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2006年8月29日 (火)

没有規定都市<江門>

目の前に迫る巨大なバス!「ぶつかる!」と思った瞬間、バスは何事もなかったように私達の車の横をすり抜けて・・・

昨日の「香港」のお話で、古い記憶を紐解いていたら、懐かしい海外の思い出が次々と甦ってきました。
今日は昨日の続きとして、私が経験した海外の恥ずかしいエピソードをお話しましょう。海外経験の多い方には退屈かもしれません。お許し下さいね。

1994年5月。前日の徹夜で朦朧とした意識もさめやらぬまま、私は香港行きの飛行機に乗っていました。
やがて到着した香港、啓徳国際空港。ここからさらに船で2時間。今回の私の目的地はそんな、中国奥地の地方都市です。
本音を言うと私、この旅行は行きたくなかったんです。現地でのいろいろな噂は聞いていたし、日本との国交が開かれたばかりの都市と言う事で不安も・・・
案の定、物凄いカルチャーショック満載の、映画じゃ味わえない旅になりましたが(笑)。

この渡航は仕事で、私はディレクターとしてスポンサー、代理店担当者、カメラマンとの4人グループを編成、ほとんど探検隊のノリで現地へ向かったのでした。
広い川は中国特有の黄色い濁流で、前途の不安は増すばかり。不安におののく一行を乗せて進む船は、まるで「地獄の黙示録」状態。川岸のジャングルからいつ銃弾が飛んできても不思議じゃない雰囲気(笑)。

江門市(「ジャンメン市」と呼びます)。広東省の一都市として、当時他国との国交を開いたばかりの開放都市です。94年当時、若干の現地工業を除いてさほど大きな産業を持たない、のどかな地方都市でした。
日本人に対して免疫の無かったこの都市は、まず私達の上陸からその牙を剥いたのでした。(盛り上げすぎですかね(笑)。

船を降りた私達にいきなり突きつけられる自動小銃!本物の銃なんて初めて見ました。
どうやらマスコミ関係者に対する過剰な反応のようで。カメラ、テープ他の機材から全員の荷物まで没収、イミグレーションで待たされるという緊急事態に。

慌てますよねー。なにしろ英語も通じない。広東語特有のテンポの早いまくし立てに迫力負けして、あわや拷問?ここで命を散らすの?と「ランボー」のような展開にちょっと喜んだりして。こういう所がお気楽なおバカなんですが。

結局スポンサーが現地の有力者(これがまた謎に包まれた存在で)に話をつけて、私達はやがて解放され、荷物も半日後には返ってきたのでした。
なければ仕事にならない所でしたから。大変でした。

この時の仕事は、廃農ビ(ビニールハウスなどの廃材ですね)の海外での使用状況を取材するという物。実際工場でリサイクルされている所をロケした訳です。
その仕事そのものは順調そのものだったんですが、何よりも私達を驚かせたのは現地の文化の数々。

中国には「没有規定」という言葉があるそうで。「ルールが無い」と訳すそうです。その通りでしたねー。本当にものすごい都市。目の前で起きることが信じられない。

まず、取材地へ行く為私達が乗ったタクシー。これ、日本車だったんですよ。
「あー、こんなところにも日本車が」と思って安心して、助手席に乗ってビックリ。
助手席の床に細長い穴が、「どっかで見たような・・・あ!」
自動車学校の教習車。あの、教官が踏む助手席のブレーキ。あの跡だったんですね。
要は払い下げの教習車が流れ流れて、この街でタクシーになっていたと。まあ、それはまだ「アリ」なんですが、このタクシー、走り出したらなんと、ドアがはずれかかっちゃって、内側から慌てて押さえる始末で。もちろん窓なんか開きません。
「ダイ・ハード3」もビックリ(笑)。

街の中心を貫くメインストリートを走りながら(もちろんドアは押さえたままで)不安に駆られていると、これまたショック!
この道、6車線ぐらいあるのに中央分離帯がないんです。つまり、対向車が正面衝突直前でドライビングテクニックだけですれ違うという、恐ろしい状態。現地のガイドさんが笑いながら言いました。「事故もよく起るんですよ」やっぱり来るんじゃなかった!
冒頭のバスとのすれ違いはこの時。まるで「スピード」の一場面。(私的には「大都会PARTⅢ」と言いたいですが)

