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2006年10月11日 (水)

現実は匕首の切っ先にも似て

今日はちょっと辛いお話で。
こんなお話をするのも、心の内を吐露するようで恥ずかしいのですが。

先程からネットでいろいろ検索してみて、大体の感触も掴めました。
ですからあえて書きます。
まあ、カンの鋭い「ネヴュラ」読者の方々にはよーくお分かりの、このネタ。

「私が私であるために」
昨夜、日本テレビ系列で放送された2時間ドラマです。

性同一性障害の男性が様々な経験や出会いを通して「自分を取り戻す為の闘い」に挑むこのドラマ。主人公の彼女ほど切実ではないにしろ、私も当事者のはしくれの身。興味を持たない訳がありません。
昨日の記事の更新時刻がやや早めだったのは、この番組をリアルタイムで見る為だったのです。

この番組についての予備知識はほとんどなく、主人公、ひかる役の相沢咲姫楽をはじめ、出演者の数名が本当の性同一性障害者、言わば「お仲間」などという事は番組開始直後に「直感とイマジネーション」で知った事。
キャスティングやストーリーなどよりも、世間がこういうテーマを真正面から採り上げるという事に、ちょっとした衝撃を受けました。

実は私、このストーリーについて語るだけのスタンスを持ち合わせていません。
なにしろテーマが「身近」すぎて、とてもじゃないですがフィクションとして見られない(笑)。

ちょっと今日の発言は過激に走るきらいもありますが、いつもよりおバカ全開なのでお許し下さいね。
ドラマのそこかしこに表れる性同一性障害者への偏見と揶揄。ああいった蔑称「お○ま」とか「気持ち悪い」「変態」「寄るな」なんて言葉に、どれだけ傷ついたことか。
「私なんて生まれてこなきゃ良かった」「私を殺して」という主人公の言葉には痛いほど共感できます。

いつもは「ネヴュラ」でバカばっかり言ってる私でも、肌を切れば赤い血が流れる生き物。そりゃ感情もある訳なので。(ドン引き?すいません。今日だけお許しを。)

こういうドラマにありがちないわゆる「夜の街の方々」が出演しないのも良かった。以前記事でも書きましたが、私のような立場の者が職を求めても、かつてはそういうお仕事しかなかったのです。
決して彼女達への偏見ではないんですが、(事実私もその世界を体験した事がある訳だし)その世界の方々がドラマに関わってくる事により、当事者の社会進出の可能性を狭めてしまう。(主人公が望めばまた別の話になりますが)

私などがつたないアンテナで追いかけた数々のこの手の作品も、そのほとんどが「ニューハーフの悲哀」的な観点でしか物語が語られず、どこか共感しづらい空気を持っていました。
そういう意味で今回のストーリーでは、あくまで昼間の職業に絞って物語を進めた制作陣の志を買いたいのです。

「このテーマを真面目に採り上げよう」と考えた制作陣は、おそらく当事者を理解する為の「気持ちの落とし所」を「病気」というキーワードに求めたのでしょう。
胎児へのホルモンバランスの異常などにより起こる、心と体の性の不一致。これを「病気」として捉える事で、当事者達の悩みや苦しみをなんとか理解し、「性転換手術」をその治療に位置づける。これも例の「金八先生」以降ポピュラーになったものですね。

ところが。
私などが識者のふりをして語るのも良くありませんが、当事者の心理というのは大変微妙なもので。私にはこのドラマ、どうにも腑に落ちない部分がありまして。

笑い話と思って頂いても構いませんが、このドラマには決定的に欠けている部分があるような気がします。

当事者の外見についてです。

主人公をはじめ、このドラマに出演する当事者たちは、とても男性とは思えない美しく、女性らしい外見を誇っています。これは容姿に恵まれない私にとっておそろしく高いハードルなのです。
劇中主人公が、ストリートミュージシャンやファッションモデルに接し、「彼女も仲間!?」なんて驚くシーンがあります。驚く彼女自身の外見もどう見ても女性。当事者以外の登場人物も「あれが男!?」なんて驚愕と戸惑いに震えていましたね。
これは現実にはありえない。

「パス」と「リード」という隠語があります。
私達の世界で使われる言葉で、街を歩いて男性という事を見破られない事を「パス」。
逆に見破られる事を、読まれるという意味で「リード」。

