナリティー、バラエティーの豊富さは世界でも類を見ないものですが、鳴き声に於いてもその個性は際立っています。
Photo_327 ゴジラを別格として私が大好きな「美声」と言えば、なんといっても「フランケンシュタイン対地底怪獣」(1965年東宝 本多猪四郎監督)に登場したバラゴンですねー。
あの「これはどの動物とも違う、怪獣以外には考えられない鳴き声だっ!」と思わせる、大迫力の独特の重低音。鳴き始めの唸るような音と、最後のちょっとした余韻がいいんですよ。「渋い声」って言うんでしょうか。
やっぱり女は渋さに弱い(笑)。

この声は後に、私の最もお気に入りの怪獣、「ウルトラマン」のネロンガにも流用されていますね。バラゴンの着ぐるみは「ウルトラQ」のパゴスを経てネロンガに流用されていますから、やはりあの体躯を持つ怪獣にはあの声が合うんでしょうね。

Photo_328 で、これは意見も分かれる所ですが、「宇宙怪獣」という肩書きをデザインとともに声で表現したキングギドラも、独特の咆哮(って言うんでしょうか)を持っていましたね。
「三大怪獣地球最大の決戦」(1964年東宝 本多猪四郎監督)で鮮烈なデビューを飾ったキングギドラは、電子音を基にした鳴き声でゴジラとの差別化を計っていました。ギドラって、空を飛ぶときにもちょっと変わった音を放っていましたね。
恐竜と言うモチーフを全く持たないギドラは、それこそクリエイターのイマジネーションの結晶と言えるでしょう。

空中からあの飛行音が聞こえたら、もう恐怖の半重力光線を覚悟しなけりゃいけない訳です。もう助からない(笑)。

Photo_329 東宝怪獣と言えば次は当然、大映怪獣。ゴジラと並ぶ和製怪獣の代表、ガメラも、甲高い独特の咆哮音で私を強く魅了しました。
ガメラシリーズを担当した湯浅憲明監督は、ガメラ映画に関する特番でガメラの鳴き声についてこんな趣旨のお話をしています。
「ガメラの声は、撮影、編集された映像をスクリーンに映しながら、口の動きや場面のイメージに合わせて、鉄板をガリガリ引っかいて作っていた。ガメラの声が場面毎に若干の表情があるのはその為。」
なるほど。ガメラの声は「演奏」されていたんですね。


人知を超えた存在感を与えるゴジラに対し、ガメラには内に流れる感情を感じます。その秘密は「鳴き声」にもあった訳です。敵怪獣に初戦で敗北する事の多かったガメラですが、その時の辛そうな声、逆転勝利の雄叫びには、確かに明確な意思が感じられました。
ガメラ頑張れ!と応援したくなるのは、その声に感情移入できるせいなのかもしれません。

Photo_330 ガメラに対し、これも独特の鳴き声で名勝負を演じたのが、「大怪獣空中戦ガメラ対ギャオス」(1967年 湯浅憲明監督)に登場したご存知、ギャオス。
大映怪獣は、東宝怪獣とはあきらかに違う脈流を持った存在感が魅力ですが、ギャオスも本当に「あの怪獣だけ」といった鳴き声を持っていましたね。ギャオスの場合、首の音叉状の骨を震わせて放つ「超音波メス」という武器があるだけに、その鳴き声も特別な意味を持っているような気がします。
「声がそのまま武器になる」的な。


それにしてもあの声、どう表現すればいいんでしょうね(笑)。あのシャープなデザインと絶妙のマッチングを見せているようで、微妙な違和感も魅力的であり・・・
不思議な鳴き声です。まあそれにしたって、「怪獣の鳴き声といえば『ギャオー』という共通認識を植えつけた功績は大きい。
英一少年の功績も大きいですが(笑)。

やっぱり鳴き声、咆哮音は、怪獣にとって大きな個性ですね。でも考えてみれば、もともと怪獣の鳴き声のルーツを辿ればそれは1954年のゴジラに於ける「映画音楽的発想」なんですよ。日本の怪獣の鳴き声は「曲」なんです。
デザインの独自性もありますが、こんな所も海外の怪獣にない部分として惹かれますねー。

たまに考えるんですが、もし本当に怪獣が存在したなら、その鳴き声って映画館で聞くぐらい大きい音量ですよね。自宅のテレビで聞くから普通に聞こえるだけで、映画館であの鳴き声を聞けばやっぱりその迫力は相当のもの。
例えば怪獣の咆哮音だけのコンサート、なんて妄想しちゃったりして。
最高の音響空間で開催される、「交響曲第獣番『咆哮』。ゴジラの鳴き声に始まって、和製怪獣の有名どころを一気に。指揮者はもちろん、故・伊福部昭先生で。
やっぱり怪獣の声は大音響で聞かなきゃ。

Photo_331 曲のエンド。ウルトラマンの「シュワッキ」の後の飛行音が流れた後で拍手する観客席の私の周りには、佐原健二さん、桜井浩子さんをはじめとする怪獣映画の常連キャストが。

もう、あまりの感動に「泣き」が入りそう(笑)。

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コメント

オタクイーンさん、こんばんは。
いやなんとも楽しそうなお話ですね(笑)。
エンドのウルトラマンは もちろん初代ですよね? あたりまえ?失礼しました(笑)。

ポン太様 コメントありがとうございました。
ご名答です。初代です(笑)。
ウルトラマンって「シュワッチ」とは言わないような気がするんですよ。どう聞いても「シュワッキ」じゃないかと。
仮面ライダーだって「ヘンシーン」じゃないですよね。
「ヘンーシン!」もしくは「変身!」ですもんね。
どうもああいうキャッチフレーズって、マスコミが都合よく作り変えているような気がして今一好感が持てません。
自分がマスコミをやっていながら言うのもいけませんが(笑)。

新しい怪獣に昔の鳴き声が使い回されるたびに、やはり往年の怪獣の鳴き声は名作だったんだなーという思いを強くします。
でも声だけ聞くと、やはり頭に浮かぶのはオリジナルの怪獣の顔なんですよね。イメージが定着しちゃって。
やっぱり顔と声は一つのイメージにまとまっているんでしょうね(笑)。

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