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2006年10月 5日 (木)

超合金の悪魔人間

Photo_220 「本物のマジンガーZが、日産から発売されるらしい。」
こんな噂が私の周りでまことしやかに囁かれ出したのは、1974年・夏の暮れ。

テレビアニメ「マジンガーZ」が終了し、後番組「グレートマジンガー」の放送が始まった頃だったような気がします。

当時生粋のおバカだった私と仲間は、毎日のようにその話で盛り上がっていました。
「色は何種類か出るのかな」「シートはやっぱりバケットシートだろー」「最上級機種以外はエアコンがオプションだから暑いぞ。パイルダーは」
話は留まるところを知らず、武器にまで至ります。
「ブレストファイヤーと光子力ビームは標準装備」
「ルストハリケーンは?」
「あれはエアコンの室外機だからオプション(笑)」

Photo_221 あの頃、全国各地でこんな冗談が飛び交っていたのでは?(私の周りだけ?)
それ程盛り上がっていた番組が、今も連綿と続くテレビアニメーションの一ジャンル「ロボットアニメ」の雄、「マジンガーZ」(1972年12月~1974年9月)なのでした。

今日、この作品を懐かしく思い出したのには訳がありました。
新聞で定期連載している日本のアニメ関係者の記事に今日、「マジンガーZ」のメイン脚本家、藤川桂介さんが採り上げられたのです。

藤川さんは「マジンガーZ」と続編「グレートマジンガー」を通した全約140本中、90本以上の脚本を手がけたとの事。あのワクワクする毎週日曜日のお楽しみは、藤川さんの手によるストーリーが大半を占めていたんですね。

Photo_231  記事にはなかなか面白い事が書いてありました。「Z」放送当時は、「日本列島改造論」を掲げた田中内閣。高度成長の絶頂期で、作中でも破壊する楽しみを描いたそうです。
ところが三木内閣になってからは、その反省から破壊はダメという風潮になり、続編の「グレート」からは戦っても壊すものがないよう、基地は富士山麓から伊豆沖に移したんだとか。あの、やたら攻撃を受けた光子力研究所に比べ、科学要塞研究所は確かにあまり攻撃を受けた印象が無いですもんね。(皆さん、ついて来てるかな?)

Photo_233  興味深かったのが次の記述。「Z」の主人公、兜甲児は普通の高校生でしたが、「グレート」の剣鉄也は闘いのプロ、という設定に。
記事中ではこの変更理由は明らかにされていませんが、藤川さんは「(この変更の為に)その分、物語は面白くなくなったと思う」と書かれています。
最近、原作者の永井豪さんとも、「あそこからつまらなくなったね」などと話されたそうで。

政権の交代でアニメーションの作風まで変わるとは思いませんでした。小泉政権中のアニメを後年研究すれば、面白いかも知れませんが(笑)。
それにしても、前述の「主人公の設定変更」については、私も同じ印象を受けました。これは当時、番組のメイン視聴者だった人間の印象ですが、主人公が「プロ」になっちゃった事で、戦いの意義が「熱い思い」から「仕事」になってしまったような気がして、ちょっと醒めちゃったんですよね。

Photo_224 皆さんご存知でしょうが、ここで「マジンガーシリーズ」の設定をちょっと振り返りましょう。
初作「マジンガーZ」は、悪の科学者ドクター・ヘルに対抗する為、天才科学者兜十蔵博士が建造したスーパーロボット、マジンガーZの活躍の物語。兜博士は第一話で亡くなってしまい、孫で高校生の兜甲児が博士の意志を継いで、ドクター・ヘルの繰り出す機械獣と戦う、というお話でしたね。
第二弾「グレートマジンガー」は、「Z」の主人公兜甲児の父親、兜剣造が作った「Z」の上を行くロボット、グレートマジンガーと、ドクター・ヘルをも上回る悪の帝国、ミケーネとの闘いを描いたストーリーで、内容的には「Z」のスケールアップ版とでも言う物でした。
「グレート」を駆る主人公剣鉄也は、剣造博士が育てた孤児で、「グレート」を操り、ミケーネの戦闘獣(怪獣に対する超獣みたいな存在?)と戦う為だけに生きてきた戦闘マシーン。

Photo_225 私の考えでは、この「主人公が戦闘のプロ」という設定は、永井豪の作品世界とちょっと違うような気がするんですよ。
ただ、こういう感想でよくある「主人公が身近でなくなった事が思い入れを邪魔して」とか、「視聴者と年齢の近い主人公が望ましくて」などの思いでは無いようなんです。

「マジンガーZ」放送中、私は同時期に週刊少年ジャンプに連載していた、永井豪の原作コミックを並行して読んでいました。
同時期に、同じく永井豪が少年マガジンに描いていた大傑作「デビルマン」も楽しんでいたのです。

この「デビルマン」、私の中で今もトラウマを残す程で、終末テーマの名作として今でも語り草になっている事は、皆さんもご存知でしょう。
もちろんあの「デービィール」の緑色の巨人とは全くの別人を描いたストーリーですのでご了承を(笑)。

「マジンガーZ」と「デビルマン」。この二大名作は、永井作品を貫くテーマをものの見事に浮き彫りにした作品だと思うのです。

参考までに「デビルマン」のお話も少々。
この作品は、氷河期以前に地球を支配していた先住民族「デーモン」と人間との戦いを描いた・・・ように見えて、物語後半には作品の構造そのものが裏返っていくかのごとき驚異の展開を示す一大抒情詩。
そのあたりは実際作品をご覧頂くとしましょう。
きっとビックリしますから(笑)。

