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2006年9月 7日 (木)

60式どこでもドア

「テレビが面白くない時、見たくなる映画」ってありませんか?
例えばお仕事が終わって部屋に帰リ、テレビを点ける。チャンネルを探っても目ぼしい番組が無い。CSにまで進出(笑)してもいい番組が見つからない。でも何か見たい。
今日の私がそうでした。こういう時って、何故か見る作品が決まってしまうもので。

怪獣映画のような大スペクタクルを見るには、体力が残っていない。でもベタベタな恋愛ドラマもちょっと勘弁。そんな時私には、自然に手が伸びてしまうパッケージがあります。

私の東宝特撮好きは「ネヴュラ」でもしつこいくらいに書いているので、おおよその見当はつくと思います。そうです。私の夕食の友は、あるカテゴリーの作品に偏っているのです。

東宝特撮映画の歴史上、「変身人間シリーズ」と呼ばれる一連の作品です。

Photo_159 こうマニアの方々に愛着を持って呼ばれるシリーズは、「ゴジラ」で高い評価を受けた円谷英二特技監督のネームバリューを看板に、東宝が特撮映画の新たな可能性を模索した意欲作として制作した作品を指します。
「美女と液体人間」(1958年)「ガス人間第一号」(1960年)「マタンゴ」(1963年)(三作品とも本多猪四郎監督)など、皆さんには説明の必要も無い作品ばかりですよね。

1950年代から1960年代にかけて集中的に制作されたこれらの作品。丁度ゴジラ映画の合間を縫うように公開されたわけですが、どうも興行成績は芳しくなかったようで、その後東宝はこのシリーズの続投を断念、現在も新作は作られていません。
やはり観客は、怪獣による都市破壊や超科学兵器による戦争、という派手な見せ場を好んでいたのでしょうか。ちょっと残念でなりません。只、東宝も手をこまねいていた訳ではなく、このシリーズのテイストを怪獣映画に盛り込む事に意欲を見せ、「フランケンシュタイン対地底怪獣」など、怪奇色あふれる怪獣映画の一ジャンルを形成していった訳です。

さて、この「変身人間シリーズ」の中でも、私のお気に入りの一本は「電送人間」(1960年 福田純監督)。なぜか気がつくと手にはDVDパッケージが(笑)。

Photo_160 「電送人間」は、変身人間シリーズ中、本多猪四郎監督がメガホンを取らなかった唯一の作品。作品に流れるテイストの違いはそこから来るのかもしれません。新進気鋭の若手監督、福田純の、瑞々しい感性が疾走するハイテンポな一篇として、今でも評価の高い作品です。もちろん特技監督は御大、円谷英二。派手なシーンはありませんが、それでも円谷監督にしか描けない、独特のイメージの奔流に圧倒されます。

「変身人間シリーズ」は一篇一篇が独立した作品なので、作品毎のストーリー、テイストも大きく異なりますよね。

放射能の影響で液体化した人間が人々を襲う「美女と液体人間」。
麻薬を巡るギャング同士の抗争を縦軸に、液体人間の恐怖を横軸に据えた「変形ギャングドラマ」風の作りでした。

宇宙開発の実験台として人体強化実験を受けた主人公が、実験の失敗で体をガス状に変換する能力を手に入れ、愛する日本舞踊の女性師匠の為に犯罪を犯す「ガス人間第一号」。
全編に流れる哀愁が「結ばれない純愛」の切なさを謳いあげる、大人のドラマ。

7人の若者を乗せたヨットが嵐に会い、漂着した無人島でそれぞれのエゴをむき出しにしながら、禁断のキノコに蝕まれてゆく姿を描いた「マタンゴ」。
吸血鬼ゴケミドロ(1968年松竹 佐藤肇監督)と並び、極限状態の人間の醜さを活写した名作です。

「悪魔か!科学か!不完全証明の予告殺人!」という謳い文句も大時代な「電送人間」。この作品は上記の三作品ともまた違った、独自の世界が展開します。
第二次大戦の置き土産、陸軍兵士の認識票を「死の宣告状」として、次々と殺害される元兵士達。
事件の謎を追う新聞記者と刑事たちは、被害者たちの暗い過去を突き止めます。終戦を告げる8月15日、彼らが秘密裏に運び出した「軍用行李二号」の謎!
殺人の目撃者が語る、犯人の恐るべき姿とは?
決死の捜査により追い込んだ容疑者の、鉄壁のアリバイに隠された驚愕のトリック!
犯人逮捕の決め手がないまま刻一刻と迫る、最後の予告殺人のタイムリミット!

・・・ストーリー、全然分からないですよね(笑)。でも、この作品をご覧になった方なら、私の言わんとする事はよくお分かりの筈です。こんな感じでしょ?作品の空気って。
他の作品と違って、「電送人間」はほぼ全編、こうした「ワクワク感」に溢れています。これもいつもの私見ですが、あえて言えば「石井輝男の世界」にすごく近いような気がするのです。それはなぜか?

