2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

ネヴュラ・プライベートライン

無料ブログはココログ

« 憧れの24コマ | トップページ | 60式どこでもドア »

2006年9月 6日 (水)

新企画大爆破

「またムチャクチャ言って・・・」
ある日の番組企画会議。多くのプロダクションがそうであるように、局から提示された時間枠と予算の中で、おもしろい企画を提出する為にスタッフが意見を交わす場です。
私がよく参加したのはいわゆる「スペシャル番組」の企画。レギュラー番組と違い、ワンアイデアのひらめきが勝負のスペシャルは、思い切った冒険が可能なのです。

実は私は、こういう「単発もの」の企画が得意。今まで溜まっていたテレビ番組への鬱憤をここで一気に晴らせるチャンスとばかり、言いたい事を言うのでした(笑)。

皆さん、ちょっと考えてみて下さい。
「一時間のお正月番組。予算はとりあえず考えないで、お正月らしい楽しい企画」。
こんな依頼があったら、皆さんならどんな番組を考えますか?
「作る」というより、「見たい」というスタンスで充分なので。

数年前まったく同じ依頼で、スタッフ全員が企画を持ち寄った会議。その場で私は、こんな企画を出しました。

「トイザらスを舞台に「がっちり買いましょう」。

「がっちり買いましょう」(1963年~1975年。大阪毎日放送制作)。言わずと知れた往年の人気番組です。スタジオに商品を並べ、一般出演者が指定された金額により近い額の買い物をする、というゲーム・バラエティーでした。
司会の夢路いとし、喜味こいしが叫ぶ「十万円七万円五万円、運命の別れ道」という名ゼリフも流行しましたね。

この時の私の企画はお正月らしく、「お年玉でおもちゃを買おう」というコンセプトで、一般の子供とタレントがチームを組み、国内最大手のおもちゃチェーン店「トイザらス」をそのままスタジオにして、あの「がっちり買いましょう」をやっちゃおう、というバカバカしく、そして楽しい企画でした。
企画当時まだご存命だった夢路いとし師匠、そして喜味こいし師匠を迎えて、「いとし、こいし」の名司会再現というオールドファン感涙のイベントも付けて。

冒頭のセリフは、会議での部長の言葉。これ、半ば呆れながらも喜んでいるんですよ。部長、笑ってましたから。
番組内では、この会議当時流行の兆しを見せていた「お宝ブーム」を取り入れたコーナーも企画しました。
他の売り場のおもちゃは大体金額の予想がつくのですが、このコーナーだけは「いわゆるお宝グッズ」を置いて、その希少性からプレミア価格を予想させる、という。ここで、レジでの計算の「大ドンデン返し」が番組上の見所になるわけです。このあたり、「ネヴュラ」をご覧の皆さんがニヤリとする所ですね(笑)。

実はこの企画は周りも乗り気で、かなりいい所まで行ったんですよ。ところが「ボツ」。
それは何故か。
実に簡単な理由です。この「がっちり買いましょう」という番組は、全国的にはTBSテレビの系列。私が企画会議に参加した局は、違うキー局の系列だった、ただそれだけの事なんです。企画がいくら面白くても、そんな事でボツになってしまう。確かに編成的には重要な事かもしれませんが、本当に惜しかったと今でも思っています。まあ、今考えるならまた別の企画になったと思いますが。

テレビ屋というものは、多かれ少なかれ「影響を受けたテレビ番組」を持っています。考えてみれば、そうでなければこの業界には入ってこないですからね。ただ、実際には日々の番組制作が自分の理想としたものとは限らない。「いつかやりたい企画」は、心のハードディスクに山ほど溜まっている訳です(笑)。それが、こういう場で一気に噴出する。

ところが現実はそんなに甘くはない。前述したような「ネット局の違い」なんていう理由で、簡単にボツになっちゃう事もあるんです。ですから、自然とこういう会議では「当たり障りのない企画」が通りやすいんです。「とりたてて面白くもないけど、つまらなくもない」平均的な企画ですね。波風を立てたくないわけですよ。上の皆さんも。

実際にプレゼンテーションをお仕事とされている方はお分かりと思いますが、提出する企画というのは「当たり障りのない一本」と「飛び道具的な一本」の組み合わせが良いと言われますよね。
スポンサー(私の場合は局ですが)にプレゼンする時、「当たり障りのない」方を説明してから「飛び道具」でインパクトを与え、「本当に面白いのはこっちですよ」とアピールする。制作側が本当にやりたいのは「飛び道具」である事を強調する訳です。
ここで、スポンサーと制作側の駆け引きが繰り広げられる訳で。
その場の身を切るような緊張感も好きなんですが。「相手の視線一つも見逃せない」みたいな(笑)。