さて、今日のテーマ、主人公についてお話しましょう。
この作品の主人公、不動明は、開巻そうそう大変ひ弱な高校生として登場します。ところが親友、飛鳥了の手により、地球が先住民族「デーモン」に狙われている事を教えられるんですね。
闘争本能の塊、デーモン。相手を殺す事だけに喜びを見出す本能の為、彼らは進化の過程で「合体」という能力を身につけます。体を相手と合体させ、相手の能力を採りこんでさらに強くなる。デーモン同士の過酷な生存競争を勝ち抜く為の知恵です。
人間世界に昔から伝わる「悪魔」を思わせる、その醜悪な姿。

合体を重ね超能力を駆使するデーモンに、人間が対抗するにはどうすればいいのか?
考えがまとまらない明に、了は恐るべき策を提示します。

「テーモンと合体する事。」
デーモンと合体し、人間の意志をもったままデーモンの能力だけを採り込む。その能力でデーモンに立ち向かう。

その話の途中からデーモンの襲撃を受け、いやおうなしに合体の儀式に参加させられる明は、狂乱のデーモンとの合体現場で、ついに自らの意志を失うことなく最強のデーモンとの合体を果たします。
人間の心とデーモンの能力を持った悪魔人間「デビルマン」の誕生!

合体したデーモンの闘争本能が影響し、明の性格は激変します。闘い、暴力を好み、人間の意志は持っていても残忍なデーモンの本能も併せ持つ、非常に危険な存在となったのです。
デビルマンになった明を見て、了は一人恐怖に慄きます。
「私は、人間の心ではなく、人間の知識を持った怪物・デビルマンを作ってしまったのでは・・・」

この、「弱いもの、普通の人間が強大な力を持ったときの危うさ」こそが、永井作品の底流に潜む危険な魅力ではないでしょうか。
「マジンガーZ」も「デビルマン」も、主人公が普通の高校生だからこそ、力を手に入れた時の心の持ち方にたまらない興味が湧くのです。


永井豪はある本で「Z」について、こういう巨大な存在、力を操る事について「人間がやってはいけないことの領域」と発言しています。
「自分の力一つで、人類を滅亡させる事さえできる。」
幸福にして、甲児も明もその力を「負」の方向には使いませんでしたが、永井作品には常に、この恐ろしく甘美な妄想への危うい誘惑が溢れているような気がするのです。

ストーリーのあちこちに見られる、過剰な暴力描写や血も凍るようなアンモラルな表現が、その思いを助長しているのかもしれませんね。

Photo_228 そんな意味で、「マジンガーZ」と「デビルマン」は、私の中では同じ世界。
力を与えられた人間が、その内なる滅亡衝動を試されている、そんな印象を受けます。

「Z」と「デビルマン」は兄弟。「Z」は兜甲児が変身する、超合金で作られた悪魔人間なのです。

Photo_226 アニメ版「マジンガーZ」には、こうした永井作品のダークなテイストはありません。確かにこんなハードなお話、日曜7時に流されても(笑)
あ、「怪奇大作戦」があるか・・・(汗)
しかしながら、東映という毒の強い制作会社の手を経て、原作の持つエッセンスは確実に活かされているような気もするのです。
それは「Z」の顔つき。あの顔が、原作版デビルマンに似ているという指摘は、今までも数多くされてきました。
今日は「デビルマン」の写真はアップしません。
未見の方、自由にご想像下さい(笑)。

Photo_227 そういえば「Z」のデザインって、原作とアニメ版ではかなり違いますよね。
貴方はどちらがお好みですか?私はもちろん・・・(笑)。

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コメント

オタクイーンさん お早うございます。

マジンガーZ、デビルマン、超合金・・・懐かしいですね~。
ここに出てくる懐かしい単語の数々、一時でも昔にタイムスリップしたかのようでした。それにしてもこのコレクションはさすがオタクイーンさん。っていうのも今さらですよね(笑)。
中Ⅱの時だったか 始めて作ったロボプラがこのマジンガーZだったなー。プラカラーで部品に色を塗ったのもこのときが始めてだった(なぜか部品は全部青色でしたね)。

Z は兜甲児が変身する超合金で作られた悪魔人間ですか・・・いつもながら見事な考察恐れ入ります。

まっ やっぱりアニメは等身大に近い方がいいですね。

あっ、Zの顔、確かにデビルマンに似てますね。言われてはじめて気が付きました(笑)

ポン太様  コメントありがとうございました。

なんとポン太さんと同じく、私も始めて本格的に色を塗ったプラモデルは「Z」でした。バンダイのモーターライズです。
足が電池ボックスになっているので物凄く大きく、不恰好だったのが印象にありました。確かに部品も全部青でしたね(笑)。
当時筆塗りが初めてだったので、気泡が出て苦労したのを憶えています。同世代の方々は、やはりどなたも同じ経験をされているんですね(笑)。

「マジンガーZ」の原作漫画の1ページ目には、
「きみがもし、ある日とつぜん人間以上の力をもったとしたら・・・きみはその力をどうつかう?」とあります。
永井豪が追求するテーマはきっとこの一言に集約されているんでしょうね。どの作品にも描かれている、どこか破壊衝動にさいなまれる主人公の業に魅了されます。

久しぶりに読み直してみたくなったりして。
読書の秋に「マジンガーZ」と「デビルマン」。オタクですね(笑)。

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