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2006年10月 9日 (月)

怪獣は存在理由が命

「ネヴュラ」でもよく書いていますが、妄想派の私は時間があると「私だけの怪獣映画」を考えるのが大好きで。
いつも魅力的なストーリーや大スペクタクルシーンを考えては、一人悦に入っているんですが(私ごとき、大した事は考えられませんが)その時大命題としていつもあるのが「怪獣の存在・行動理由」。
確かに映画は「絵」が優先なので、細かい理屈はある程度までにしておかないと面白くないんですが、それでも「その怪獣が何故存在するのか・何故そう動くのか」という部分は、作品の根幹にかかわってくる命題だけに、おろそかにできないような気がするのです。

もう今は休刊している雑誌「宇宙船」に、以前こんな投稿が載っていました。「ゴジラ×メカゴジラ」(2002年東宝 手塚昌明監督)についての読者からの感想だったと思います。
「ゴジラの存在理由についていろんな理屈づけがされているが、別にすべての生物の中で一番強い奴でいいではないか」というようなご意見が語られていました。

私、このご意見が大ショックで。

まあ作品は、100人が観れば100通りの考えがあるから面白いんですが、私は怪獣はおのおのに存在理由があるからドラマが生まれると思っていたので、もう今までの思いが音を立ててガラガラと(笑)。「いい悪い」ではなく、同じ作品でもこれだけの意見の違いがあるんだなー、と、しばし呆然としてしまったのです。

Photo_240 確かに「ゴジラ×メカゴジラ」には、そう思わなければ観てられない所もありますよね。
メカゴジラ「機龍」誕生・お披露目の途中、突如レーダーに感知されるゴジラ。
「なんで日本に来るの?」
例によって都市を破壊しながら暴れるゴジラ。
「なんで暴れるの?」
機龍との第一ラウンド、突然雄たけびを上げると海へ帰っちゃうゴジラ。機龍が目の前に居るのに。「なんで帰っちゃうの?」
おバカな私は、こんな展開が一つでもあるとそこで頭が先に進まなくなってしまうのです。

劇場で観た私は案の定まったくこの作品に乗れず、失意のまま帰路についたのでした。

後にいろいろな評論を読むにつれ、この作品では主役は「機龍」で、ゴジラは客演扱いと思えるように(これでも随分譲歩したのですが)なりましたが、それにしてもこの支離滅裂さはちょっと。
これは主演、客演とかいう位置づけとは別に、この作品に於けるゴジラの存在理由がはっきりしていないからとしか思えなくて。「すべての生物の中で一番強い」だけの存在なら本能も無いでしょうから、別に日本に上陸したり、暴れたり、機龍との対決中突然帰ったりしてもいいですもんね。

それでも私には、怪獣が存在したり行動するにはどうしても理由づけが欲しいのです。
Photo_241 初作の「ゴジラ」(1954年東宝 本多猪四郎監督)で登場したゴジラには「核実験で被爆した恐竜の生き残り」という存在理由がありました。ゴジラは日本領土内の島「大戸島」の海底に生息していた為、被爆のショックで目を覚まし、島を襲って東京へ上陸。それもはっきりとした理由があります。
核による被爆の記憶から、光や炎に激しい怒りを示すという理由。ゴジラは東京の町の明かりに反応したのです。
ゴジラの存在が「大戸島」に伝わる伝説と奇妙な符合を見せる脚本の妙も、ドラマの奥行きを深めていますね。

初作のゴジラが成功したのは、こんな風に怪獣の存在理由を明確にし、それに即した行動を描いた事も大きな理由のような気もするんですよね。
事実、続編の「ゴジラの逆襲」(1955年東宝 小田基義監督)では、大阪に上陸せんとするゴジラに対し、町の明かりを全て消すという作戦が採られています。(それも「あるアクシデント」で失敗しますが。それは実際ご覧下さい)
怪獣の行動は、やっぱりその存在理由が基になっていると思うのです。
私のようにストーリーを妄想する者にとっては、そこが一番面白い所です。だってそれがなきゃドラマが組み立てられないですから。

Photo_242 「ゴジラ×メカゴジラ」を賞賛する方々が逆にあまり楽しめなかったという作品が、その前年に公開された「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」(2001年東宝 金子修介監督)。
ひょっとして「ネヴュラ」で採り上げたゴジラ映画はこの作品が一番多いのではないかと思います。
それくらい私の中ではこの作品は評価が高い。
実は「キングコング対ゴジラ」(1962年東宝 本多猪四郎監督)の次ぐらいに好きなんです。
というのはこの作品、ゴジラという存在について一応の理屈付けをするよう「努力している」からなんですよ。