たぶん、今のテレビ番組の行き詰まりは、そういう「当たり障りのない」部分が強調されているのだと思います。確かに「飛び道具」企画は関係者にとってリスクもありますが、当たると大きい。
「ぐるナイ」の「ゴチになります」など、企画時はおそらくかなりの難産だったのではと思わせる雰囲気が、番組内から漂いますからね。
やはり爆発的な破壊力を持つ企画は、リスクを覚悟したスポンサーの度量の大きさが試されるんですね。

なんか今日の記事は仕事に偏りすぎて、お話がちょっと硬くなりすぎましたね。全然映画のお話でもなかったりして。ごめんなさい。でも、私のようなおバカなテレビオタクは、その趣味が仕事に活かされる事が多く、つくづく「趣味を仕事にしているなー」と感慨にふけります(笑)。
大体、依頼される企画に対して自分が考える事なんて、どこかしら趣味が入ってますからね。
例えば実際に企画したことですが、
「伊福部昭さんに、ある都道府県の曲を作曲してもらい、それを追うドキュメント」
「小松崎茂さんに「未来の東海道五十三次」を描いてもらう」
「必殺シリーズを支えたカメラマン・石原興さんと、照明・中島利男さんによる映像詩」・・・
以前作成した「ウルトラマンティガ」の特別番組も、そんな趣味の賜物。
どうです、そうそうたるメンバーでしょ(笑)。
鬼門に入られた方もいらっしゃいますので、実現不可能の企画も多いですが、見てみたいですよね。

本当はこういう企画を考える段階で「飛び道具」という事は自分でも分かっているんですよ。でも、「つまらない企画だったら考えたくない」のが本音で。
上の方々にも「あいつはとんでもない、面白い事を考える奴だ」なんてイメージを持ってもらいたい訳です。そういうスタンスで仕事をしていれば、自然と「その手の仕事」が舞い込んで来るものと信じていますから。実際、そうですし(笑)。

「マトリョミン」という楽器が、最近ブームになっている事をニュースで知りました。ロシアで開発された世界最古の電子楽器「テルミン」を、同じくロシアの民族玩具「マトリョーシカ」に仕込んだこの楽器。
愛らしいフォルムと不思議な音色が、多くのファンを獲得しつつあるというニュースでした。「マトリョミン」の開発者は日本人。このコラボレーションは完全に「飛び道具」的な企画ですが、見ていると面白く、かわいいんですよ。
番組に限らず、面白い発想ってどこにでもあるんですよね。これくらい破壊力、爆発力のある企画を実現させたいものです。

存在自体が「飛び道具」な私に、出来ないはずはないと(笑)。

« 憧れの24コマ | トップページ | 60式どこでもドア »

「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

見たかったですねー。「トイザらスを舞台に「がっちり買いましょう」。お年玉をつかってというのが、なんともお正月らしく、ナイスな企画ですよね。私、あの番組、大好きだったんですよ。一番好きな場面は、最後の帳尻あわせに、靴下やボンカレー(だったと思うのですが自信ありません)などの小物を買うところが緊迫感や、あーあ、もう越えてるのにといった高みの見物感が、よかったです。そうですか・・・キー局の違いでですか・・・。いろいろとあるのですね。魑魅魍魎までいかなくても、複雑怪奇ですね。泣く子とスポンサーには勝てない・・・なんて、よく聞きますが、本当なんですね。でも、趣味が仕事に生かされるなんて、最高ですね。もちろん、ここには書かれていない日々の努力が、あることと思います。オタクイーン様のパワーがあれば、破壊力、爆発力のある企画はきっと実現されますよ。そう、思います。(^^)/

hiyoko様 コメントありがとうございました。
番組制作もビジネスである以上、いろいろ大人の事情がついて回るもので。むずかしいですね。でも、そこをいかにクリアするかが作り手にとって面白い所でもある訳です。
「がっちり買いましょう」は私も大好きな番組でした。今あの手の番組がないのは、きっとスポンサーの関係で商品が出しづらい状況があるのでは?そういう水面下の、視聴者には関係ない部分を見せないよう、私達も配慮が必要なんですが。

昔のテレビマンは、きっとそんな部分もものともしない、「飛び道具」的な人が多かったんでしょう。そんな時代の情熱再び、と、誰もが思っている筈。皆さんの思いを胸に、私ももう一頑張りです(笑)。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/104767/3346054

この記事へのトラックバック一覧です: 新企画大爆破:

« 憧れの24コマ | トップページ | 60式どこでもドア »