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2006年7月18日 (火)

怪獣王造形諸説

知ってました?1954年公開の「ゴジラ」。
あの初代ゴジラの着ぐるみは、実は他の映画で使った「ワニ」の着ぐるみの流用だったらしいという事。

ゴジラ造形マニアの研究理論を根底から覆す大スクープ!

・・・なんて、ちょっとゴジラを研究した方ならすぐわかっちゃうデマでしたが、このお話、私の創作じゃないんです。
Photo_36 2001年、円谷英二生誕100年の年に発売された写真の本、「素晴らしき円谷英二の世界」で、作家の唐沢俊一さんが寄せたエッセイの中で、円谷英二の「伝説」として紹介されています。未見の方の為にかいつまんでお話しましょう。

なんでもゴジラの元となった縫いぐるみは1940年公開の「孫悟空」(エノケンの孫悟空。山本嘉次郎監督)の為に作られた「ワニ」。徳川夢声扮するワニが沼の中から現れ、孫悟空と会話する、というシナリオだったそうで、円谷英二の手により、縫いぐるみまで作られて撮影も行われた後、山本監督により全部カットされたという訳。円谷さんは、当時貴重品だった工業用ゴムを軍から払い下げてもらい作った、ワニの縫いぐるみをえらく気に入っていて、なんとかこれを活かす映画を、と考えていた所、「ゴジラ」のアイデアを思いついたという事だそうです。真偽はともかく、すごいお話ですよね。

こんなお話がまことしやかに囁かれるほど、話題に事欠かない「ゴジラ」の造形。
そこにはどんな魅力があるのでしょうか。

Photo_32 Photo_33 もともとゴジラは、太古の恐竜が核実験で変異したもの、という設定があります。その為、恐竜のフォルムに加え、核のキノコ雲を連想させる頭部のデザインが、安部和助によって描かれたことはファンの間ではよく知られていますよね。その修正案を元に、造形スタッフの利光貞三によって「雛形」が作られました。私はこの雛形ゴジラが気に入っていて、(映画のパンフの表紙に使われましたね)以前発売されたRICのソフビフィギュアを入手しました。

Photo_35 これは確かに、恐竜のフォルムを持つものの、顔などは「キノコ雲」のイメージを連想させる造形で、当時のスタッフの「恐竜がただ暴れるだけの映画じゃない」核反対のメッセージを織り込もうとした熱意が伺えます。

そして画面に登場するのが、雛形からさらに撮影に適した形になったあの「初代ゴジラスーツ」ですね。
あの独特の迫力を持ったゴジラは、いまだにそれを超える造形を生み出せないほどのインパクトで、私達の脳裏に焼きついています。その後、「ゴジラの逆襲」でよりアクションが容易になったスーツが作られ、海外製作を予定しての「ジャイガンティス」をはさんで、あの「キンゴジ」へ・・・と続く訳です。皆さんには蛇足でしたね。

何故長々とこんな「常識」をお話したかというと、
私は「ゴジラスーツの造形は、最初の数作までは「現場の事情」、残りは「時代に合わせた形」と思うからなんですよ。

「現場の事情」というのは、例えば「重さ」。初代ゴジラの1号スーツが足を角材の高さまで上げられなかったというお話は有名ですよね。そこを改良して、なんとか一作目は乗り切ったと。それが二作目のGOが出たときに、中島春雄さんも言ったと思うわけです。「もうちょっと動きやすくならない?」それを実現させたのが「ゴジラの逆襲」のスリムなスーツ。
7年後の「キングコング対ゴジラ」では、対戦相手のキングコングの「逆三角形フォルム」に対する「正三角形」の形を目指して、と言われますが、そうなると、「逆襲」と「コング」の間に位置する、あのマッシブな「ジャイガンティス」の説明がつかないし。
きっと素材の変化もあったんだと思います。初代の頃に比べ、より軽くて動きやすくなったゴムが開発されてあのフォルムが出来たと。
初代ゴジラの素材で「キンゴジ」作ったら中島さん怒っちゃいますよきっと(笑)。

「時代に合わせた形」というのは、例えば「三大怪獣」や「怪獣大戦争」で、キングギドラと戦うゴジラが、初代ゴジラのフォルムを持っていたらどうか、という事なんですね。
作品の世界が違うように思えませんか?やっぱり時代に合わせた新作を作り、ゴジラのキャラクターも変わって行く中で、フォルムだけが変わらない、というのは許されないんでしょうね。私も初代ゴジラの「シェー」は観たくないし(泣)。

ゴジラシリーズがこれだけ長く続き、「GFW」で一時休止、と言われても、あくまでそれは一時的なもの、というファンの気持ちがあるのも、(それに全国の皆さんが毎日ブログでゴジラの事を語りまくってもまだまだ語り足りないのも)やはりそれはいい意味で「時代に合わせた」ゴジラが作り続けられたからだと思う訳です。
「キンゴジ派とモスゴジ派」なんて二大勢力があるのも楽しいじゃないですか。(これも古いかな。今は平成派と21世紀派?)

作品毎にファンの評価が別れ、それぞれの主張はあっても、新作のゴジラの造形にファンは一喜一憂するんですね。監督、ストーリー、出演者、敵怪獣、そして主役のフォルム。そのひとつひとつにファンがこれ程気を配り、しかも過去の作品と比べるシリーズ作品なんて、世界中探したってそんなにあるもんじゃありません。
それがゴジラ映画の奥深さであり、いまだにファンを増やし続ける理由なんでしょうね。

さて、以前ちょっと書いたこともありますが、最近リメイクされた「キング・コング」の波に乗って、我らのゴジラもリメイク、なんて事になったら、貴方ならどんなストーリー、造形で臨みますか?
新作が止まっているこんなエアポケット的な時こそ、温めていたアイデアを出すチャンス。予算も製作期間も関係ない「夢のゴジラ」が、今も無数に考えられているんだろうなー。
なんか、ワクワクしますね。

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コメント

うーん。なるほど。いつもながらオタクイーン様の、説には感心させられます。キムタク風にいうと「スゲえよ、マジで」って感じですか。
長寿番組のドラえもん。絵柄も世界観も何も変わっていないのに、声優が、かわっただけで、蜂の巣をつついたような大騒ぎ。あんなのドラちゃんじゃない、という子もいれば、その声からドラワールドに入ってくる子もいる、でもみんなドラえもんを愛しているんですよね。私の家ひとつとっても長男はビオゴジ派、次男はミレニアム派。私は、・・・モスゴジ派なんですよね。(笑)

コメントありがとうございます。ご家族でゴジラの好みが違うというのはいいですねえ。それぞれ一歩も譲らないとか(笑)。
親子で「モスゴジとビオゴジ、ミレニアムが戦ったら」なんて、夢のタイトルマッチの話で盛り上がったりして。そういう事ができるのがゴジラシリーズのすばらしいところなんですね。
ちなみに私はキンゴジ派。そして・・・GMK派(しなゴジですね)なんですよ。語ると止まらないゴジラの不思議。この楽しい論争は21世紀も延々と続くことでしょう。(笑)。

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