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2006年6月18日 (日)

観る側、演じる側、演じさせる側

「本番前」最後のウォーキング1.6キロの絞り込みに成功。体重測定が終わったボクサーよろしく、ちょっと体にカロリーを与え、買ったばかりの白デニムスカートに足を通せば、「観劇準備OK」。フィジカル・メンタル共、ほぼベストコンディションでの出発。

という訳で行ってきました。
幼なじみが出演する舞台「R.P.G.」。宮部みゆき原作の小説を、劇団一跡二跳の古城十忍が脚本化したミステリー劇でした。
インターネットの世界で擬似家族を演じる男性が殺害され、その犯人を巡って展開される取調室の密室劇。他人同士で構成される擬似家族のメンバーと、男性の本当の家族が取調べという行為を巡ってそれぞれの思いをぶつけ合います。ネット社会の今問われる「人と人とのコミュニケーション」「家族のあり方」がテーマの、骨太の作品。

擬似家族のふれあいに始まり、事件の解決までを2時間あまりの上演時間で一気に見せる、濃密かつスピーティーな展開は、かつてこの劇団が手がけた作品とは一線を画す出来栄えで、その点では拍手を送りたい「意欲作」ではありました。私も上演開始直後はかなりの乗り気、だったのです。しかし・・・

この手の「原作物」については既に存在するお話が脚本化されている訳なので、感想はどうしても脚本、演出寄りの「芸談」に向いてしまいます。その点はご勘弁を。

観終わって思ったのは
「この原作は舞台向きじゃなかったんじゃないの?」でした。

私がまず引っかかったのは、「舞台と客席の遊離感」。舞台の上で起こっている事がライブ感として伝わってこない。それは原作の特徴なのか、またあまりにも演劇としての完成度を高めすぎたゆえの事なのか、「テレビドラマみたい」に見えてしまうのでした。「ビデオで撮影したお芝居を上映しているみたい」で、客席との「呼吸」が重要な、舞台のライブ感が希薄に見えてしまうのです。客いじりがいいとは思いませんが、2時間余りの上演時間中、お客さんのリアクションがゼロ、というのはどうかと。

次に、「時間軸の過剰な操作」。取調室で起こっている「擬似家族」の取調べと、それをマジックミラーの後ろで見ている「本当の家族」の様子が同時進行で展開する構成になっているのですが、これを舞台でやろうとすると、映像作品のようにカットバックでお互いの家族を捉える事ができない為その心の動きを表現するには「擬似家族側」と「本当の家族側」にそれぞれスポットを当て、同じ時間軸を2回ずつ繰り返さないといけない訳です。その他、回想や別の場所の出来事が同じ「取調室」で入り乱れる展開。今日この演出を初めて観た時は斬新なやり方に感心しましたが、何度も繰り返されるのでちょっと・・・
やがてこの時間軸は重なって、取調室と奥の部屋に居る出演者のセリフが絡み合い深い意味をなす展開になるのですが、私などはその前に「勘弁してよ」となってしまうのでした。
この演出は、場面の区切りでメリハリをつける事でうねりにも似た効果が出るのでしょうが、ごめんなさい。メリハリがつく程役者さんの演技が「立って」なかった。

最後にやっぱり「練習不足」かなあ。セリフのミスを言い直すのは舞台に立つ上で誠実な事とは思うけど、会場代とはいえお金を取って上演してるわけだから、その点はプロも社会人劇団も同じ筈。私の少ない観劇経験から言っても、プロはもっと上手くごまかします。
「トチッた」という心の動きが客席にまで伝わってはいけないと思うわけで。

でも、斬新な演出をはじめ、主役の刑事さん、女性捜査官、擬似家族のお母さんなど、「光る」演技にうならされたのも確かですし、幼なじみの演技も好感が持てました。
でもあえて言わせてもらえば「あなたならもっと出来るはず」。
「おまえはいったい何様じゃ」とお叱りを受けるのは覚悟の上。好きだから言ってるんですよ。これだけ言えるのも作品の完成度の高さゆえ。もし関係者の方がご覧になられていたら、観る側の勝手な解釈ですので、ネコのオナラでも聞いたと思ってください。
近々飲みに言った時、この続きはおおいに語り合いましょう。きっと話したかった裏話もいっぱいある筈。ぜひ聞きたいです。