Photo_243 マニアが「GMK」と呼ぶこの作品のゴジラは、それまでのゴジラ映画とは違った存在として描かれていました。圧倒的な強さ。生物のセオリーを無視した白目。通常兵器が効かない無敵ぶり。こんな「あり得ない」存在を、何とかして「あり得るかも」と思わせるよう、周到な演出がなされているのです。
「戦争で亡くなった人々の残留思念の集合体。」
この設定がある限り、どんなに無敵でもある程度までは頷ける。
「超生物」とでも言える存在なんですから。
(納得できない方も多いでしょうが、私はその「理屈付け」の姿勢にリスペクトしました。)


皆さん考えてみてください。それまでのゴジラ映画で「メーサー光線も効かない」その体の構造について解説をした場面があったでしょうか?もともと無茶な設定を、この作品では「なんとか答えを出そう」としたスタッフの努力が見えるのです。

といって、金子修介はゴジラを「なんでもあり」の破壊神にはしませんでした。
私はあのクライマックスは、物理的な力ではなく人類の「生存本能」と「親子の絆」が残留思念に打ち勝ったと解釈しています。「怨念」と「情念」の闘いに、人類が勝利したのです。

深読みに過ぎない事は私にもよく分かっていますが、これもGMKゴジラの存在理由がはっきりしていたからこその解釈。「何故攻めてくるかわからない相手」に対しては、解釈のしようもありませんから。

金子作品には、この「存在理由」へのこだわりが随所に見られます。要は作品を観ている間だけでも観客に「なんで?」と思わせない工夫がされているのです。

「ガメラ 大怪獣空中決戦」(1995年大映 金子修介監督)もそうでしたね。
Photo_244 ガメラやギャオスの存在理由は「古代文明が生み出した生物兵器」で、ギャオスは地球に危ない変調が起きると文明を滅ぼす為に現れる一種の「セキュリティーシステム」。
ところがそのギャオスによって当の古代人が滅亡の危機に。その為古代人が作った「カウンターウェポン」がガメラ。
怪獣対決の理由付けはもうはっきりしている訳です。

だからあのストーリーが成立する訳で。
当然の話ですが、映画ってストーリー作りの段階では「映像」がまだ出来ていませんよね。
だからストーリーを作る者は画面に現れなくても、裏で相当な理屈付けをしておかないとストーリーが組み立てられないんですよ。「ストーリー」とは設定から抽出された一部なんですから。

最近頻発する「熊騒動」だって、存在理由を明確にして「熊」を「怪獣」に置き換えればすぐストーリーが出来ちゃいます。
この怪獣は(よくある)産業廃棄物の不法投棄により、それを摂取した熊が巨大化したもの。
熊の属性を持つこの怪獣は夜な夜な町に下りて食料を奪取するのですが、特に好むのが「蜜」。科学陣はこの習性を使い怪獣を捕獲する作戦を立てます。研究により蜜を大量に生産し餌として罠を張り、一応の捕獲に成功。
しかし怪獣は、以前摂取した蜂の毒の影響でさらに凶暴・強大になってしまいます。熊と蜂の属性を兼ね備えた怪獣は、鋭い爪に猛毒を持った危険な存在に。
「大きな熊」程度とたかをくくり、研究を始めようとした科学者を殺害し、檻を破って町に躍り出た怪獣。しかし怪獣の体はさらに恐ろしい進化を続けていました!対抗する科学陣は生物が2度同じ蜂の毒を打たれたときに生じる「アナフィラキシー・ショック」を利用する事を思いつきますが・・・
なーんて(笑)。

まあ、一瞬の思いつきですから吹けは飛ぶようなストーリーですが、怪獣の行動が「存在理由」によって決められるのは、こんな駄文でもお分かりと思います。
映画は何度も反芻して研究するもの。同じストーリーを再見しながら、幾重にも考えられた制作者のアイデア、こだわりを発見していくのは、映画好きに与えられた素晴らしい楽しみですね。

Photo_245 ところで皆さん、「GMK」で日本古来の怪獣と設定されたはずの「ギドラ」に、なんで英語の「キング」が無理なくネーミングできたか分かりますか?

私もある評論で読んでビックリしました。全然気がつかなかった。
その答えは、作品を丹念に見れば分かります。

実に周到に計算された「GMK」のシナリオに、私はもうひれ伏すばかり(笑)。

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