「変身人間シリーズ」というのは、基本的には「根拠の無い驚異」のドラマです。
「液体人間」も「ガス人間」も「マタンゴ」も、すべて人間が変身する一応の理屈が解説されていますが、それは映画の中でのみ通用する理屈なんですよね。
(それは作品の出来とは全く別次元の事ですが)
確かに「電送人間」も同じく、21世紀の今でも実現されていない「物体電送機」という超兵器(!)がストーリーの中心に来ていますから、他の作品とあまり変わらないんですが、この作品だけ、その物体電送機の謎を理詰めで解析しようとする、ストーリーの流れがあるんですよ。

トランジスターに代わるものと言われる「クライオトロン」。
それを正常に作動させる為に必要な「絶対温度4.2度」という超低温。
犯人が発注する冷却装置を糸口に捜査を続ける主人公達。殺人現場に現れた犯人は今まさに電送機を使っている状態。しかし、クライオトロンの不調により電送状態が不安定で、その全身は「映りの悪いテレビ」のように見える・・・

Photo_161 こうした「なんとなくリアル」な描写を重ねる事により、他の作品とちょっと違うテイストの「あったらいいな犯罪」を夢想できるところが、この「電送人間」の最大の魅力なのです。
この作品についての色々な評論で、「電送人間だけは他の作品と違い、変身するのは体ではなく心」などと言われていますね。なる程その通り。でもおバカな私などは、そういうテーマ的な事よりも、世界観の見事さに唸ってしまうのでした。

たぶん「液体人間」「ガス人間」が「ウルトラQテイスト」だとしたら、「電送人間」は「怪奇大作戦テイスト」なんですよ。(「マタンゴ」は分類しにくいので、ちょっと除外)

私は夕食を食べながら、この作品の設定を活かして自分ならどんなドラマを作るか、なんて事を考えるのが好き。
この作品の「物体電送機」というのは、簡単に言えば「ザ・フライ」の人体移動マシンと同じなので、「送り機」と「受け機」が必要な訳です。とすると、完全犯罪を成立させる為には、「受け機」の搬送が最大のネックになる訳ですよね。とすると、そこをどうするか・・・
なんて考える訳です。おバカでしょー(笑)。
こんな風に妄想しながら食べるご飯がおいしくて。つい最後まで見てしまうんですねー。

まあ、どの作品も大好きな「変身人間シリーズ」。それぞれの作品に良さがあります。「電送人間」に限らず、事ある毎に再見したくなる、夕食の友です。ただ「マタンゴ」だけは、おかずにキノコがない日に見ますが(笑)。

今でもよく映画論を楽しむ友人も、「電送人間」が大好き。病が高じて、続編「続・電送人間」のシナリオを書いちゃいました。コピーを貰って読んだんですが、これ、なかなか凄い作品に仕上がっていました。
なんと「送り機」「受け機」の問題がクリアされているんです。

いやースゴイ!これだから映画マニアはやめられません(笑)。

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コメント

ご心配をおかけしました。いつかオタクイーン様が「ハンデイ」のお話をされていましたが、私も生身の人間ですので、「ハンデイ」を感じる場は、あります。しかし、もう私も、いい年ですので、血が上ると言うことはないだろうと思っていました。が、いくつになってもかわらないし、こりないですね。事を話せば「子どものけんか」でお恥ずかしいかぎりです。それも、私の、コンプレックスからくるやつあたり・・・いんねん・・・なんてところでしょうか?
まったく、恥ずかしい限りです。でも、ひとつの区切りかな、なんて勝手に思っています。
ブログの楽しさは、書く楽しさ30%、読んでもらう楽しさ70%だとわかりました。これは収穫でした。人との関わりこそが、人を・・いや、もっといえば人生を豊かにするんだといまさらのようにわかりました。たった3ヶ月の日記でしたが、いい思い出がたくさんできました。オタクイーン様のブログは、これからも読ませていただきます。(コメントは・・・・失敗しちゃったので、しばらく読者に専念します)
今まで、私のブログにお付き合いくださって本当に感謝しています。最後に、ひとつだけおたずねしていいですか?
オタクイーン様の関わられている番組をぜひ一度見せていただきたいのです。立場上、こまることでしたら無理は申しません。
お忘れください。
長く、なって申し訳ありませんでした。おやすみなさいとさようなら。

hiyoko様 コメントありがとうございました。
事情を推測するしかないのでどういっていいのか分かりませんが、hiyokoさんとの毎日のやりとりは、私にとって物事の見聞を広げる、大変意義深いものでした。
ほんの一言のコメントになるほどと唸り、子供の頃の同じ体験に笑い・・・
ネットというのは不思議なものですね。、遠く離れた地からの便りが、まるで隣の同好の士のように感じてしまう楽しさを与えてくれます。hiyokoさんの早いレスポンスのご返事に、「負けていられないな」なんて頑張っちゃった事もあったんですよ(笑)。