現地での取材は順調だったんですが、何しろ暑い。温帯夏雨気候のこの土地は、湿気も多く体力が奪われます。もうクタクタになってやっとありつけたお昼ご飯。ここでまた私達は恐怖の体験をする事に。
現地スポンサーとしてはご馳走のつもりだったそうなんですが、連れて行ってもらったお店の看板は「虎・龍料理」と書いてあるだけ。いやな予感。
出てきた料理は角煮とスープ。何てことないと角煮に口をつけたまではよかったんですが、どうにも不思議な味。「何ですかこれ?」と聞いてもガイドさんは「羊です」と笑うだけ。
じゃあ「虎・龍」という看板の意味は・・・?もうお分かりですね。

そうです。角煮は羊ではなく、「猫」だったのです。「虎」というのは猫料理の意味。「広東省では、四つ足の物は机以外なんでも食べる」って本当だったんですね。
ちなみに「龍」は?そう、「蛇」です。


スープに浮いているまだらの模様は蛇の皮。私達は最初に口をつける役目をジャンケンで決めました。私の負け。その味は・・・味なんか分かりません!
午後の仕事も終わり、全然気分も休まらずにたどり着いたホテル。ここも凄い所でした。部屋は綺麗でしたが、高温多湿の地である為、渡り廊下に大きなミミズが!
「エイリアン」のチェストバスターもかくや、という大きさ(に見えました)のミミズは渡り廊下の主のように、堂々と真ん中を歩いていたのでした(笑)。

翌朝、街中を取材に出た私達に、またしてもカルチャーショックが。
歩道で私の前を歩いていたカメラマンが突然、消えたのです。
「えっ?ケムール人の侵略?」と思って下を見たら、なんと歩道の側溝の蓋が外れ、彼ははまっていたのでした。現地の側溝の深さはなんと2メートル以上。

落ちたら大ケガです。蓋が外れた疑問より、深さ2メートルの側溝の方が驚異でした。

まさしく「ブレードランナー」を彷彿とさせる、迷路のような路地。迷ったら二度と帰れないような魔力に満ちた街。でもなぜか私にはこの街が懐かしく思えました。

今だに街を走る、「ミゼット」タイプの三輪トラック。(荷台がタクシーになってるんです)
現地の人が食べる朝ゴハン、ラーメンと揚げパンの定食。(こんな大ボリュームでも、朝からOLさんがもりもり食べてました)。
宿泊ホテルの女性スタッフが歌ってくれた、物悲しい現地の民謡。
「ちょっと冒険してみよう」なんて飛び込んだ理髪店。(当時、現地では美容院が存在していなくて、女性も理髪店で髪を切っていたんです。私の隣の席でも現地の女性がセットしてもらっていました)

懐かしさとエネルギッシュな輝きに満ちた街、江門。
その空気はきっと、あの「ALWAYS 三丁目の夕日」を思わせる物なのでしょう。
私はこの映画を観ていませんが、12年前に遠い中国の地でそれを体験していたのです。

最後にこれも、ドラマのようなオチ。
取材も全部終わって、さあ出国、となった時、突然現地政府から「待った」の声が。どうもお話を聞いてみると、取材した廃農ビは、工場の屋外へ放置する事は法律で禁じられているそうで。「えーっ?撮った絵はそんなのばっかりなのに!」
泣く泣くその場で、その映像だけは「消去」したのでした。
半分以上消滅した映像を見ながら、私は「スパイ大作戦」を思い出していました。
どうやら私は今回も「当局の指令」に応えられなかったようです(涙)。

長々とごめんなさい。こんなもんですよ。海外取材なんて。
他にもお話はまだあるんですが、今回はこんな所で。

この夏も海外に出かけられた方は大勢いらっしゃるんでしょうね。私はこんな旅ばっかりで、皆さんが羨ましいです(笑)。

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コメント

うーーん。このお話を伺って、「第4惑星の悪夢」を思い出しました。地球はひろいですね。こんなに近いアジアでさえ、そうなんだから、さらに遠いところは、「あなたはだあれ」になっちゃうんですかね。私は、大阪と北海道の2国しかしりませんので、とても興味深く、読ませてもらいました。整然とした美しさも惹かれるところはありますが、雑多なエネルギーも、生命の根源をみるかのようで、むしろそちらの方を体験したいなあと思う私でした。(笑)