実際、主人公を演じた相沢咲姫楽さんは、女性ホルモン投与など医学的な処置をしていないとの事ですが、それで「パスする」という事は、既に一種の「特化した才能」なのです。
「素質」と言い換えてもいいでしょう。

私を含め、ほとんどの者は男性ホルモンの影響が体中に行き渡った、「どこから見ても男性」の場合が多い。これが現状です。
訳も無く警戒されたり、つらい言葉をかけられたりするのも、「リード」されるからなのです。
自分のアイデンティティーを保つのに使うエネルギーはもう大変なもの。これは容姿に恵まれない当事者達にとって深刻な問題なのです。

「私が私であるために」には、この部分の描写が決定的に欠けています。
「美人」「不美人」という事ではないのです。「女顔」と「男顔」の差です。「整った顔」と一口に言っても、女性と男性では顔つきがまるで違いますよね。
その差に悩む人々が、私を含め水面下には大勢居るのです。
言わば相沢さんのような人の方が、希少な部類に入るのでは。
彼女達が目指す仕事も、パスを前提としたものではなかったでしょうか?(カミングアウトが話題になるのも、パスあっての事でしょうから)

たとえ端役でもいいから、「リード」される存在を一人登場させて欲しかったのです。(よくあるコメディーリリーフ的な立場じゃなく。もういいでしょうそういうのは。)
まあ、こう書くと「ブスのひがみ」なんて言われる事は百も承知なんですが、「美男美女の夢の共演」はこのドラマの趣旨じゃないだろうと。夢の恋愛を描く事が目的じゃないですよね。キレイキレイなお話にしたかったの?
制作陣がもしそう考えたなら、ちょっと底が浅いように思えます。
これは出演者の問題ではありませんよ。あくまでプロデュースサイドの目論見に対しての考えで。

このドラマ、都合三度見たんですが、出演者の美しさを見る度に「これは、このレベルの外見を持つ人だから成立するドラマなのよ」と、ちょっと上から見られている感じが拭えません。
私などは「あのレベルであれだけ苦労するんなら、私なんかどーすりゃいーのよ!」と(笑)言いようのない絶望感に打ちひしがれてしまうのです。
そういう意味でこのドラマは、当事者にとって辛い部分も多分にあります。決して斜に構えて見ている訳ではないんです。でも、日々の生活にあっては、まずその部分がネックになってしまう事が多いので。
「学生証を見せなきゃ男と分からない!」私もそんな辛さ、味わってみたいものです(泣)。

ドラマに比べ、私達当事者を取り巻く現実の目は、むしろ匕首にも似た鋭さを持っています。
常に喉元に突きつけられるのは、その冷たい切っ先。
これは私が毎日体験している事。間違いありません。


番組最後の全面スーパー「この物語はフィクションです」の一文が、心に深く突き刺さります。いつも何気なく読んでいるこの一文が、こんなに辛かった事もなく(笑)。
演出はともかく、志の高さは従来のドラマを超えていただけに、この一点だけが目立ってしまったのかもしれませんね。

このドラマの遺伝子を受け継ぐ、良質の番組(ドラマに限らず)が作られ続けていくことで、当事者達への理解が少しでも進む事を期待したいです。
(ちょっと笑えなかったですか?次回からは通常営業に戻ります(笑)

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コメント

 拝読させていただきました。
このドラマに対して、こういう感想がある事を知る機会を頂いたことに感謝いたします。
 私ごときの浅知恵では、コメントの言葉も見つかりませんが。
 ネット上とはいえ「医師」と名乗るモノとして、また対人関係の仕事に従事するモノとして、いろいろ考えさせられる事の多いエントリーでありました。 有難うございます。
 では。

ガメラ医師様 コメントありがとうございました。
あのドラマの感想をネットで検索してみると、「泣いた」「感動した」というものがほとんど。
こういうテーマを世間がこれ程真剣に認知し、思いを共有してもらえた事は当事者として感慨深いものがあります。
それもドラマの高い完成度ゆえの事なのでしょうね。

この記事はあくまで私のつたない私見です。当事者の全てがこんな極端な意見を持っているとはとても思えませんし。特に私達のような存在は目指す目標が千差万別なので、なかなか意見の統一もむずかしくて(笑)。
どんな世界でもそういう事はありますよね。まあ、つたない拙文を頭の片隅にでも置いて下さるだけで有難い事です。

こんな訳のわからないブログですが、またよろしければお越しいただいて、駄文をからかって頂ければ幸いです。

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