「ハンディ」に関しては、確かに私も感じる場面は多いですね。記事であまり書くのも、と思い、最低限に留めていますが、やはりこういう暮らしをしている以上仕方がないのかな、などと自分を納得させる事もしばしばあります。ただ能天気な私は何か嫌な事があっても、毎日の仕事や、記事で書いているオタクな趣味に没頭することで意外とケロリと忘れてしまうもので・・・。こんな時は単細胞な自分を可愛く思う事もあります。

地方局に働く私の制作番組は、全国放送ではない為、地元地域しか放送されない極めてローカル性あふれるものです。残念ながらhiyokoさんのいらっしゃる地域では放送されていないと思います。ごめんなさいね。いつか、hiyokoさんにも胸を張って「見てください!」と言える立派な番組を作れるよう、努力します。

私などが言うのも偉そうですが、ネットは無限の可能性を秘めたツール。「怪獣わが半生」は終わっても、ネットの閲覧など楽しみはいっぱいあります。「失敗」などと言わず、これからもどんどんネットの楽しみを味わって下さいね。「ネヴュラ」もこれからまだまだ続けるつもりです。(つもり、ですので(笑)また覗いていただいて、つたない記事にツッコミなど入れていただければ、こんなに嬉しい事はありません。短い間でしたが至福の時を与えて下さって本当にありがとうございました。いつかまた、帰ってきて下さいね。

オタクな1ファンより。

>・・・ストーリー、全然分からないですよね(笑)。

いえいえ良く分かりますよ。
ザ・フライ大好きな私には、いやおうなく想像がふくらみます(笑)。
ザ・フライ(2も)は、とっても良く出来たサイエンス・フィクションでしたが、まさか?はるか昔に(失礼)日本にこんなストーリーの映画があったなんて・・・驚きです。
見たい!いや、絶対見るぞ!
その時は またおじゃまします。
ネヴュラ読んでてよかったッ(*^^*)

それから、勝手ではございますが、こちらの記事にTB & リンクを張らせていただきました。m(_ _)m

ポン太様 TB&リンク&コメントありがとうございました。
「電送人間」は、さすがに初公開には間に合わなかったので、後にビデオで見たのですが、これがなぜか「食事時にハマる」んですよ。決して食欲を刺激するような内容じゃないんですが(笑)。
比較的ソフトも豊富な作品なので、ご覧頂ける確率は高いと思います。手堅くまとまった、いい作品ですよ。

それにしても、こんなマニアックな作品にコメント頂けるとは・・・
なにしろ今、この作品に関連する事など、世の中では皆無なので(笑)多分この時期「電送人間」について書いている酔狂は私ぐらいのものでしょう。

またご覧になったら、感想をお聞かせ下さいね。
「ザ・フライ」については、ポン太さんの記事にコメントさせて頂きます。またそちらでお会いしましょう(笑)。

オタクイーンさん、こんにちは。トラックバックいただきありがとうございました。ご厚意に甘え私もバタバタとTBさせていただきました。『電送人間』の感想もUPしましたのでこちらも。

『変身人間シリーズ』、私は今のところ『ガス人間』『液体人間』『電送人間』の順に好きです。ですので『電送人間』は他と比べちょっと辛めになってしまいました。オタクイーンさんはお気に入りなんですよね? そこはひとつ人それぞれということでお許しを。しかしこれが「食事時にハマる」というのは並みの感性ではないですね……。

ego_dance様 コメントありがとうございました。

おっしゃる通り。実は「電送人間」という作品は、私にとって「食事のおかず」なんですよ。腰を落ち着けて見る、というよりは、迷い箸を楽しみながら「いつものあの場面」を確認する目的で見るんです。
だからもう鑑賞するというよりは「流れている」という感じ。

でもそういうシチュエーションに乗る作品ってあるんですよね。
確かに「ガス人間」「液体人間」の方が内容は上ですね。私もそう思います。
あの2作品は、見ながら食事をするとお箸が止まっちゃって(笑)。
一度に二つの事ができないおバカな私には罪な作品です。

ego_dance様のブログの、大変しっかりした解説は私には非常に参考になります。思い入れと勢いで書いている私の記事などお恥ずかしい限り。またご意見、TB等お待ちしています。

こんばんは!
この映画は、唯一理論的に納得出来ますね。
でも、この映画の中では、血管が電線?とか、なんだか違うような解釈ですが、、、

中毒猫姫様 コメントありがとうございました。
「電送人間」の理論は「それらしさ」で成立していますよね。
想像の産物「クライオトロン」がなければ何もかもが絵空事という(笑)。でも嘘っぽさを感じさせないのは、おそらく作品を貫く「生真面目さ」によるものでしょう。
「血管が電線」云々は、いわゆる「文学的表現」というものなのでしょうね。あのセリフが鶴田氏の口から出ると、妙に納得してしまうから不思議ですが(笑)。
特撮映画の本編撮影現場には、しばしこういう言葉が飛び交うそうです。「出演者は怪獣を信じる目をしろ!」
特撮映画を支えるのは、リアルな特撮以上に「信じる目」を忘れない役者達の演技なのです。

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