追記です。何気なく人気ブログランキングをクリックすると、オタクイーン様4位なんですね!すごいです。毎日、読ませていただいているものとして、とてもうれしいです。
ちょっとミーハーでしたか?でも素直にうれしかったのはホントです。
これからも、無理なさらないようがんばってくださいね。
多くのファンのなかの、1ファンより。(^^)/

hiyoko様 コメントありがとうございました。
「江門市」の印象は、「生命力を試される場所」。国は必要最低限のフォローしかしないから、あとは自分でなんとかする、という空気が溢れていました。根源的な「生存本能」がむき出しで、みんな生きるのが楽しそうで。
道を走る三輪トラックがカーブを曲がると、荷台から人が振り落とされたりするんですよ。でもみんな何事も無かったように乗りなおすだけで(笑)。別に持ち物にもこだわらず、大事にしますし。

要は、「命さえあれば、持ち物なんて必要最低限の物だけでいいじゃん」という考え方なんですね。その代わり人と人の結びつきはすごく密で。多少の事は許してやろうよって感じなんです。
だから中央分離帯の無い道路で車が正面衝突しそうになっても
絶対ケンカにならない。私は本当に不思議でした。

でもきっとこれが、今の日本人が失ってしまった「人間らしい生き方」なんだろうなあ、とも思いました。
この江門市は「没有規定都市」でしたが、「街のぬくもり」は日本より上だったんです。どこか温かい、懐かしい街でした。

追記、どうもありがとうございます。あのランキングは日本映画部門に限ったもので、しかも30分毎に順位が入れ替わるすごく不安定な(笑)データですので、そんなに凄いものではないんですよ。たまたまご覧になった時が4位だっただけで。
まあ皆さんきっと、珍しい動物でも見るような気持ちで覗いて下さるのでは、と喜んでいます。
hiyoko様のように、毎日エールを下さる方がランキングの原動力です。こんなおバカなブログですが、これからも可愛がって下さいね。

おほほほ・・わははは・・
と、笑ってしまいました。

オタクイーンさん、文章うますぎです。
面白すぎです。

私も香港に行ったことありますが
国際都市としてのタフでエネルギッシュな雰囲気に
魅了されました。で、裏通りに行くと
「豚」をかついだ男の人がダッシュしていたり・・

リドリー・スコットは
アジアを上手く映画に取り込んでいましたね!

本文とは関係のないコメントですみません(;´д`)ゞ

人気blogランキング4位おめでとうございます~!
「なにとぞクリックを」とあるのを発見してからチェックしてました。
日に日に順位が上がっていくのを見ていると
自分のことのように嬉しいです♪

私も負けてられないワ p(^ー^)q

ブラボー様 コメントありがとうございました。
私も香港では楽しい事が山ほどありました。
路地で道に迷ってしまい、たまたま歩いていた女性に身振り手振りで大通りへの道を聞いたら、彼女は駆け出してしまいました。大急ぎで後を追ったらあるお店の中へ。中から出てきたのは青龍刀を2本持った筋肉隆々の男の人!(本当なんですから!)
怪しい日本人と思われたんでしょーねー。
オリエンタルスマイルで後ずさって、必死に逃げました(笑)。

中国変換後、香港も変わったと言われて久しいですね。
また機会があれば訪れて、あの時の女性に謝りたいと(笑)。
でもダメですね。場所覚えてないし(爆笑)。

やませ様 お久しぶりです。コメントありがとうございました。

私もやませさんのブログはたまに拝見しています。飾らない日常の点描に、いつも心を和ませてもらっているんですよ。
仕事でちょっとヘコんだ時なんか、特に効きます(笑)。

ランキングについては全くいいかげんな動機で、自分もちょっとは皆さんのレベルに近づけるかな?と登録したもの。順位は常に変わるのであまりアテにはしていません。
でも励みにはなりますね。こんなくだらない独り言でも、見てもらえると思うと。
やませさんも頑張って下さいね。私も力を抜いて頑張ります(笑)。