最後にこのお話、テーマは別として「生きていた男」(1958年英 マイケル・アンダーソン監督)がお好きな方は楽しめると思います。原作もぜひ読んでみて下さい。

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コメント

はじめまして。
ro_okuさんのところから飛んできて
ちょくちょく拝見させていただいていました。

今回のお芝居は観に行けなかったので
MIYUKIさんの記事をとても楽しみにしていたんです。

厳しいながらも愛のあるお言葉。
私も観に行けばよかったなぁとちょっと後悔しています。

また、お邪魔させていただきますね(*^ー゚)/~~

あ、こんなところにも「やませ」が出没してる。

こういう状況を見ると、ネットの不思議さを感じますね。全然つながりの無い人たちが、どんどんつながっていく。面白いです。
でも、あまりにも遠くに住んでいるあなただから、そんな簡単に観にこられないのは分かってますから。いつか観に来てくれれば良いですからね。気長に待ってます。

オタクイーンさんの感想は厳しいですね。でも頷ける部分が多いのも確か。
「R.P.G.」という小説は、宮部みゆきさんが戯曲を書きたくて、でも自身ではうまくできないため、戯曲風小説として書かれたものらしいです。
だから、小説を読むと「舞台化できそう」って思うわけです。で、そう思った古城氏が戯曲化したのでしょう。でも、あなたの言うとおり、これは映像ならば可能だけれど(実際に後藤真希でNHKドラマ化されてます)実際に舞台でやるとなるととても難しいのです。
戯曲はよく出来ていると思うので、あとは演出の問題と役者の力量です。どこに問題があるのか、俺が論ずるべきものではもちろん無いと思うけれど、個々の役者の力量はともかく、少なくとも、今うちの劇団でやれる精一杯の舞台を見せたという自負はあります。
今回、復帰2作目をやってみて、自分の力不足と演劇の魅力について、それぞれ再発見があった、と言う感じです。今まで以上にもっと芝居に真摯に向き合って行けそうな気がしています。

やませ様、ようこそいらっしゃいました。ro_okuさん(こう呼ぶのも何ですが)とは、小学校のお別れ会で寸劇を上演した仲です。
昨日は観てから時間を置かず、一気に書き上げたのでかなりハイテンションの所もあり、後で読み直すとはずかしい限り。でもそれだけ書きたくなった内容だったんですよね。
今日彼のブログを見たら「シビアだねー」なんてへこんでましたが、私なんか「走り抜いた」彼の足元にも及びません。立派ですよ彼は。
こんなオタクでおバカなブログですが、また覗いてやって下さい。
私もやませさんのブログを覗かせていただきます。

ro_oku様、お疲れさまでした。去年の研究生卒業公演から再び劇団メンバーの動向を拝見する立場となってみて、今回の公演を鑑賞すると、確かに「総力戦」の感がありましたよ。
特に私は主演の刑事さんの演技(というか存在感)に弱い。演技が演出を超えてしまう部分が少なからずありました。後は脇を固める(あなたをはじめ)配役陣のハーモニーの問題だと思いました。
演出のキレに感銘を受けたのは(一瞬でしたが)擬似家族の「お母さん」の「ハッ!刑事さん誘導尋問してる!」ですかね。
いずれにしても結果を残せるというのはすばらしい事です。大げさに言えば「人生にくさびを打ち込んでいる」ようなものですからね。力不足な私ですがまだまだ応援しますよ。
「幕が上がったら後は迷わず走るだけ」なんでしょ?

じつは、以前からコメントのチャンスを窺っていたのですが
気の利いた言葉が浮かばないので躊躇していました。

ro_okuさん(私もこう呼ぶのはかなり抵抗あります…)とは
数年前、彼の「職場」でほんの短い期間お世話になったご縁です。
今思い返しても、うっす~いペラッペラのつきあいでしかなかったような…。

そんな私にまで連絡をしてくるということは
かなり困っているんだなぁと察し、図々しくもしゃしゃり出てきた
…というワケなのです。

ジャンルは違えど、私もオタク系なので、共感できる部分もあったりします。(○○音頭のところとかf(^ー^;)
それと、MIYUKIさんの女性らしさを見習わなくっちゃ。

これから仲良くしてくださいね(*^_^*)


富山は全然遠くないよ!
絶対お二人に逢いにいくから待っててください。

…ごちそうしてね(* ^ー゚)エヘ

やませ様
「あの話」に共感できるとは、あなたもかなりの「通」ですね。どんなジャンルにもああいう「はたから見ると笑える」事ってありますよね。やませさんはどんなジャンルがお好きなんでしょうか?また教えてもらえれば楽しいかも。
確かに富山は近いですね。お暇な時に一度名古屋にもお越し下さい。
ro_okuさんをひっぱり出しておきますから。

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とうとう今回の公演が昨日終了しました。 全7回の公演、来ていただいた皆さん、本当にありがとうございました。 そして、今回は色々な都合で来られなかったけれど、このブログを観ながら気にしてくださっていた皆さんも、本当にありがとうございました。 第7回目、....... [続きを読む]

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