オタクイーンさん今晩は。
最近すっかりネヴュラにはまっているポン太です(*^^*)。
仕事で海外に行けるなんてうらやましい・・・と我々は思うのですが、結構大変なことも多いんですね(笑)。「当然でしょう」と言われるでしょうが、やっぱりうらやましい。(*^^*) 貴重な体験ですよね。
私も昨年2月に、会社の慰安旅行で上海に行かせてもらいました。
あそこの車事情はマジすごかったです。
何度かタクシーを利用したのですが、その運転の荒っぽいこと。いや、タクシーだけじゃありません。走っている車の全てがです(笑)。大都市だけに交通量は半端じゃないから、その強引な割り込みが凄すぎる・・・クラクションがあちこちで鳴りまくる中、無理矢理車の端をねじ込んでくるわ、逆に割り込ませないように まさに紙一重で前の車にひっつけるわと、何度目を覆ったことでしょう。
こんなとこ、私のように気の小さい人間には絶対運転できません(笑)。
そして、あの怒っているようにまくしたてる中国語には、圧倒されます。
行きの飛行機のスッチーさんが、すでに怖かった(^^ゞ。
これが中国のパワーってやつですかね(笑)。
しかし食べ物は安くて、大人5~6人で上海蟹やエビなんかを食って、青島ビール飲みまくって一人 2,000円ぐらいじゃなかったかな?帰国後、私をはじめ何人かは、激しい下痢と吐き気に見舞われましたが・・・(笑えない)
なんかいろいろありましたが、かえってそういうのが思い出に強く残ったりするんですよね!
またまたおしゃべりが過ぎたみたいです。失礼しました。by ポン太

ポン太様 コメントありがとうございました。返事が遅れて申し訳ありません(汗)。

上海ですか!いい所へ行かれましたねー。私は上海でお正月を迎えるのが夢なんですよ。全然実現の可能性が無いですが。
やっぱり中国って、どこもテンションが高いんですね。私が記事に書いた「江門」は、本当に国交を始めたばかりの地方都市でしたが、やはり上海ばりのジェットコースター・ロード(笑)で、生きた心地がしませんでしたから。

食べ物の味はいかがでしたか?「激しい下痢と吐き気」とは大変でしたね。
実は私も、中国での食事については現地のガイドさんからきついお達しを頂いていました。
「中国人は衛生観念が日本人と違うから気をつけて」と。
具体的には、お店で出された食器はまず、同時に出されるお茶で「すすぐ」のが常識だったのです。そうしないと後で何が起きても保証は無いとの事で・・・
出された水も絶対飲むなと。必ず「未開封の」ミネラルウォーターを注文するようにと。
久々に味わう食事の恐怖。うーん中国恐るべし。

それにしても確かに、ポン太さんがおっしゃる通り、危ない経験ほど後で思い出になりますよね。私もそうです。
その仕事のおみやげに持ち帰ったミネラルウォーターのペットボトルを見る度に、思い出が甦ります。
中国については、まだまだものすごいお話がたくさんあります。機会を見てまた「ネヴュラ」で書きますので、気長にお待ち下さい。ご訪問ありがとうございました。

こんばんは。お返事どうもです。
私達が行ったところは、現地のやや高級なレストランでした。(庶民の食堂は さすがに怖い!)生け簀の食材などを選んで、料理してもらうタイプのお店でした。ちょうど中国の正月休みと重なって、大変混んでました。上海蟹やロブスターなど、とっても安くておいしかったですよ。特に上海蟹のおいしさにビックリ!!!!!
4泊5日の旅行でしたが、毎晩そのお店で飲んでました(笑)。
行くたびに、見たこともない食材(魚貝類)にチャレンジしていたので、そのどれかに当たったのだと思います。川で捕れるものが多いのか泥臭いものもありましたよ。さすがに蛇やネコなんてありませんでしたが・・・(笑)。

ポン太様 ご返事ありがとうございました。
なるほど。確かに地元の食堂はちょっと恐ろしくて入れませんよね。おっしゃる通り(笑)。

私も本場の中国料理はなかなか美味しい物もあった反面、「えーっ」みたいなのも体験しました。
たぶんポン太さんが行かれたようなお店だったと思うのですが、(レベルは全然下ですが)客船を川に停泊させて、キャビンで海鮮料理を食べさせてくれるお店でした。
中国ではもてなしの慣例として、捕まえた食材を生きている時にお客さんに見せ「こんなに活きのいい食材ですよ」とアピールするのだそうで、私達もお店に入った途端、料理人に呼ばれて川の桟橋まで向かったんです。見せてもらったのは見た事もない大きなお魚。それはともかく、「ここで捕まえた」と指差す川がまた、汚い川で・・・(笑)。
案の定そのお魚の料理は泥臭さいっぱいで、私はもうギブアップ(泣)。あの時はまいりました。

海外は面白いエピソードがいっぱいで楽しいですね。また色々なお話を聞かせて下さいね。

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